モモンガさん、世界征服しないってよ   作:用具 操十雄

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漆黒のモモン、カルネ村再訪記

 

 

 

 冒険者として活動する以上、ナザリックのことは徹底的に隠匿しなければならない。アインズは漆黒の全身鎧(フルプレート)に身を包み、名前もモモンと偽った。モモン・ザ・ダークウォーリアと名乗りたいところだが、周りにそんな長い名前がいないので諦めた。名前ごときで悪目立ちをしてはならない。

 

 王都のヤトはチーム名をナザリックと命名し、堂々と活動していたが、アインズの知るところではない。知っていたら精神の沈静化が必要なほど怒ったに違いないが、知らなければどうということはない。

 

 現在、冒険者組合で出会った冒険者チーム”漆黒の剣”と共に依頼(クエスト)の真っ最中だ。成すべき依頼は二つ。

 

 エ・ランテルで高名な薬師の孫、ンフィーレア・バレアレの薬草採取の護衛依頼。

 

 周辺モンスターが増え過ぎないように間引き。

 

 かくして、レベル上限の新米冒険者は、冒険者チーム“漆黒の剣”、若い薬師ンフィーレアと共に旅に出た。カルネ村滞在中、ンフィーレアの存在は小耳に挟んでいた。その彼がモモンを名指し指名したことで、アインズの警戒心は煽られている。

 

 時刻は夜。皆が野営の準備を開始する中、モモンは周囲の見回りを口実に群れから離れ、ヤトと情報交換をしていた。野営の準備を手伝うのはナーベに任せている。そちらの人手が足りないことはない。

 

「ふぅ、今日はこんなものか」

 

 友人と《伝言(メッセージ)》を終えた。

 

(あっちも好き放題やってるようだ。それにしても、もっと夢があってもいいんだが……)

 

 冒険者という言葉で、未知の山脈や闇の深い森林、見たこともない魔物との戦いを想像したが、実際の冒険者はいつも通りの依頼を淡々とこなす仕事だ。

 

「魔物退治のサラリーマンと変わらないじゃないか」

 

 王都で酒を飲み、食事をし、金を稼ぎ、武器屋を襲撃し、図書館に本を盗んだりと、遊び呆けている彼が少しだけ羨ましかった。

 

 飲食不要の指輪効果で、ナザリックの維持費は安く抑えられているが、いつまで続くかわからない。

 

「せめて、維持費で頭がいっぱいになることの無いようにしたいが……カルネ村に渡した土産物の金額回収まではしばらく手が届かないな」

 

 幸い、王都のヤトは順調に金を稼いでいる。情報収集はあまり進んでいないだが、資金の援助が必要ないのはありがたかった。こちらで稼いだ金貨は、そっくりそのまま維持費に充てられる。こちらの金が尽きそうになれば、彼に援助を申し出ればよい。

 

「農場って人の国に勝手に作ってもいいのかな……」

 

 構想中のアンデッドによる大規模農場は、進めるにあたって問題が多すぎた。領土問題、王国でのナザリックの立ち位置、世界の勢力図など、事前に調べるべき問題は何一つとして片付いていない。

 

 モモンことアインズは、ナーベことナーベラル・ガンマの待つテントへ帰っていった。

 

 

 

 モモンの活躍により、道中に遭遇した魔物は造作もなく命を刈られていった。

 

 夕刻に到着予定だったが、お昼近くにはカルネ村の見える場所へ到着していた。

 

(さて、あれから何日か経っているが、どのように変わっているかな)

 

 周りに聞こえないようにモモンは呟く。どことなく様変わりした村の異変に、ンフィーレアは真っ先に気付いた。

 

「あれ? なんだ、これ?」

 

 木材による大きな囲いが設置されていた。周りに石材が大量に積まれているため、城壁建築の予定だと見て取れた。ンフィーレアの疑問通り、城壁など小さな農村には過ぎたる設備だ。カルネ村は王国へ謀反ととらえられても構わないくらいの態度を取っているので、城壁が無くては話にならないと、モモンだけがそれとなく悟った。

 

 村の入り口まで行ってから、一行は立ち尽くす。

 

「ンフィーレアさん。ここは一体」

「いえ、間違いなくカルネ村なんですが。農業や薬草で生計を立てていた村だったんですけど、これは……」

 

 ンフィーレアは村の変化に戸惑っていた。

 

