モモンガさん、世界征服しないってよ   作:用具 操十雄

53 / 135
内容がそんなに濃くないので二話投稿しました。


領内視察

王都に戻る二人を見送ったアインズは、執務室に戻りアルベドと話をしていた。

デミウルゴスとパンドラの姿は、久しく見当たらなかった。

「領内視察に行こうと思うのだが。」

「はい、私は空いております。」

「王都に戻る二人に、護衛のシャドウ・デーモンをつけてくれ」

「護衛は手配済みでございます。私も支度を致します。」

「武装は必要ない。まずはカルネ村に行くぞ。」

「はい、アインズ様。」

 

◆

 

 

カルネ村はあれから順調に発展を続け、周辺のナザリック支配地域と友好的な関係を構築している。

 正門前に転移後、様子を窺っていると声が聞こえた。

 

「アインズ様!お久しぶりです!」

ありのまま死の支配者(オーバーロード)だったのだが、すぐにアインズだと気づいたらしい。

デスナイトやゴブリンと仲良く暮らす彼らが、今更アンデッド一体で驚くことは無かった。

 

「……エンリ……エンリ・エモットだったな」

「名前を覚えて頂きありがとうございます! 今、城門を開けますので少々お待ちください!」

 

デスナイトが城門を開き、エンリがこちらに走ってくる。

「あ……綺麗……な人……アインズ様、隣の美しい方は王妃様でしょうか?」

初めてアルベドの素顔を見たエンリは、ごく自然に彼女の琴線に触れた。

 

「くふ、くふふ。」

「……護衛のアルベドだ」

金色の目と向日葵の髪飾りを光らせ、怪しく笑うアルベドには触れない。

 

 

「その髪飾り、可愛らしいですね。」

「くふふふふ……失礼。エンリ、名前を覚えておくわね」

「はい!ありがとうございます。」

 見下している人間種にも拘らず、アルベドの中で評価が上がった。

 

「……行くぞ、アルベド」

嬉しそうな彼女に構うことは無かった。

公衆の面前で押し倒されたら堪ったものではない。

アルベドは一人で引き剥がせないのだ。

 

 

「あのー……本日、ヤト様は」

「あいつは王都にいるが、会いたかったか?」

歩きながら談笑するアインズに、からかう響きが混じっていた。

 

「わ、私ではないんです。家に泊まっている林檎が好きな女の子が、まともにお礼を言っていないので会いたがっていました。」

「王都から誘拐してきた孤児か。」

「はい、そうです。あの娘のお兄ちゃんはひょうたん湖に行ったので、寂しいんだと思います。ヤト様のお嫁さんか妾になるって聞かなくて。」

年端のいかぬ少女に、誰が入れ知恵したのかと気になった。

 

「…………ヤトは結婚したのだが。」

「ええええ!?」

カルネ村はヤトが王都での殺戮後、貴族の報復を警戒して一時的な封鎖をしていた。

 必然的に旅人や冒険者は村を訪れず、情報の回りが鈍い。

 

エンリの驚きを見る限り、ヤトが王国貴族と婚礼した事はおろか、魔導国になった事さえ気付いてないのではないかと思う。

心配は後回しにして、エンリに村の案内を頼んだ。

 

カルネ村内では順調に畑を耕し続け、その面積を広げ続けている。

城壁の位置はその都度移動され、歪な高低差があった。

「ここはルルイエか……」

素(しらふ)で呟いた声は、誰にも聞かれなかった。

 

 

デスナイトが、フランベルジュで畑を耕している。

「無理に城壁の内部で開墾する必要ないのではないか?」

「みんな王国の貴族に畑を取られるーって言うんです。ふふっ、心配し過ぎですよね。村長(デスナイト)さんが守ってくれるから、大丈夫だと思うんですけど。」

明るい太陽の下で、エンリは笑った。

 

