ROCK-ON!   作:ローリング・ビートル

32 / 46
Last Nite

「いや、どっちがって……」

「「…………」」

 

 唯と憂が、じぃっとこちらに視線を向けてくる。おい、ここは止めるところだろう。

 ちなみに母親のほうはニコニコと俺達の様子を見つめている。

 ……これ、どうやって切り抜ければいいの?

 

「えっと……そういえば、明日は練習何時からだっけ?」

「「じぃ~……」」

「…………」

 

 どうやら逃がす気はないらしい。君達、両親の前だという事を忘れてないかな?

 いかん。どうにかして逃げる方法を……あ、そうだ。いや、これは……でも、逃げるにはこれしかない!

 

「俺、年上好きなんで……」

「あ~、そうか。なるほど、わかるよ。僕も君くらいの年頃には大人の女性に憧れたものさ」

「「…………」」

 

 あれ?ものすごく冷たい視線を向けられてるんだけど……。

 

「あらあら、これは楽しそうね」

 

 平沢母だけが、やたら面白そうに俺達を見比べていた。

 食事中少し静かだったが、平沢母の手料理が美味しかったので、何とかやり過ごすことができた。

 

 *******

 

「お邪魔しました」

「ああ、娘二人の事よろしく頼むよ」

「またいらっしゃい」

「「じ~……」」

 

 帰る段階になり、家族総出で見送ってくれることになったのだが、唯と憂の機嫌はまだ直っていなかった。そんな効果音まで出さなくても……。

 

「ほら、唯、憂。そんな顔しないの。江崎さん困ってるじゃない」

「「む~」」

「もう、仕方ないわねえ」

 

 平沢母は、二人に歩み寄り、ひそひそと何かを話し始めた。二人の視線がちらちらこっちに向くので、何を話しているのかが、すごく気になるんだけど……。

 やがて、二人はぱあっと花が咲いたような笑顔になり、たたたっと、こちらに駆け寄ってきた。

 

「あ、あの、また来てよ江崎さん!」

「今度はまた私の手料理を食べてくださいね!」

「おう……」

 

 ど、どうしたんだ、急に距離を詰めてきて……?

 左右からふわりと甘い香りに挟まれ、どぎまぎしていると、急に平沢父が呻きながらうずくまった。

 

「くっ、娘二人が同時に……!母さん、これは来るべき時が来たということか……!」

「あらあら、そんなに落ち込まないで。今度行くオーストラリアで心を癒しましょう」

「ああ、そうだね。それじゃあ、江崎君。僕達がいない間、二人の事をよろしく頼むよ」

「あ、はい……」

 

 つい頷いてしまったが、これどんな立場に立たされたんだ!?

 こうして、平沢姉妹の両親との初対面は何とか無事に終えることができた。

 

 *******

 

「明日から、江崎さん年下好き計画だよ、憂!!」

「もちろんだよっ。負けないからね、お姉ちゃん!!」

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。