インフィニット・ストラトス 白き流星   作:朱羽総長

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お久しぶりです。
とりあえずノルマ(?)の1ヶ月に1話投稿はできました。
では、どうぞ!


タッグマッチ!―結―

 

任意でのデストロイモード。

なんか、変な感じだ。

身体は心做しか軽いし、思考もクリアだし、自分が自分じゃないみたいだ。

改めて前を見つめる。

そこには殴り飛ばして、体勢を整えた黒いのがいる。

 

 

(はじめての意識してのこの状態。どこまでやれる?)

 

 

相手は剣を、こちらは拳を構え睨みあう。

相手が動くタイミングに合わせて飛び出す。

 

 

「「……………………」」

 

 

しばらく続く沈黙、そして、

 

 

「…!」

 

 

相手が一歩を踏み出し…消えた!?

 

 

瞬時加速(イグニッションブースト)!?)

 

 

ヤバイ!?と思ったのもつかの間、身体が勝手に、いや、そこに置けというかのように右腕を突き出した。

 

 

 

 

 

メキョリという変な音を鳴らしながら吹き飛ばされる黒いのがいた。

 

 

 

 

 

「はっ?」

 

 

突き出した腕へと吸い込まれるように突っ込んで来た奴は空中へと逃げた。

え、何が起きたの?

動揺してる内にも敵は動き出す。

再び瞬時加速(イグニッションブースト)をするが、今度はその入りを見ていた。

 

 

(…!そこだ)

 

 

右後ろへと回し蹴りを放つと敵の右肩に直撃した。

少し吹き飛ばされながらも距離を取り剣を構えてくる。

 

 

(追える…みたいだな。ちゃんと見てればどこへ来るかも大体わかる)

 

 

これがデストロイモードの性能とでもいうのだろうか。問題があるとすれば、奴の攻撃。瑠璃の機体が一瞬で解かれた所から零落白夜に似た何か、いや、あの刀が雪片だとしたら同じ零落白夜か。

当たれば終わりと考えた方がいいだろう。

 

 

(避け続けても不利は変わらないかな)

 

 

ならば、と攻勢に出る。武装は一つを除いて潰され、頼みのハンマーは投げ捨ててきた。

だが、アリーナの中央付近にある。

 

 

「行くぞ」

 

 

機体を加速させ、黒いの目掛けて突撃する。迎え撃つように片手で剣を横に振るが、その腕を踏み台にし、飛び越える。

すぐに反応して振り返りざまに放たれた一閃が、腰ギリギリを通るのを感じながらハンマー目掛けて進む。

後ろから追いかけて来てるだろう。だが、こっちのほうが速い!

 

 

(もう、届く!)

 

 

だか、伸ばした手はあと一歩の所で止まった。

不審に思うと、脚へと違和感。

そして、強い力で後ろへと引っ張られた。

引っ張られながら後ろを見ると、片手に剣を、片手にワイヤーを握っていた。

 

 

(さっきの背後への一閃の時に、足にワイヤーブレードを!?)

 

 

驚くべきはユニコーンの加速をも無視して引き寄せる馬鹿力。

背中から黒いのに接近していき、やつの刀に背中を斬りつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合を見始めて数分はまともな試合だった。隣の一夏も笑顔が見えた。

けど、ボーデヴィッヒさんの機体が変化してからは両手を握り締め俯いたままだ。

無理もない、彼女の姿は彼のお姉さんである織斑先生の現役の機体。暮桜に酷似していたのだから。

何か思う所があるのだろう。

映像の中で状況が動いた。

結人の機体がボーデヴィッヒさんの一撃をくらい壁際まで飛ばされた。

 

 

「結人!」

 

 

思わず叫んでしまったが、ここからじゃどうしようもない。

焦る僕を横目に一夏が、突然笑い出した。

 

 

「フッ、ハハハ…あぁ、そうだよな」

 

「い、一夏?結人が…」

 

「わかってる。正直あの場所に行ってあの偽物を殴り飛ばしてやりたいよ。けど、」

 

「けど?」

 

「それはもう結人に頼んできた。だからあいつは負けない。そう信じてるから託してきたんだ」

 

 

それはボーデヴィッヒさんとの試合のことだろうか。確かにそんな会話をしたとは聞いたけど、そんな理由で。

 

 

「見てようぜ、あいつならきっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……痛い。

けど、それだけだ。あ、いやシールドエネルギーが減ってる。とは言ってもこの量だと普通に絶対防御抜かれた時のダメージクラスのものだ。

 

 

(解除されるほどの威力はない。常時発動ってわけじゃないのか?)

 

 

とりあえず壁にぶつかって倒れたままだった身体を起こす。

アリーナの中央には黒い奴がいた。

その周囲には包囲するように現れたラファールを纏う教師陣がいた。

一人が合図を出すと、全員が一斉射撃を始めた。

だが、その射撃は黒いのから発生したフィールド…?みたいなモノに消され、さらにそれに触れた機体は吹き飛ばされてく。

 

 

『―聞こえ―か、結――ん!』

 

「ん?」

 

『結人くん、聞こえてますか!?』

 

 

山田先生?

