ネーミングセンスの無さに改めて呆れてしまったorz
緑色の景色。周囲を森に囲まれている。
(ここは?)
若干視界がぼやける中、森の正面奥から、
ー○○、こっ‥。
ー○○、早くい…‥い。
中年の男性と女性が此方に向けて手を振りながら何か言ってる。
所々ハッキリと聞こえないし、顔ももやがかかって分からない。
横を小学生くらいの少女が走り抜けていく。
少し離れたところで止まり、此方に振り向いた。この少女も顔が見えない。こっちに手を出しながら言った。
ー行こうよ。お兄ちゃん。ー
「ん…?」
目を覚ます。白い天井が目に映る。
「知らない天井だ…。」
ネタでも何でもなく、ほんとに知らない天井だった。
体に感じる柔らかな感触から、自分は布団に寝かされているのだろう。
腕には点滴が刺されており、身体も重い。
まるで、首から下が石になったかのようだった。
「目を覚ましたか」
なんとか動く首を左に向けると、織斑先生と篠ノ之瑠璃がこの部屋に入ってきたところだった。
話を聞くと、試合(決闘)は俺の負け。
シールドエネルギーも壁にぶつかった時点で0になっていたらしい。
そして、俺は1日寝たきりだったそうだ。
今の時刻は、20時36分。
原因は、機体の急な加速に身体が耐えられなかったからだそうだ。
その原因でもある機体ユニコーンだが、一次移行に成功して白い装甲で全身を包んだ、全身装甲[フルスキン]タイプのISとなった。
「武装もちゃんとしたのが増えてたので安心してください。そして、機体が変身した件なんですが…」
ユニコーンの単一能力『IS-D』
詳しいことは解っていないらしいが、正式名称『インフィニット・ストラトス・ドライブ』
機体の装甲を展開し、内部にある特殊装甲により、機体の性能を底上げするものということが解っている。
(だけど、あの時俺は……)
「どうした?」
此方のよく分からないと言った表情を見てか、織斑先生が心配してきた。
なんて言おうか、考えていると、
「織斑先生、ここからは私が聞きます。機体に関することなら私のほうが教えやすいです」
篠ノ之瑠璃が織斑先生に告げた。
「……分かった。では任せたぞ」
そう言ってこの部屋、保健室を出て行く。
織斑先生が離れて行ったのを確認して、
「はぁ、敬語ってやっぱり疲れるものね。そう思わない?」
今までとは違う素の言葉で質問してきた。
なんか、馴れ馴れしい。
「ところで、質問なんだけど」
「うん?」
「あなたは、転生者?」
…………………………………………。
なにを言っているか分からなかった。
「え~と、なにそれ?」
「神様に会って転生した人かどうかって聞いてるの」
「それなら、そうだ」
転生者、確かにそのまんまだな。
けどそのことが分かるってことは、
「気づいたみたいだけど、私も転生者よ」
やっぱりか。
「あなた、前世の記憶ある?」
無い、という意味を込めて首を横に振る。
「ビンゴ!一人目で見つかったのはラッキーだったわ」
「一人目って?俺を探してたのか?」
彼女はベッドの近くにあった丸イスを近くへ持ってきて座った。
「えぇ。この世界に転生出来るのは3人まで。そして、私が三人目。つまり、もう転生者は増えない。」
「で?」
「私が転生する際に、前に転生させた二人の内一人が、特典を二つ使わないで行ってしまったから探して欲しい、ってね」
「なんで俺だと?」
「神様が言うには、前世の記憶を失ってしまっている人だったから」
前世の記憶がない俺というわけか。
「で?何の用?」
「特典のことで…」
あぁ、なにか決めろってことか。
今のところないんだよな~。
「こっちで勝手に決めちゃった、って伝えてと頼まれてたの」
オイ!勝手に決められてたのかよ。
まぁ良いか。どうせ無かったし。
「どんな特典?」
一応自分に何ができるのかは、知りたいし。聞いといて損は無い。
「特典は、何か願いを叶えてもらうか、漫画やアニメなどの能力を貰ったりとか、転生後の自分のパラメーターを弄ったりとかかな」
「俺には?」
「二つ使ってパラメーター弄り」
あったか?そんなもの。
いたって普通の人だったけど。
「はい。私の伝えたいこと終わり!
