型月産ワカメは転生者である(仮題)   作:ヒレ酒

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待って、引き返すなら今よ!
ガチャとアンチ・ヘイトは悪い文明ってアルテラさんも言ってた。

そろそろタグが本領発揮し始めます。
(アンチ・ヘイトは念のためじゃ)ないです。
あと今回長いよ!


第五話

 中学校の校舎裏。

 古来より決闘、または告白の場として知られる神聖な場所。

 そんな聖域は今、一人の少年――間桐慎二によって支配されていた。

 

 死屍累々。

 その場を現すのならば、この言葉が相応しいだろう。

 倒れ伏すのは校内では有名な不良グループ。

 辛うじて生きているようだが、その全員が大なり小なりの怪我を負っている。

 

 顔面が潰れる程度ならまだマシだ。

 酷くなると、いくつかの関節が逆方向に曲がっている者もいた。

 ここまで来ると救急搬送が必要だ。

 

「兄さん、いつもながらやり過ぎです」

「桜は甘いね。こういう連中は痛い目を見ないとわからないのさ」

「それはそうですけど……」

 

 さて、どうしてこうなったのだろうか。

 本当ならもう少し穏便に済ませるつもりだった。済ませたかった。

 

 学内の不良グループを一人で壊滅に追い込む。

 外面だけは優等生で通っている慎二にとって、これは紛れもなく痛手だ。

 どうしたものかと考えていると、足元から呻き声。

 

「ま、間桐ォ……」

「あれ、まだ意識あったんだ? さっさと気絶したほうが楽だよ」

「ヒッ……助け――ぁぎ」

 

 顔面を踏みつけ、少年を強制的に黙らせる(シャットダウン)

 それで事の始まりはなんだったか。

 憂鬱極まりないと溜息を吐いた慎二は、静かに回想する。

 

 

 

 

 

 

 間桐慎二は優等生である。

 眉目秀麗、文武両道。おまけに抜群の金回り。

 そんな慎二のキャッチコピーは、完璧系男子

 

 そう――キャッチコピーだ。

 実際に完璧超人(そんなもん)が存在するわけがない。

 ぶっちゃけて言えばハリボテ。赤い悪魔さんと同様の手口である。

 

 アレが“あの兄さん”と同じ人だとは思えない。とは桜の弁。

 褒めてるんだろうか、貶してるんだろうか。

 どうせだったら流石お兄様、とか言われてみたい人生だった。

 慎二の本性を知る桜から、そんな言葉が飛び出ることは一生ないだろうが。

 

 それはさておき。

 外面八方美人の慎二であったが、意外なことに敵が多い。

 別に慎二が何かしたわけではない。むしろ何も悪くない。

 では何が悪いかといえば――あえて挙げるならそう、桜が悪い。

 

 運命が捻子狂った結果、今の桜は圧倒的なヒロイン力を魅せつけている。

 そのヒロイン力たるや、青とか赤が霞むほど。

 そうなると当然、一緒に居る慎二に嫉妬的な意味での被害がくるわけで。

 

 なんでや男子諸君。僕達は兄妹なんやで。そういう関係ちゃうんやで。

 そんなこと言いつつ、実は義理なんだろって? なんで君らそれ知っとるんや。

 え? 桜が影で吹聴してる? なるほどそうか、そうなんか。

 

 イケメンオーラを全開にしている割には、女子に受けが悪いと思っていた。

 それがまさかそんな理由だったとは。なるほど、お兄ちゃん、おこです。

 

 そんな感じで慎二には昔から敵が多かった。

 そして敵に対する慎二の行動は極めて単純明快だ。

 害があるなら潰す、ないなら放置。

 触らぬ神に祟りなし、というやつである。

 どちらが神かは言うまでもないだろう。

 

 で、そんな神様の導火線に火が点いたのが数日前。

 出火原因は、慎二が小学校以来のオトモダチから聞いた不穏な噂。

 

 間桐の妹を狙おう。

 そんな話が不良グループの一部で上がったらしい。

 

 前にも同じようなことがあった。

 慎二()に手が出せないのなら、()を使えばいい。

 容易に想像がつく手段であるし、実行した輩も実際に居た。

 そしてこれまで数度あったそれは、慎二が未遂の段階で物理的に(キッチリと)粉砕してきた。

 