ゴブリンが少年少女を含む村人たちと、土に塗れて農作業に従事していた。

楽な仕事ではないのだが、畑の近くでは笑い声が絶えなかった。

休憩時間なのか、人間とゴブリンの子供が一緒に遊んでいる。

種族を超えて、共に遊んでいる子供達が微笑ましかった。

「平和だな。」

「皆さまのおかげです。」

「アインズ様、今後は全ての領地で見られる光景になるかと思われますわ。」

「そうだな……」

 

 

「以前に法国の人が偵察に来ました。」

「……なに?」

「大丈夫です。お父さん達がデスナイトさんと追い払ってくれました。」

「……そうか」

ツッコミ箇所が多かったが、エンリの明るい笑顔に押し切られた。

 

 

エンリに案内されて村内を視察したが、アインズに気付いた村人達は全てが跪き、手を上げて通過する後ろを付き従うので、まるで大名行列だ。

気楽な領内視察をする予定が、仰々しい行列に代わり重苦しくなってきていた。

重たい肩を軽くするため、付き従う村人を広場に集めて、魔導国の説明を行った。

 

 

「そういうわけで国王と話を付け、今はアインズ・ウール・ゴウン魔導国へ変わったのだ。」

ヤトの虐殺は黙っていた。

 

「アインズ様、カルネ村は皆様の支配下に入ったのでしょうか。」

顔を上げた農作業で鍛えた逞しい男性が、跪きながら尋ねる。

 

「う、うむ。そういう事になる。」

「ありがとうございます!村の名前を変えてもよろしいですか?」

「それは構わんが、どんな名に変えるつもりだ?」

「カルネ・アインズ・ウール・ゴウンです。」

「……」

 

沈黙で応えたアインズに代わり、アルベドが村人を煽る。

「栄光あるナザリックのために、忠義を尽くしなさい。貴方たちは崇高なる神の庇護下に入ったのよ。称えなさい、主たるアインズ様の御名を。」

丁寧に煽られた村人達は、喜々としてアインズの名を称えていた。

 

「アインズ・ウール・ゴウン魔導王万歳!」

集まった村人達は拳を上げて、新たな王を崇拝する。

 

まぁわかりやすいからいいか。仲間がきたらすぐに気が付く………本当にいいのか?俺、間違ってない?

 

この日から、カルネ村はカルネ・AOG(アインズ・ウール・ゴウン)に変わる。

 

◆

 

 

「ふむ……試作品としては質が高いな」

濃い紫色の液体が入った小瓶を揺らす。

ポーション製作所となっている、バレアレ家の邸宅で彼らの報告を受けていた。

 

「感謝していますぞ、アインズ様。」

老女リィジー・バレアレは怪しい笑みを浮かべた。

研究だけに打ち込める現在の環境に、彼女はとても感謝をしていた。

「よい、気にする必要はない。これからも研究を続けるがいい。」

 

「時にンフィーレア、エンリとの仲はどうだ?」

「はっはい!進んでいません。」

隣で畏まって座っていた彼は、肩を落とした。

「……そうか」

 

恋愛相談には乗れないからな、ヤトに話してみるか。ンフィーレアはナザリックのポーション制作を担う存在だからな。

 

「頑張れよ、領内の人間が幸せでなければ、私が統治する意味が無いからな。」

「ありがとうございます、アインズ様。」

アルベド並みに報われていないンフィーレアを一瞥し、次の調査に移った。

 

 

その後、食料自給率、交易状況などを細かく調査を行う。

食料備蓄が少ない報告に関して、援助を約束し次の領内へ向かった。

 

アインズが村を出たあと、やる気という劇薬を過剰に投与された彼らは、今まで以上に農作業と交易に励む事になる。

 

一人だけ失恋の苦痛により、一晩中泣き続けた少女がいたが、村の発展からすると大した問題ではなかった。

蛇に失恋した林檎が好きな少女は、エンリの妹ネムに慰められながら、狭いベッドに二人で眠った。

 