「どなたですかー?」

 

 村の中から若い女性が走ってきた。ンフィーレアの幼馴染の娘、カルネ村で生活するエンリ・エモットだ。

 

「あ。エンリ! 僕だよー!」

 

 想い人の顔を見つけて声が弾んだ。エンリの後ろから走ってくるデスナイトを見つけ、全員が凍り付いた。ありのままを信じるのであれば、黒くて巨大なアンデッドがエンリを殺そうとしているように見え、他の何物にも見えない。

 

「ンフィー。久しぶりだね」

「エンリ! 危ない! 逃げて!」

 

 悲鳴を上げながらンフィーレアは飛び出した。エンリに悲鳴は届いておらず、笑いながら手を振って駆けてくる。穏やかでないのは”漆黒の剣”で、デスナイトと距離が詰まるにつれて激しく動揺する。

 

「な、なんだあれは! バレアレ殿、待つのである!」

「モモンさん! あれの足止めはできますか! 我々でバレアレと女性の逃亡を補助します!」

「ひっ」

「ニニャ! 固まるな! 全滅すっぞ!」

 

 モモンとナーベは素知らぬ顔でそっぽを向いていた。

 

「モモンさん! 早く!」

「久しぶり、ンフィー。元気だった?」

 

 一行の目前で、エンリが止まるとデスナイトも止まった。彼女の緊張感のない笑顔で、一向は少し落ち着いた。それでも漆黒の剣の四人は恐怖で顔を引き攣らせた。

 

「エンリ、これは一体」

「え? ああ、あの人はね。カルネ村の村長さんよ」

 

 ニコニコしながら話しているが、モモンとナーベを除いて誰も意味が理解できない。

 

「村長さん……? ごめん、意味が分からないから詳しく教えてくれないかな?」

「あ、そうだったね。ごめんごめん」

 

 エンリは失敗したと可愛く笑った。後ろに居るのがデスナイトでなければ、幼馴染が再開する微笑ましい光景だ。

 

「村長さんはね、アインズ・ウール・ゴウン様の手で殺されたの。それで、アンデッドに変えていただいたのよ」

 

 胸を張って誇らしげに話していた。心の底から嬉しい話題だと、満面の笑みで理解できるが、内容は非常に血みどろだ。話を聞いた彼らへ誤解を招き、ンフィーレアの心に亀裂が入りそうになっていた。

 

「村長殿は殺されたのですか!?」

 

 漆黒の剣のリーダー、ペテルは問い詰めるように聞いた。問い詰めるような物言いに、エンリは首を傾げた。何者かに侵略され、洗脳されている可能性も考慮している彼らが、なぜ怒っているのか理解できなかった。あくまで、カルネ村の視点から見れば誇らしい出来事でしかない。

 

「はい。村が兵隊さんに襲撃をされて」

「えええ!?」

 

 ンフィーレアの心は、重大な情報が連続して入ってきたので考えがまとまらない。このままでは埒が明かず、モモンは誤解が誤解を招きそうな立ち話を止めさせた。

 

「みなさん、こんな村の外れで話しているのも何なので、ひとまず村の中に入りませんか? あそこの彼も襲っては来ないようですから」

 

 

 

 

 村の中に入った一行は各所に分かれた。漆黒の剣の面々は、村の中にもう一体居たデスナイトを見つけ、遠巻きに監視していた。不穏な気配を感じれば、すぐに行動できるように武装は解除しなかった。

 

「……あんな化け物を使役しているのか?」

「そもそも村長が殺されたっていうのはなんなんだよ」

「何が起きているのか理解ができないのである」

「……怖い」

 

 震えているニニャを宥めながら、彼らは小声で話し合った。

 

 

 彼らから離れ、モモンとナーベは村の中を散策していた。数日前は小さな農村だった村も、畑の開墾が進み、城壁建設の準備も捗っている。不眠不休のデスナイトを使えば造作もない。今、何か問題があるとすれば、人手不足だ。

 

「大したものだな。デスナイトを上手く使い、村を発展させるとは」

「そうでしょうか?」

「うむ、畑の開墾は以前の倍以上になっている。森の開拓も進んでいる。この後は城壁でも建築するのだろうが、そちらに人員は避けないようだな」

 

 村から見える森の位置は明らかに後退している。畑はデスナイトのフランベルジュで開墾をしたらしく、面積は広いが耕し方は荒い。農作業に明け暮れる人々の表情は以前より明るかった。

