十勇士   作:妖狐

29 / 65
“ドン”


「痛て!」


手に持っていた木刀を落とし、大助は地面に尻をついた。


「油断しないで下さい!

もっと相手の動きを見て」

「そ、そんなこと言われたって!

佐助、強過ぎるんだもん!!」

「これでも、力は抜いている方だ」

「もう少し抜いてよ!」

「これ以上抜いたら、稽古にならん!!」


怒鳴られた大助は、泣き出した。その声に、離れた場所で刀を振っていた六助と桜華は、顔を見合わせ大助の元へと行った。


「あ~あ、泣かしやがった」

「っ」

「どうすんだぁ」

「貴様は黙っていろ!!」


「何泣いてんの?」


やって来た桜華は、才蔵の隣に座りながら質問した。


「猿が強過ぎて、大助の野郎が泣き出したんだ」

「大助の奴、まだガキなんだからもう少し力抜けよ」

「これでも、抜いている……(これ以上、俺にどうしろって言うんだ)」

「そういや、桜華って確か刀使えたよな?」

「うん、まぁ……」

「相手すれば?」

「え」

「だって、見た感じ桜華って大助とあんまり歳変わんねぇだろ?」

「確かに……」

「大助だって、佐助より桜華との方が良いよな?」

「う、うん……」

「大助様!?」

「という事で、桜華!早く相手!」


鎌之介に押され、桜華は前へ出された。佐助から木刀を受け取りながら、彼女は渋々大助の前に立った。

大助は、少々怯えた様子で木刀を握り構えた。


「……攻めてきて」

「え?」

「先、攻めて」

「でも……」

「いいから」

「……分かった」


足を前に出し、大助は木刀を振ってきた。桜華は難なく、その木刀を払い避け大助の頭を軽く叩いた。


「……」

「う、嘘……」

(さすが、蓮華の子だ)

「足がなってない。

相手の動きをもっとよく見て。あと刀の稽古するなら、先制攻撃した方が良い。

大助はまだ、刀に慣れてない。刀に慣らしてから、本格的な組み手をやればいい」

「……」

「スゲェ……」

「佐助より、桜華の方が教えるの美味いんじゃねぇのか?」

「……お、俺は小太刀専門だ!」

「小太刀も、刀の一種だけど」

「……」

「どうした?猿?

何とか言ったらどうだ?」

「うるさい!!」


やってきた少年達

その日、雨が降っていた。上田を見下ろせる丘から、三人の子供が見下ろしていた。

 

 

「本当にいるの?桜華が」

 

「間違いない。六助が一緒にいた」

 

「あんまり、行きたくないなぁ」

 

「アイツ等より先に、早く俺等が桜華を保護しなきゃいけねぇんだお。文句言うな」

 

「……」

 

「説得は、アンタに任せるわ」

 

「分かっている」

 

 

 

城……

 

大助は清海達と共に自身の部屋で、勉強をしていた。才蔵達は、それぞれの部屋で武器の手入れをしており、桜華は才蔵の傍で佐助の鼬と遊んでいた。

 

 

「?」

 

 

何かの気配を感じた、才蔵達は動かしていた手を止めた。同じように気配を感じた桜華は、才蔵にしがみつき怯え出した。

 

 

「何だ、この気配……」

 

「……すぐ近くにいるわね」

 

「……才蔵」

 

「分かってる。

 

桜華、来い」

 

 

しがみついていた桜華を立たせ、才蔵は別室へと行った。

 

 

 

庭へ降り立つ三人……地面へ足が付くと、突如草が生え彼等を拘束した。

 

 

「何者です?!」

 

「教える義理はない」

 

 

そう言うと、猫の面をした者が指を動かし、風を出した。風は三人の草を切り裂き、動きが取れるようになった。

 

 

「風使い?!」

 

「長居は無用……

 

光坂桜華を出せ」

 

「!!」

 

「ここにいるのは分かっている」

 

「何者だ……」

 

「そこにいる、六助に聞けば分かるだろう?」

 

「?!」

 

 

既に庭にいた六助に、六郎は目を向けた。そんな彼等の様子を、佐助達は屋根の上から武器を構え眺めた。

 

 

「六助、この者達は」

 

「……光坂の生き残りです」

 

「?!」

 

「皆、面を外せ。

 

この者達は、そこいらにいる殿達とは違う」

 

