「やった! 勝った! 勝ったんだ!」
イビルアイが拳を握り、飛び跳ねて叫んだ。
発狂して喜ぶイビルアイは、モモンに飛び込むかどうか悩んだ。ヤトを抱えるモモンは、こちらを抱きとめてくれそうになく、真剣な彼の様子を見て諦めた。
「あの、モモン殿……」
「すまない、イビルアイ。話は後にしてくれないか。彼女が心配している」
「……そうですよね。申し訳ありません」
素っ気ない態度で断られた。
振り返ると、ラキュースが必死に這ってこようとしている。ガガーランとティナが激痛を堪えて止めていたが、素直に聞きそうには見えなかった。
イビルアイの隠していた名前を呼ばれた衝撃は、激しく動揺するに足りた。モモンに聞きたい事は、ヤトに聞きたい事以上に多くなった。中には個人的な興味も含まれている。
小さい彼女が更に小さくなっている錯覚をしながら、ナーベはモモンの後に続いた。
モモンに両手で抱えられたヤトの姿は痛ましい。
上着は着ておらず、シャツには大量の血痕が付着しており、服装だけで見れば死体と言われても信じただろう。その容姿に反して、寝息はとても心地よさそうだ。
「モモン様! ヤトは! 無事なのですか?」
ラキュースはいつ号泣するかわからなかった。涙が堪えきれずに溢れている。
「安心してください、ラキュース殿。彼は著しい消耗によって昏倒しただけです。体の傷は治しておきました」
「あ……あぁ……よかったぁ」
ぐずぐずと手の甲で涙を拭ったが、止まる気配はない。会議で会った彼女と別人なのではないかと思わせる取り乱しようだった。
「いつ目を覚ますかはわかりませんが、そのお顔ではまずいのではないでしょうか?」
「は……はぃ……ぐす」
誰の目から見ても、顔と同様に心もぐちゃぐちゃだ。
(酷い事を……どうすれば許してくれるのだろう……ごめんなさい……)
考え過ぎて再び泣きそうになる彼女に、ガガーランは白いハンカチを差し出した。
「ラキュース、ハンカチやるから返さなくていいぜ」
「ありがとぅ、ガガーラン……」
「鬼ボス、蘇生も忘れてなければ嬉しい」
「その辺にしておけ。泣き止まなくなる」
いつもの”蒼の薔薇”に戻った。モモンの耳に、イビルアイの言葉が引っかかる。
「蘇生? 彼女は蘇生が使えるのですか?」
「あ、ああ。ラキュースは神官戦士です。王国で唯一の蘇生術が使えるもので」
取り乱している彼女を見ても、その容姿からは信じられなかった。これまでそんな情報は入ってきていないが、ヤトも知らなかったのだろうと納得させた。
「しっかしよぉ、あんたらは本当に強いんだな」
「ああ、お二人の鬼気迫る剣技には惚……憧れてしまいそうでした」
「王国に二人も英雄できた」
皆の称賛を聞きながら、モモンは全く違うことを考えていた。
(蘇生術について聞きたいが……まぁいいか。どうせ彼女達はナザリックへ来る。魔法の勉強をたっぷりさせてもらうぞ)
モモンが魔法に興味があるのも不自然だ。
「ありがとう、素直に受け取っておきましょう。ただ、彼はもっと強いですよ。私が以前に見た彼の力はこんなものではありませんでしたが、私が来るまでに一体、何が?」
「私を……私を庇って余計な消耗をしたから……私のせいです……酷いことを言った私を……」
「ラキュース、お前ちょっと黙れ」
弱って話が長くなりそうなアダマンタイト級冒険者のリーダーは、小さな少女に諫められた。
「鬼ボスは初めての期待で胸が高鳴る」
「あー……俺が説明すっか」
ガガーランの話を聞いても、大した消耗をしているとは思えなかった。今回のヤトを苦しめたのは、人間化によってもたらされる数々の
蛇に戻らず、人間にこだわる彼に思うところがあった。
(今回はこれで済んだからいいが……蛇で行動できない作戦は厄介だな)
掘り下げられても困ると思い、ナーベに指示を出した。