 

「剣の稽古もしているのか」

 

 広場の片隅に複数の案山子と、木彫りの剣と盾が周囲に散らばっていた。どれもかなり使い込まれていた。

 

「まったく、大したものだ」

 

 ナーベはどこか喜色を滲ませる主の意図が汲めず、不思議そうな顔をしていた。

 

 そこから少し離れた家屋で、エンリから事情を説明されたンフィーレアは呆然としていた。開いた口は閉じる様子がない。

 

「というわけなのよ、ンフィーレア」

「でもそんな……二人も殺されたんでしょ!? なんでそんなに嬉しそうなのさ!」

 

 ンフィーレアは興奮して声を荒げた。

 

「だから違うんだってば、ンフィー。村長さん達は自分で進んで殺されたの。この村を守るために」

 

 エンリは感極まった目で両手を組み、天井を見上げた。何もない天井付近には、エンリの言う村を救った誰かが浮かんでいるはずだ。ンフィーレアは人が変わったようなエンリに戸惑いを隠せない。邪教の信者に見える最愛の人に、どう対応すればいいのか。確実なのは、何者かわからない相手に嫉妬した。

 

「何者なの? 何か覚えていることはない?」

「気が付いたら皆さん消えていたから。他の方はヤトノカミ様とアルベド様とか仰っていたわ」

「アル……ベド……?」

 

 道中にナーベがアルベドの名前を出して失言をしたため、彼はその言葉に聞き覚えがあった。

 

「そんな、いや、でも。え? そんなことが……?」

 

 剣士として英雄級の実力を持つモモンが、闇の魔法を行使できる。そもそも、人間を殺し、アンデッドに変える魔法など、聞いたこともなければ魔法の位階さえわからない。

 

(いや、あの人はちゃんとした人だったと……一流の剣士で位階不明な魔法を使う? 十三英雄に匹敵する人? ……本当に人間なのかな?)

 

 頭の中に突拍子もない仮説が浮かんだ。

 

 モモンとはアインズ・ウール・ゴウンその人で、神かそれに等しき存在。この世界の人々の生活を見守るべく、冒険者に身をやつしているのではないか。通常では笑い飛ばすような空想だが、ありえないポーションを持っている件も、それであれば理解できる。しばらくブツブツと悩んでいたンフィーレアは、いてもたってもいられずにエンリの家を飛び出した。

 

「あ、ンフィー。どこいくのー?」

 

 背後で呼ぶエンリの声は耳には入っていない。

 

「どうしましたか、バレアレさん」

 

 モモンの視界に、こちらへ全力疾走するンフィーレアが見えた。到着して早々、肩で息をしながらまくし立てた。

 

「モモンさん! あなたはアインズ・ウール・ゴウン様なのでしょうか?!」

「なっ!?」

 

 ここでナーベが自らの失言に気付き、ギリギリと歯を食いしばった。

 

「ゴホン……君は何を言っているのかな」

 

 誤魔化したつもりだったが、ンフィーレアにはその反応が肯定と取られた。

 

「やはり……そうなんですね。あの、何から言っていいのかわかりませんが、まずは僕の方からお礼を言わせてください」

 

 ンフィーレアの話によると、好意を寄せているエンリの幸せが守られたこと。珍しいポーションの作成方法を盗むために近づいたこと。これからもこの村を助けてほしいと頼み込まれた。正体がこんなに早く気付かれると予想しておらず、モモンは首を振ってため息を吐いた。

 

「顔を上げなさい。私は村長を含めた二名を殺害した無法者だ。そんな相手に頭を上げる必要はない。これから、私の力に頼らずともこの村は発展を遂げるだろう」

「いえ、それでも言わせてください。ありがとうございました」

 

 先日の村人を思わせる強い眼差しに、アインズは笑った。

 

「気になるのであれば、もっと頻繁にこの村に滞在してみてはどうかな? 薬草の採取も彼らデスナイトがいれば捗るだろう。ポーションの作成は村人を助け、発展の礎にもなる」

 

 ンフィーレアの生まれながらの異能(タレント)には、コレクター意欲を刺激されていた。英雄然として少しも偉そうな雰囲気の感じないモモンに、若き青年は感銘を受けている。眩しい視線に込められた意志を利用すれば、いつでも利用可能な生まれながらの異能(タレント)が一つ手に入る。

