魔法世界グルメ紀行   作:キノコ飼育委員

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第六話・人間様しか考えないクソッタレな理屈。

・・・・。

戻ってきました。

人型の穴の空いた崖。

開けた空き地。

つまりは、

私が目覚めた場所。

「・・・ふぅ」

血の跡。

私が最初に喰い殺した獲物。

私は今お墓を作っています。

といっても骨すらほとんど残ってないのです。

だから私は彼(・)の遺品を集めます。

穴を掘るのは簡単です。

地面を軽く殴り付ける。

はじめは貫通して腕だけが突き刺さったけど、力の加え方を工夫したら2回目はちゃんとクレーターができました。

そこに彼が身に付けていたものを入れていく。

お金だけはもらっていく。

我ながら現金なものです。

 

あとはさっさと土を被せて埋める。

適当に石を積んでお墓のできあがり。

・・・止められなかった、寝惚けていた、死にそうだった、仕方なかった。

言い訳しようとすればいくらでもできます。

そのどれもか中途半端なものばかりですがね。

結局のところ、私はお腹が空いていたから喰ったのです。

言い訳はしない。謝りもしない。罪悪感もない。忌避感もだ。

・・・どうやら私はもう『私』ではないらしい。

まだ生きている物をそのまま捕食。釘パンチ。体からでる無数の触手。肉体改造。超音波。威嚇。怪光線。

息をするように行えた。

『転生』ではなく『憑依』。

つまり今の私は『私』と『ニトロ』が混ざり合ってできた全く新しい私。

そうでなければそんなことできる訳がない。

人にこうもりの羽を付けてさあ翔べと言うようなものだ。

自分に無いものをいきなりもらっても使いこなせる道理はない。

だがニトロはできる。

ニトロの肉体把握能力ならば本能で自分に備わった能力を使いこなせるだろう。

そして人間を食べることにも忌避感など感じないだろう。

つまり私は『私』ではない。

『私』こそが新しい『私』だ。

ふむ、意識したら急に気分が良くなった。

頭の中の霞が晴れたようだ。

そう、『私』はたった今!生まれたのだ。

フ、フフフ、ハーッハハハハハハァー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、落ち着きました。

一瞬魔王っぽいのになりかけましたがセカンド自分が厨二乙wwwと笑ってたので戻ってきました。

 

あ、でも『私』と『ニトロ』が混ざってるのは本当です。

つまり今の私は人間であると同時にニトロでもあるわけです。

だからぶっちゃけ人間喰っても何も思いません。

ま、喰う気もありませんがね。

なぜって?

まぁ人間だった頃で例えるならば、猿を食べたいですか?ということです。

・・・少なくとも私は遠慮したい。

さてさて、彼を喰ったことを謝る気も後悔する気もないですが。

ありがとう。

偽善かもしれないけど、ありがとうと言わせてください。

・・・おや?

誰か来ましたね。

見つかる前にずらかりますか。

 

メキメキメキィ・・・・。

 

全身の筋肉が膨張する。

 

ドンッ!!!

 

そのまま地面を蹴り、崖を登る。

 

 

 

 

そして私は、振り返ることなく崖の向こうに走った。

 




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