十勇士 作:妖狐
夜……宴会をする幸村達。
「全く、上田に来た理由が単なる宴会をやるためだったとは」
「すっかり騙された」
「いいじゃん~。
こうやって、愛弟子三人に会えたんだから。まぁ、桜以外は成長してなかったみたいだけど」
そう言いながら、百は才蔵と佐助の間に入り、彼等の肩に自身の腕を乗せながら言った。桜華は、才蔵の膝に座り彼が握ったお握りを食べながら、二人の間から顔を出す百に目を向けた。
「来るなら、連絡を寄こせば良いのに。
水臭いぞ、百」
「悪いねぇ。突然来て佐助と才蔵を驚かそうと思ってね」
「何が驚かすだ!!」
「来た瞬間、殴るのが挨拶か!?」
「怒るな怒るな。
俺の軽い挨拶だと思え」
「思えるか!!」
「思えるか!!」
「酷ぇ言われようだな。お前」
焼いたイカを食べながら、鎌之介は才蔵の隣に座った。
「弟子は成長するなぁ。
昔はさぁ、俺の後に付いてきていっつも『クナイの投げ方教えろ!』とか『どうすれば、早く走れるんだ?!』とか……目を輝かせながら色々聞いてきて、可愛かったなぁ。
頼むから、桜はそうならないでね?」
そう言いながら、百は桜華を自身の膝に乗せた。
「テメェはいい加減、弟子離れしろ!」
「う~ん……時が来たら、離れるよ」
「離れろ!!」
「しかし、まさか桜華も百地の弟子だったとはなぁ」
「二年半俺の元にいて、ちょちょいっと教えたんだ」
「そういや、基礎は出来てたって言ってたが、本当なのか?」
「あぁ。
クナイ持たせたら、一発で的のど真ん中に命中。走り方もちゃんとしてたし……特に良かったのは、刀だね。
刀裁き、あれはプロ級だよ。相当過酷な稽古をしたように見えたよ」
大助の元へ行く桜華の背を見ながら、百はお猪口に入っていた酒を飲んだ。
「プロの刀使いなら、真助と一度手合わせしてみれば良い。あ奴は強いぞぉ」
「忍十人を相手にするくらいですから、当然です」
「ん?佐助、随分素直だねぇ」
「半蔵の襲撃があった時、真さんが先に全部片付けてたから、拗ねてんだよ」
「そういう貴様は、半蔵にぼろ負けだっただろ?」
「余計なこと言うな!!」
「ア~ララ、半蔵に負けちゃったの?お二人さん」
「負けたのは、才蔵だけです」
「お前もだろ!!」
騒ぐ才蔵達……
その間、大助と桜華は近くに生えていた桜の木の傍にいた。
「いいよなぁ、大人は。
お酒が飲めて」
「飲めないの?お酒」
「だって……まだ、子供だもん。
てか、桜華だって飲めないじゃん!」
「……飲めるし」
「え?!飲んだことあるの?!」
落ちている桜の花弁を眺めながら、桜華は思い出した。
持つお猪口に注がれたお酒……不安げに見る自分に、隣に座っていた女性は、微笑みながら頷いた。自分は逆隣りにいる男性に目を向けた。男性も笑い、自分の頭を撫で頷いた。二人の顔を見た自分は、お猪口に注がれたお酒を一口飲んだ。
すると傍に生えていた桜の木から花弁が舞い落ち、お猪口のお酒の上へ落ちた。
その記憶を思い出した桜華は、顔を上げ桜の木を見上げた。
「何だ?何か、思い出したか?」
そう言いながら、百は酒瓶を手に桜華の肩に自身の腕を乗せた。
「百」
「お前さん、桜の木見ると必ず記憶が蘇るよな?
記憶が無いって言ってるけど」
「……記憶無くしたのと、何か関係あるの?」
「さぁなぁ……
それは、お前さんが見つけるしかないよ」
その時、風が吹いた。風は皆の髪を靡かせ、そして桜の吹雪を起こした。
舞う桜の花弁を眺める桜華……ふと、どこからか声が聞こえた。
『淒ぉい!
母さん、桜吹雪凄いよ!』
『そうねぇ』
『今日は風が強いから花弁、全部散っちゃうんじゃないかな?』
『散る?』
『花弁が全部落ちて、葉っぱだけになるの』
『え~!嫌だ!