「ナーベ、彼女達を中央広場へ運ぼう。回復する者を差し向けると言っていたからな」
「はい、参りましょう」
「皆さん、中央広場へ移動しましょう」
「モモン殿、転移魔法が使えますので、こちらで移動手段を」
「そうですか? お願いします、イビルアイ」
「……はい」
イビルアイはインベルンと呼ばれなかったので残念がり、困惑しながら青と白の混ざった転移ゲートを開いた。モモンには見たことない色の転移ゲートで、魔法への好奇心が増長した。
(彼女達がナザリックへ来るのが楽しみだ)
期待に胸を膨らませ、ゲートに入った。
◆
女神像が抱えた水がめから水を吐き出す噴水が設置された広場中央、プレアデス達が休憩をしていた。久々に勢ぞろいで外に出た彼女らの機嫌は良い。
「ユリ姉、みんなこっち見てるっす!」
「そうね。メイドが珍しいのかしら」
プレアデスの見たことも無い美貌に、男性冒険者・騎士が遠巻きに見惚れていた。この世界の人間は美男美女に属する者が多いが、エルフはそれより頭一つ秀でている。そこから更に秀でているのは、作られた完全な美、NPCに勝てる者はいない。
美女ではないNPCの美醜はあまり問題ではない。おまけで連れてこられたエクレアは、辟易した様子を見せるガゼフの隣で、未だ終わらない勧誘の話を続けていた。
「あら、ペンギン連れてきたの?」
「抱き心地……いい」
「シズは妹なのでぇ仕方ないのぉ」
ピキーンと硬質な何かが割れる音をユリは聞いた。序列が曖昧な二人は、どちらが姉か妹かで思うところがあり、都度、細やかな口論を繰り広げる。それはナーベラルとソリュシャンにも起こり得るが、そちらの二人は何かで争うような性格ではない。
「…………違う。貴方が妹」
「貴方がぁ、妹ぉ」
「…………何?」
「なぁにぃ?」
顔を至近距離に近づけて睨み合う二人を無視し、ソリュシャンが続けた。
「そろそろ戻られるのではないかしら」
「残念なナーちゃんも戻ってくるっすね」
「そうよねぇ? プレアデス総出というのに、混ざれないなんて可哀想だわよねぇ?」
「普段、アインズ様を独占している罰っす。ソーちゃんもそう思うっすか?」
ソリュシャンは意地悪な笑みを浮かべ、ルプスレギナもサディストに相応しく、牙を見せて狼が獲物を狙う目に変わる。
「いつかはオーちゃんもみんなと一緒に出れるといいわね。ルプスレギナはペスを手伝わなくていいの?」
「メイド長は治療が上手なので大丈夫っす」
離れた所ではペストーニャが佇んでいた。すでに全員の蘇生と治療を終え、優秀な彼女は手持無沙汰だ。
「ペストーニャ、彼女の治療をお願いします」
「わかりました……わん」
セバスが怯える娼婦たちを連れてくる。中心部に縫合された痕のある犬の頭部を見て、娼婦の少女は露骨に怯えた。構わずに治癒魔法をかけて暖かい光を浴びせると、後ずさろうとしていた彼女は安心して眠った。
セバスと行動していた冒険者が、ペストーニャを妖しいものを見る目で話しかけてきた。
「セバスさん、彼女は?」
「はい、彼女はナザリック地下大墳墓のメイド長。高位の神官でもあります。回復におい……」
セバスの言葉は出現したゲートに区切られた。
雑談をしていた皆は、モモンに抱えられたヤトを見つけ、慌てて駆け寄る。シャツの半分は血痕で赤黒く染まっており、満身創痍だった。
「ヤトノカミ様! そのお姿はどうなさったのですか!」
「誰がこのような愚劣な真似をなさったのでしょうか」
「私がその傷に見合う代償を払わせます。すぐに出撃を」
「必ず殺してご覧に入れますわ。私にお任せ下さい」
「ヨクモォヤトノカミ様ヲォォォ!」
「…………許さない」
全ての者が禍々しい殺気を体から溢れさせていた。
ルプスレギナは怒りのあまり口調が変わり、エントマはガラスを引っ掻いたような声で叫んだ。プレアデス達の美貌に見惚れていた男性達は、禍々しい殺気を感じて全員が離れていった。
