魔法少女リリカルなのはHidden―ヒドゥンー 作:沢村崇@
高町家の玄関の前で黒い煙が立ち上がる。
「・・・・・・・・・」
撃ってきた相手は左手を出したまま、歩き出した。
突然、立ち上がる黒煙の中から桜色の光弾がフードに隠れた頭部を掠<<かす>>める。
煙が薄くなってくると、中に人がいるのがわかる。
白い魔道服―バリアジャケット(アグレッサーモード)に身を包み、左手で杖の形状をした愛機を構えて立っていた。
「いきなり撃ってくるなんて・・・危ないじゃないですか!」
周囲に桜色の光弾―『ストライク・シューター』を四つ展開し、威嚇する。
「攻撃の意思がまだあるなら、こっちもそれ相応の対応をさせてもらいます!」
四つの内二つを相手の腹部目掛けて飛ばす。
それを見るなり目標は大きく上へ、脚力だけで跳躍した。
標的を逃した二つの光弾は地面に当たり、消える。
「避けられ・・・っ!」
身を
体が地面から離れると同時に、足首の辺りから翼が生える。
その翼が羽ばたき、なのはの体を完全に宙へ浮かす。
周囲に停滞させている残り二つのシューターを、空中で黒いコートをはためかしている人物に目掛けて打ち出す。
「ギァァッ!!!!」
その時初めて、声というよりは咆哮に近い叫びを発し、迫っていたシューターを打消した。
「なっ!?」
全くの予想外な出来事でつい動きが止まる。
その一瞬に相手が空中を蹴って一気に距離を詰め、右手を振り上げ、手刀を繰り出してくる。
が、それはなのはの肌に触れることはなく、桜色の魔方陣で作られた盾に受け止められた。
そして盾から生じた鎖が接触した相手の右腕を縛り上げる。
(
動きを止めたのを確認し、レイジング・ハートを砲撃に特化したバスター・モードに変形させる。
出来上がった砲口を相手に向ける。
「カートリッジ、リロード!!」
『Reload』
砲撃形態のレイジング・ハートの一部がスライド、マガジン内のカートリッジを一発装填して排出する。
「ディバイーン・・・」
なのはの足元に円形の魔方陣が出てきて、砲口に桜色の魔力が集中される。
「バスターァァッッッ!!!!!」
砲口から放たれた魔力は、一本の太い火線となって黒衣を纏った目標目掛けて拘束盾を貫通、空中で右腕を縛られている黒衣の人物に直撃、爆発する。
大きな爆発音と共に爆炎が起こり、その中から何かが煙を引いて落下する。
「し、しまった!やりすぎちゃった・・・っ!」
その時、右手に痛みが走る。
見ると、手の甲を軽く切っていた。
それは放っておき、慌てて落下した
「大丈夫ですか!?すみませ・・・あぅ・・・」
駆け寄り、起こした
「こ、これは・・・あれ?」
しかし、よく見るとその端からは赤い液体は流れておらず、電流が音を立てて小さく光っていた。
向こう側に落ちた下半身を見ると、同じように小さく光っていた。
「これって、機械?」
恐る恐るフードを
「なに・・・これ・・・?」
驚きを隠せず、表情が強張る。
次第に機械の眼の光は弱くなっていき、完全に消える。
と、同時に空中にウィンドウが開き、金髪の女性が映る。
《なのは!?》
慌てたような声の主は一緒に住んでいる、親友のフェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官だった。
「フェイトちゃん?近くにいるの?」
《今局に書類をだしてきたとこ。なのはの魔力を感じたんだけど・・・》
先程よりはだいぶ落ち着いたようで、声に平静さが見える。
「ちょっとね・・・だれかこっちに向かってる?」
《ううん、まだ。今立て込んでるらしくて、気づいてもないと思うよ?》
「そっか・・・」
機械人形を置き、レイジング・ハートを元の小さな球体に戻してバリアジャケットも私服に戻す。
「フェイトちゃん、そっち行くからマリーさんに連絡してもらえる?」
《いいけど・・・なんで?》
「ちょっとね・・・」
足元のもう動かない機械をみながら、そう答える。