 

「そうでしょうか。いや、そうですね! わかりました、戻ったら祖母に相談してみます」

 

 予想外の新たな蒐集品(コレクション)を手に入れ、心の中でガッツポーズを決めた。

 

 

 

 

 カルネ村で一息付けてから、一向はトブの大森林へ薬草採取に向かった。モモンはナーベと連れ立って森の奥へ入り、事前に呼び出したアウラへお使いを頼んだ。魔獣使いの彼女は、指示通りに森の賢王を呼び出してくれた。

 

「アインズ様、興奮させるまでもなく興奮していましたよ」

「ありがとう、アウラ」

 

 相手がハムスターであるのは気になったが、それを指摘するような雰囲気ではない。ジャンガリアン・ハムスターの容姿を持つ森の賢王は、出会い頭から殺気立っていた。

 

「近頃、このあたりを荒らしている化け物の仲間でござるか?」

「化け物? なんだそれは?」

「あの黒くて大きな化け物でござる! (それがし)の森を切り開き、大木を楽々と切り倒す黒い化け物!」

 

 どうやらデスナイトのことらしい。

 

「そうともいえる、そうでないともいえるな」

「禅問答は不要でござる!」

 

 尻尾が蛇になっている巨大なジャンガリアン・ハムスターは牙を剥いた。

 

「某の支配領域が日に日に狭まっているでござる。到底許すことは適わんでござるよ!」

 

 デスナイトが森を切り開き続けているため、森は後退している。運悪く、それが彼の支配領域だったようだ。しかし、それはモモンが指示を出したことではない。

 

 言葉は無粋とばかりに、ハムスターは怒りを露わにして飛び掛かってくる。グレートソードを交差させて防ぐが、威力を殺しきれずにモモンは後ずさる。

 

「ハムスターの癖になかなかやるじゃないか」

 

 他の二人は心配すらしていなかった。

 

「そちらもなかなかやるでござるが、遊ぶ気分ではござらん。いざ! 尋常に!」

 

 突撃と同時に尻尾を鞭のようにしならせる。適当に絶望のオーラⅠで様子を見ようと思っていたが、剣の練習に切り替えた。

 

「行くぞ!」

 

 ふわふわの体毛は剣を弾き、鋭い爪は鎧まで切り裂ける。しかし、互いの力に差があり過ぎた。力でモモンに劣っている森の賢王は、徐々に消耗していく。尻尾で勢いよく弾いていた二振りの大剣も、交わすのが精一杯だ。肩で息をするハムスターに対し、モモンは呼吸すら乱れていない。

 

「某は……ここで死ぬのでござろうか」

「森の賢王であっても死が恐ろしいか?」

 

 死んだら死んだで、上位アンデッドの素材になるか実験ができる。降伏するならモモンとして使役する魔獣にできる。どう転んでも、アインズに損はなく、息も絶え絶えのハムスターに胸が躍った。

 

「心残りは同じ種族が見つけられなかったことだけでござる。種の保存は生命の本能が故に」

「……それはすまなかったな」

「気にする必要はないでござる。命の奪い合いというものはそういうものでござろう」

「そうだな。行くぞ、森の賢王」

 

 モモンの止めの一撃を、森の賢王は正面から受け止めようとした。モモン目がけて放り投げられた棍棒は、漆黒の鎧の頭部に命中し、命の奪い合いに水を差した。アウラとナーベも、見えない場所でかなり怒っていた。

 

「なんだ、貴様らあ。俺様の支配領域でうるせえぞ」

 

 武装した巨人がこちらに向かって歩いてきた。

 

「グ! ここは某の支配下でござろう。いらぬ侵入は許さぬでござる!」

 

 勝負を邪魔され、しかも支配領域に侵入もされて賢王は怒った。動揺に、頭部に棍棒をぶつけられたモモンも見た目ではわからないほど怒っていた。

 

「バハハハハ。弱っているおまえに負けるものか」

「なんだ、こいつは?」

「すまぬ。やつは森の東を統べるトロールのグでござる」

「愚?」

「奴の名前でござる」

「消耗した某に、奴を倒す力はないでござる。そちらだけでも早く逃げ――」

 

 こちらを労わるハムスターの言葉を聞かず、モモンはトロールに向かって歩き出す。

 

「勝負の邪魔をしないでもらいたい」

「断る。お前も森の賢王も、俺様の晩飯だぁ!」

 

