神機を預け、扉から外に出る。
ロビーみたいなところに出ると、俺はベンチに座ってる子に気づく。
ピンクの髪を三つ編みにし、それをカチューシャのように巻いたボブの髪型に、ミリタリー生地のワンピースを着た子だ。
あの子も、俺と同じ新人か?
少し気になり、俺はその子に近づく。
「どうも」
「え?あ、ど、どうも!」
俺が声をかけると、その子はあわてながら立ち上がり挨拶をしてくる。
「あ、ごめん。行き成り声掛けたりして」
「い、いえ!私の方こそ、ぼーっとして返事に遅れてしまって!」
互いに頭を下げながら一通り誤ると、俺は手を差し出す。
「俺は久住リョウマ。今日からゴットイーターになった新人。よろしく」
「私、台場カノンです。同じくゴットイーターの新人です。よろしくお願いしますね、リョウマさん」
俺の手を握り返し、カノンは笑う。
その後、一緒にベンチに座り、互いの話をしていると、いきなり部屋の扉が開き、凛とした、露出度の高い服を着た女性がいた。
「立て」
行き成りそういわれ、俺とカノンは思わずぽかんとした。
「立て、と言っている!立たんか!!」
「「は、はい!」」
キツイ言葉で言われ、俺たちはあわてて立ち上がる。
「これから予定が詰まっているので簡潔に済ますぞ。私の名前は雨宮ツバキ、お前たちの教練担当者だ。この後の予定はメディカルチェックを済ませたのち、基礎体力の強化、基本戦術の習得、各種兵装の扱いなどのカリキュラムをこなしてもらう。今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。つまらないことで死にたくなければ、私の命令には全てYESで答えろ、いいな?」
「「はい!!」」
「早速メディカルチェックを始めるぞ。久住リョウマ、ペイラー・サカキ博士の部屋に一五○○までに。そして、台場カノンは一六○○までに集まるように。いいな」
ツバキ教官の言葉に俺たちはもう一度返事をする
「分からないことがあれば、私のところまで聞きに来るように」
そう言い残し、ツバキ教官は去っていく。
「こ、怖かった…………」
「お母さんに怒られたときより怖かったよ………」
ツバキ教官に俺たちは恐怖を覚え、身震いする。
「じゃ、俺は時間が近いからもう行くよ。カノン、まだ後でな」
「はい!また後で!」
カノンと別れ、俺はペイラー博士の部屋を探す。
「フム…予想より625秒遅いね……。何かあったのかい?」
「いえ、ちょっと道に迷ってただけです」
目の前にいる眼鏡を掛け、着物を着た男性にそう返す。
「まあ、よく来たね、新人クン。私はペイラー・榊。以後君とはよく顔を会わせる事になるだろうと思うけどヨロシク頼むよ」
「よろしくお願いします」
「ヨハン、先に君の用事を済ませたらどうだい?君も忙しいだろう?」
サカキ博士は手元のパソコンのようなもので作業し始めた。
「榊博士、いい加減に公私の区別をつけていただきたい。」
博士の横に立つヨハンと呼ばれた男性が口を開く。
「さて、適合テストではご苦労だった。私はヨハネス・フォン・シックザールだ。この支部の支部長を務めている」
この声、適合試験の時の人か……
「よろしくお願いします」
「改めて、適合おめでとう。君には期待しているよ」
「彼も元技術屋なんだよ」
サカキ博士が作業を止めて話に入り込んできた。
「なんせ君はあの神機に適合した唯一の存在だからね。ま、これも運命と言う奴かもね」
「貴方がいるから、技術屋を廃業することにしたんだ……自覚したまえ」
「あの、適合試験の時も気になってたんですけど、運命ってなんですか?」
「では、君の神機、黒刀・鬼灯の説明をしよう。あの神機は未だかつて誰一人として適合者のいなかった神機なんだ。そして、あの神機を開発したのは久住カナ。君の母親だ」
俺の母さんが!?
確かに、母さんはフェンリルに勤めてる職員だったってのは聞いたことあったけど、まさか神機を作っていたなんて……………
「君の母親はとても優秀な技術屋で神機開発者だった。本当に惜しい人を亡くした」
支部長は悲しそうにそう言う。
「彼女の開発した神機を彼女の息子が適合者になる。まさに運命さ。期待しているよ」
支部長は俺の肩に手を置き、そう言う。
「君の直接の任務は、ここ極東地域一帯のアラガミの撃退と素材の回収だが……それらは全てここ、前線基地の維持と、来るべき“エイジス計画”を成就するための「この数値は!?」……エイジス計画とは、簡単に言うと、この極東支部沖合、旧日本海溝付近に、アラガミの脅威から完全に守られた“楽園”を作るという計画なのだが「ほほ~っ!?」……」この計画が完遂されれば、少なくとも人類は当面の間絶滅の危機を遠ざけることができるはず「すごい!!これは見事だ!!」……ペイラー、説明の邪魔だ」
「ああ、ゴメンゴメン。ちょっと予想以上の数値で舞い上がっちゃったんだ。しかし、この数値………素晴らしい!」
「ともあれ、人類の未来のためだ。尽力してくれ」
「はい」
「それでは、私は失礼するよ。ペイラー、終了次第データを送っておいてくれ。」
サカキ博士が片手で作業をしながらも手を振って見送る。
「じゃあ、早速メディカルチェックを始めようか。ベットの横になってくれないかい」
「はい」
「少しの間眠くなると思うが、心配しないで良いよ」
「次起きたら自分の部屋だ。戦士のつかの間の休息と言うやつだね。予定では10800秒だゆっくりお休み」