至高の41人を降りたと自称していても、君主の一人である事に変わりはないのだ。
一部の者を除き、ナザリックの者にとってヤトは、自身が盾になってでも守るべき主人という認識は変わっていない。
モモンは改めて自分の愚かさを悔やむ。
自分の僅かなミスで大事な友人をなくし、主を失ったNPC達を大きく悲しませるところだった。深い悔恨に落ちそうだったが、そう簡単には休ませてもらえなかった。
「ナーベラ――」
「みなさん、落ち着いてください! 彼の傷は治っています。敵も彼が殲滅致しました」
ユリが御付きのナーベではなく、ナーベラルとして叱責をしようとしていたので、慌てて遮った。
「……畏まりました。モモン様、私の主を助けて頂き感謝いたします」
セバスはその意を汲んでモモンに応えるが、主を傷つけた敵への怒りは収まってはいない。モモンに扮したアインズが落ち着いている手前、執事の自分が取り乱せなかったのだ。
やり場のない感情を抑えるため、拳を強く握る。
それでもプレアデス達は納得していない様子だが、敵はアインズが倒してしまっている。やり場のない感情は抑え込むしかなかった。メイドに見惚れて騒ぎを見ていたクライムは、噴水の縁に寄りかかるブレインを揺さぶった。
「ブレイン様……セバス様はともかく、あの美しいメイドの方達も、ヤトノカミ様のように強いのでしょうか。先ほどの殺気、常人のものとは」
「その可能性はあるな」
「……人間じゃないと言われたら、自分の弱さの慰めになるのですが」
「どちらにせよ、今は近づかない方がいいかもな。俺もあいつには近寄りたくない」
「あいつ?」
「モモンだ」
「あ、そうでした! あとで挨拶に行きましょう。漆黒の英雄様とお話をしたいです!」
「……いや、だから、俺は遠慮するって」
やがて到着した“蒼の薔薇”の面々は、ヤトの周りにいる美しい女性達に目を奪われた。自分より美しい美女たちを見たラキュースの落ち込みは半端ではなく、誰が声を掛けても生返事を繰り返すばかりだった。
ティアが知ったら地団駄を踏んで悔しがる状況下で、自分が彼に選ばれると思えるほど容姿に自信はない。ここまでの短い距離を取り繕って歩いていた彼女は、その場に再びへたり込んでしまい、小柄なイビルアイに背負われた。
他の者はまだ満身創痍だったのだ。
精神的な影響が大きいため、しばらくイビルアイにおぶさる形となった。
「勘弁して欲しいのだが……」
イビルアイは誰ともなく呟いた。
◆
「ペストーニャ!」
セバスの大声が周囲に響いた。
過去を思い出したイビルアイは、ラキュースを背負ったまま体をビクッと震わせた。
「ヤトの傷は心配いりません。それより蒼の薔薇の方々を、先に回復してください」
アインズの扮するモモンで空気を読み、ペストーニャはガガーランとティナに近寄った。異形のメイドに二人は少し引いていた。
「お任せ下さい……わん」
「……よろしく」
「あ……ああ、頼んだぜ!」
動けないラキュース以外は、ペスの回復によってすぐに元の体へ戻る。ペスは蘇生が可能で、ティアを蘇生することは出来る。だが、蘇生をこの場で使うのは検証不足な件も多く、ペスには使用禁止の指示が出された。
腕を組んで佇むモモンに、ラキュースに潰されそうなイビルアイが苦し気に言う。
「モモン殿、我々は各冒険者達の報告を聞いてきます。ラキュースを見張って下さいませんか?」
「わかりました、こちらで待機をしていましょう」
「ヤト……ごめんなさい」
ラキュースは何かを呟いている。
未だモモンの腕の中で眠るヤトを、女の子座りをして虚ろな目で見上げていた。動けそうになかったが、目を離して何をするかわからない。
(やれやれ……世話の焼ける)
「ラキュース殿、ヤトをお願いします。私は他の者達に話を聞いてきますので」
「ふぇ? あ……」
ヤトを優しく地面に横たえ、頭を彼女の膝に置いた。
