十勇士 作:妖狐
夕方、幸村達は京都へ無事到着した。
「ヒャッホー!!着いたー!!」
「あ!待ってよ、鎌之介!!」
「ちょ!大助様!」
馬から下り駆け出した二人の後を、伊佐道は清海と共に追い駆け、掴み捉えた。
「勝手な行動はやめて下さい!」
「大助様に何かあってからでは、遅いんですよ!!」
「お前等!!俺は無視かよ!!」
「町のど真ん中で騒ぐな、お前等!!」
夜……眠っていた桜華は、目を覚まし起き上がった。上着を腕に通し、フードを深く被り枕元に置いていた襟巻きを、首に巻き刀を手に才蔵を起こさぬように部屋を出た。
廊下を歩いていると、背後から床の軋む音が聞こえ警戒しながら、桜華はゆっくりと刀の束を握った。
「刀から手を離しなさい……」
「……」
聞き覚えのある声だったが、桜華は束を握りながら後ろを振り返った。そこにいたのは、着流しに身を包んだ六助だった。
「六助……」
「こんな夜更けにどこへ?」
「……散歩」
「それは奇遇です。
拙者も散歩します。一緒に参りましょう」
夜道を歩く二人……
「……なぁ」
「?」
「何で、今頃……」
「……」
「何で今頃、私の前に現れたの」
「……光坂一族は、決して武田以外の大名の手に渡っていけない一族。
拙者は、そう聞かされてきた」
「何で?
光坂って何なの?何で、他の大名には」
「それは知りません。
昔から、そう言われてきた」
「……でも、何で私が生きてるって……
何も覚えて無いけど……」
「蓮華は、自分の命を変えてでも家族を守るくノ一だ。
お前を生かすに決まっている」
そう言いながら、六助は桜華の頭に手を置いた。
翌朝……
「大助!早く来いよ!!」
「待ってよ!鎌之介!」
部屋を飛び出し、鎌之介と大助は階段を駆け下りた。清海は畳んでいた布団を置き手すりから身を乗り出し叫んだ。
「玄関口で、待っていて下さいよ!!」
「それでは、皆の事を頼むぞ。才蔵」
袴を着ながら、幸村は才蔵にそう言った。
「へいへい。了解しました」
「あと、刃傷御法度の布令が出た。
この町で、決して刀を出さぬように」
「へーい」
「桜華にも言っておくのだぞ。
あ奴のことだ。敵に出くわしたら、絶対刀を持ち抜く」
「俺が預かっとくよ」
「ワァァア!!」
突然下から叫び声が聞こえ、才蔵は部屋を飛び出し下へ降りた。
「才蔵ぉ!」
降りてきた才蔵に、大助は駆け寄り後ろに身を隠した。
「よぉ、真田」
「?!
だ、伊達政宗!!」
長刀を担ぐ政宗は不敵な笑みを溢しながら立っていた。
同じ頃、部屋で眠っていた桜華は下の騒ぎに目を覚まし起き上がった。その時、背後から口を塞がれ暴れようとした瞬間、目の前に現れた忍に手を掴まれ抑えられた。
「へー、これが殿が言ってた真田の」
「確かに、赤い目だな。
光坂一族の特徴の一つ」
掴まれていた腕を離そうと、桜華は暴れた。だが、忍の力が強く数秒も持たずに暴れるのをやめてしまう。
「さぁて、一緒に来て貰おうか」
忍が持ち上げようと手を離した隙を狙い、桜華は手から雷を放った。二人は体に電気を浴び、その場に倒れ離れたのを機に、桜華は部屋を飛び出した。
その音に、才蔵は大助を鎌之介に渡し、階段を駆け上がった。上へ上がると、廊下の隅に刀の束を握る桜華と、部屋から出て来た二人の忍がいた。
「桜華!!」
クナイを出そうとした才蔵……その時、床から草が生え伸び才蔵と桜華の手に巻き付いた。
「そこまでだ」
「幸村……六郎さん」
「この町で刃傷御法度の布令が出ている。
才蔵、すぐにクナイから手を離し、桜華の傍に行け」
印を結んでいた六郎は、何かを切るようにして腕を振った。すると草は切れ、動きが取れる様になった才蔵は、二人の忍を睨みながら、隅で震えている桜華の元へ行った。
「殿ー!