 

 

「はい、聞こえてます」

 

『良かった、ずっと繋がらなくて』

 

 

繋がらない?そういえば、確かに。

 

 

『結人、よく聞きなさい』

 

「瑠璃!避難できたのか?」

 

『あなたが引き付けてくれてる間に箒さんに助けてもらってね。それよりも目の前に彼女がいるわね』

 

「あぁ」

 

 

黒いフィールドみたいなものの中央に立ったままだ。

 

 

『それは恐らくサイコフィールドと呼ばれる現象よ』

 

「どうにか出来ないか?近づいていいのかわからないんだが」

 

『残念ながらあの現象についてはデータが少ないのよ。けど、方法は無くはない。ユニコーンもサイコフィールドを張るのよ』

 

「…ちなみにどうやって?」

 

『ノリで 』

 

「ノリで!?」

 

 

なんて無茶なことを。

そんな軽い感じで出来ないだろうに。

 

 

『イメージしてみて、その機体はそれに応えてくれる』

 

「イメージ…イメージ…」

 

 

身体から放出する感じか?

目をつむり、全身から何かを放つイメージを………。

 

 

「あっ、出来た?」

 

 

身体をうっすらと赤い光の膜のようなものが包んでいた。

多分これで成功のはず。

 

 

『とりあえずそれでいいわ。じゃあ、彼女にそのまま近づいて』

 

 

背中のバックパックが先ほどの一撃でやられておりゆっくりとしか進めないが、あっちも何故か動かない。

そしてサイコフィールド目前まで来た。

 

 

「よし、行くぞ」

 

 

気合いを、入れて踏み込む。

ビリっという感覚と、

 

 

 

 

 

 

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「あ、ぐっ、あぁ…」

 

 

頭の中に流れてくる呪詛、いや悲鳴?と断片的な映像。

それらが延々と流れ、視界が歪む。

その中で見えたモニターのIS-Dの文字が赤から灰色へ変わっていく。

 

 

(…………………)

 

 

誰かの声が聞こえたと同時に意識が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―孤独だった―

 

―落ちこぼれと罵られた―

 

―周り全てが敵だった―

 

―どんなに頑張っても変わらない―

 

―退屈で忌々しい世界―

 

―けど、あの人が来て変わった―

 

―あの人は私を強くしてくれた―

 

―あの人が私の世界を変えてくれた―

 

―あの人には弟がいるらしい―

 

―その緩んだ顔はなんですか―

 

―私が憧れるあなたはそんなのじゃない―

 

 

 

―負けるのか、私は―

 

―いや、まだだ!あの人のような強さを―

 

 

―違う、私が望んだのはこんな力じゃない―

 

―教官、誰か…―

 

 

 

 

 

 

 

 

―たすけて―

 

 

 

 

 

 

 

眩い光を感じながら目を開く。

モニターのIS-Dが灰色から赤へ、そして緑へと変化する。

それと同時に赤い光を放っていた装甲も鮮やかな緑へと変わる。

 

 

「……あの人あの人うるさいんだよ」

 

 

全身から放出される緑のオーラは瞬く間に黒いサイコフィールドを消滅させ、緑色のフィールドを新たに展開させる。

 

 

「お前は助けられたんだ。だけど、それはあの人に依存していい理由じゃない」

 

 

コール。空の右手に武器を呼び出す。

 

 

「他人に自分の理想を押し付けるな。

気に食わないからと初対面の奴を殴るな。

学園のルールはしっかり守れ」

 

 

武器が具現化していく。託された、任されたその重みを噛み締める。

 

 

「まだまだ言いたいことはたくさんある。だから、」

 

 

具現化したのは1振りの実体剣。

名前は『雪片弐型』。

その剣先を彼女へと向ける。

 

 

「必ず助ける!!」

 

 

加速をかける。

剣と剣がぶつかりアリーナに甲高い音を響かせる。

 

相手は後ろへと下がり、一気に距離を詰め直す。

繰り出される剣撃を全て弾き、時折カウンター気味に一撃を放つ。

 

(見える。見えている。全ての攻撃が先読みできる!)

 

 

弾く、逸らす、弾く、返す、逸らす、弾く……。

 

永遠と続きかねない攻防に痺れを切らしたのか、被弾覚悟と言わんばかりに上段に構え、両手で握り締めた剣を振り下ろしてくる。

最大の一撃。

それを察知していた俺は、雪片を両手で握り締め、下からすくい上げるように振り上げる。

 

上と下から放たれたそれぞれの一撃はぶつかり合い、たった一瞬の衝突で相手の剣が砕けた。

 

 

そのままの状態振り上げた剣を、目前の敵に対して全力を込めて振り下ろす。

 

黒い表面が裂け、中から銀髪の少女が外へと倒れ込んでくる。

彼女をしっかりと受け止める。

 

 

「今日のところは勘弁してやる、か……」

 

 

そしてそのまま、意識を失った。

 

 

 

 

 




次で後日談、もとい2巻エピローグをやってオリジナル7割の3巻のお話に入ります。

感想、アドバイス頂けますとありがたいです。
質問などもどうぞ。

ではまた次回。
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