このままが良い!』
『そう言われても……
また来年になれば、桜は見られるよ』
『……』
『それに、桜は桜華の花よ。
桜は毎年、春になったら咲くわ。だから、また来年ここへ来て三人一緒に桜を見ましょう。桜華』
楽しく笑う声と共に、桜の花弁が舞い落ちた。落ちた花弁は、眠っていた桜華の顔へ落ちた。彼女の傍にはレオンや大助達も眠っていた。
眠ってしまった大助を、幸村は抱き上げた。
「全く、いくつになっても子供だわ」
抱き上げた大助を、六郎に渡し幸村は席へ戻った。六郎は大助を抱き直し、先に部屋へ戻った。
「本当、クソガキだな」
「そう言うな。
儂が逝ったら、次はあ奴が大将になるんだぞ?」
「先が思いやられる……」
「デカい口が叩けるようになったねぇ?」
「才蔵!俺∀ℵ∃∂」
「何言ってんだよ!!お前は!!」
顔を赤くした鎌之介は、空になった酒瓶を手に才蔵に抱き着いてきた。
「お前、酒飲んだな!」
「応!飲んだ飲んだ!」
「やっぱり……」
「某達は、先に休ませて貰います」
「えぇ!!もっと飲もうぜ!十蔵!」
「お主も早う寝ろ!」
「嫌だ!俺は才蔵と寝る!」
「気色悪いこと言うな!!」
「お前はさっさと寝ろ!」
「イーヤーダ!」
才蔵にしがみつきながら、鎌之介は佐助と十蔵を睨んだ。
「……ハァ。
もういい。某は先に休む」
「拙僧達も」
「お先です、幸村様」
一礼すると、三人は部屋へと行った。すると、レオンは目を覚まし大きいあくびをし体を伸ばした。レオンの胴に頭を乗せ寝ていた桜華は、眠い目を擦りながら起きた。レオンは、まだ飲んでいる甚八の膝に頭を乗せ咽を鳴らした。
「気の変わりやすい猫だな」
「自由気ままは、甚八そっくりだ」
「うっせぇな!」
「甚八が騒ぐから、桜華の野郎が起きたじゃねぇか!」
「俺のせいにすんな!クソガキ!」
「ガキじゃねぇし!!」
「鎌之介、うるさい」
「ほら見ろ、桜華に言われてるぞ」
眠い目を擦りながら、桜華は才蔵の隣に座り彼に凭り掛かり、また眠りに着いた。
「寝るなら、布団で寝ろ!」
「ガー」
「お前もか!?」
眠る桜華……彼女が下げていた青い勾玉が、青く光っていた。その光に百は、彼女の首に下げていた鎖を手に取り、勾玉を見た。
「ありゃ、まだ持ってたのか」
「?何か知ってんのか?」
「桜が俺の弟子になって間もない頃、話してくれたんだ……微かに覚えてる記憶を」
「え?」
「五歳の頃、何かの儀式の時に貰ったって……」
「儀式?」
「詳しいことは知らないけど……
母親に強く言われたみたいだよ。絶対に外したりするなって」
「……」
「六助さん、何か知らないんですか?」
「儀式……
そう言えば、蓮華も桜華と同じ物を首から下げていた」
「同じ物?
桜華が下げてる勾玉と同じ物を、母親が下げてたのか?」
「はい。
詳しいことは知りませんが……彼女には強い力が封じられていたと、噂で聞いたことが」
「強い力……」
考え込む幸村……
百は桜華の勾玉を見ながら、酒を飲み続けた。
狐:キャラ紹介するよー。しかも二人!
ではどうぞ↓
名前:三好清海入道(ミヨシセイカイニュウドウ)
年齢:30歳
使用武器:鉄棍棒。
容姿:丸坊主の頭に白い布を巻いている。手には数珠を巻いている。目の色は焦げ茶色。
服装:上半身が裸でその上から白い長袖の上着を着ている。下は白い長ズボンを穿きに草履を履いている。
名前:三好伊佐入道(ミヨシイサニュウドウ)
年齢:25歳
使用武器:鉄棍棒。
容姿:明るめの茶色い髪を耳上で結い、その上から白い布を巻いている。目の色は焦げ茶。
服装:黒い僧侶の格好をしている。足には黒い下駄と足袋を着用。