 下品に笑いながら、グは巨大な棍棒を振り下ろす。

 

 体と等しく力も大きいが、ただそれだけだ。レベル100の力からすれば、子供並みの力でしかない。モモンの剣は棍棒を打ち砕き、グの四肢を切断した。それで終わるかと思ったが、断面は触手を生やしたように再生を始めた。

 

「バハハハ! 俺の体は再生するぞ。おまえの攻撃など効かない」

「そうか、魔法でも同じことが言えるのか試してみよう」

 

 素早く鎧を解き、オーバーロードの姿に戻った。楽しい戦いの邪魔をしたトロールに、恩赦を掛けようとは微塵も思わない。

 

「《獄炎(ヘルフレイム)》」

 

 人差し指から放たれた黒い炎が体を焼き尽くし、灰は風に乗って森に散った。死神の宣告を受け容れる時間さえ与えられず、トロールは自分の死が理解できたかさえ怪しい。

 

「ふむ、特異な再生能力というのは物理のみに有効なのか? 低位の魔法での再生力を図ってからにすればよかったか。……この程度で死ぬのならやはり価値はないな」

 

 ブツブツと悩んでいたアインズは、森の賢王に向き直った。

 

「さて、お前はどうする。森の賢王。逃げるなら追わないが、戦うなら今度は本気で……」

「と」

「と?」

「殿ー!」

 

 飛びついてくる賢王を、黒いローブを翻して闘牛士のように躱した。対象がいなくなった賢王は、頭から大木にぶつかった。大量の落ち葉がハムスターの真上に落ちた。

 

「酷いでござる!」

 

 ハムスターはぶつけた頭をさすっている。

 

「殿、拙者を連れていって欲しいでござるよ!」

「はぁ?」

「先ほどの強さ、感服いたした。剣を振ってもよし、よくわからないことをしてもよし」

「よくわからない……私は魔法詠唱者だ」

「もののついでに、あのグを倒す御仁の強さを学びたいでござるよ!」

 

 ハムスター特有のつぶらな瞳でアインズを見ていた。モモンは損得勘定の算盤を弾き、服従か追放かの二つを天秤にかけた。圧倒的優勢で、森の賢王を使役する名誉(ネームバリュー)の秤が落ちた。

 

 再び鎧を着用してモモンに戻り、大剣の片方をハムスターの肩へ乗せた。

 

 

「わかった。私は冒険者モモン、森の賢王よ、私に従うがよい」

「畏まったでござる! 殿!」

 

 アウラは質のいい毛皮が手に入らず、残念そうだった。

 

「アウラ様、心中お察しします」

「まあ仕方ないよねえ。アインズ様のペットなら」

 

 ナーベがそれを察して慰めてくれた。

 

「ところで先ほどの姿は鎧の中身でござるか?」

「私の本来の姿だ。他人に喋ったらお前も消えることになる」

「安心するでござる! これでも口は堅いでござるよ!」

 

 アインズは不安を隠し切れなかった。口が軽いか固いかは別にして、”賢王”とは思えない容姿だ。どこからどう見ても、ちょっと大きなジャンガリアン・ハムスターだ。

 

 

 森の賢王を服従させた一行はエ・ランテルに戻った。その夜、ある騒動に巻き込まれ、アンデッドで溢れる墓地を解放した。この事件でンフィーレアが攫われ、”漆黒の剣”は全員が命を落とす。その功績を受けた冒険者組合は、モモンをミスリル級の冒険者とした。

 

 ニニャだけでも蘇生させてやるべきかと、アインズは少しだけ悩んだ。

 

 話を聞いたヤトは犠牲者へ言及せず、武技を使えるクレマンティーヌを攫わずに殺してしまったことについてグチグチと文句を言った。結果、ニニャの蘇生はなされることはなかった。

 

 助けられたンフィーレアは祖母と共に拠点をカルネ村へ移し、ポーションの研究へ本腰を入れ、村の発展に貢献していく。

 

 

 

 




ンフィー知性ロール→ンフィー気付く。
漆黒の剣の死亡率→1d% →80% ダイス成功…
ニニャ個人の死亡率 1d% → 70%  ダイス成功…
クレマンティーヌの生存率→1d% →20%   ダイス失敗

ハムスケの死亡率→1d% 50% 
奇数で死亡1d10→00


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