十勇士 作:妖狐
人はいつも、争いだ……一度、この国を滅ぼすか。
『蘇るというのであれば、この私久久能智神にお任せを』
丘を登り切り、滅んだ里を見下ろす桜華達……
「四年振りに来た……
あの日以来、もう一度見るのが恐くて」
「私はついこないだ、才蔵達と来たばかり。
ま、あの時は記憶無かったけど」
「……」
「行こう。
早くあの玉を見つけて帰ろう」
空を走らせ、桜華は先に里へと向かった。彼女の背中を見ながら、優之介は青の頸を撫でて走り出させ後を追った。
その頃才蔵達は、桜華達が休んでいた場所で一休みしていた。
「つ、疲れたぁ……」
「み、皆さん速過ぎです」
「あいつ等に追い着くには、これくらいスピードを……って、何でお前等もついて着てんだよ!!」
陸丸と椿を睨みながら、才蔵は二人を怒鳴った。
「城にいなさいって、幸村様から言われてるでしょ。すぐ帰りなさい」
「嫌よ!
こっちだって、二人の事は心配なんだから」
「へ~。一応、心配してんだ」
「!」
鎌之介に言われた椿は顔を真っ赤にして、そっぽを向いた。
「しかし何故、桜華は才蔵ではなくあの優之介だっけ?あいつを連れて行ったんだ?」
「知らねぇよ」
「嫌なことしたんじゃないでしょうね?」
「してねぇよ!!」
「じゃあ何でだ?」
「だから知らねぇって!!」
「同じものが見えるからだよ。多分」
「同じもの?」
「優と桜華、昔から同じものが見えてたみたいだから」
「二人で何か、難しい話してたからねぇ。昔から」
「何か才蔵と佐助みてぇだな」
「断じて違う!!」
「断じて違う!!」
「忘れたの?椿」
「?」
「二人は許婚同士。だから気が合うんだよ」
「そういえば、そうだったわね(すっかり忘れてた…)」
「そうかそうか!許婚同士か……
えぇ!!?許婚同士!?」
「許婚同士!?」
陸丸の言葉を繰り返しながら、才蔵達は驚き思わず声を上げた。
「あ、あああいつ等、許婚同士なのか!?」
「そうだよ。
優は知識や技術が他の子供と比べて、凄く優れてて……」
「次期長として、桜華の許婚になったのよ」
「え?桜華って、長のガキなのか?」
「強いて言うと、孫よ。
お頭は、蓮華さんの伯父だったから」
「伯父?」
「蓮華さんのお父さん、生まれてすぐ亡くなって……」
「伯父に引き取られたって話よ」
「へ、へー(俺の中では、桜華とあの男が許婚同士ということの方が驚きだ)」
「なぁなぁ、一つ聞いていいか?」
「?」
「桜華の里って、何か宝あったよな?」
「宝?」
「俺が山賊の頃、よく聞いたんだ。
出雲と伯耆の間にある隠れ里には、宝があるって。その宝を売れば、天下が取れるってな!」
「宝……あ」
「?やっぱあるのか?!」
「いや……僕等は噂でしか、聞いたことないんだけど……
四つの勾玉の他に、玉があるって」
「玉?」
「黒い手の平に乗るくらいの大きさで」
「これが全部揃えば、伊佐那美を甦らせるって話」
「その玉、今どこに?!」
「知らないわよ。
噂でしか、聞いたことないんだから」
「その玉が本当にあるって言うなら!」
「早く桜華を連れて帰らねぇと!!」
「休んでる暇ねぇ!!早く行くぞ!!」
「走るのはいいけど」
「アンタ達、走るの速過ぎよ!!」
「修業が足りねぇんだよ!」
「ほら行くわよ!」
空達の子供を先頭に、才蔵達は駆け出しその後を陸丸と椿は追い掛けていった。
その頃、桜華達は里の中へ入り目的である玉を探していた。
「クソ……どこにあるんだ?」
「あと探してないところは、お頭の家だけか……」
「……」
ふと思い出す過去……家の庭で遊ぶ桜華を、お頭は縁側に座り眺めていた。彼女がこちらを向き駆け寄ると、お頭は立ち上がりその場を去った。その時の彼の背中は、どこか寂しそうに見えた。
「桜華、行くぞ」
「あ、うん」
里を見渡せる場に、大門が建ち焼かれた平家へ桜華達は行き、中へ入った。周りはどこも焼かれた跡が残っていた。
「ここも襲ったのか……」
「……!」
その時、どこかの風景が桜華と優之介の脳裏を過ぎった。
どこかの家の中……その中の床下に空洞があり、その奥に小さな社と鳥居が建っていた。
ハッと我に返った桜華は、駆け出しある部屋へ行った。そこはかつて、お頭の部屋だった場所……中へ入り、焦げた畳を退かし床を見た。床には見にくいが、取っ手が付いており、四角く切れ目があった。
「これって……」
「小さい頃、遊び半分でお頭の部屋に行ったんだ。
部屋に行くと、何かいつも畳が動かされた後があったから」
「なるほど」
「行こう。この奥に社が」
「あぁ」
二人で一緒に、床の戸を開けた。開けると階段が奥まで続いており、中は真っ暗だった。
「先に行く。桜華は後ろから」
「うん」
明かりを持ち、優之介は先に階段を降り、その後を桜華は彼の服の裾を掴みながら、ついて行った。
奥に進むにつれ、暗さが更に増していった。しばらく階段を降りていくと広間へと着いた。
前を照らすと、そこには小さな社と鳥居が岩の段に建っていた。
「これか?」
「みたいだね。
?優、社の中」
指差す方に目を向け、優之介は社の中を覗いた。中には手の平サイズの黒い玉と玉の背後に鏡が置かれていた。
「あった……」
「これが、悪しき魂……」
無意識に優之介の手を握りながら、桜華は社の戸を開け中にある悪しき魂を手に取った。
「急いで帰ろう。奴等も血眼になって、探しているかも知れない」
「うん」
腰に着けていたポーチに、玉を入れ桜華は優之介と共に外へ出た。
才:いや~、最近寒くなってきたなぁ。
狐:もう冬ですからねぇ。炬燵が恋しい!
氷:ミカンもね!
狐:温泉に行きたいなぁ。
幸:温泉か。いいのぉ!月の下で熱燗ってのも!
大:オイラ、雪合戦がいい!
鎌:あ!それ俺も俺も!
猿:……何やってんだ?
狐:ん?どうした佐助。恐い顔して。
猿:何で炬燵に入って、ノホホンとしてるんだ!!
氷:そう言うコーナーじゃない。
狐:佐助がキレだしたので、今回はここまで。
読者の皆さん、風邪には気を付けてね。