 慎二の居た小学校では有名な話だ。

 何があっても、間桐桜には手を出すな。

 藪を突いて何が出るのかわからないぞ、と。

 

 あれだけ徹底的に潰して、挽いて。

 それでなお歯向かう馬鹿など流石に居まい。

 慎二はそう高を括っていた。

 

 思えばそれがいけなかったのだろう。

 慢心すると王様でも死ぬ。そう叙事詩にも書いてあるというのに。

 そんな大事なことを、慎二はすっかり忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 今日の放課後のこと。

 時間にすれば十分ほど前、桜が呼び出された。

 

 下駄箱に入っていた一通の手紙。

 大切な話があります。放課後校舎裏に来てください。

 

 文面だけ見れば告白の手紙である。

 何も知らない桜は、ノコノコと校舎裏へ行ってしまった。

 それが運の尽き。

 尽きていたのはどちらの運かなど、今更言うまでもない。

 

 友人に事の次第を告げられた慎二は校舎裏に急行。

 するとそこで待っていたのは件の不良グループ。

 

「随分と早かったじゃねぇか、間桐よぉ」

 

 そう言ってこちらを睨み付けるのは、リーダー格らしき少年――少年?

 随分とお顔がビーバップじみていらっしゃる。本当にコイツら同年代か。

 

 そんなツッコミをしていると、自慢の黒髪を掴まれた桜の姿が目に入る。

 つーかそこ、桜ちゃん壁に押し付けながらクンカクンカすんな。

 ヒロインの匂い嗅ぐとか羨ましいぞ、今すぐ変われ。

 あ、ちなみにペロペロは禁止な、したら慎二(ワカメ)特権で極刑な。処すからな。

 

 この辺りで既に慎二の怒りは有頂天であったが、びーくーる。

 冷静になれよ。キレてもいいことないっすよの精神で押しとどめた。

 

「に、兄さん……」

「大丈夫だ桜、今助けてやるから」

 

 そんな昼ドラでも今時ないようなやりとりをしていると。

 ニヤニヤと笑いながら、一人の大柄な少年がこちらへ向かってくる。

 

「待ってたぜぇ……間桐。オマエに復讐できるこの日をよぉ」

「お、オマエは!」

 

 アレだ。アレアレ。アイツだよ、ほら。

 どうしよう、思い出せない。

 喉元まで出かかっている感はあるが、誰だったかコイツ。

 

「小学校時代にオマエから受けた屈辱……一時たりとも忘れたことなどなかった!」

「小学校……? ああ、あの時シメたやつか」

 

 なるほど、確かによく見ればそうだ。

 まだ懲りてなかったのか。シメが足りなかったのか、そうなのか。

 ていうか太ったね君。初見で気付くのは無理だと思う。

 とりあえず今からオマエの名前は、微笑みデブだ。光栄に思え。

 

「これを嵌めろ」

 

 どこから仕入れて来たのか。その手に持っていたのは手錠。

 拘束され無抵抗になった自分をいたぶるつもりなのだろう。エロ同人みたいに。

 ビーバップ顔の不良×慎二(ワカメ)。誰得ですか、わかりません。

 

 薄い本が厚くなりそうな展開だがさて。

 桜が人質になっている以上、迂闊に動くことはできない。

 下手をすれば、それこそエロ同人になってしまう。

 

 攫われた桜ちゃんが、慎二の目の前でアレやコレされる本。

 さらに薄い本が厚くなりそうな題材が出てしまった。

 ちなみに残念ながら、慎二にそっち(NTR)の趣味はない。

 

「おら、妹のことが惜しかったら、とっとと嵌めろ」

「ハイハイ、わかったからそう急かすなよ。せっかちは嫌われるぜ?」

 

 渋々といった様子で手錠を嵌めていく。

 どこで買ってきたか知らないが、見るからに安物っぽい。

 ブツの出所はド○キのアダルトコーナー辺りだろうか。

 この程度なら変身しなくても引き千切れそうだ。

 

「ほら、嵌めたぞ。早く桜を離せよ」

「いいや、まだだ。おいデブ。やっていいぞ」

 

 コイツ身内からもデブ扱いされてるのか。

 ええんやで、泣いてもええんやで。

 同情的な目で見ているとそれが癇に障ったのか、顔面を殴られた。

 

