不老少女   作:Pafe

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その罰は絶望の始まり

偉大なる航路《グランドライン》のとある海域には海軍も近寄らない魔の島がある。

 

曰く、その島に近寄ると船が沈むという。

 

曰く、そこには悪魔が住んでいるという。

 

確かめた者はいないが、その島から漂う尋常じゃないオーラが自然とそういう噂を生む。

 

そうしていつからか、その島には名前がつけられた。

 

 

 

 

 

「悪魔の住む島…『デモンズアイランド』か…」

 

 

 

 

 

 

今から約5000年前…オハラに「全知の樹」が生まれた頃…

 

偉大なる航路のとある王国…

 

「あぁ、クルミ殿っ!貴女は何とお美しい!正に貴女こそが私の妻に相応しい!」

 

「……はい?」

 

朝ごはんを家で食べていると、宝石が散りばめられた服を着た見知らぬ男が勝手に家のドアを開け、求婚してきた。

 

あまりにも唐突でいきなりの事だったので、私は口を開けたまま固まってしまった。

 

「クルミ殿!私と結婚すればこんな庶民のような食生活を送らなくてすみます。もっともっと美味しい料理を御用意致します!ですから私と結婚しましょう!」

 

他にも「こんな生活は窮屈だろう」とか「貴女だけだ、私を支えてくれるのは…」とか、ワケの判らん事を一気に捲し立て続け、男は私の大事な朝ごはんを全部床に払い落とした。

 

ガシャァン!

 

「っざけんじゃないわよこの頭トンチンカン野郎!!」

 

「!!?」

 

なんて事をしてくれたんだ、この男は。あろうことかこの私の唯一の楽しみを奪いやがって。

 

「というか!アンタ誰なのよ!?いきなり人の家に入って来た挙げ句、結婚ですって!?」

 

「く、クルミ殿!?私の妻になることの何が不満なのですか!?私は…」

 

「アンタの言葉なんか聞きたくないわ!何処の誰かは知らないけどさっさと家に帰れッ!!」

 

ドカッ!バタンっ

ガチャ

 

「ハァ…サイアク!私の朝ごはんメチャクチャにして、謝りの一つもしなかったわね…」

 

バンバンッ!

 

『クルミ殿!何故です!?私は貴女の為を思って求婚したのです!貴女だけが唯一、この私と釣り合うのですよ!?』

 

扉の外であの男が何か叫んでいるが、無視を決め込む。

 

『クルミ殿!』

 

ガチャガチャ!

 

ドアノブをひねり始めたが無駄だ、既に扉には鍵を掛けてある。

 

 

 

 

 

『…もういい、お前なんかずっと苦しめばいい!この俺に恥を掻かせたこと、絶対に後悔させてやるからな!!』

 

数時間たった後、ようやく男が何処かへ行ったようだった。

 

「…フゥ、なんだったのかしら?アイツ」

 

妙に煌めいた格好をしていたが、この国の王族にあんな男はいなかったハズだ。いたとしてもあれだけ非常識なら現在の国王様から色々言われているだろう。

 

恐らく、流れ者がこの国へやって来て詐欺を働こうとしていたのだ。しかしあんなお粗末な演技ではとても人なんて騙せやしない。

 

最後の言葉もしょうもない脅しで終わったし、もう二度と会うことはないだろう。

 

さあ、買い物に行こう。今日の晩御飯は何にしようかな?