 

「農地拡大……か。アンデッドを使った広大な農場は、カルネ村で試験的に行うとしよう。次は蜥蜴人(リザードマン)の集落だな」

「はい、アインズ様。」

 

 

 

「ラキュース、上手くいくかな?」

「大丈夫ですよ。あの方はとても美しいのですから。」

 王都執務室で休憩中の二人は、悪戯の成功を願う子供のようだった。

 

 

◆

 

 

蜥蜴人(リザードマン)集落へ転移した二人を、周囲にいた者が出迎えてくれた。

茅葺き屋根の邸宅から、族長のシャースーリューが出てくる。

「これはアインズ様、お久しゅうございます。」

「うむ、魚の養殖と各地の交易状況を教――」

話は伝言(メッセージ)にて遮られた。

 

《アインズ様》

 

《ナーベラルか、どうしたのだ?》

 

《宿に蒼の薔薇が訪れ、モモン様に会いたいと申しております。》

 

《……お引き取り頂け》

 

《かなりしつこいのですが》

 

《……逃げて姿を隠し、帰るのを待て。今は私も手が離せん》

 

《畏まりました。》

 

 

「まったく仕方のない奴だ、何か考えなければいかん……あぁすまんな、族長。では養殖場を見せてくれ」

「はい、こちらです」

一行はひょうたん湖に向かった。

 

 

「第三世代まで進んでいるのか。」

「はい、生け簀は現在3つですが、増やすことを検討しております。非常に順調です。」

「そうだな、この分なら魚を売って保存可能な食料を備蓄する事も容易だろう。」

「アウラ様がお時間のある時に、ご協力を頂いてるおかげです。」

 

え?そうなの?俺、そんな命令したっけ?

 

「う、うむ。流石はアウラだ。」

 

解せない内心は、誰にも悟られなかった。

 

「足の生えた魚は生まれるか?」

「え? えー……いえ、そのような奇種は確認できません」

「そうか……やはり海に問題があるのか」

顎に指をあてて悩んでいると、遠くから他の族長がこちらに歩いてくる。

 

「アインズ様、どうも久しぶりじゃねえですか。」

 少し敬語を勉強したゼンベルと、知性の高いリザードマンが跪く。

 

「お会いできて光栄です。隣の方は王妃様でございますか?」

「くふふふ……」

 

再び怪しく笑うアルベドには触れないでおいた。

 

「護衛のアルベドだ。」

 

彼女が露骨に肩を落としたが、何も言及しなかった。

 

「両名、元気だったか?」

「運動不足で体がなまっちまってやすぜ!」

 

ゼンベルは両腕を振り回していた。

 

「平和なのは良い事です。もうじき食料も軌道に乗り、備蓄食料の数量を心配するだけでよくなるでしょう。」

 

振り回されるゼンベルの腕を、横に一歩動いて避けたリザードマンが、詳しい説明をしてくれた。

 

「そうか、生け簀の数を増やして我々に供給する分も作れるか?」

「すぐに可能です。カルネ村からの助っ人がおりますので、すぐに取り掛かりましょう。」

「よろしく頼む。白いリザードマンとシャースーリュー弟はどうした?」

 

アルビノのリザードマンはコレクションとしての一品であり、動向が気になっていた。

 

「二人は結婚し子を成し、家で安静にしております。聞くところによると母親似だとか」

 

爬虫類の蜥蜴人(リザードマン)は多産生物とは違い、一匹しか生まれなかった。

 

「どこもかしこも続くものだな……」

「アインズ様、おめでたいことは続くものですわ。」

「アルベド……結婚させろと言っているのか?」

「いえ、私のような者がアインズ様と結ばれるなど、許されません」

 

悲観的に言いながら微笑むアルベドが、裏に何かありそうで怖かった。

彼女はここ最近、以前と比較して大人しい。

 