すいません、ちょっとヘマしちゃいました」
そう言いながら、二人の忍は階段を飛び降り政宗の横に立った。
幸村は六郎と共に下へ降り、政宗を見た。
「儂の大事な勇士に、手を出すのはやめて貰おうか?」
「あぁ、悪い悪い。
こいつ等に、あのガキのこと話したら見てみてぇって言うもんでな」
「……詳しい話は、茶会の会場に向かいながら話そう」
「その前に、ガキに会わせろ。
一度は俺のものになったガキだ」
「それは無理だ。今は儂のもの」
「……」
不機嫌な顔を浮かべながら、政宗は外へ出た。彼の後に、幸村と六郎はついて行った。伊佐道の後ろに隠れていた大助は、深く息を吐きその場に座り込んだ。
「こ、怖かった~」
清海は上へと上がり、廊下の隅にいる才蔵の元へ行った。
「桜華は大丈夫か?」
「あぁ。今落ち着いたところだ」
桜華は才蔵に抱き着きながら、深く息をしていた。
「清海、お前は大助についててくれ。無論伊佐道と鎌之介も。
俺は六助さんと桜華についてる」
「分かった」
清海と入れ違いに、下にいた六助は上がり才蔵の隣へ立った。才蔵は彼に、桜華から預かった刀を差し出した。
「預かっててくれ」
そう言われた六助は、黙って刀を受け取った。
「何で刀……」
「しばらくの間、この町で刀を抜いちゃいけないんだ」
「……」
「この町にいる間は、絶対離れるな」
「……うん」
茶会の会場に着いた政宗と幸村……二人は一言も喋らず、ここまで歩いてきていた。
すると幸村は、懐から扇子を出し先端を政宗に向けた。
「二度と儂の勇士に手を出すな」
「……それは無理な願いだ。
俺も欲しいんでね。光坂の力」
「……」
「あのガキ、光坂だろ?
赤き瞳を輝かせ、自然の神達から力を借り多数の技を出す忍……かつて、武田にしか仕えなかった。
なぜだか分かるか?」
「さぁな」
「あいつ等は、極大な力を隠していた……武田はそれを知っていた。だから、光坂は武田にしか仕えなかった」
「それが本当であれば、光坂はその力の恐ろしさを知っていた。だから縁の深い武田に身を置いたのだ」
「真田殿!伊達殿!」
会場から出て来た部下に、二人は話すのをやめた。
「家康様がお待ちです。
すぐに中へ」
「分かった」
「この話は後だ」
「お主に話すことなど、何もないわい」
睨み合いながら、二人は会場へ入った。そんな様子に六郎は軽くため息を吐き、政宗の傍にいた忍達はいつの間にか消え、残っていたのは小十朗只一人だった。彼も彼で、呆れたようにため息を吐いた。
狐:キャラ紹介するよー。
ではどうぞ↓
名前:根津甚八(ネヅジンパチ)
年齢:34歳
使用武器:槍
容姿:青がかった黒髪を耳下で結い、右目に出来た傷痕を隠すようにして、前髪を垂らしている。目はオッドアイで右眼が金色、左目が青色。長年海に出ているせいか、肌が若干黒い。
服装:白い袖なしの服に肩にファー付きのコートを掛けている。下は白い長ズボンに、ハーフブーツを履きその中に裾を入れている。手には手袋を嵌め右手には青いブレスレットをしている。首には羽根の飾りが着いた黄色いペンダントを下げている。