十勇士   作:妖狐

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相手に隙が出来たら、容赦なく攻撃をしなさい。

敵との戦闘中、必ず隙が出来ます。

落ち着いて……そう。

相手に動きを見られないように動き、そして油断した隙を狙い……斬る!


硝子の華

「ギャァァアアアア!!」

 

 

苦痛な叫び声が、辺りに響き渡った。刃に付いた血を採るようにして、桜華は刀を一振りしながら彰三を見た。彼は斬られた腕を押さえながら、息を切らして彼女を見上げた。

 

 

「さ、流石……真助のガキだな……」

 

「……」

 

「す、凄い……」

 

「流石……真さんと蓮華さんの子」

 

「お前がいなければ……

 

 

お前がいなければ、私は……父さんは」

 

 

目から涙を流しながら、桜華は彰三を睨んだ。

 

 

「お前がいなければ、父さんは里を出ることはなかった!!

 

お前がいなければ、私は閉じ込められることはなかった!!

 

お前がいなければ……いなければ、母さんは死ななかった!!一族だって滅ぶことはなかった!!」

 

 

一つ一つの言葉に、優之介達は下を向き歯を食いしばり、悔しそうに彰三を睨んだ。

 

桜華は刀を振り上げ、そして勢い良く彰三目掛けて振り下ろした。

 

 

“キーン”

 

 

「!!」

 

「!?

 

な、何で」

 

 

二人の間に、才蔵は立った。振り下ろした桜華の刀を受け止め、クナイの先端を彰三の額に当てて立っていた。

 

 

「何で……何で止めるの!!」

 

「……」

 

「意味分かんないことしないでよ!!

 

コイツを殺せば、私は」

 

「……晴れるのか?」

 

「?!」

 

「復讐に満ちたお前の気持ちは、晴れるのか?

 

コイツを殺したところで」

 

「……」

 

「恨みは誰にだってある……

 

お前の気持ちはよく分かる……

 

 

けど、その恨みの塊を消したところでなんも変わんねぇんだよ」

 

「……私は……ただ……ただ」

 

 

刀を落とし、桜華はその場に座り込み手で顔を覆いながら泣いた。

 

才蔵は傷口を抑えながら、倒れ込んだ……その時だった。彰三は隠し持っていた刀を手に、座り込んでいた彼に向かって振り下ろした。

桜華はすぐに、刀を手に座り込んだ才蔵の前に立ち彼の刀を受け止めようと構えた。

 

 

次の瞬間、二人の前に見覚えのある背中が立ち、彼の刀を受け止めた。

 

 

「……と、父さん」

 

 

真助に受け止められた彰三は、すぐに彼から離れるようにして後ろへ下がった。真助は氷柱達の元へ行くと、前を塞いでいた硝子の壁を粉々に砕いた。

 

 

「けっ。いい身分になったもんだな?真助」

 

「口を閉じなさい。君には目を付けていたが……

 

まさか、本当だったとは」

 

「やはり気付いていたか……」

 

「お頭や蓮華達を騙しても、僕を騙すことは出来ないと言うことですよ」

 

「……相変わらず、ウザい野郎だな」

 

 

倒れている才蔵の所へ行くと、真助は彼に声を掛けた。その声に、才蔵は目を真助の方に向けた。

 

 

「真……さん」

 

「もう喋らなくていいです。よく頑張りました」

 

「……」

 

「桜華、刀を貸して下さい」

 

「……でも」

 

「大丈夫です。

 

死にはしませんよ」

 

 

笑みを浮かべながら、真助は桜華の頬を撫でた。桜華は持っていた刀を、彼に差し出した。真助は受け取ると、振り返り目付きを変えて、彰三を睨んだ。

 

 

(凄い殺気……)

 

(本当に真さん?)

 

「……やはり、光坂の落ちこぼれだな?真助」

 

「え?」

 

「光坂の」

 

「落ちこぼれって……」

 

 

彰三は持っていた刀を、持ち直し真助に向かって迫った。真助は、刀を素早く抜き取ると、彼の刀を弾き飛ばした。彰三は悔しそうに刀を持っていた手を見ながら、真助の方を向いた。彼は刀を下げながら振り返った。

 

 

「!?」

 

「……父さん…目」

 

 

振り返った真助の目……普段の青い瞳ではなく、光坂の特徴である赤い目をしていた。

 

 

「どういう事?

 

真さん……まさか、光坂の」

 

「そんなはず……」

 

「真助さんは、ずっと青い目だよ!そうだよね?桜華」

 

「……」

 

「赤い目をしてて当然だ……

 

こいつは、光坂の落ちこぼれなんだからな」

 

「え?」

 

「武田の24武将の一人であった山本勘助……

 

奴は光坂の女とくっつき、そしてそいつに子を産ませた。それが、真助……テメェだ!」

 

「!?」

 

「じ、じゃあ……」

 

「真助さんは……こ、光坂の」

 

「でも、おかしいよ……

 

もし、光坂の血を引いてるなら……何で真助さんは、目が赤くないの?」

 

「だから、落ちこぼれなんだよ」

 

「……薄いんですよ」

 

「?」

 

「光坂の血が……薄かったんです」

 

「……」

 

 

白い空間……そこに立つ幼い頃の自分。周りには誰もいなかった……誰も近寄ろうとはしなかった……

 

 

『あれか、光坂の落ちこぼれ』

 

『光坂の血を引いてるのに、赤い目を持たないなんて……』

 

『忌み子じゃないの?』

 

『母親は?』

 

『生まれてすぐ死んだらしい。

 

それに、父親も』

 

『誰が育ててるの?』

 

『お頭』

 

『頭の奴、何考えてるのか』

 

 

遠い記憶……泣くのを堪えていた自分に、手を差し伸ばしたのは蓮華だった。

 

 

 

下に向けていた目を、スッと上げ桜華を見つめた。

 

 

「光坂にとって、僕は落ちこぼれでしょう……

 

しかし」

 

 

束を掴み勢い良く刀を引き抜くと、真助は光のような速さで、彰三の肩を斬り付けた。

 

 

「その落ちこぼれに負け、仕える側となったあなたに関係ありません」

 

「……父さん」

 

「テメェといい娘といい!!嫌な目付きをしやがるな!!

 

 

もういい!!テメェ等親子は、ここでくたばれ!!」

 

 

空に向かって腕を上げた彰三……その時、空に巨大な硝子の華と無数の硝子の槍が現れた。

 

 

「陸丸!!」

 

 

危険を察した椿は、陸丸に向かって声を荒げた。彼は落ち着かない様子で、空をチラチラと見ながら何かをしようとしていた。

 

 

「駄目だ……陸丸の奴、完全に怯えてる。

 

俺が氷で盾を作る!」

 

「お願い!」

 

「じゃあな……隊長、桜華!!」

 

 

巨大な硝子の花は、二人に向かって落ちてきた。真助は刀を捨て桜華を守るようにして抱いた。




狐:好きな漫画の連載が終わってしまった!!もう駄目だぁ!!

才:何だよ!!藪から棒に!!

猿:試験中じゃなかったのか!?

狐:試験中でも、漫画は読む!

猿:ドヤ顔するな!!
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