「モモンさん……ありがとう……ございます」
彼女はここでやっと微笑んだ。
ラキュースは、穏やかに寝息を立てるヤトの頭を優しく撫で続けた。消耗した二人はしばらく動けず、お互いにそうしていれば都合がいい。
(……世話の焼ける二人だ。あいつが起きたら教えてやらないとな)
プレアデスはヤトと彼女が見える位置で待機という監視をしながら、各自が何とも言えない眼差しで見ていた。ひそひそと噂話は夢中になっているラキュースに届かない。
「セバス様、彼女はヤトノカミ様からご寵愛を賜るのでしょうか?」
「うっわ。ヤトノカミ様、手が早くてマジぱねぇっす!」
「あのような者がヤトノカミ様の好みなのかしら?」
「………データ保存する」
「ルプーと同じぃおもちゃではないですかぁ?」
「至高の御方の考えは、我々には遠く及びません。何か深いお考えがおありでしょうが、今は見守ると致しましょう」
モモンは少し離れた場所で腕を組んで二人を見ていた。いつの間にか近寄っていたペストーニャが、モモンに囁く。
「アインズ様、MPですが、譲渡という形で回復が可能ですが、どうなさいますか……」
「いや、今はこのまま眠らせてやろう。理由はわかるな。」
「お優しいです……」
「ああ、そうかもしれないな……ん? ペストーニャ、犬の語尾はどうした?」
「……わん」
忘れていたようだ。
モモンは手招きでセバスを呼び、広場中央の噴水付近へ目を向けた。
「セバス……娼婦たちの視線がセバスから離れないのはなぜだ?」
噴水付近でひとかたまりになっている娼婦たちは、セバスから目を離さずにこちらを見続けている。凝視、と言っても差し支えないような熱い眼差しに、流石のモモンも首を傾げた。
「彼女達は身寄りが無く、今後に身を寄せる事もできない者たちです。しばらく宿で匿おうかと思うのですがいかがでしょうか」
「……ナザリックの名声としては悪くないが、数が多すぎないか?」
「身寄りのない者達だけですが、あの中で9名です」
「……仕方がないな、王都滞在時のメイドにでもするか。ペス、治癒は終わっているか?」
「全て処置済みでございます……わん」
20名程度いる彼女達は、全員が等しく熱した視線を向けている。本当に9名だけしか来ないのかと不安を抱えつつ、今後の処遇は後回しとなり、ひとまずはセバスと宿を共にすることで決まった。
◆
「ガゼフ・ストロノーフ様、まだお話は終わっておりませんよ」
「いい加減、勘弁してくれ!」
ガゼフがペンギンに後を付けられながらこちらに歩いてきた。セバスがシズを呼び寄せ、ガゼフに付きまとっていたイワトビペンギンは、少女の腕へと収まった。無駄な抵抗を続けるペンギンは、そのまま連行されていった。
(あいつは何をやっているんだ……)
「人気者なのですね」
「いや、すまない……それよりモモン殿。ヤトは無事なのか?」
「ええ、今は眠っているだけです。いずれは目を覚ますでしょう。彼の体は特殊なペナ……足かせがあるようです」
「そうか、本当に良かった。改めて、私はガゼフ・ストロノーフといい――」
「よく存じ上げています、戦士長殿。ヤトからお話を伺っています」
アインズと声が同じ事を指摘されないかと不安はあったが、彼に気にした様子は無かった。
「彼には世話になっているからな。本当に二人とも無事で何よりだ」
「いえいえ、私は彼が倒した敵にとどめを刺しただけですよ。大したものですね、ナザリックというのは」
「ああ、私も援軍の彼女に助けられたよ。役に立つ事すらできなかった」
エクレアの勧誘が執拗だった件は黙っていた。
「ところで、あの二人は何かあったのか?」
膝枕で頭を優しく撫でられている英雄を眺める。
「仲が良いことは良い事ですよ、戦士長殿」
「違いないな」
二人は楽しそうに笑い合った。
