十勇士 作:妖狐
「朝か……?」
ふと隣に気配を感じ、そこに顔を向けた。
静かに眠る鎌之介……
「(またか)オラ、起きろ!鎌之介!朝だぞ!」
「スー……スー」
「(起きる気配無し)じゃあ、こっちは」
窓側で寝ている桜華の方に顔を向けた。枕を退かし、体を丸くし掛け布団を剥いで、桜華は眠っていた。
「(……こっちもか)
風邪引くぞ」
そう言いながら、才蔵は掛け布団を桜華に掛けた。
「才蔵」
静かに戸を開け小声で言いながら、六郎が中へ入ってきた。
「すぐに帰る支度をしなさい」
「え?何で」
「いいから」
「二人はどうする?起こすか?」
「起こして下さい。起きなければ、そのままで結構です。
早く支度して、下へ来なさい」
少々キレ気味で、六郎は戸を閉めた。
「(幸村の野郎、また何かやらかしたな……)
鎌之介、起きろ!!置いてくぞ!」
才蔵の声に、鎌之介はようやく目を覚まし大きくあくびをしながら目を擦った。
「ンだよ……せっかく寝てたのに」
「とっとと帰る支度しろ」
「え?何で?」
「説明は後だ、早くしろ。
桜華、起きろ。帰るぞ」
眠い目を擦りながら、桜華は起き上がった。もう一つ大あくびをすると、鎌之介は部屋を出て行った。
玄関口では、眠い目を擦る大助が地面に座り込んでいた。清海と伊佐道は、数頭の馬の手綱を引き馬を落ち着かせていた。
大あくびをしながら、鎌之介は階段を降り才蔵は眠そうに目を擦る桜華の手を引きながら降りてきた。
「桜華にこれを被せて下さい」
そう言いながら、六郎は黒い布を才蔵に渡した。
「何があったんだ?」
「……先程六助から、連絡があってな。
徳川のもんが、桜華のことをどこかで見たらしく、ここへ来ようとしているらしい」
「は?!
つか、何で六助さんが」
「昨日、桜華を探している最中に、徳川の部下が町の中を歩いていたらしい。話を聞くと、光坂一族の子供がこの町にいるという情報が」
「……幸村がやらかしたんじゃなかったのか」
「……」
その言葉に、六郎は幸村を睨み付け幸村は白を切るような顔を浮かべ、煙管を口に銜えた。
(やらかしやがったぁ!)
「早くしなさい」
「は、はい……」
幸村達が出て行ってから数分後……徳川の部下が、宿へ入り部屋の戸を開けた。だが、中は既に物家の空だった。
「やられた!!」
「早く追え!!
まだそう遠くには行っていないはずだ!!」
馬を走らせる幸村達……
「どこに向かってんだ!幸村!」
「琵琶湖だ!
運が良ければ、甚八達が船で来ているはずだ」
「運に任せるな!!」
「何やらかしたんだよ!オッサン!」
「いやぁ。
狸に軽い冗談を言ったんだが、それがどうも通じなかったらしい」
「何やってんだよ!!」
“バーン”
突然後ろから火縄銃の弾が放たれ、走る馬の足下へ当たり馬は驚き暴れ出した。
「火縄銃か!
清海!伊佐道!」
後ろを振り返り、二人は印を結んだ。
「南無阿弥!!」
「陀仏!!」
手に構えた鉄棍棒を、二人は同時に振り下ろした。すると地面が揺れ、追っ手の地面に亀裂が入りその亀裂に、馬は躓き次々に倒れていった。
「さすが!清海と伊佐道だ!」
「ほれ、急ぐ」
馬を走らせようとした時、突如目の前に二人の忍が降り立った。二人は降り立つと、煙玉を投げた。
玉から忽ち煙が上がり、全員目を瞑った。すると煙の中から、馬の鳴き声と共に馬が走り出した。
「馬が走り出した?!」
「誰の馬が!!」
「鎌之介!風!」
才蔵の命令通りに、鎌之介は鎖鎌を取り出し鎖を振り回し風を起こした。風のおかげで煙は晴れ、才蔵達は目を開けた。
「……!?
