オーバーロード~悪魔王の帰還~   作:hi・mazin

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前回のあらすじ

モモンガ「世界征服をする」悪気無し
デミウルゴス「おぉ!」本気にする
サイファー「zzzz」



五話目 正義の味方

 

 

 

なにこれ?

モモンガの部屋に仕事の中間報告に来てみれば、部屋にはセバスが控えておりモモンガは直径1メートル程の鏡の前で何か作業のようなことをしていたが、お世辞にも優雅とは言えず、悪く言うなら不審者っぽい動きをしている。

 

静かに部屋に入ったサイファーは声を掛けようと思ったが、モモンガは鏡に向かって怪しい動きをしており話し掛けずらかったので、近くにいたセバスに軽く挨拶をする事にした。

 

「おはようセバス、今日のモモンガ様の御付きはキミかい」

 

「おはようございます、サイファー様」

 

セバスはピシッとした御辞儀をし、言葉を続けた。

 

「本日は私めがモモンガ様の補佐をさせていただいております、昨晩の様に急に御1人で出歩かれましては私共が対応できませぬゆえ、本日は予定を変更して私めが務めさせて頂いております」

 

執事として立派な振る舞いに見えたが言葉に微妙な棘がある、あと・・・私も一緒に行動していたんだけど

 

内心自分も一緒にいたよって言いたかったが、どうやらモモンガさんが共無しで動き回ったのがばれているようでそれで少し怒っている様に感じる

 

セバスのモモンガさんに対する態度は一言で言えば、たっち・みー様を思い出させる、

よくこんな風に睨まれていたなぁ

 

セバスとの会話もそこそこに、机に持ってきた資料を置き、セバスの怒りが飛び火しないように鏡とセバスに気をとられこっちに気づいていないモモンガをしり目に部屋から立ち去ろうとしたが、やはりモモンガの行動が気になる

 

「セバス、モモンガさんは何をやっているんだ?」

 

サイファーは椅子に座っているモモンガを指さし、ずっとモモンガさんに付いているだろうセバスに聞いてみた。

 

「はい、モモンガ様は昨晩より遠隔視の鏡をナザリックの警戒網作成に用いるため仕様状態を確認するため思考錯誤を繰り返しております」

 

「へぇ~あんな微妙な物でも使えるのかね~」

 

攻性防壁で反撃されて部屋が滅茶苦茶にならなければいいけど・・・ん、昨晩から?

 

「セバス、モモンガさんは部屋に帰って来てから休みや食事は取っているか?」

 

「いいえ、部屋に御戻りになられてからずっと遠隔視の鏡を使用しております」

 

このバカ骸骨め・・・人には休め休めってすすめる癖に自分が休んで無いじゃないか

 

モモンガの仕事中毒ぷりに少しの呆れと怒りが沸いてきた

 

「ちょっと、モモンガさん!」

 

「うわっ! いきなり大きな声を出さないでください、てか、何時から居たんですか」

 

思った通り集中していたモモンガはサイファーが部屋に入って来たことに気づいていないようだった

 

「ずっといたよ・・・アイテムの途中経過の資料は机に置いてますからね、でもまずは作業を中断して食事に行きますよ、せっかく食べれる様になったのに宝の持ち腐れですよ」

 

「いや、ちょっと待って下さい、あと少し、あと少しで上手くいきそうなんです」

 

そう言ってモモンガは遠隔視の鏡に向きなおったが・・・

 

「ええからブラック企業並の仕事量を減らして休めよ、お前が休まないと部下が休めないだろうが」

 

サイファーは少し強引にモモンガの襟首をつかみ引っ張っろうとした時

 

「おっ! なんだか上手くいったようだぞ」

 

モモンガは上手くいったことに歓喜の声をあげサイファーに笑みを浮かべた

 

「おめでとうございます、流石はモモンガ様、何も手掛かりの無い状態からここまで自在に操作できる様になるとは」

 

「なんかわからないけど、取りあえず、おめでとうモモンガさん・・・さ、食事休憩に朝風呂に行こうか」

 

セバスは感歎の言葉をかけ、サイファーは早く終われよって顔に出てたがモモンガは再び鏡に向き直った

 