クライムが嫌がるブレインの手を引き、良かれと思って余計な世話を焼いていた。連れてこられたブレインは、顔を見られないように明後日の方角を見ている。
「ブレイン様、こちらですよ」
「いや、だから本当にまずいんだって……あ」
「モモン殿、紹介する。私の友人の――」
「いえ、存じ上げています。ブレイン・アングラウス殿、お久しぶりです」
「あ……はい、お久しぶりでございます」
「知り合いだったのか?」
「実は昔に一度だけ立ち会った事があるのですよ、ストロノーフ殿」
「そうだったのか。英雄殿は顔が広いな」
「いや……ガゼフ、実は――」
「ブレイン・アングラウス殿」
モモンは過去の罪状を白状しようとするブレインを差し止めた。
彼は盗賊と行動を共にし、悪事を見過ごしていたとはいえ、彼自身が強盗、略取に関わっていたわけではない。わざわざ立場を危うくする必要もないと考え、目を光らせて押し止めた。
「お互い、昔を探ってもあまり良いことがないでしょう。このまま水に流しませんか? 今夜、同じ戦場で血を流した戦友として」
素直にお縄になろうと覚悟を決めたブレインの独白は、モモンに流されていた。
「……いいのか?」
「いいも何も、私は特別な恨みを持っているわけではありません。過去より未来を大切にしましょう」
アンデッドの姿を見られていないことが、ブレインの命と名誉を救った。そんな内心など知る由も無く、ブレインは力も風格も圧倒的なモモンの前で恥ずかしそうに頬を掻いた。英雄の前では、自身の悩みなど小さなものと思えた。
「すまない……全て俺が悪いんだ。なぁ、また俺と立ち合ってくれないか?」
「勿論です、機会があれば喜んでお受けしましょう」
「感謝する、モモン殿」
二人が固い握手をする姿に、クライムは絵画に描かれた英雄を思い出し、胸を熱くした。
その後、紹介されたクライムと握手をしている様子をみた他の冒険者・騎士たちは、我先にと握手をするべく長蛇の列を成した。ヤトとラキュースにも声を掛けたいところだが、幸せそうに眠っているもう一人の英雄の邪魔はできない。
この日、ヤトとモモンは不動の英雄となった。
吟遊詩人が歌う組曲の、登場人物になった感動で舞い上がるのも仕方なかった。
戻ってきた“蒼の薔薇”が止めるまで、列は途切れなかった。
◆
広場中央にではなく、ラキュースの周りに一堂が集められる。
「モモン殿、皆に勝利を」
「恥ずかしいな」
鎧を着たまま頬をぽりぽりとかくモモンに、イビルアイは微笑ましい気持ちになった。
「お眠りになっているヤト殿の代わりにも、誰かがしなければならないです」
「そうか。彼の為にもするべきだな」
モモンは一歩前に出て、低い声で宣言した。
「皆、再び相見える事ができて何よりだ。犠牲になった者達の弔いの前に、我らの勝利を祝おう。此度の作戦は非常事態にも拘らず、ナザリックの協力の下、皆が死力を尽くし、ここが廃都と化す事態を防ぐことが出来た。だが、肝心の功労者は激しい消耗により、まだ眠っている」
皆の視線が、横たわるヤトとその頭を撫でるラキュースへ向けられる。モモンが拳を握り、勢いよく突き上げた。
「眠っている彼に届く勝鬨を上げろ! 我らの勝利だ!」
「うおおおおおおおおおお!」
広場にいた全ての者達が同様に拳を突き上げ、勝利の雄叫びは轟音となって彼らの体を揺らした。ラキュースは体を震わす轟音に構わず、ヤトの頭を優しく撫で続けた。
一様に称えているのは、二人の英雄の名だった。
モモンという救国の英雄と、ヤトという眠れる英雄の名を。
シャルティア出現1d% →50% 外れ。ティア吸血鬼化計画頓挫
娼婦数→9(ツアレは固定で含まれる)
蛇足
ツアレニーニャは原作より元気、顔の原型があります。
藍色のくりんとしたお目目が可愛らしいです。妊娠はしていないし、ソリュは物足りません
クライムの態度は、ダイスの分だけ子犬度が増しています。