「兄さん!」

「ああ、大丈夫だよ桜。兄さんは無敵だからね」

 

 誇張でもなんでもなく、その通りである。

 神秘の通っていない攻撃など慎二には通用しない。

 むしろ殴った微笑みデブの手を心配するべきところだ。

 

「兄さん! 私のことはいいですから――」

「うるせぇ女だな! テメェは黙ってろ!」

「きゃっ――」

 

 桜が殴られた。堪えるように小さく悲鳴が上がる。

 こいつ何した。何してくれやがった。

 

「おら、間桐! 顔上げろ! 二発目だ!」

 

 こっちが下手に出てみれば調子に乗りやがって。

 人間にはヤって良いこととヤっちゃいけないことがある。

 そんなことすらわからないのか、コイツらは。

 ダメだ。もう我慢できそうにない。慎二の奥で何かが切れた音がした。

 

「おい、聞いてんのか、間桐!」

 

 うるさい、微笑みデブ。黙ってろ。

 嵌めていた手錠を力任せに引き千切る。

 コイツらは二度と反抗する気が起きなくなるよう、キッチリと磨り潰す。

 楽しい楽しい、楽し過ぎて血塗れになる間桐式過剰防衛論(おべんきょう)の時間だ。

 

 微笑みデブのニヤついた顔に無言で掌底。

 顎を砕く感触と共に、巨体が人形のように崩れ落ちる。

 訪れた静寂。

 暫くして事態を把握したのか、リーダーが叫んだ。

 

「ま、間桐ォ! てめぇ、タダで済むと思ってんのかァ!」

「それはこっちの台詞だよ」

 

 間桐慎二にとって、間桐桜は逆鱗である。

 そして竜の逆鱗に触れた者の末路というのは、往々にして決まっている。

 

「オマエらこそ、タダで済むと思ってるワケ?」

 

 少しだけ魔力を解放。一息で桜との距離をゼロにする。

 拘束していた男子の顔面に拳を叩きこみ、桜を引き剥がす。

 全員許しちゃおかないが、コイツは特に許せない。

 

「誰が桜のことクンカクンカして良いって言った? あ゛ぁん!?」

「怒るところそこですか兄さん!?」

「大事なことじゃないか――っと!」

 

 桜を抱えたまま、隣に居た少年に上段蹴りを入れる。

 まるで漫画みたいに軽く吹き飛んだ。

 赤く腫れた桜の頬を撫でつつ、そっと治癒魔術を発動。

 

「ああ桜、大丈夫だったかい? 痛くなかった?」

「あ、はい。私は大丈――ひゃぁ!」

 

 ダンスを踊るようにターン。桜との位置を入れ替える。

 手頃な場所にあった顔面に裏拳。なにやら潰れた音がした。

 

「兄さん! 後ろ!」

「後ろ?」

「く、くたばれ! 間桐!」

 

 桜の声に従い後ろを見れば、目に映るのは振り下ろされる金属バット。

 しかし慎二を仕留めるには遅すぎた。掌で掴んで受け止める。

 少年は必死になってバットを奪い返そうとするが、人外の握力がそれを許さない。

 

「うん、とりあえず掴んでみたけど」

 

 離したらまた殴って来る。でも奪ったらなんか凶器使ったみたいで嫌だ。

 慎二は暫し逡巡した末、握り潰すことに決めた。

 バットがまるでアルミ缶のように潰れていく。凶器は処分しちゃおうね。

 そのまま丸めてポイ。バッドは見事な鉄球へと早変わり。三秒クッキングだ。

 

「う、嘘だろ……?」

 

 ここに来て少年達は悟った。明らかに次元が違う。

 自分達は手を出してはいけないモノに手を出してしまったのではないか。

 しん、と静まり返った中で誰かが言った。

 

「ば、バケモノだ……」

「え、なに? 今更気が付いたの?」

 

 慎二の声が響いた瞬間、少年達は恐慌状態に陥った。

 我先にと逃げ出す少年達。だがそれを逃がすほど慎二は甘くない。

 潰すなら徹底的に。二度と反抗心なんて持てないように。

 

「やめ――助け――」

「嫌だ――死にたく――」

「悪かった、俺達が悪かったから――」

 

