赤鬼転生記~異世界召喚・呼び出された赤鬼は聖剣と魔剣を持っていない~   作:コントラス

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閑話――勇者派遣組み合い・談義――

――行ったか。

 

――そのようじゃのう。

 

 

 何もない白の世界で複数の発光体が円陣を組んで話し合っている。

 彼らは意思を持つ上位存在、形ある肉体を持たない思念体だ。

 性別はあるものの、それを今判断することはできない。

 

 

――ふぅ……終わりました。

 

 

 先程、宏壱達と接触していた女神がその円陣に加わる。

 形成した絶世の美女を思わせる肉体は、陵子の怒りの一撃によって消滅させられたため、元の発光体に姿を戻している。

 

 

――さっきのはやりすぎではないか?

 

 

 渋めの男の声が空間に響く。声から察するに、男性体なのだろう。

 

 

――何がでしょう?

 

――惚けるでないわ。先程の女教師への言動じゃ。

 

 

 白々しい言葉を吐く女神に、今度は嗄れた老婆の声が責める。

 

 

――下手をすれば我らは滅ぼされていたぞ。

 

――うぬ。よもやあのような怪物が紛れ込んでいようとは思わなかった。胆が冷える思いであった。

 

 

 男性体Aと男性体Bが更に苦言を呈する。

 

 

――山口 宏壱……ですか。

 

――うむ、幾つもの世界を管理者の手によって転生し続ける超越者じゃ。敵に回せば儂ら神の成り損ないなぞ容易く屠られるわい。

 

 

 宏壱の判断では女神達を殺すことはできない。それに対して、彼らは宏壱を敵に回せば消滅は必至、そう考えている。

 互いの結論に齟齬があるのは認識の違いである。

 

 彼らは超常の存在ではあるが神ではない。老婆の声が言うように神の成り損ないだ。

 理由は多岐に渡るが、一言で言うなら、“格が足りなかった”である。神域へと至るための神格が彼らには足りなかったのだ。

 

 そんな彼らには消滅する未来しかなかった。

 だが、とある世界の神が言ったのだ。「世界間での橋渡し、繋ぎ役が必要ではないか?」と。

 それを担うのが神に成り損ねた彼らだった。

 

 

――今回の派遣世界は問題なさそうじゃの。

 

 

 老婆の声が満足気に言う。

 

 

――そうですね。前回派遣依頼のあった世界は、勇者が魔王を倒すと同時に不穏分子として勇者を処刑しようと動きましたから。まぁ、そうなる前に元の世界に還すことができましたが。

 

 

 前回派遣した勇者はとある世界で魔王を討伐したが、勇者を召喚した国の王は、勇者の人望の高まりが己の立場に悪い影響を与えると見て「反逆の意思あり」と嘘の情報と、偽りの証拠品、証人を用意して捕縛。

 その流れのまま公開処刑しようと動いた。それを察知した勇者派遣組合の彼らが、慌てて強制送還したのだ。

 

 

――勇者を己が欲のために要請する組織が多い、ということだな。

 

――世界の危機であることにかわりはありません……が、問題が解決したその先は、己が欲望のために勇者を利用します。王族、教会、そして世界そのものまでもが……。

 

 

 女神は忌々しい、と憎々しく呟く。

 

 

――ふん、そんなことをしてみろ。魔王や魔神以上の脅威にさらされるぞ。赤き鬼の、な。

 

――そうはならないでしょう。彼もまたあの世界のルールに縛られます。レベル1からのスタートですから、地力が他の勇者とは違うと言っても、レベル差のある強者や魔物には手を焼くでしょう。

 

 

 宏壱達が向かった世界かにはRPGのようなルールがある。

 宏壱の力はそのルールに縛られ、抑制される。女神はそう言うのだ。

 

 

――そこは戦い方次第でどうにでもなるじゃろう。赤鬼は歴戦の戦士じゃ。経験だけでいうならば、ほれ、なんと言ったか、魔人族の……。

 

――ルーカス・ピフですか?

 

――それじゃ。そのルーカス・ピフにも勝るじゃろう。

 

――しかし、ステータスに依存する世界であることに変わりはない。不利であることは疑いようもない。

 

 

 こうして彼らの談義は進んでいく。

 送った者達の情報を見ながら、彼は強い、彼女は優しそうだ、彼は女性人気が出る、等と人柄を評し、どう育つのか、どう行動するのかと、予測を立てていく。

 これは勇者を送り込んだあとの彼らの楽しみだった。

 

 

――こほん、では次の議題です。前々回勇者を送った世界、ユゲルナでの……。

 

 

 彼らは今後も多くの勇者を送り、加護を与えていく。

 内宮東高校2ーFである宏壱達はその数多くいる勇者の内のごく少数にすぎない。

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