とある槍使いのSAO騒乱記   作:フリムン

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今回、オリジナル設定を少し入れてみました。まぁネタ用なんですけど。


ボス戦

 今回のボスの特徴は支援特化の紙防御。しかし物量がヤバイとの情報があり、さらに先行隊の情報によれば、斬撃、刺突、打撃への耐性バフもあるらしい。

 

 

 ……………無理くね?

 

 全攻撃属性耐性とかなんやそのチート。ビーターやないかい!

 

 

 そんな感じに、無理ゲー感にひしひしと胃がやられているというのに……………だと言うのに、

 

「おい、あれ見ろよ」

「おお、【黒の剣士】と【漆黒の槍士】に、【閃光】と【神聖剣】!」

「トップ四人が揃い踏みとかどうしたんだ今回の攻略は?」

「かなり楽ができそうだな」

 

 ふ、ふぇぇ、回りの皆から向けられる視線が怖いお………。

 

 て言うか、

 

「なしてディアベルはんきてないのん?」

 

 おい軍。おいアインクラッド解放軍(笑)。

 お前ら発見者だろォ!? 責任者が来いやぁ!

 

 なんで、なんで………

 

「ほな、今回はよろしく頼んますわ! フリューゲルはん!」

 

 なんで、代理でキバオウ(モヤっとボール)がきてんだよぉぉ! せめてシンカー来いよ!

 オレこいつ苦手なんだよ! なんか、こう、根本的な部分で合わないんだよなぁ。

 なのにこの人やたらフレンドリーだし、やりづらいったらありゃしねぇ。

 

「お、モヤっとボールはん」

「なんやビーター。喧嘩売っとんのかワレ」

「べぇっつぅにぃぃ?」

 

 あーあ、始まったよ。

 この二人の仲の悪さはやべえよ。顔会わせたら必ずどちらかが喧嘩売るんだよなぁ。

 

 とりあえず口喧嘩を始めた二人の口に、フリューゲル謹製の気付け薬(嫌がらせ用)の瓶を突っ込んで黙らせる。

 ちなみに味パラメータは【辛味】【苦味】【酸味】が振り切ってて、特にバフもデバフも無いという鬼畜仕様。

 

「「ぶぉっふぅぅぁぉぁぁぁあ!!!」」

 

 絶叫を上げてのたうち回る二人と、それを見て大爆笑しているアスナたちをよそに、ヒースクリフと向き合う。

 

「今回のアレはどうする?」

「ふむ」

 

 顎に手を添えて考えるヒースクリフ。

 だがオレ達は決して、攻略の役割分担とかそう言うのを考えているわけではない。

 

 何故かって? そら殆ど欠けずに同じメンツでここまで来たんだ。新参はそのギルドの連中に任せるとして、あとはだいたいアドリブでどうにかなるってもんだ。

 

 

 ………我ながらかなりふざけた事を言ってる気がしなくもないが、事実なんだから仕方がない。

 

「それではフリューゲル、じゃんけん大会でどうだ?」

「それは前回もやったろ。ダイスロール」

「長くなるぞ。くじ引き」

「不正が疑われそう。コイントス」

「それだ」

「なら決定ってことで」

 

 こうして決定されたのは、誰が転位門をアクティベートして、周りから持て囃されてアクティベートボーナスという50層から追加されたボーナスを受け取るか、だ。

 

 ボーナス内容はランダムで、外れだと始まりの町でとれる一個5コルの木の実だったりする。

 それが当たったときのエギルと来たら、前回オレが【全クリスタル10個入りパック】を当てたもんだからその落差にたったまま気絶していもんだ。

 

 その間に、エギルの店にぼったくられたプレイヤー達が三日間は消えないマーカーペンで落書きしていたのはご愛嬌。

 けしかけたのはオレとキリトだったが。

 

 

「それでは諸君」

 

 声につられ横を見ると、いつの間にか扉の前に移動していたヒースクリフとアスナが仕事モードの顔で立っていた。

 

「――――狩りの時間だ」

 

 ヒースクリフがそう言った瞬間、辺りが雄叫びに包まれる。

 

 それを見てニヤリと笑うその顔は、彼らが死ぬことなど微塵も心配していないことを如実に物語っていた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 ボス部屋に入ると、心なしかひんやりとした空気が肌を撫でる。

 

「上から来るぞ、気を付けろぉ!」

「エリック、上だ!」

 

 それホントに上から来るやつぅ! ツッコミさせて!