 

 

 

 

 

「残念だったな?クルミ…お前の未来は絶望だ」

 

 

 

 

 

夜、国の広場には人はいなくなる。

 

夜に外を出歩くとバケモノに食べられてしまうという言い伝えがあるからだ。

 

しかし今日は違う。全国民が広場に集まった。

 

「これより!反逆者クルミに罰を与える!」

 

木製の十字架に磔にされいる群青色の髪の少女は罪を着せられ、罰を与えられる。

 

「罪名は、王子の求婚を断った罪!判決は…死刑だァ!!」

 

普通、求婚を断った程度では罪にはならない。しかし王の決定は絶対。国民は指導者がいなければ何も出来ない。王の決定には誰も逆らえないのだ。

 

幾ら不審に思おうとも。

 

「待て王子よ…流石に死罪は無いだろう…」

 

しかしここで口を挟むものがいた。この国の将軍である。彼は今まで、あらゆる戦いにおいて国に貢献し、勝利に導いてきた男である。

 

「あぁ?…ああ、将軍殿、これは父上の決定です。将軍は気にせずに私の護衛を続けて下さい」

 

「だが王子よ、貴殿は女に振られた位で人を殺めるのか?そんなことでは国王様はいつまで経っても王子を認めはせんぞ。今までずっと箱入り息子だったお前をな」

 

「なら…死よりも辛い罰を、将軍がお考え下さい」

 

「…何ッ!?」

 

「王子たるこのワタシの決定に文句を言うのですから、さぞかし良いアイデアが御座いますのでしょう?…お教え下さい」

 

「貴様…ッ!この少女は年端もいかない子供なのだぞ!?」

 

「だから何だ?この女は俺の命令を断ったんだ、王子の命令は絶対…お前だってそうだろ?将軍」

 

バンッ!!

 

「こんな非人道的な事が…ッ!?」

 

「ガタガタとうるせぇよ、テメェは父上の命令通り、黙って俺に従ってれば良いんだよ!この駄犬がァ!」

 

「グ…この…!!」

 

王子は将軍に向かって銃を撃つ。幾ら武功を挙げ英雄になろうとも所詮は人間。銃に撃たれれば膝をつく。

 

「さて…クルミ、お前には将軍の進言通りに殺さねぇでやる…父上にチクられたら堪ったもんじゃねえしな。だから…」

 

「…!?」

 

「死よりも辛い罰を与えてやる。良かったなぁ?死ななくて」

 

「!!」

 

そして私はあの男に城へ連れて行かれた。何人かの人に目で助けてと訴えたが、全員見てみぬ振りをした。その時私はもう終わりだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

数日後、城の牢屋に何人かの人間が集められた。そのどれもが浮かない顔をしている。

 

「ハッハッハッハッハ!!」

 

ただ一人を除いて。

 

「おいクルミィ…ようやく思い付いたぜ?死よりも辛い罰ってヤツを!この俺が3日掛けて考えたんだ…光栄に思え!」

 

「……」

 

「ハッ!声も出ねぇってか!?まぁ口を縛ってんだから当然だがよォ!」

 

「……」

 

「さて、んじゃあ始めるか…おい!準備しろ!」

 

「……はい」

 

そう言うと、それぞれが準備を始めた。

 

ある者は覚悟を決めたような、ある者は悲しそうな顔で妙な札を見ている。

 

「……?」

 

細身の男が私の前に立つ。確かこの男はこの国一の名医だ。数々の難病をその手で治してきた男で、私も何回かお世話になった。

 

「さぁ、始めろ…『不老手術』を!」

 

――不老手術?

何だそれは?聞いた事がないが、不老という部分に違和感を感じた。

 

瞬間、私の周囲が赤いドームのような形をした膜に囲まれた。それはとても不気味で、私の心に不安が募っていく。

 

「不老手術…始めます…」

 

凄く恐ろしい顔をした医者の男はそう呟いて、腕を掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

「~~!!」

 

「……ゴフッ!」

 

私に不老手術なる物を施した男は赤いサークルが消えた途端、血を吐いて倒れた。

 

「ハハハッ!クルミィ…今その医者がやったのは不老手術っつってな…お前はもう歳を取る事はねぇ、永遠にその姿のままだ!」

 

「!?」

 

まさか、歳を取らない!?そんなバカな事があるわけが…

 