アインズが警戒するほどに。

 

「……う……いや、そんな」

「私は、アインズ様への愛慕とともに滅びる所存です。」

「……」

「……」

重たいことを言って微笑むアルベドに何も言えない。

沈黙に気まずくなりゼンベルに話しかけた。

 

 

「ゼンベル、魔導国の軍事強化を検証したい。王都へ向かいヤトという私の友人に会ってくれ。」

「そりゃ構いやせんが、何をするんですかい?」

「冒険者をやるのだ。依頼内容であれば好きに暴れて構わん。必要であれば部下を連れて行ってもよい。」

「よろしいんですかい?」

「ああ、ヤトにレベルアップ……強くしてもらえ。リザードマンがどれほど強くなるかの実験だと思え」

「そういうことなら喜んでいきやすぜ!」

 

うおー!と両腕を高く上げるゼンベルは、御子の誕生を妄想する蟲王(ヴァーミンロード)に似ていた。

他と比べて血の気の多い彼は、大人しい生活では暴れ足りなかった。

 

「飲み食いは向こうで出来るから食料を持っていく必要はないが、あまり食い過ぎるなよ?」

「……気をつけやす」

その点だけが、一抹の不安だった。

食料自給率まで、まだ手を付けていないのだ。

ゼンベルはとても残念そうだ。

 

 

リザードマン集落では、初めからこちらが目的だった。

評議国で見た武装したエルフ、ドワーフ、ゴブリンなどの亜人が、冒険者プレートをぶら下げていた。

 

 

魚の養殖が芳しくなかった場合、森の蛇に食料を分けて貰えばよい。

一通りの状況を把握した二人は、トブの大森林を省略してナザリックへ帰還した。

 

「さて、戻ってスケルトンを農業に従事させる準備をしよう。ヤトにも連絡をしておかねば。」

 

◆

 

 

ナザリック執務室にて一通りの情報精査を行なった。

 一段落付き、アルベドの様子をそれとなく窺う。

 

「アルベド、すまなかったな。内務を疎かにしてまで付き従い、感謝している。」

「勿体なきお言葉でございます。」

「お前にも何か報いてやらねばならないな。何か希望はあるか?」

一通り見回って今後の展開を想像するアインズの機嫌はよかった。

一日デートくらいは付き合ってやろうかと、想定した提案だった。

彼女の愛を軽く見ていた。

 

 

「ではお話を伺ってもよろしいでしょうか。」

「なんだ、そんな事でいいのか。今でも構わんぞ。」

「アインズ様。太陽神に恋をした海神の娘は、報われることなく九日間涙を流し続けました。」

「うん?」

何の話かわからず、不思議そうに聞き返す。

 

「それでも太陽を見上げながら、報われぬ恋心を忘れない娘は、愛しい者を見続けるために、向日葵の花になったと言われています。」

「……」

 

冷静沈着なアインズにも、彼女の言いたい事が伝わる。

愛の告白をするつもりなのだろうと。

 

何も答えないアインズの足元に跪き、“完全なる狂騒”を取り出す。

 

パーン!

 

「うえっほう!待て待て何だこれは!何てことするんだ、アルベド!」

アインズの頭には、色とりどりの紙片が乗っている。

今一つ、深刻さに欠けた。

 

 

「アインズ様……私の愛するアインズ様。私はどのような罰でも受けます、ですが今はそのまま私の話をお聞き下さい」

 

ええー!?俺テンパってる!テンパってるよ!安定の精神沈静化はどうした!

 

あたふたして髑髏に手を当て、落ち着きなく顔を動かす。

アルベドは動揺する君主に微笑ましい内心を抑え、そのまま言葉を続ける。

アイテムの効果は事前に説明があり、彼が激しく動揺している事は把握していた。

 

 

「慈悲深きアインズ様。御身に報いるのは一つしかありません。御慈悲を頂く事でございます。」

 

御慈悲ってアレか!?アレがアレでアレができないよ!

