十勇士 作:妖狐
城へ戻ってきた桜華達……帰路を歩いている最中、空達はずっと桜華の周りを駆け回っていた。
「凄い懐きようだな」
「佐助の山犬達は、ここまでじゃないもんね」
「無理もないですよ。
この山犬達は、ずっと彼女を探していたんです。四年……いいえ、もしかしたらその前からかも知れません」
「……そんなに長く離れちゃ、久しぶりに会った時凄ぇ嬉しいもんな」
その時、桜華の後ろを歩いていた青が、突然走り出した。走って行った先には、優之介がおり彼は寄ってきた青の頭を撫でた。
「あの青って山犬、あいつに懐いてる」
「……里にいてまだ幼い頃、二人で見てたんだ。
空達の面倒を」
「だから、あいつに懐いてるのか……」
「……?」
空からゴロゴロと雷の音が聞こえ、大助は見上げた。空は黒い雲に覆われていた。
「凄ぇ雲だな」
「さっきまで、あんなに晴れてたのに」
「早いとこ、中に入ろう」
“ドーン”
突然、大きな音が城中に響き渡った。その瞬間、桜華の頭にある映像が流れてきた。その映像は、光坂の里で見たものと同じだった。
(……玉)
同じものを見たのか、優之介は桜華の方を見た。互いを見合った二人は、もう一度空を眺めた。
翌朝……
「桜華!!一緒に……?」
勢い良く鎌之介が障子を開けたが、中にいるはずの桜華の姿はどこにも無かった。
「あれ?桜華?桜華!」
「鎌之介!桜華、起きてる?」
「それが、いないんだ」
「え?いない?」
気になり、大助は鎌之介の元へ駆け寄り、部屋を覗いた。中は布団が畳んであり、彼女の服も無く刀も無かった。
「本当だ……いつもなら、まだ寝てるのに」
「だろ。
どこ行ったんだ……?」
庭の方に目を向けると、そこには椿と屋根の上から陸丸が飛び降り、彼女の元へ行くと首を左右に振っていた。
「……なぁ!!そこのクソ女ぁ!!」
「?」
「桜華の奴、知らねぇか!!?」
「知らないわよぉ!!それより馬鹿男!!優知らない!?」
「知らねぇよ!!クソ女ぁ!!」
「ならいいわよ!!馬鹿男!!」
「誰が馬鹿だ!!クソ女!!」
「今頃!?」
「誰がクソ女よ!!馬鹿男!!」
「こっちも!?」
二人が言い争っていると、背後から才蔵と六助が現れ二人は同時に彼等の頭を叩いた。
「うるせぇよ!!朝っぱらから!!」
「ここでは、その様な口を利くなと申したはずですぞ。椿」
「痛ってぇ……お前のせいで、殴られたじゃねぇか!!」
「それはこっちのセリフよ!!馬鹿男!!」
「誰が馬鹿だ!!クソ女!!」
「止めねぇか!!
ったく……?おい、桜華は?」
「それがいないんだ」
「いない?何で?」
「知らない」
「彼女だけじゃない。優もいないんだ」
「え?!あの男もか」
「朝起きたら、布団が畳まれて……
てっきり森の方にいるもんだと思って、森に行ったらいなくて……この辺り探したんだけど、どこもいなくて」
「誰かにさらわれた?」
「大変じゃん!!早く父上に話さないと!!」
「あくまでも例えだ!
六助さん、大助達と一緒に城内の中探してくれ。俺は鎌之介と一緒に猿と氷柱にも頼んで森を探す。鎌之介来い!」
その後、才蔵達は城内と上田の森を隈無く探した。日暮れまで探したが、二人はどこにもいなかった。
「見つかった?」
「いや、どこにも」
「どこに行ったんだ?桜華の奴」
「ねぇ、本当にさらわれたんじゃ」
「俺等にも気付かれずに侵入したとしたら、かなりの手練れだ」
「でも、昨日……あ」
「?どうかしたの?」
「いや……夜中に便所で起きた時、馬小屋の方から何か物音が聞こえて、中覗いたら……
あのデカい山犬二匹に乗って、外に出てく影を二つ見たような気が」
「それを何でもっと早く言わねぇんだ!!」
「それが桜華達だとしたら、山犬は青と空」
「あの二匹の子供がいるかどうか、見てくる!」
急いで馬小屋に行くと、中には空達の子供が伏せていた。
「子供はいるみたいね」
「……大助」
「?」
「俺と氷柱、佐助と鎌之介の四人で桜華を探しに行くと、幸村に言っといてくれ」
手で合図すると、三人は一斉に森の方へ向かった。すると空達の子供は、頭を一振りし立ち上がり、才蔵の元へ駆け寄ってきた。
「あれ?才蔵、いつの間にこいつ等と仲良くなったんだ?」
「さぁな。こいつ等が勝手に懐いてんだ。とにかく、あと頼んだぞ」
「分かった!」
才蔵が駆け出すと、二匹はすぐに彼の後を追い駆けていった。そんな彼等の後を、椿と陸丸は大助達に気付かれぬようにその場から去り、追い駆けていった。
その頃、桜華と優之介は川で一休みしていた。
「こんなにも、上田から遠かったとは……」
「船で二日はかかったからね」
「やっぱり、それくらい遠いのか……
よかったのか?あの才蔵って奴に言わないで来て」
「言ったら、危険だって言って行かせてくれない……」
「……あそこの奴等、本当にお前のこと大事にしてんだな」
「どっかの誰かさん達の違って、私を守ってくれた。
上田に始めて来た時も。この赤い目を見たって、才蔵達は毛嫌いしなかった」
「……」
「急ごう。
多分才蔵達、私達がいなくなったことに気付いて探してるかも知れないから」
「そうだな」
「行こう。
今日中には、この山を越えたいし」
「あぁ」
空の背に乗ると空は走り出し、続いて優之介を乗せた青も走り出した。
狐:こいこい!!
甚:ダァー!!負けたぁー!!
大:狐、花札強いね!
狐:まぁね!
鎌:狐!今度は、俺と勝負だ!
狐:いいよ。
大:あ!ズルい!
オイラもオイラも!
六:駄目です!!
そんな遊び、早すぎです。
大:え~!!
鎌:いいじゃねぇか!六郎。
六:駄目なものは駄目です!!
才:何遊んでんだ!!お前は!!
猿:何遊んでんだ!!貴様は!!
狐:わー。才蔵と佐助が怒ったー。
才:何だよ!!その反応は!!
狐、お前どうした!?
狐:私はいつも通りですよ~。
猿:いつものお前じゃない!!
狐:え~。いつもの私ですよ~。大丈夫ですよ~。
氷:駄目だわ。完全に疲れ切ってるわ。
幸:余程、仕事が忙しいのか……
望:仕事というより、学校じゃないですか?
清:忙しい中、この小説を書いておるのか。偉いぞ!狐殿!!
伊:そうでもないですよ。
学校と仕事が忙しいのは事実ですが……
普通に夜中に、ゲームやってちゃおかしくなりますよ。
狐:さてと、仕事仕事。
才:狐ぇ!!
猿:狐ぇ!!