大助の馬が消えてる!!」
桜華が乗る馬の隣りにいたはずの、大助の乗る馬と彼が消えていた。
「忍達も消えてる!」
「才蔵!すぐに捜索を!!」
「応!」
「俺も行く!!」
「すぐそこの川辺におる!!」
「了解!」
探しに行った才蔵の後を、鎌之介は追い駆けていった。
駆けていく才蔵の後ろ姿を見つめる桜華……その時、彼女の脳裏に、真助と共に桜を見た時の映像が流れた。
「すぐに才蔵達は帰ってくる。心配することはない」
不安がる桜華に、清海はそう言った。
森の中を駆ける才蔵と鎌之介……すると前方に、馬を走らせる忍達の姿があった。
「見つけた!鎌之介!」
「応よ!
風術風神拳!!」
鎌之介が放った風は、馬達へと当たり風で跳び上がった大助を、才蔵は抱えポーチからクナイを数本放った。忍達は、小太刀を出しクナイを弾き返し地面へと着地した。
「鎌之介!大助を!」
「分かった!」
抱えていた大助を、才蔵は鎌之介に投げた。大助は鎌之介に抱き着き、安心したのか泣き出した。
「惜しい!もう少しだったのに」
「何が惜しいだ!!
人の若君さらいやがって!!」
「だって、しょうがないでしょー。
君等二人を、あいつ等から引き離さなきゃイケなかったんだから」
「?!」
「今頃、俺等の仲間が向かってると思うよ。お前等の仲間の元に」
その言葉を聞いた瞬間、三人の脳裏に幸村達の姿が映った。才蔵は煙玉を投げた。玉はすぐに煙を上げ、姿が見えなくなった隙に、鎌之介は大助を抱え才蔵と共に幸村達の元へと急いだ。
その頃、幸村達は川辺で休んでいた。
岩の上に蹲る桜華……
(……逃げてた時みたいで、才蔵がいないと怖い。
才蔵……)
震える手を桜華は、強く握り辺りを警戒していた。そんな彼女に、幸村は手に持っていた黒い布を羽織らせ、首元にあった紐を結びながら話した。
「心配するな。
才蔵はすぐに帰ってくる。それまでの辛抱だ」
そう言いながら、幸村は桜華の頭に手を置いた。彼女は黙ったまま、小さく頷いた。
「!?」
辺りを警戒していた六郎は、何かの気配に気付き指に寸鉄を付け構えた。彼に続いて桜華も、気配を感じ岩から降り辺りを見回した。
その時、森の木々から無数のクナイが飛んできた。清海と伊佐道は、三人の前に立ち鉄棍棒で地面を叩き、地面の一部を浮かせ防いだ。
「追っ手か?!」
「次の攻撃が来ます!構えて!」
二人を守るようにして、三人は武器を構えた。すると、四方からロープが飛び、六郎達の動きを封じた。
「六郎!清海!伊佐道!」
「これで邪魔者は抑えた」
森から出てくる忍の集団……
「さぁ、そこにいる子供を渡して貰おう」
「渡すわけにはいかん。
この子は大事な者だ」
「……」
「なら、力尽くで奪うまでだ」
クナイを出す忍達……幸村は、懐から扇子を出し桜華を後ろへ隠した。
攻撃を仕掛けた時だった。突然空から無数の爆弾が降り注ぎ、忍達を攻撃した。忍達は爆弾を避けながら、後ろへ下がりつつ上を見上げた。
降り立つ一つの影……
「ろ、六助!」
狐:今回はキャラ紹介するよー。
ではどうぞ↓
名前:由利鎌之介(ユリカマノスケ)
年齢:16歳
使用武器:鎖鎌
容姿:赤い髪に緑色の鉢巻を巻いている。目の色は深緑色。
服装:袖無し腹出しの服に、七分袖の上着を着用。ハーフパンツに足首まであるサンダルを履いている。両手には黒い手袋を嵌めている。