 

アインズの動揺は鈴木悟のものであったが、必死に口を閉ざす彼の心は外に漏れていない。

両手を口に当てて頭を震わせ、アルベドに素の声を聞かれまいと必死だった。

全てを把握した上で行動する彼女に、何の効果も無かった。

 

「愛せよと命じられた私が報われていないという事は、女として魅力がなかったのですね。」

 

あーくそっ可愛いな!俺がアンデッドでなければ即!即堕ちちゃうよ!落ちるじゃなく堕ちるの方!だけど美人だななんて言うとまた抱き着かれるし。

 

「ならば私は、アインズ様に愛されないこの体を捨て、愛しい御方を見つめる向日葵の花になりましょう。」

「……え?」

動揺して軽いことを考えていた思考が止まった。

悪い方向へ進んでいると勘づく。

 

「アインズ様……いえ、我らの為に最後までナザリックに残って下さったモモンガ様。御身のお気に召さない私など、ナザリックに必要ありませんわ」

悲しく微笑むアルベドの目尻には、涙が流れ始めていた。

 

「愛しい御方に付けて頂いた、この向日葵の髪飾りを私だと思って、御所持下さい。」

アルベドは髪飾りを机に置き、ゆっくりと執務室を出て行こうとする。

 

「あ……あの、いや……待て、アルベド!」

必要以上に大きな声だった。

 

 どうすればいいんだ。実戦使用してないし、恋愛経験ないよ! どうやって止めればいいんだ。止めないと悪いことが起きるよな? 

 

 

顔を向けずに立ち止まった彼女の肩は震えていた。

喜びか悲しみかなど、アインズからすれば考えるまでもない。

ヤトが見たとしても、考えるまでも無い。

 

アインズは悲しくて泣いていると判断したが、ヤトが見れば肩が震えるほど喜んでいると判断しただろう。

どちらだったのか、彼女にしかわからない。

 

「すまない……私のせいだ。お前の設定を、タブラさんが創造したお前の心を捻じ曲げてしまった。元に戻すために」

「お止めください!」

執務室の外まで聞こえる大きな悲鳴だった。

 

振りむいた彼女は、輝く金色の目で睨んでいた。

「私から……愛する自由を奪わないで下さい」

 

 ああーアンデッドなのにー堕ちるー……アルベドって可愛いな。人間だったら優しくしてあげ、してほしいのか? わー何言ってんだ! 

 

「優しくしてほしいのですか?」

 

声が漏れてたよ!

 

「モモンガ様……ご用命とあらば、即座にそう致します」

 

くそ、蛇公(ヤト)が余計な事言うから変に意識するだろ。

 

「愛されたいのはアインズさんじゃないッスか?」と小馬鹿にしていた大蛇を思い出した。

 

「ゴホン! いや……すまない、アルベド。アンデッドでなければ」

「何の問題がございましょうか。愛するために人生を費やす事こそが、私の理想でございます。」

胸に片手を当て、一歩前に踏み出した。

 

「あのーアンデッドだと色々と体が――」

既に支配者の声色ではない。

この場を乗り切ろうと必死になっている彼の声は、鈴木悟としてのそれなのだ。

自分でも何を言ってるか、把握していたのか怪しかった。

 

「愛する人が何であろうと、ご寵愛が得られるなら、他に何もいりませんわ。」

顔に両手を当てて虚ろに微笑むアルベドは、動揺しているアインズ(サトル)に誤魔化せなかった。

 アルベドはこれまでの情報を基に、聡明な叡智を総動員しているのだ。

対してアインズ(サトル)は、美人だなーと呑気に考えていた。

 

「アルベド……」

事前に執務室周辺に人払いがされている。

第三者がいれば、妙な雰囲気にはならなかっただろう。

 