「サイファーさんも隣に座ってくださいよ、これから本腰を入れて人のいる場所を探すんですから」

 

「人の話聞いてた?、まぁしょうがないですね、セバス、メイドにお茶とお菓子を二人分用意するようにお願いします」

 

そう注文するとサイファーはモモンガの横に腰をおろした。

 

「畏まりました。しばしお待ちを」

 

そう言うとセバスは行動を開始した・・・かと思えばサイファーが遠隔視の鏡について軽くレクチャーを受けているうちに用意は完了していた

 

「さてモモンガさん、お茶でも飲みながらじっくり腰を据えますか」

 

サイファーはTVでも視るように鏡に映る風景を楽しみながらお茶に手を伸ばした。

 

やがてどこかの村らしき光景が鏡に映ったが、あわただしい様子で村人が走りまわっている

 

「なんか皆慌ててますね・・・あっセバス、クッキーおかわり」

 

鏡に映る光景にさして興味がもてないサイファーはお茶を楽しみ、モモンガは村の風景を拡大してたら急に不機嫌になっていた

 

「どうしたんですかモモンガさん?、なにか嫌なものでもありました」

 

カップに残っていたお茶を飲み干しモモンガに尋ねた

 

「これですよ」

 

「ん? どれどれ、っお!」

 

鏡に映っていたのは村人とおぼしき人々が全身鎧に身を包んだ騎士風の人間に無抵抗に殺されていく様子だった

 

「どう致しますか?」

 

セバスが静かにモモンガに尋ねてきたが、モモンガは少し考え、サイファーは笑みを浮かべている

 

「見捨てる。助けるメリットがないからな」

 

「何言ってんです、これはチャンスですよ、助けに行きますよ、モモンガの旦那」

 

「何を考えているんですかサイファーさん! わざわざ問題ごとに首を突っ込んで何かメリットがあるんですか」

 

「勿論ありますよ」

 

そう言うとサイファーはティーカップを机に置き立ち上がった

 

「まず、この村を襲っている騎士っぽいの奴らは自分達の腕試しに使えます」

 

「そんな、危険すぎますよ、この世界で俺達が本当に強いか分からないのに」

 

モモンガ達はユグドラシルでは最大Lvの100だったがこの世界の一般人だってLv100かもしれない、そんな不確定要素があるのにおいそれと飛び込んでいけないと口にするが、サイファーは首を振り否定した。

 

「だからですよ、不安は早めに潰しましょう、こいつらなら殺しても問題ないし、今なら村人から感謝されるおまけ付きですよ、それに、負けそうになったら見捨てたらいいんですよ、縁もゆかりも無い村ですし」

 

ウキウキと準備運動を始めたサイファーを見て、モモンガはある疑問が沸いてきた

 

なぜ自分たちは人々が殺されているのを視ても何も感じないのだろう、TVで動物や虫の弱肉強食の様子を視てるような、他人事のように心に響かないのだ、自分だけではと最初は思ったが隣の友人も同じ様であるが、一応聞いてみた

 

「・・・サイファーさんは鏡の映像を視てどう思いました・・・」

 

「うん? 最初は興味なかったけど・・・途中から村人を助けるって大義名分のもと自分のスキルの実験ができるって思ったけど・・・何か不味かったですかね」

 

「人間が殺されているんですよ、他になにか無いんですか」

 

「いや別に。俺悪魔だし、モモンガさん骸骨だし・・・」

 

自分が人間であることをすっかり忘れているサイファーはそう言いながら口ごもった、何か不味い事言ったかなと顔に出ていた、モモンガも席から立ち上がりサイファーに近づいた

 

「しっかりしてくださいよ、俺たちは今は異形種ですけど元は人間だったんですよ」

 

「あぁ!、そうでしたね、ヤバいですね、生身の肉体がある分モモンガさんよりその辺は鈍いかもしれないです・・・まぁ、それは置いといて、モモンガさん村に行きたいから適当な所に『転移門/ゲート』をお願いします」

 

「いやいや、まだ行くとは言ってないですよね」

 

話の流れをぶった切り『転移門/ゲート』を要求するサイファーにモモンガは呆れながら答えた

 

