《禁獄の魔女》と《神鳴》 作:遥推しの名無し
そして、次の日。
綾斗は約束通りトレーニングルームへとやって来ていた。傍らには、ユリス。……まあ、彼女がついてくるのは分からなくもない。彼女だって
だがしかし。
「紗夜、何でここに居るの?」
「綾斗が決闘すると聞いて」
無表情で、紗夜は隣を歩いていた。……というか何処から聞いたのだろうか。もしかしてと思いユリスの方を見てみるも、紗夜と仲の良くない彼女が教えるはずはないと思い直し、視線を戻す。ユリスもそれが気になったようで、不満そうな表情を隠そうともせずに紗夜を睨んだ。
「誰から聞いたのだ? あそこには私たち四人しか居なかった筈だが」
「情報源を教えるつもりはない」
紗夜のつっけんどんな返しに、少し不満を覚えたのだろう、ユリスが紗夜を軽く睨む。負けじと紗夜も睨み返し、一触即発の事態へと発展してしまった。
二人の間に火花が散り、綾斗は思わず溜め息をついた。
「ん、来たな」
綾斗が精神的な物を理由にする胃痛に悩まされながらトレーニングルームに入ると、そこの中心で静かに正座していた光輝は、片目を開けて綾斗を見た。
隣にユリスや紗夜まで居ることも想定済みだったようで、傍らに立つ彼女達を見ても特に驚かない。
「じゃ、始めるか。お姫様と一戦やったことだし、一応ルールは分かってるよな?」
「まあ、一応は」
「よし、それなら何も問題は無いな……っと?」
そう言って立ち上がった光輝だったが、ふと綾斗の様子を見て首をかしげる。
「
「あ」
そう言えばそうだ。前回のユリスとの決闘の際は、観客である矢吹に貸してもらったのである。綾斗は今更ながらそれに気付き、軽く頭を抱える。
光輝は頭を掻くと「どうすっかな」と呟く。そして、何かを思い付いたようにポンと手を打った。
「あー……。そっか、じゃあこれ終わったら再会記念って事で俺のやつやるよ。この決闘は遥の煌式武装でも借りといてくれないか?」
「分かった」
頷いた綾斗は姉の姿を探して顔を見回せ――
「お姉ちゃんの煌式武装借りたいのうんいいよ貸してあげる全然遠慮することなんてないのよだって姉弟なんだし任せて煌式武装じゃない方が良いなら私の
これを一息である。綾斗の目の前には、弟に頼られそうな気配を嗅ぎ取って何処からかやってきた遥がいた。目の光が消えてる辺り、何か色々とヤバい気配がする。
「あ、うん、いや……ええと……」
綾斗が思わずたじろぐのも、仕方の無いことだと言える。
結局普通に煌式武装を借りた。