「……」

 

 

六助の言葉に、互いを見合いながら皆面を外した。面の下から現れたのは、桜華と同じ赤い目だった。

 

 

「騒がしいと思えば……客人か」

 

「若……」

 

「中へ入れ。

 

話をしよう」

 

「……」

 

 

 

某所……

 

 

社から出る黒いマントに身を包んだ女性……彼女に跪く半蔵達。

 

 

「時は来た。

 

半蔵、間違いなくあの子は上田にいるのね?」

 

「確かです」

 

「そう……

 

 

さぁ、行きましょう。伊佐那美の子を迎えに」

 

 

雷が落ち、辺りが光った。その時、社から出て来た女性の目が赤く光っていた。

 

 

 

蝋燭の明かりが灯る座敷牢の中、桜華は戸の前に座り才蔵の羽織の裾を掴み怯えていた。

 

 

「ここにいれば、安全だ」

 

「……」

 

 

「保護しに来た?!」

 

 

幸村達の前に座り、紺色の髪を生やした少年の言葉を幸村は繰り返し言った。

 

 

「何で今頃になって、迎えに何か来たんだよ」

 

「捜してたの……やっと見つけて、迎えに来たの」

 

「けど、光坂の人達って皆死んだんだろ?

 

何でお前達が生きてるの?」

 

「伊勢に行ってた」

 

「伊勢?」

 

「僕等は選ばれた子供……

 

力を使い熟すには、知識も必要。そのために伊勢へ行っていた」

 

「選ばれた子供?どういう意味だ?」

 

「六助、お主は何か知っているのか?」

 

「いえ……何も」

 

「もう話はいいか?

 

早く、桜華を出せ」

 

 

「そりゃあ無理だ」

 

 

襖を開けながら、才蔵はそう言った。

 

 

「才蔵……」

 

「お前等の気配を感じ取った桜華は怯えてる。

 

怯えてる本人を、お前等に渡せるか」

 

「……」

 

「なぜそこまでして、桜華が欲しいの?」

 

「……それは」

 

「陸丸(リクマル)!余計なこと、言わない!」

 

「っ……」

 

「渡さないというのなら、こちらにも考えがある」

 

 

紺色の髪の少年は立ち上がり、手から火の刃を出し幸村に攻撃しようとした時だった。背後から雷が放たれ、少年はその雷を背中に当て、そのまま倒れてしまった。

 

 

「そんな弱っちい技で、殿方を殺そうなんざ百年早いんだよ」

 

「甚八!」

 

「妙に騒がしいから来てみりゃ、何だ?このクソガキ達は」

 

「光坂の生き残りだ」

 

「へ~、生き残りねぇ」

 

「あれ?甚八、レオンは?」

 

「桜華の所だ」

 

「(桜華?)どこにいるの?!教えなさいよ!」

 

「教えるわけねぇだろ。

 

何考えてるか分からねぇ連中に、レオンのお気に入りのガキを渡せるか」

 

「っ……」

 

「……!

 

優、あいつ等が近付いてる!!」

 

「!?

 

早く桜華を渡せ!!大変なことになるぞ!!」

 

「あいつ等って、誰のことだ?!」

 

「僕等の里を襲った敵です!

 

桜華を狙って、こっちに……!

 

 

来た!」

 

 

“ドーン”




狐:今回もキャラ紹介!

では、三人どうぞ!


名前:望月六助(モチヅキロクスケ)
年齢:不明
使用武器:弓、小太刀。
容姿:灰色の髪に黒い瞳。右頬に火傷の跡がある。
服装:紺色の旅人服に身を包み、その上から武田の家紋が刻まれたポンチョを着ている。手には籠手を嵌め、服の下には甲冑を着けている。


名前:真田幸村(サナダユキムラ)
年齢:不明
使用武器:扇、刀(滅多に使わない)
容姿:焦げ茶色の髪を結っている。目の色は茶色。
服装:着流しに羽織を羽織っている(兄の前では袴を着ているが、それ以外はほぼ着流し)


名前:真田大助(サナダダイスケ)
年齢:12歳
使用武器:刀(まだ稽古中)
容姿:橙色の髪に茶色の目。
服装:黄緑色の七分袖の服に、黄緑色のズボンを穿き、西洋のブーツを履いている。
刀の稽古の時は、袴を着ている
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。