十勇士 作:妖狐
縁側で才蔵が作ったお握りを食べる桜華……その傍でレオンは大きな口を開けてあくびをし寝そべっていた。
その頃、才蔵達は……
「え?!若君、帰ってくるのか?!」
部屋へ来た十蔵に、才蔵は驚き思わず声を上げた。
「そうらしい」
「随分と早い帰宅ね」
「一生帰ってこなければいいのに……」
「甚八!!」
「あのクソガキいると、苛々するんだよ」
「そう言うな。
一応は、幸村様の息子だ」
「レオンに悪戯して、いつも襲われ掛けてるのにか?」
「そんで、六郎さんに怒られるのはいつも俺か甚八」
「てか、若君が帰ってくるなら、あの三人も帰ってくるって事よね?」
「そうだな」
「またうるさくなる……」
「てか、あの変態も帰ってくるよな?」
「まぁ、そうね」
「……やべぇ!!
桜華を隠さねぇと!!」
叫びながら、才蔵は部屋を飛び出した。
「そういや、あの変態……
城で新しい奴見ると、必ず攻撃するよな?」
「新しく入った忍に、いつも攻撃してたわね」
「……」
(ヤバい)
城の前で止まる馬……そこから飛び降りる一人の少年。
「大助様!走ると、転びますよ!!」
「大丈夫だよ!これくらい!
清海、伊佐道!早く入ろうよ!」
「ま、待ってくだ……!!」
白い布を頭に巻いた男の上から、赤い髪に緑色の鉢巻をした男が飛び降り、男を台にジャンプし地面へ飛び降り駆け出した。
「ほら大助!競争だぁ!!」
「あ!ズリィ!!」
「あ、兄上?!大丈夫ですか?!」
門を潜り駆ける二人。膳を運んでいた侍女は、駆けてくる二人の姿に驚き持っていた膳を上に上げ、二人を見つめた。
「あ、あれは……」
「……」
廊下を歩く桜華……角を曲がろうとした時、駆けていた男とぶつかり尻を突いた。
「痛ってー!!
ンだよ!!前見て歩けよ!!……って、お前」
「痛ったぁ……」
「鎌之介!大丈夫か?!
?誰だ?お前」
座り込み痛めた箇所を擦る桜華を、彼女より少し背が高い男の子は近付きながら見つめた。桜華は震えながら後退り、逃げようと立ち上がり駆け出した。
だがその瞬間、足に鎖が巻き付かれ桜華はそのまま倒れた。鎖が巻き付いた足を目にしながら彼女は後ろを見た。手に鎖を持った鎌之介が、悪戯笑みを浮かべながら桜華に歩み寄った。
「逃げなくてもいいだろう?新入り!」
「え?!コイツ、新入りなの?!」
「見りゃあ分かるだろ?
どっからどう見ても、新入りだ」
「い、嫌……」
「何弱々しい声出してんだよ!」
座り込みながら、鎌之介は桜華の髪を強く掴んだ。桜華は彼の腕を掴み、無理矢理引き離そうと強く引っ張った。
「何やってんだ!!お前等!!」
その声と共に、どこからか石が投げられ鎌之介と男の子の額に当たり、二人は同時に仰向けに倒れた。石が投げられた方を見ると、そこには数個の石を上げる才蔵がいた。
「才蔵……」
鎌之介の手から離れた鎖を外し、桜華は一目散に才蔵に駆け寄り彼に抱き着き後ろへ隠れた。
「痛ってぇ……何すんだよ!才蔵!!」
「お前こそ!!いい加減、新人いびるの辞めろ!!」
「いいじゃねぇかぁ!」
「よくねぇわ!!」
「つーか、そいつ誰?」
「訳あってここに置いてるんだよ」
「フーン。
おい、ガキ!俺と勝負しようぜ!」
鎖鎌の鎖を振り回しながら、鎌之介は桜華に言った。彼女は怯えた様子で、彼を見ながら首を左右に振った。
「テメェ等はさっさと、幸村の旦那の所に行け」
二人の背後から来た甚八は、二人の襟を掴み上げた。
「あ!甚八!テメェ!!」
「離せよ!!」
「離せるか。
お前達には聞きたいことがある。
何で清海が伸びてんだ?門前で」
「!!」
「そ、それは……」
