《禁獄の魔女》と《神鳴》   作:遥推しの名無し

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よく考えると遥さんってチート。
紗夜と綾斗が離れる前の実力で紗夜に『綺凛よりもっと強い相手』と言わせるほど。

この二次創作では、遥さんがそれから6年分強化されてると考えていただきたい。光輝くんも大体そんな感じです。


綾斗の空回り

星導館の生徒会室にて。綾斗は、目の前にいるこの部屋の主とも言うべき存在――生徒会長であるクローディアが広げた空間ウインドウを見て絶句していた。

彼女が今開いているウインドウには、丁度遥が成長したような外見をしている紫色の髪の少女と茶色の髪の少年が剣を交える姿が動画として写っている。これは「天霧遥を知っているか」と先程綾斗がクローディアに聞いた時、彼女がキョトンとしながら見せてきたものだ。

 

「……姉さんと……光輝兄さん?」

 

二人の剣戟は、綾斗の目にも止まらぬ程の速度で交わされている。時折二人の純星煌式武装(オーガルクス)がぶつかり合って散らす火花だけしか、綾斗の動体視力では捉えることが出来なかった。だが、両者が一歩も譲らない戦闘を繰り広げていると言うことは分かる。その上、二人の剣戟には、何か惹き付けられるような一体感を感じた。まるで、勝負と言うより一緒に踊っているような――そんな印象を感じる。勿論、音楽の代わりに鳴るのは剣同士がぶつかり合う甲高い音なのだが。

そして、その二人の圧倒的なまでの実力を見た綾斗は確信した。

……彼女は、自分の姉だ。5年前に光輝と共に失踪し、行方不明だとずっと父親から聞かされていた天霧遥だ、と。

 

「クローディア、この動画、いつのもの?」

 

やはり、姉を探して三千里、このアスタリスクまで来たのは正しかったらしい。

つい先程も危うく焼き加減ウェルダンで中までこんがりと焼かれかねる所だったし、このアスタリスクという所は色々大変そうな場所なのは確かだが。決闘を申し込んで来た炎使いの魔女(ストレガ)――ユリスの顔を思いだし、綾斗は苦笑いを浮かべる。

まあ、ひとまずこれがいつのものかを知れば、遥を見つけることはグッと容易くなるだろう。そう考え、綾斗はクローディアに視線を向けた。

するとクローディアは、さも当然のように

 

「昨日ですね。……あの二人の決闘は大人気ですから、よくギャラリーが来るんですよ。星導館の名物と言っても過言ではないでしょう」

「き、昨日!?」

 

綾斗は耳を疑った。

居なくなったのは五年前。この動画は……昨日?

 

ごめん、ちょっと何言ってるか分かんない。

 

思考を放棄しようとする頭を必死に働かせようとしながらも、姉は行方不明になったのではなかったのかと混乱する綾斗に、クローディアは首を傾げる。

 

「あら? もしかして知らなかったんですか? てっきり私は、綾斗がそれを既に知っていてここに来たものだと思っていたのですが……」

「……何をかな」

「お姉さん……天霧遥さんが星導館序列トップだと言うことですよ。因みに知らないようですから教えておきますと、今映っている二人――天霧遥さんと霞ヶ丘光輝さんが前回の鳳凰星武祭(フェニクス)優勝ペアですよ?」

「嘘ぉ……」

 

綾斗は初めて知らされる衝撃的としか言い様のない真実に、乾いた笑みを浮かべることしか出来なかった。

 

 

――――――

 

 

「紗夜は姉さん達のこと、知ってたの?」

 

昼休み、綾斗は6年ぶりに再会した紗夜と折角ということで昼食を一緒に取っていた。

 

「もちろん。多分、アスタリスク内でハル姉たちを知らない人は居ないと思う」

 

食堂の定番メニュー、カレーを口に運びながら紗夜は当然のように答える。因みにこのカレー、スパイスから作っているこだわりの一品らしい。どうでも良いことではあるが。

綾斗は改めて溜め息をついた。

 

「綾斗、どうした?」

「ううん、ちょっと疲れちゃってね……」

「?」

 

キョトンと首を傾げる紗夜に、綾斗は苦笑いを浮かべながらも首を振る。

だが、まさか『行方不明の姉を探してここに来たはずだったのにその本人が平然とここで大活躍していた』なんて言えるわけもない。

 

「あ、そう言えば綾斗。その様子だと知らないみたいだからもう1つ教えておく」

 

そして、そんな意気消沈中の綾斗に、追い討ちをかけるように紗夜の口から新たな真実が告げられる。

 

「ハル姉とコウ兄、既に結婚済み」

 

それを聞いた綾斗はと言うと

 

「ごめん……もう何か色々と勘弁して」

 

綾斗の脳は既に許容限界を迎えていた。

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