十勇士 作:妖狐
『逃げて!!逃げて逃げて逃げて!!
誰の手も届かない所へ!!』
声が響く……
『これはお守りよ。
決して、外しては駄目よ』
『大丈夫、ずっと傍にいるから』
『逃げて!!あなたを、アイツ等に渡すわけにはいかないわ!!』
楽しかった日々……幸せだった。
子供は目から涙を流しながら、森の中を駆けて行った。
『逃げて!!
もっと遠くへ!!』
『決して振り返ってはダメ!!
早く!!早く逃げて!!』
上田城下町……
そこを歩きながら、大あくびをする一人の少年。
「大あくびするな!任務中だぞ!」
「へいへい。
ったく、何で頭の固い甲賀の猿と一緒に任務に行かなきゃいけねぇんだか」
「それはこっちのセリフだ。
何で、伊賀の汚らわしい忍と一緒に。幸村様の命令じゃなきゃ、絶対お前とは組まない」
「そのセリフ、そっくりそのまま返す」
いがみ合う二人……そんな二人に、後ろを歩いていた男は、二人の頭を交互に殴った。
「見回りが、いがみ合っていてどうする!!」
「痛……猿のせいで殴られたじゃねぇか!!」
「ハァ!?それは才蔵のせいだろう!!」
「止めんか!!」
そっぽを向き、才蔵は先に歩き出した。その時、誰かとぶつかり才蔵はよろけ脚を後ろへ引いた。
「悪い」
「……」
ぶつかった者は、顔と頭に黒い布で覆い隠すようにして巻き、才蔵をちらっと見るとそのまま立ち去った。
「何だ?あのガキ」
「馬鹿!行くぞ!」
「誰がばかだ!!」
夕方……森から上田を、双眼鏡で眺める才蔵。
「異常無し……?」
何かの物音に気付いた才蔵は、音の方に双眼鏡を向けた。昼間にぶつかった子供と、その後を追う数人の山賊。
「また出たか……」
剣を抜きながら、才蔵は木を移動しながら山賊の後を追った。
茂みの中を走る子供……その時、木の根に足が引っ掛かり盛大に転んだ。足に傷を負った子供は、庇いながら立ち上がり、追いついた山賊達を睨んだ。
「さぁて、金目の物を渡して貰おうか」
「……そんなもの、持ってない」
「嘘吐くな。お前の首にあるだろ?
翡翠の勾玉」
その言葉を聞いた子供は、服の上から胸を強く掴んだ。
「さぁ、渡せ」
「嫌だ……」
「わた」
「オリャァアア!!」
声と共に、木の上から剣を振りかざした才蔵が姿を現した。剣は山賊の一人を切り裂いた。
「上田で暴れるとは、いい度胸してるなぁ?」
「げ!!お前は」
「真田の霧隠!!」
「ガキ怪我させたからには、覚悟は出来てるだろうな?」
ニヤ付く顔に怪しい光が目に光った。
森から響く叫び声……
手に着いた土を払いながら、才蔵は逃げていった山賊達を見た。
「ったく……上田の森で暴れるなんざ、百年早ぇよ!
さてと」
振り返る才蔵……子供は、怯えた様子で彼を睨んでいた。
「おいおい、そんな怯えなくても……助けてやっ…?」
木に手を掛けながら、子供はふらつきながら立ち上がった。だが、怪我のせいか立ち上がれるがすぐに尻を突き地面に座り込んだ。
「酷ぇ傷だな……結構深いし」
「……」
「城で手当てしてやるから」
「キャア!」
「?!
き、キャアって……お前、まさか」
顔と頭に巻いていた黒い布を、才蔵は子供から剥ぎ取った。
肩下まで伸ばし耳下で結った真っ白な髪……透き通った赤い瞳。よくよく体を見ると、男物の着物を着て分かりにくかったが、胸元は少し膨らんでおりそこにさらしが巻かれていた。
「お前……」
「……」
才:この後書きは、俺等の雑談コーナーにさせてもらうぞ!
猿:させるって……まだ出てるの、お前と俺とあの子供だけだろ!
才:いいだろ?どうせ、追々出るんだから。
猿:あのなぁ……
狐:何二人で楽しんでんの?
才:よう狐!
猿:狐!
狐:どうも~。作者の妖狐で~す。狐って呼んでください!
猿:『どうも~』じゃないだろ!!
狐:どうかしました?猿飛佐助さ~ん!
猿:何でお前、そんなに軽いの?
狐:軽い方が良いじゃん。なぁ、才蔵。
才:まぁな!猿、お前も少しは軽くなれ!
猿:俺は結構だ。汚れる。
才:んだと!!
狐:やめなさい、子供の前だぞ!
子:……
才:そういや、この子供何者なんだ?
猿:そういえば。
狐:さぁ……何者なんだしょうねぇ。
才:教えろよ!
狐:それは次回までのお・た・の・し・み!
才:ハァ!?
猿:ハァ!?
狐:じゃあ読者の皆さん、また次回!