ダンまちの世界にサトゥー・ファミリアが来る   作:黒猫うたまる

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大変永らくお待たせしました。
続きを投稿させてもらいます。
仕事やスランプなどいろいろありましたが、どうにか続きを書くことができました。
待っていただいた方にはすみませんでした。
相変わらず拙い作品ですが、よろしくお願いいたします。



その名は…

  ─8階層─

 

 転移して8階層に来た。まずは今も湧き続けている元凶を止めようと思ったからだ。完全に止めなくとも数を減らせばどうにかできるだろう。

 転移した場所は1つ手前の部屋だ。この先に大部屋がありそこが発生源だ。

 

 閃駆で天上付近を一気に駆け抜ける。

 この時に討ち漏らされたと見られるミノタウロスなどのモンスターはさくさくと切り伏せる。

 

 ちなみに今使用中の武器は、ストレージから取り出した聖剣クラウソラスだ。もちろんこれは偽物の方で本物は今もヒカルが持っている。

 これはシガ王国に身代り用に造っていた物の完成形だ。材料から込められている回路まで全て同じに造っている。これで本物の9割程の性能まで近づけることができた。まだ本当の完成形ではないがオレが手を加えることは残ってない。出来ることは時間をかけて使うことだと想っている。

 長い年月が経った物、想いが籠った物には力が宿る。どこかで聞いたことがあると思う。日本だと付喪神が分かりやすいかな?

 精霊や神などがいる世界だし、それもありかなと気長に経過を観ていこうと思っている。

 でも完成したら聖剣クラウソラスが2つになるのか…。その時はその時か、深く考えないようにしようそうしよう。

 

 通路を抜け大部屋に出る。部屋と言ったものの表現的には小さめのドーム球場ほどかな?

 天上付近まで上昇して眼下を見渡す。

 広い荒野に岩などが転がっているだけで何もない。いや今は他に2ついる。

 

 方や武器や魔法を駆使し敵を葬っている。

 方や圧倒的な数で敵に襲い掛かっている。

 

 それらを見下ろしながら手に持つクラウソラスに魔力を注ぎ、並行して「誘導矢(リモート・アロー)」の準備も進める。

 

 作業を進めながら「聞き耳」スキルが下にいる冒険者の会話を拾ってきた。

 

「ちっ、雑魚のくせして数だけはいやがる!」

 

「ベート!口を動かさないて手を動かせ!手を!ほら、そっち言った!」

 

「殺ってるわ!そっちこそ手を動かせや!」

 

「殺ってわよ!」

 

「!どわっ」「!きゃっ」

 

「真面目にしないと当たり(当て)ますよ」

 

「「Yes,sir!」」

 

「‥‥」

 

「「ギャァァァ!!」」

 

「‥しかしなぜこの階層にミノタウロスが」

 

「わからない…今回の遠征で新種の魔物も出た、まだまだ僕達が知らない事や予測出来ない事もあるはずだ。これもその一つだろ」

 

 かなり余裕そうだな。

 止まりそうになった作業を続ける。

 眼下に映るモンスターは1種類のみ。牛頭に鍛え抜かれた肉体をもつ魔物『ミノタウルス』。冒険者が話していたけどなにやら予想外のトラブルみたいだ。

 それにしてもかなりの数だな…。しかしミノタウルスか、こっちではどうなんだろう?いやあの筋肉質だから硬すぎてダメかな…。牛系ならもっとまともな(食べられる)魔物だったら良かったのに、とても残念だ。

 視界に映るミノタウルス全てと、今も沸き続けている壁(・・・・・・・・)にAR表示で小さな赤い丸が表示されている。何度見てもどこぞの空戦シミュレーターのターゲットマークのようだ。

 

 

  ━━危機感知に反応があると思ったら壁?あっちの迷宮でも壁から魔物が湧いていたけど…、いや違う。壁から産まれている?(・・・・・・・・・)

 