じゃ、帰るね。お大事に~」
「ちょっと待て!?聞きたいことがあるんだった!」
去ろうとしていた彼女はうんざりとした感じで振り向く。
「なに?」
「試合についてだ」
オルコットと戦ったあの試合。
俺は…
「俺は何をしていた?」
オルコットに突っ込んでいったところから覚えていないのだ。
「あぁ、そういえばそうだった!忘れてた、忘れてた」
いや~うっかりしてたな~、なんて言いながら部屋の扉を閉めて、何かを貼り付けてから戻ってくる。
「えっ、何したの?」
「ジャミングの強化ですよ。元々してたんですが、今から話すことはこの世界で生きていくうえで厄介なので」
厄介とは?
「確認しますが、本当に覚えてないんですね?」
「あぁ、覚えてない」
オルコットがふざけたこと言って、それにイラッとして突っ込んでいった。
ここまでしか記憶にない。
「あなたは、IS-Dを発動させてビットをコントロール、その後壁に突っ込んで自爆。簡単に纏めるとこんな感じね」
なる程。…あれ?
「厄介っていうのは?」
「ここからよ。」
表情を真剣なものにして話してくる。
「IS-D。『インフィニット・ストラトス・ドライブ』って言ったけど、あれ嘘」
「なっ!?」
「ホントの正式名称は『インフィニット・ストラトス・デストロイヤー』」
つまり、と前置きし、
「ISを殲滅するためのシステムなの」
「………へぇ」
「驚かないのね」
「そうだな」
ISが主体のこの世界で、ISを殲滅するためのシステムだなんて大変なものなんだろう。
けれど、なんとなくそんな気がしてた。
自分でも何故かは知らないけど。
「まぁ、詳しいことは解ってないのはホントだし、他にある?聞きたいこと」
「あぁ、篠ノ之ってどういうことだ?」
俺の知る篠ノ之は、箒と束さん、二人の両親の四人だけだ。
名字が同じなだけかもしれないし。
でも、気になる。
「そっか。寝てたから知らないんだっけ?」
椅子から立ち上がり、
「じゃ、改めて」
コホン、と一息吐いて、
「篠ノ之束の長女、篠ノ之瑠璃です。これからよろしく!」
………
「えっ?束さんの…娘?」
「イエース!」
えっ?えっ?
「えぇーーーーー!」
絶叫した。
同時刻
青森某所
雑貨ビル四階廃虚バー
バーのドアを開け一人の女性が入ってくる。
「遅かったな。スコール」
カウンターに座りながら彼女に声を掛ける少女。
「速かったほうよ、M。バレないように気をつけすぎたけど」
スコールと呼ばれた女性は、呼んだ少女、Mに返答しながら近くにあった椅子にすわる。
「Rはどこに?」
「お前が遅いから街に遊びに行ったよ」
そう、とスコールは言って黙った。
しばらくすると、
「今戻った」
鮮やかな赤色の髪をした少女が入ってきた。
「スコール来てたんだ」
「えぇ。さっき来たところだけどね。街はどうだった?R」
Rと呼ばれた少女は首を縦に振りカウンターの空いている席に座る。
「AとKとTは恐らく間に合わないわ。M、あの機体動かせる?」
「まだ調整が必要だ」
「わかったわ。じゃあ計画は、Rに頼むわね」
「了解」
「じゃあ解散。行動開始前日までには集まってね」
そう言って出て行く。
残された少女達は、
「大丈夫か?R」
「うん。確認したいこともあるし」
調査対象と書かれたプリントを取り出し、二枚ある写真のうち、一枚の写真に注目する。
「橘結人………」
同時刻
IS学園
生徒会室
「こちらが織斑一夏、橘結人の戦闘記録と提出された機体データです」
眼鏡を掛けた少女が『生徒会長』と書かれた札が置いてある席に座る少女にプリントの束を渡す。
「ありがと、虚ちゃん」
渡された束をパラパラと流し読みしていく。
「接触はいつ頃に致しましょうか、お嬢様」
「お嬢様は止めてって言ってるでしょ。
そうね~いつにしようかしら?」
パラパラとめくっていたプリントをある項目で留める。
部屋割りに関することだ。
「…この橘って子簪ちゃんと同じ部屋なの?」
「は、はい」
妙な威圧感を感じ、返答がうわずってしまっている虚と呼ばれた少女。
「決めたわ。近々、橘結人に接触して、ちょっとお話しましょうか」
まだ、OHANASIではなくお話。
何かしたとは決まってないから。
ぱんっと扇子を開く。
扇子には『取り調べ』と書いてあった。
次は、中華娘登場予定