「えぇ~なんでだよ・・・あ、そうだ、モモンガさん」

 

「今度は何ですかサイファーさん?」

 

「セバスがさっきから静かですけど、ど~したんでしょうね」

 

そう言ってセバスにモモンガの注意を向けたのはたんに自分では説得に時間がかかり村人襲撃イベントに間に合わなくなる恐れがあったためセバスに説得してもらおうという魂胆だ。

彼の創造主はたっち・みーさんだし、恩のあるモモンガさんは彼の意見は無碍にはしないだろうと思ったからだ

 

「誰かが困っていたら助けるのは当たり前か・・・」

 

モモンガさんの口からたっち・みーさんのよく言うセリフを口にしたのを聞いたサイファーは自分の意見が採用されると確信した

 

「セバス、ナザリックの警備レベルを最大限引き上げ、アルベドに完全武装で来るように伝えろ。ただし、真なる無は所持させるな、あと隠密能力に長けた後詰の者を準備せよ」

 

「畏まりました。しかしモモンガ様の護衛はいかがいたしますか」

 

「なにを言っているんだセバス、モモンガさんを守る盾はここにいるだろう」

 

サイファーが笑いながらモモンガの前に陣取った。

 

「そういう事だセバス。では行きますよサイファーさん、腕は鈍ってないでしょうね」

 

「大丈夫です。検証の結果『常時発動型特殊技術/パッシブスキル』も『特殊技術/スキル』も問題なく使えますよ」

 

「頼りにしていますよサイファーさん。では、『転移門/ゲート』」

 

「では、先に行って後衛職の安全をある程度確保しますね」

 

そう言ってサイファーはゲートをくぐりこの世界初の戦場に向かった

 

 

 

 

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エンリの住むカルネ村は王国の辺境にあるごく普通の小さい村であり年に数度徴税の役人がきたり村の近くの森に薬草を採取する薬師以外は特別な人は来ない静かな村であった

 

だが、そんな平穏な村はもう戻ってこない、突然現れた騎士によって村人たちは殺され、父は騎士からエンリを守る為抵抗したが、数人の騎士の剣によって斬り殺されてしまった。逃がしてくれた両親のためにも幼い妹――ネムの手を引きながら必死に逃げたが、追いつかれて背中を切られてしまった

 

「せめて・・・妹だけでも・・・」

 

無駄かもしれないが妹を守る様に抱きしめたが・・・何時まで経っても自分を殺そうと騎士たちは動かなかった

なぜと疑問に思い頭を上げて回りを確認し、すぐに後悔した。

いつの間にか二人の近くに恐ろしい悪魔が立っていた。

 

銀で縁取られた、シンプルでありながら気品に満ちた紺色のローブ姿に、人とは思えぬ青い肌に、血の様な赤い髪、左右のこめかみからは金色の大きな角が生えており邪悪な笑みをうかべていた

 

周りを確認した悪魔は騎士達を指さし口を開いた

どの様な呪詛を吐き出すのかと恐れ、妹をさらに強く抱きしめたがその口から出た言葉は意外なものだった

 

「罪なき人々を襲う悪魔どもめ、この私が成敗してくれるわ!」

 

悪魔なのでどのような恐ろしい声かと思ったが、エンリが思っていたより人間らしい声が響く

 

「な、なにを言ってる! 悪魔はお前だろう」

 

悪魔から指をさされ悪魔呼ばわりされた騎士は怒りに声を荒げたが悪魔は気にせず続けた

 

「そうかな、その醜い心、罪なき人々の血で汚れた手、誰が見ても悪魔はお前たちだと思うがね」

 

そう言って悪魔はせせら笑い、その態度にさらに騎士達の怒気が増していき悪魔に切りかかったいった

 

 

 

サイファーは襲い掛かって来る騎士に対して自身の持つ『常時発動型特殊技術/パッシブスキル』と『特殊技術/スキル』を可能な限り発動し騎士たちの攻撃を待ち構えた。

 