 そう表現した方がしっくりくる光景かな。まあ先にこっちを終わらせないとね。

 そんなことを考えながら準備が出来ていた魔法のトリガーを押す。

 それとともに、オレを中心として周囲に次々と短槍のような大きさの「魔法の矢」が現れる。その数120本。その光景だけ見れば夜空に輝く星のようだ。それも一瞬の間、空気を切り裂く音を残して一斉に落ちた(・・・)

 120本もの「魔法の矢」が的に向かって飛んで行く。次々と外さず正確に魔石(・・)だけを撃ち抜いていく。それはミノタウルスだけではなくダンジョンの壁にも突き刺さる。

 魔石を撃ち抜かれたミノタウルスはサラサラと灰へと化わっていく。そしてあれだけ産まれて(・・・・)いた壁には大穴が空いていてピタリと止まっていた。

 後に残るのは無数の灰の小山にドロップアイテム、それと解らず立ち尽くす冒険者たちだ。

 それはそうとクラウソラスいらなかったな。せっかく魔力も充填したのに。

 

  ━━おや?一瞬目が合ったような

 

 だが次の瞬間には他の冒険者たちに指示を出している。止まっていた冒険者もその声で動き出していた。

 見た目は1番若く子供みたいな姿だがAR表示で種族小人族(パルゥム)とありこのファミリアの団長のようだ。エルフみたいに見た目と歳が釣り合わないのだろう。まあそれでもエルフほどの年齢じゃないけど。

 さて次はと、メニューを開きマップを見ようと操作する端に勢いよく掛けて行く者達が見えた。おや、と思い操作しながら下の会話を「聞き耳」スキルで拾う。

 

「残った者たちは、警戒しつつ怪我人の治療!それに直ぐに動けるように準備を!」

 

「「「はい!」」」

 

「…フィン、今のは……」

 

「…それは後だ、討ちもらしが上層(・・)に逃げている。先にアイズを向かわせたが心配だ…」

 

「確かにの、上層(・・)中層(・・)クラスの魔物がいては普通(駆け出し)の冒険者には荷が重いの…」

 

 急ぎマップを確認する。平面表示だと把握しにくいので3D表示に切り替え検索もかける。青点(冒険者)赤点(ミノタウルス)が表示されたマップを確認する。2体の赤点が1人の青点を追っている。また少し離れた所に青点がありその1人と2体を追っているようだ。

 先頭の青点が()に曲がる。

 

  ━━っ、まずい…!

 

 転移を発動させ急ぎ向かう。

 転移で姿を消すその瞬間を観つめる者がいた。

 迷宮都市オラリオに住まう冒険者のなかでも第一級冒険者の一角、[ロキ・ファミリア]団長 フィン・ディムナ。その二つ名は[勇者(ブレイバー)]

 その口がわずかに動く。

 

「ん…?フィンどうかしたのかの」

 

「いや何でもない…。他の者は?」

 

「回復もある程度は済んでおる。いつでも行けるわい」

 

「分かった。これから上層に向かう!警戒を怠らず注意して行くぞ!」

 

「「「はい!」」」

 

 フィンたちが去って行く。

 後に残るの無数の灰。これらも時間が立つと消え去り何も残らない。何もかもが元どおり━━

 

 

  ━━トクン…

 

 なるはずだった。

 何かの鼓動が聴こえた気がした。

 でも何も変化はない。

 気のせいだったのか。

 静寂が広がるなか、ポツリとその名が小さく響いた。

 奇しくもそれは先ほどフィンが呟いた名と同じであった。

 

 

その名は………

 

 

「『ナナシ』」

 

 

時は再び(・・)動き出す。

それは新たな英雄譚の開幕(再開)である。

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。
相変わらずの文才の無さに悲しくなります。
それでも少しでも楽しんでいただいたら幸いです。
少しづつですが活動を再開しようと思います。
これからもよろしくお願いいたします。

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