 そこに一切の容赦はなかった。

 ある者は腕をへし折られ。

 またある者は拳によって沈められ。

 文字通りに千切っては投げ、千切っては投げ。

 

 まさに一瞬の嵐。

 数秒後、立っているのは慎二と桜だけになった。

 

 

 

 で、現在に至るわけだ。

 気絶させた少年を足蹴にしながら慎二が尋ねた。

 

「ねぇ桜」

「なんです、兄さん」

「どうしよっか、コレ」

「いや、私に聞かれても困るんですけど……」

 

 後のことを全く考えてなかった。

 痛めつけるにしても、自力で歩ける程度にしなければ。

 ここまでヤると処理が増えて面倒だ。

 さっきまでの慎二は、感情の激流に身を任せてどうかしていた。

 

「もう放っておいて帰りません?」

「桜も案外に外道だね……」

「失礼な、兄さんほど酷くありませんよ」

 

 ほど、ということは多少は自覚があるのか。

 なるほど。やっぱり教育方針を間違えた。

 もう一回だけ謝っておこう。ごめんね時臣(トッキー)

 

 墓のある方向にぎゃーてーしていると、少年が走って来た。

 息を切らして肩で息をする少年は、悲観に満ちた声で呟く。

 

「なんだよ……これ……」

「――ん?」

 

 まだ仲間が居たのか。そう思ったが――

 違う。コイツだけは違う。そうであってはならない。

 赤銅のような赤髪、鋼の意思が籠った瞳。

 見紛うはずもない。だって彼は――

 

「ハハ、遅かったじゃないか。主人公」

 

 そう、衛宮士郎だ。

 この世界の主人公が一人。正義の味方に憧れる壊れた人間モドキ。

 そんな主人公サマが怒りに肩を震わせていた。

 

「オマエが――」

「うん?」

「オマエがやったのか、間桐」

 

 慎二は少しだけ目を細めた。名前を憶えられているとは思わなかったからだ。

 こっちはコイツに関わりたくないがために、今日まで意図的に避けていたのに。

 少しだけ慎二君の死亡フラグが増えたような気がする。

 

「僕以外に誰が居るっていうんだい?」

「……ここまでする必要はあったのか?」

「ハァ?」

「ここまでする必要はあったかって聞いてるんだ!」

 

 突然主人公がやって来たと思ったら、急にキレ始めた。

 何を言っているかわからないと思うが、僕も何を言っているのかわからない。

 少なくとも今回の件について、衛宮士郎は無関係なはず。

 あれか、これが噂のキレる若者ってやつなのか。

 

 というか、主人公がなんでここに居る。

 誰かが呼んだのか。確かにコイツなら喜々として飛んできそうだ。

 余計なことをしてくれた。犯人は見つけ次第オシオキだゾ。

 

 で、なんだったか。どうしてこいつが怒っているか、だったか。

 あれだ、こういう時は落ち着いて相手の思考をトレースしてみよう。

 所謂、相手の気持ちになって考えてみよう、というやつだ。

 

 衛宮士郎(せいぎのみかた)的に観て、この状況はどうだろう。

 屍当然の不良達。そしてそれを足蹴にする間桐慎二。

 もしかしなくても、慎二のほうが市民を虐げる悪の手先に見えはしないか。

 

 なるほど、コイツが怒りを露わにしている理由はそれか。

 間桐式過剰防衛論と衛宮士郎(コイツ)は確かに水と油だろう。

 だったらコレだ。正義には正義っぽい論理で対抗するに限る。話術の時間だ。

 

「勿論あったさ」

「な――!?」

 

 士郎は絶句している様子だったが、構わず慎二は続ける。

 

「こうしておけば二度と僕に反抗しようだなんて思わないだろ?」

「そんな理由で!」

 

 食いついた。食いついてしまった。

 こうなっては最早、慎二の思う壺である。

 慎二は大仰に手を広げ、演説するように語ってみせた。

 

「そんな理由? いやいや大切な理由だよ! 君は今回の件、どこまで知ってる?」

「妹が人質にとられて、ここに間桐が向かった、までは……」

 

 どうやら概ねの事情は知っているらしい。

 ならば、と慎二は尋ねた。

 