「詳しい事情を、父上の前で話して貰おうか?若君」
「は、はいぃ……」
猫の首の根を掴むようにして、二人の襟を掴み上げながら甚八は幸村の部屋へと行った。
二人がいなくなると、桜華は才蔵の後ろから出て震える手で彼の服の裾を掴みながら出て来た。
「あとで幸村の部屋行くぞ」
「え?」
「幸村のガキと俺等の仲間が帰ってきたんだ。
お前のことを説明しなきゃいけねぇ」
「……アイツに、会いたくない」
「すぐに終わる。
説明終わったら、茶屋に連れてってやるから。な?」
「……うん」
場所は変わり幸村の部屋。
幸村の前で正座をし、頭にたんこぶを作った鎌之介と若君。
「鎌之介のせいで、六郎にぶたれたじゃん」
「そりゃこっちの台詞だ!」
「静かになさい!!」
「!」
「まぁ、無事で帰ってきてよかった。
どうだった?国の外は」
「凄い面白かったです!父上!」
「そうかそうか!」
「俺的には、才蔵の傍にいるそのガキが何者なのかが、気になる」
そう言いながら、鎌之介は襖に凭り掛かり座る才蔵と彼の腕にしがみつく桜華を睨んだ。
「そういえば、その者は一体……」
「訳あって、数日前から城に置いている桜華だ」
「訳?訳って何だ?」
「あとで話す」
「新入りであれば、挨拶せねば。
拙僧は、三好清海入道(ミヨシセイカイニュウドウ)だ」
「僕は三好伊佐入道(ミヨシイサニュウドウ)。伊佐道って呼んで下さい」
「そんじゃいオイラも!
オイラ、真田大助!宜しくな!桜華!」
「由利鎌之介だ!
挨拶も済んだことだし、桜華!早速勝負しようぜ!」
鎖鎌の鎌を構え持ちながら、鎌之介は桜華に言った。彼女は激しく首を左右に振った。
「はぁ?!何でだよ!!」
「鎌之介、桜華は嫌がってる。やめておきなさい」
「うるせぇんだよ!!俺は今すぐにでも…!!」
桜華に寄ろうした鎌之介の背後から、甚八の傍で寝ていたレオンが彼に襲い掛かった。
「いつの間に……」
「野生本能が目覚めたんだろ」
「お、重い……
お、降りろ!レオン!」
レオンは鎌之介の手に自身の足を乗せ抑えつけ、牙を剥き出しにし、彼に噛み付こうとした。
噛み付かれる寸前、甚八はレオンの首に付けていた首輪を掴み、レオンを引っ張り上げ彼から引き離した。
「どう!どう!」
「ンだよ!!いきなり襲いやがって!!」
「普段の行いが悪いから、こうなるんだ」
「……チ!面白くねぇの!!」
「あ!待ってよ!鎌之介!」
苛々しながら鎌之介は、部屋を出て行き彼の後を大助は慌てて追い駆けていった。二人がいなくなると、レオンは大人しくなりそれを見た甚八は、首輪から手を離した。レオンは頭を振ると、桜華の元へ寄り座っている彼女の膝に頭を乗せ、咽を鳴らしながら擦り寄った。
「完全に懐きやがったな」
レオンの頭を撫でる桜華を見ながら、甚八はそう言った。
才:雑談コーナー!
猿:本当に四人出すとは……
狐:どうだ!思い知ったか?!
猿:あーハイハイ。見直しました。
狐:その軽さ、何?!
才:二人が騒いでる間に、四人を紹介しとくか!
まず一人目は、僧侶兄弟の兄・三好清海入道。そして弟・三好伊佐入道だ!
清:以後、お見知りおきを。
伊:よろしくね~。
才:そして、口うるさいガキ共。
一人は由利鎌之介。もう一人は幸村のガキ・大助だ。
鎌:何だよ!!その扱いは!!
大:酷いや!!才蔵!
才:ガキはこれくらいでいいんだよ。
大:何だよ!その扱いは!!
オイラ、殿の息子だぞ!
鎌:そうだ!そうだ!
才:俺から見りゃあ、まだまだクソガキだ!
大:っ!!
六郎!
才:泣き付くとこなんざ、ガキのやることだ。
六:才蔵!!
才:何で俺が怒られなきゃいけねぇんだよ!!
狐:読者の皆さーん、また次回!