「なぁんだ。あずにゃんを助けただけだったんだね~」
「あはは……疑ってごめんなさい」
「いや、わかってくれたならいい」
危うくどえらい目にあうところだった。
幸い梓が一生懸命誤解を解いてくれたおかげで、何とか事なきを得た。
あの二人、あのテンションになったら、めっちゃ怖いからな。
「あ~もうっ!あと少しはやく来てれば面白いの観れたのに~!」
「お前が課題忘れるからだろ」
「だって澪が写させてくれないからじゃん」
「宿題は自分でやらなきゃ意味ないだろ」
「みんな~お茶の準備できたわよ~」
「…………」
こうしていつもの空気になる。よかった……平和が一番。
すると、梓が袖をちょいちょいとつまんできた。
何事かと思ったら、彼女はちょこんと背伸びをして小声で告げてきた。
「さっきはありがとうございます」
「あ、ああ……」
この子が何故周りからやたら愛されているかがわかった気がする。
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美味しい紅茶を堪能してからセッションを始めると、何故かは未だにわからないが、放課後ティータイムの演奏はより素晴らしいものに感じる。
今日は憂は近くで個人練習をしていた。あのソロライブから、色々と目覚めたらしい。
新曲のセッションが終わると、それぞれのパートについて話し合っていた。
「ようやくまとまってきたな」
「昨日も遅くまで話し合ったもの」
「じゃあ、タイトルつけなきゃ!澪ちゃん、どうぞ!」
「ええっ!?ま、まだいいだろ!」
「それよりもギターソロですよ。唯先輩、暴れすぎです。音は外してないけど……」
どうやら声をかけるのは、もう少し後のほうが良さそうだ。
その様子を微笑ましい気持ちで見ていると、憂がじぃ~っとこちらを見ているのに気づいた。
「どうした?」
「え?あ、その……よかったら、私達もしませんか?」
「…………」
ほんの一瞬だが、変な想像をしてしまった俺を誰が責められるだろう。
もちろん何の意味かはわかってる。
「じゃあ、演奏してみたい曲ある?」
「やったぁ!」
めちゃくちゃいい笑顔で立ち上がる憂を見て、ついこちらも笑ってしまう。
そりゃあ、あんな演奏見せられたら体も疼くよな。
結局、帰る頃にはすっかり陽が傾き、さわ子さんから叱られる羽目となった。
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その日の夜……。
「憂~、今日は江崎さんと何の曲演奏してたの~?」
「ふふっ、ヒ・ミ・ツ♪でも、あと少ししたら、お姉ちゃん達にも聴いてもらいたいな」
「そっかぁ。……ねえ、憂~」
「んー?」
「あ、やっぱり何でもないや」