「信じられないって面だな?…くくっ…おい!お前ら!何チンタラやってんだ?さっさと呪いを掛けろ!」

 

私が衝撃を受けている間にシスターさん達が私を囲むように座っていく。その表情は暗い。

 

このシスターさんも見覚えがある。私がよく行っていた教会でお祈りをしていた所を何回も見ている。

 

「――己が業を忘れるべからず。己が業は破ってはならぬ禁忌である。汝が業はこの先、お前の背後にあり続けるだろう。故に我らがその業を汝に従わせ、己が業で己を守られし」

 

何だか難しい言葉を早口で言い始めたシスターさん達を見て、私はこの状況に初めて恐怖した。

 

「~!!~~」

 

ガシャガシャ!

 

必死に鎖を解こうとするが、ガッチリ巻かれてちっとも外れる気配を見せない。

 

「己が為に業を使い、己が為に業は応える。汝、その業を受け止めよ」

 

「……」

 

「汝が業は未来永劫、汝の傍に寄り添い続ける。しかし忘れるな、汝の業は決して悪いものではないと…」

 

「……?」

 

終わった…の?

そう思い、目を開けた瞬間

 

バリバリッ!

 

「!?~~~!!」

 

突然、体が今まで感じた事のないような痛みに苛まれた。

 

体に奔る痛みは止まらない。昔、包丁で指を切った時よりも痛い。

 

「―――!!!」

 

余計な事を考えていたら痛みが更に鋭くなった。口に布が巻かれていなければきっと舌を噛み千切っていただろう。

 

「ハッハハハハ!!面白ェくらいにクネクネしてやがる!!芋虫かっつーんだよテメェはよぉ!!」

 

 

 

 

 

どれくらいの時間が経ったのだろうか?

私は気がつくともう医者の男とシスターさん達はいなくなっていた。

 

「よぉ…お目覚めか?クルミ」

 

「!!」

 

目の前にあの妙な男がいた。まさかこの男が王子だったなんて。想像すらしなかった。

 

「俺は慈悲深いからな、お前に掛けた呪い諸々について教えてやる」

 

――呪い?

一体何の事だろうか?

そう考えてるとやけに頭が痛む。思い出せない。私は何をされたんだっけ…?

 

「まずはお前は…もう歳を取る事はない。永遠にそのまんまだ」

 

歳を取らない?一体何を言っているんだこの男は?

頭が可笑しくなったのだろうか?

しかし男の顔が昼間と違い真剣であった為に私は口を挟む事が出来なかった。

 

「次にお前は自殺が出来なくなった。まぁ勝手に死なれたら罰の意味がないからな」

 

自殺?そんなことするハズがないだろう。

さっきから変だ。やれ歳を取らないだの、自殺出来なくなっただの意味が分からない。

 

「そんじゃあ、刑罰を追加する…国外追放!今すぐこの国から出て行けェ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――っ!」

 

…頭が痛い

どうやら、昔の夢を見ていたようだ。

 

くだらない

 

どうせ過去は過去でしかないのに、何時までも悩まされてる。

 

もう気にしていないつもりだったけど、案外心の奥底には残る物らしい、鬱陶しい。

 

どうせもうあの国は残っていないし、今更思い返した所で何がどうにかなる訳でもないけど。

 

所詮、昔のちょっとした失敗というだけだ。

 

まぁ、その失敗のせいで5000年経った今でもこんなところで生活してる訳なんだけど…

 

「――!―――」

 

「――――」

 

声が聞こえる、オッサン二人だ…いや、島のあちこちに何人もいる…珍しい、からかって遊んで酒を奪おう。

 

ここに来るのは社会の爪弾き者か、好奇心旺盛な奴だけだ。

 

消しても文句は言われまい。

 

 

TO BE CONTINUED→

 

 




オペオペの実の不老手術の内容はオリジナル設定です。
こんな駄文ですが、お付き合い頂けると幸いです。
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