 

 心の中でそう叫ぶと同時に上を見ると、地響きと共に壁が崩れボスが姿を現す。

 

「横からじゃねーか!」

「クライン貴様ぁ!」

「なんで怒られた!?」

 

 ボスが現れた壁から、各種グリフォン(6種)が5匹ずつ現れる。

 今回のボス戦に参加した攻略組は50人。十分対処できる量だが、ここから増えないとも限らない。

 

 となれば、取るべき作戦は一つ。

 

「シュトゥルムアングリフぅぅぅ!!!」

 

 槍を掲げて大声で叫びと、周りから応ッという頼もしい返事が聞こえる。

 

「出たー! フリューゲルのドイツ被れ!」

「よっ、ナイス中二!」

「流石は【漆黒(笑)】だぜ!」

「わーかっこいいー(棒)」

「お前ら攻略か煽りかどっちかにしろよぉ!」

 

 なんなのコイツら! ふざけてるくせにタンカーはタンカーでちゃんとグリフォン押さえてるし、アタッカーたちは怒濤の勢いでボスに攻撃してるし!

 

「オレたちも行くぞキリト、クライン!」

「おうよ、【漆黒(笑)】」

「ああ、いくぜフリューゲル(笑)」

「名前にまで(笑)をつけたキリトは絶許」

 

 軽口を叩きながらも、ちゃんと攻撃を掻い潜り懐に入ったオレは、ソードスキルを叩き込む。

 

「おっほ、流石は紙防御。面白いくらいに削れていくわ」

 

 ほら見てよ、もうすでに一本目の半分切ったもん。

 

 いやぁ、60番代の階層とは思えないほどに楽だなぁ。

 

「ねぇねぇ聞こえる茅場ぁ! 頑張って考えたモンスターがあっさり攻略されるんだけど、ねぇいまどんな気持ち!? ねぇねぇ、今どん………ヘイトこっち向いたぎゃぁぁぁあ!」

 

 ごめんなさい許して茅場様! なんでもするからぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 などとふざけながらも、オレたち着実にボスのHPを削っていった。

 

 

 だが二本目の半分を削りきる頃、ふとタンカーの一人がポツリと一言こぼした。

 

「…………グリフォンども(こいつら)、バフ強くなってね?」

「は?」

 

 その言葉に、隣にいた別のタンカーが声をあげ、考え始める。

 

 言われてみれば、先程まで完全に攻撃は防げていたし、火力にステータスを振っていない自分達でもそれなりにダメージを与えることができていた。

 

 だがそれが今はどうだ?

 確かにダメージは入る。けどそれは先程よりも小さくなり、今も目の前にいるグリフォンはつい一つ前に倒した奴より硬く、強くなっている。

 

 それをタンカーが他のプレイヤーに伝えようとした瞬間、

 

「回避ー!!」

 

 ボスのブレスがタンカー隊に向かって放たれる。

 付与されはのはステータスが軒並みダウンするパラメーターデバフと、運が悪いものはスタンか毒のどちらかに陥ってしまう。

 

「おいおいおいおい、こんなんマジかよぉ!」

 

 スタンを食らってしまった男は、盾を構えることもできずに目の前のグリフォンに無防備な姿を晒してしまう。

 

 冷たい光を放ちながら振り上げられる鉤爪は、グリフォンにかかるバフと自分にかかるデバフも相まって、きっと自分を殺すだろう。

 

「う、うわぁぁぁあ!!」

 

 悲鳴を上げる。

 情けないとは思わない。死ぬのは誰だって怖いのだから。

 

 だが、

 