《わかった。連絡しておくよ。》
「あ、それからシャマルさんにも・・・」
《け、怪我したの!?》
あたふたしながらといてくるフェイト。
頬には冷汗が垂れていた。
「軽く切っただけだから、心配しなくていいよ。詳しいことはそっちで話すから、ね?」
《う、うん・・・気をつけて来てね?》
心配そうにこちらを見つめるフェイト。
それに笑顔で答える。
「うん♪じゃあ、後でね♪」
《うん。》
笑顔に笑顔で答えてくれる親友。
それを見て、ウィンドウを消してから地面に転がる二つの物体を、念のためバインドで拘束してから片方ずつ楽な転送魔法の用意をする。
「送り先はマリーさんに・・・っと。」
準備を終え、無傷の玄関とその前に置いてある二つの買い物袋を視界に捉える。
「まずは片付けないとね♪」
ドアを開け、買い物袋を持って入っていく。
なのはが局に向かったのはそれから少ししてからだ・・・
襲ってきた機械人形の転送が終わり、局の医務室に向かい、まず切り傷の手当てをしてもらった。
「はい、消毒はもういいわ
「いえ、消毒だけで。ありがとうございます。」
手当てをしてくれた青い本局の制服の上に白衣を纏った肩までの金髪の女性―シャマルにお礼を言って、座っていた椅子から立つ。
傍に脱いで置いていた制服の上着を着る。
「体の方は大丈夫?砲撃もしたらしいけど・・・?」
「はい、大丈夫です。」
「本当に~?いつもみたいに無理してない?」
などと、何かメモを取りながらいくつか質問をされる。
「大丈夫ですって。」
苦笑いしながら一つ一つ答えていく。
一通り答え、医務室を後にしようとする。
と、ドアの向こうから駆けてくる足音がする。
「なの、はぁっ!?」
「ちょっ、わぁっ!?」
自動ドアが開くなり、長い金髪を振りながらいきなり入ってきた女性―フェイトが勢い余ってぶつかり、そのまま二人とも倒れこむ。
「いたたた・・・」
軽く打った頭を押さえながら起き上がる。
胸の中にはフェイトが顔を埋めていた。
「大丈夫、フェイトちゃん?」
「えへへ、なのはのおp・・・じゃなく、大丈夫だよ。なのはの胸が守ってくれたから!」
とても綺麗な笑顔で顔を上げるフェイト。
「こっちこそごめんね、いきなりぶつかっちゃって。大丈夫?」
謝罪の意を述べつつ、名残惜しそうに胸から顔を離すフェイト。
その視線は胸の膨らみにいっていた。
「ううん、大丈夫だよ。・・・フェイトちゃん?どこと会話してるのかな?」
「へ!?いや、なのはとはなしてるんだよ?」
冷汗を流しながら視線を合わすフェイト。
ちょっと涙目だ。
「いちゃいちゃするならべット貸すわよー?」
後ろから一連の流れを見ていたシャマルが笑いながら聞いてくる。
「い、いえ、大丈夫です。」
「なのはとなら私は・・・」
「フェイトちゃん?」
何か違うことを言い出すフェイトに威圧をかける。
フェイトがそれに気づいて肩身が狭そうに小さくなる。
「あ、そうだ。」
何かを思い出したようにシャマルが声を上げる。
「さっきはやてちゃんが来てね、皆後で元六課のオフィスに来るようにって。」
「六課の?なんでですか?」
「さぁ?何も言ってなかったけど・・・」
その場の三人の頭上に疑問符が浮かぶ。
「とにかく、呼ばれてるなら早く行こうか。」
フェイトが医務室を後にしようとする。
その時、白衣の男性が丁度入ってきた。
「先生、用事ですか?」
どうやらシャマルの部下らしい。
「ええ、ここはしばらく頼むわね。」
シャマルがにこやかに言って、フェイトと部屋を後にする。
「あ、それでは失礼します。」
入ってきた男性に一礼して、フェイト達を追いかける。
「いってらっしゃいませ。」
後にした医務室から見送りの声が聞こえた。
―――2話に続く―――
後編まで読んでもらってありがとうございます。m(_ _)m
気に入ってもらえたなら嬉しいです。
2話以降も続ける気ですが、いつ投稿するかはわかりません。
あまり期待せず待っていただけたら幸いです。
ではではノ