熊、と言ったら少し語弊があるかもしれない。
立ち上がった高さ22m。
幅6m。
毛皮ごしにもわかる筋肉。
肩にはトゲ。
黄色い汁の滴る爪。
ニトロ本能が『アレ、ヤバス』と警告を鳴らす。
額には20㎝くらいの角。
ちなみに全身赤色。
ふむ、
で、シャアさんは大きく口を開けてーの、
「ガ、ゴアァァァァーーーー!!!」
はっはっは、活きがいいなぁ。
この私を脅すとはね。
はいせーの、
「ア゛ア゛アアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!」
木々に、岩に亀裂が走る。
と同時に赦亞熊の雰囲気が変わる。
ふっふーん。熊さんの目付きが変わりましたね。
さて、今回は実験です。
四天王技も忍法もなしで、
ただこのニトロボディだけで狩るとしましょう!!
さ~て♪まずは熊さんが角からビームをンのうわぁ!!
とっさに横に跳ぶ。
びっくりしすぎてかなり赦亞熊から離れてしまった。
「ビーム!?え、なしてビーム!?え、熊でしょ?杖無いでしょ!?魔法生物なんですか!?」
「そうだが?」
「キィェアアアアアシャベッタアアアアアア!!!!」
エ?シャベリマシタヨ?ナンデ?
ということはここは魔法世界?
いやしかしさっきまで食べていたのは普通の地球生物。
……断定はできませんがおそらくコイツはハグレのようなものでしょう。
魔法の熊は話せるとはいやはやさすが魔法。
「いやそこまで驚かれてもな……俺も驚いてるんだぜ」
熊さんが目を丸くしている。
……そんなことはないらしい。
えーと、ということは本来通じない?
いや、あぁそうそう、私は『全ての』言語が理解できるのでした。
ということはさっきの獲物たちも話せたんですかね?
……ま、どうでもいいですね。
「……で、殺る気満々みたいだが、やるのか?」
「もッちろん|死(デス)!!」
結局、どーであろうと、いずれにせよ、
こいつを喰うことに変わりはありませんよぉ!!
「オラァッ!!」
まずは真正面から距離を詰める!!
「フンッ!」
熊がビームを放つ!
「無駄ァ!!」
そいつは見切った!!
横の木に跳んで躱す。
べグシャ!!
そのまま足場にして蹴った幹が折れる。
熊まであと11m!
でそのビーム突然拡散してきた。
どうやら投網のように包みこんだ後集束させるつもりのようだ!!
流石に点ではない面の攻撃は、
……あれ?ずいぶんゆっくりですね?
ひょいひょいひょいっと。
懐に飛び込んで、
グイィっと腕を引いてえぇのおぉ!!
「ニトロパンチ(仮)!!!」
全力の拳を叩き込む!!!!
~名も無き熊さんside~
目の前にやばい生き物がいる。
なんというかカラスみたいなツラだ。
大きさは人間と同じくらい。
だが放つプレッシャーは絶対的な捕食者のそれ。
久しく感じてない命の危機だ。
「……で、殺る気満々見たいだが、やるのか?」
「もッちろん
言うが早いか飛び込んできやがった!!!
くそっ!!かなり速い!!
落ち着けまずは迎撃だ!!
「ハァッ!!」
体内の魔力を一点に集中しそれを押し出す!!
これでも群れの長だ、俺の熱線は岩くらい焼き切る!
が、躱された。
だがそれは読み通りだ!!
「ヌぅンッ!」
光線を拡散させ……バカな!!!あれをくぐるだと!?
ヤツは既に懐で攻撃しようとしている。
何の変哲もないパンチだ。
だが。
本能的にそれが致命傷クラスの破壊力だとわかる!!
仕方ないっ!!
左腕を盾にして右の毒爪で葬るっ!!
周りがゆっくりになる。
左腕がやけにのろく見える。
ヤツはもう腕を引き終えている。
くそっ早く届け!!
届け届け届け急げっ!!!
うおぉぉぉぉぉっ!!!!!
なんとかヤツの拳の前に持ってきた!!
よしこれで!!!
「ゴ……ォ…………?」
心臓に響く衝撃。
抜けていく力。
ふと目を落とした左腕は大きく穴が開いていた。
世界が傾いていく。
耳にくぐもって響いたあの音は、おそらく俺が倒れた音。
最期に見えたのは、真っ赤な腕を誇らしげに眺める、カラス野郎。
……バケモノが…。
~主人公side~
……おやぁ?一発で死んだ?
えーっと、あっけなさすぎません?
いや確かにチートボディでしたが…。
ま、いいや。
最近深く物事を考えなくなりましたね。
ニトロボディに精神が引っ張られてるのでしょうか?
……グギュウゥ~~~~~~…。
……とりあえずシーメーで。