「これ以外に、僕達が安全に残りの学校生活を送る方法があったかい?」

「それは……」

「話し合い、なんて生温い理想論は語るなよ? そんな段階はとうに過ぎてた」

 

 逆鱗()に手を出した時点で、戦端は開かれている。

 もし本当に止めるつもりであれば、その前の段階で手を打たねばならなかった。

 最初に慎二が放った言葉が全てだ。

 遅かった。正義の味方の時間はとうに終わっている。

 

「ぅ――ぁ――」

 

 そんなどうでもいい問答をしていると。

 目が覚めたらしいリーダー君が逃げようとしていた。

 勿論だが逃がす気はない。やるなら徹底的に。それが間桐家のモットー。

 頭蓋に足を置く。せめてもの慈悲だ。このまま気絶させてやろう。

 

「その足をどけろ! 間桐! これ以上は必要ない!」

「断る」

「どけろと言った!」

 

 無駄に苦しめるのはアレだし、善意で一思いにヤってあげようと思ったのに。

 主人公的にはバッドな選択肢であったらしく、こちらに猛然と突進してきた。

 うん、知ってた。話術の次は物理だって、知ってた。

 

「間桐ォ!」

「あー、もう。こういうの柄じゃないんだけどなぁ!」

 

 慎二はもうなんか色々と諦めていた。

 出会ってしまった時点で未来は確定していたのかもしれない。

 相性が悪いだろうな、とは思っていた。

 しかしまさか、ここまで決定的な軋轢を生むとは。

 

 突進する士郎を躱し、右手で首を掴む。

 そのまま片手で持ち上げ、校舎の壁に叩き付けた。

 

「やめてよね、本気で喧嘩したら僕に敵うはずないだろ?」

「くっ……ま、とう……!」

 

 ギラギラとした瞳でこちらを睨み付ける士郎。

 だからそういうのは本気でやめてほしい。

 あれだ。慎二の中の死亡フラグが急速に増殖する気配を感じるのだ。

 こっちは半分くらいノリで生きている。唐突なマジモードは勘弁願いたい。

 

「そんなにコイツらのこと助けたいなら――そうだ、後始末は君に頼もうか」

「な、に……?」

 

 面倒事は全部、衛宮士郎に投げてしまおう。

 足りないなら他所から持ってくる。面倒なら衛宮を連れてくる。

 完璧な理論(ロジック)である。外道ここに極まれり。

 

「なんていうのは流石に冗談――」

「え? いいんですか! じゃあお願いします!」

「――だけど……えっ?」

 

 突如出現した伏兵。存在感ごと息を潜めていた桜である。

 冗談で済ませようとしたら、いつのまにか冗談じゃなくなっていた。

 あれだよ。本当に助ける気はあったんだよ。半分くらいは。

 

「じゃあ帰りましょうか、兄さん」

「お、おう?」

 

 待て、この流れで腕を組むな、真っ直ぐ帰ろうとするな。

 いいのか。ヒロインとしてそれはアリなのか。

 

「晩御飯は何がいいですか、兄さん?」

「えっと、その……だね?」

「私は久しぶりに兄さんの卵焼きが食べたいなぁ」

 

 主人公は無視か、無視なのか。

 慎二はちょっとだけ涙を流した。

 引き返せない過去に。そして自分より外道かもしれない妹に。

 

「ま……て……待て、間桐……!」

 

 すまない。待ってあげたいけど桜が帰る気満々なんだ。

 慎二は傷だらけの正義の味方からそっと目を逸らした。本当にすまない。

 これが新たな死亡フラグになりませんように。慎二はそう願うしかなかった。

 

 

 

 




やっちまったZE☆

なんか尻切れトンボだなぁと思っていじくってたら、五話と六話が合体していた。
そしたらいつの間にか主人公をボコボコにしていた。
ついでにヒロインがヒドインになっていた。
何を言って(ry

ホントは士郎君と適当にケンカして終わるはずやったんや。
不良なんてなかったはずなんや。
どうしてこうなった。

あと微笑みデブに対する熱い風評被害。



次かその次くらいで中学編は終わりにして、そろそろ本編行きそう。
そこでストック終わるので、ちょっと更新期間伸びるかもしれないです。

いい加減に主人公を戦わせないと、感想欄でゲイボルクがゲイ♂ボルクにされてしまう。

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