「だぁぁあらっしゃぁぁぁあ!!」

 

 雄叫びと共に突っ込んできた黒い影によってグリフォンは消滅し、振り下ろされる事はなかった。

 

「ふ、フリューゲル!」

「動けるやつはスタンになった奴を優先して下げろ! それ以外は自力でポーションなりなんなりで回復しろ! ヒース! エギル! お前らはこっちでタンカー隊の援護だ!」

 

 怒濤の如く指示を出す彼の言葉に、全員が弾かれたように動き出す。

 

「アタッカー隊! てめえらケツの穴締めて気合い入れろ! 電撃で片をつけるぞ!」

 

『『応!!』』

 

 普段のふざけきった態度から一変、まるでシリアスな作品の主人公のように真面目な顔つきで槍を構える彼の姿は、そのギャップから相手が男でなければときめいた可能性が微レ存の物であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁぁぁぁあ!! グリフォンが煽ってくるぅぅ!」

「ええい叫ぶなフリューゲル! 鬱陶しいのはわかるがお前が喧しい!」

「黙らっしゃいエギル! お前んとこの店の前に【ピッグスカンクの分泌エキス】撒き散らすぞ!」

「やるなよ!? 絶対やるなよ!?」

 

 ああもう、誰だよボスは自身にバフを掛けないとか言った奴!

 ………誰も言ってなかったわ!

 

 しかもバーが一本減る毎に出てくるグリフォンの数増えてくし、バフもデバフも強力になってくるし!

 

 ラスト一本まで削るのがすんげぇめんどかった。

 

「ラスト! 死に物狂いの一撃、来るぞ!」

「私に任せたまえ!」

「きた! メイン盾きた!」

「これで勝つる!」

 

 HPバーが残り数センチとなったグリフォンの、体全体を使った一撃は、気合いの雄叫びを上げるタンカー隊とヒースの活躍により、被害はほとんどなく、さらにはその好きにデバフ技を叩き込んだ一部のアタッカーによって動きが止められる。

 

「畳み掛けろぉぉお!!」

 

 うぉぉぉお! という雄叫びのもと、皆が皆LAを目指して役割も連携も放り出して欲望のままに一斉攻撃を行う。

 

 欲深い。流石攻略組、欲深い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後、断末魔の声と共にポリゴンと散ったボスの前に、オレたちは武器を下ろす。

 

「やったか!?」

「フラグ立てんなこのやろう」

「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」

「タイミング最悪だな。言うのが遅ぇよ妻帯者」

 

 などと軽口を叩きあう皆の声が聞こえるなか、オレたち、特に自分が最後だという実感があるものは皆、ストレージ欄を穴が開くように見つめている。

 

 

 そして、

 

 

「いよぉっしゃぁぁぁあ!!」

 

 と、歓喜の咆哮を上げたのは一人の落武者。バンダナが面白い味を出している。

 

『『チッ!』』

 

 その瞬間、この場にいる全員の感情が一つになった。

 

「お前らの俺に対する態度厳しすぎない!? ねぇ!?」

 

 だってクラインだもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、予想外の敵の性能によって苦戦はしたものの、一人の犠牲者を出すこともなくオレたちは63層の攻略を完了させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、今回のアクティベートボーナスを貰ったのはアスナだったのだが、その際ガチャで出てきたのが『皆のマスコット、今日も笑顔でゾンビライフ!』でお馴染みの内臓ポロリ系(物理的に)腐女子ヒロインの【ビン子ちゃん等身大フィギュア】だったらしく、泣き叫びながらソードスキルで粉砕されたという。

 

 

 




>>アクティベートボーナス
 オリジナル設定。言うなれば特別ガチャ的なやつ。さらっと出てきてさらっと最後に流される。
 そんなオリジナル設定(白目)


>>ビン子ちゃん
 ゾンビと両手の小指がビンに詰められていることからその名前が付けらた。顔の原型は無いし、セリフも「うー、あー」しか言わないが、そこが可愛いと一部の変態層には大人気。
 謎過ぎるカーディナルのセンス。

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