「ラキュースはヤトノカミ様を愛し、お二人は婚礼を行いました。種族の違いなど何の障害にもなりえません。いえ、障害が大きければ、より一層深くなるのではないでしょうか。」

アインズ(サトル)の頭に浮かんだ仲睦まじい二人が、自分とアルベドに置き換えられる。

 

「あ……ある……」

何かを言おうとするアインズ(サトル)に、ダメ押しで畳みかける。

アルベドは三つ指をついて平伏した。

 

「モモンガ様、たとえ御身が人間であったとしても……たとえ御身が子を成せないとしても……我らの為に最後まで残って下さったモモンガ様への愛は、揺るがぬ不変のものです」

「あ……うん……」

 

「モモンガ様は私が唯一愛する御方、私の人生、運命、全てです。ですが、モモンガ様が私をお嫌いなのであれば、私を殺して下さい。」

「なんだと?」

「いっそ愛するあなたの手で」

「ふざけるな!」

直情的な怒りで即答する。

 

「二度とそんな事を言うな!お前は私が愛するものだ!」

“皆と同様に”の部分が、都合よく抜け落ちていた。

アルベドの策は成功した。

 

彼女が愛の告白と取ったのも無理はない。

「モモンガ様……ありがとうございます……」

「え?」

 飛び込んでくるアルベドにより、沸騰した怒りは瞬間冷却された。

本気で縋りつくアルベドは、腕力の問題でアインズ(サトル)には引き剥がせない。

 

「モモンガ様……モモンガ様……」

「あ……はい」

顔を肋骨に埋めて名前を呼び続ける彼女に、それ以上何も言えない。

 

 もう結婚しちゃおうかな……蛇公(ヤト)も現地人と結婚したし。俺も29歳だからな。骨だけど。人間に化けられたら、また変わるのかな。

 

 

ペロロンチーノが頭の中で、「おめでとう!」と拍手をしていた。

隣でブレイン・イーターが笑い転げている。

 

ペロロンチーノさんだったら、ナザリックハーレム計画とか作りそうだよ。しかも主人公が俺で。この体でハーレムも何もないと思うんだけど。

 

“完全なる狂騒”の効果が切れるまで、アルベドとアインズ(サトル)はそのままだった。

 

アインズ(支配者)に戻ったアインズ(サトル)は、この日以降彼女に対する当たりが緩くなる。

彼の残された人間の残滓(性欲値18%)が、アルベドに傾きつつあると、誰も気づかなかった。

 

 

後日、上手く行きました?と迂闊に聞いてくるヤトにより全てを察し、彼を踏みつけながらこの事を思い出しては、何度も精神の沈静化を続けた。

足の下で悶える蛇神は、ラキュースが来るまで死の支配者に踏みつけられていた。

 

 

 

 

 




イビルアイの好感度→16(無下にされたわけではなく、イベント発生中)
現在好感度27、残り2回
対応指示《1逃げる 2追い払う 3一緒に依頼へ 4戦う》1d4→1

アルベドの憎悪値減少→13 憎悪値が0になりました。ここで一旦区切られます。
意識する仲間→偶数ペロロンチーノ 奇数タブラ・スマラグディナ→18

林檎が好きな少女はここで退場。
将来有望な赤毛の少女でしたが、オリキャラ増設は禁止です。



補足
原題:中間管理職の恋路(パッとしないので没)

Qアルベドの告白が誰かに似ている?
そうでしょうね、入れ知恵したどこぞの嫁がいます。

Q北欧神話がモデルのユグドラシルなのに、アルベドがギリシャ神話を知ってんのはおかしい?
蛇らしき生物が何か言ったのではないでしょうか。

Q完全なる狂騒を、支配者に向けて躊躇いなく使う?
別の至高の41人がいれば、その者から命じられて使うでしょう。
自分の愛が報われれば、アインズのためになると教えられれば躊躇いません。
愛は都合のいいものです。盲目の愛は、洗脳と何も変わりません(今後も有効)。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。