サイファーはユグドラシルというゲームでも珍しいしカウンター特化型のタンクであり、受けたダメージを反射し相手にダメージを与える戦法を得意としていた

がそれだけではない、自分からの攻撃手段を極端に減らし反射出来る種類を増やした結果、状態異常によるダメージからフィールドダメージまで、自分の受けたダメージはなんでも相手に反射出来るようになっている

 

そのためHPはトップクラスだがステータスは平均より低く、攻撃手段も通常攻撃位しか無くなっているが馬鹿みたいに高いHPとサイファー自身のプレイヤースキルにより意外にも倒されにくく、集団戦では仲間からの支援と回復によりさらにオチにくい

ゲーム時代、敵対するプレイヤーにヘロヘロに武具を溶かされるか、ぶくぶく茶釜に張り付かれるか、サイファーを攻撃し反射ダメージで自滅するかの三択を迫った時もあるほどである、ちなみに手を拱いていると後衛職から洒落にならない攻撃がまっている

 

 

 

 

 

「えぇ~マジかよ・・・よわっ・・・」

 

サイファーは足元に転がる切りかかってきた騎士の死体を見下ろして呟いた・・・

 

騎士達を最大限に警戒し待ち構えていたが・・・なんて事はなかった。そもそも騎士達の剣はサイファーにとどきもしなかった、自身の持つ『常時発動型特殊技術/パッシブスキル』の『上位物理無効化』と『苦痛なき反撃』により勝手にその命を散らしたのだ

 

『上位物理無効化』はLV60以下の敵からの攻撃を無効化し、『苦痛なき反撃』は自身が相手からの攻撃でダメージを負わないとき固定値のダメージを与えるものであり、ここ数年発動したこともないコンボである

 

 

「・・・え~とこの後どうするんだっけ」

 

あっけなく戦闘が終了してしまいこの後の予定が真っ白になったサイファーはキョロキョロと周りを見渡し二人の女の子が目に入った

 

「そうだった、この子らを助ける名目でこいつらと戦ったんだった」

 

ようやく頭の整理が出来たサイファーは女の子の近くまで歩いていき(通り道にある死体を踏みつけながら)、腰をおろし目線を合わせた・・・勿論笑顔でね。しかし二人はお互いを抱き合い酷く怯えていた

 

二人ともこんなに怯えて可哀想に、無理もないかさっきまで命の危機だったんだ、そう思ったサイファーはなるべく優しそうに声をかけ下級ポーションを取り出した

 

「もう大丈夫だよ、怖い騎士達はいなくなったよ。君はケガをしてるみたいだね、このポーションを飲みなさい」

 

アイテムBoxから大量に余っている回復薬を取り出し、精一杯の笑顔で怪我をした女の子に差し出した

 

「ひぃ」

 

優しくしたのに女の子から短い悲鳴があがる、女の子に拒絶されたショックで心に少しダメージを負ってしまった

転がってる騎士の攻撃より確実に堪える攻撃であった

 

「飲みますから、どうか、妹の命ばかりはお助け下さい!」

 

「お姉ちゃん、ダメ!」

 

「ちょっとネム、離して」

 

「嫌!」

 

ポーションをまるで毒物の様に受け取ろうする姉とそれを止める妹の茶番劇をボーっと見ていたがそろそろモモンガさんが来る頃だろうと二人に声をかけた

 

「なにか勘違いしてるみたいだけど、これは治癒のポーションなんだから早く飲みなよ・・・背中のキズ痛いでしょう」

 

サイファーの言葉に意を決した姉が一気にポーションを飲みほしたら背中の傷は回復したようだ

 

「うそ・・・キズが治った」

 

「いや、そう言ったじゃん」

 

呆れながら姉の言葉にツッコミを入れていたらゲートから誰か出て来るみたいだ

 

「あの、危ないところを助けて・・・」

 

「あ、ちょっと待ってね、もう一人友人が来るから、もうちょい後ろに下がってね」

 

お礼いを言いかけた姉を制し二人を下がらせた

 

やがて禍々しいゲートから黄金の杖を持つ骸骨の魔王が現れ、サイファーは側にいた姉妹に魔王を紹介しようとしたら二人はまたお互いを抱き合いながらへたり込んでしまった

解せぬ

 

 

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