1D4の結果4が出たので小鈴ちゃんイベントです。
Place:人里
"ツルギ"SIDE
拝啓、皆様いかがお過ごしでしょうか。
我が兄弟が今もなお戦いに魅入られていると思うと心が苦しいですが
私は元気に過ごしております。
さて、今日もお日柄が良く…そして
――――遡ること数時間前
朝起きて準備する途中のこと。
コンコンとドアのノックが聞こえてくる。姉さんは一日12時間は寝ているらしいので、恐らくドアの前にいるのは藍だろう。
藍「ツルギ、起きているか?」
ツルギ「あぁ、ちょっと待ってて。今行く」
いつもの戦闘服に着替え、髪型を軽くセットしてからドアノブに手をかける。
藍「悪いな、こんな朝早く」
ツルギ「いや、問題ない。それより何か用か?」
藍「あぁ、この前に私の式神"橙"という子がいることを話しただろう?その子を迎えに行くことになっているんだ。あとお前の服を買ってくるようにとも紫様に言われていてな。私は男物について詳しくないからお前もついてきてくれると助かる」
ツルギ「それぐらいは自分でやるつもりだったから気にしないでくれ。ちなみにその橙という子はどんな子なんだ?」
藍「ん~………無邪気?」
ツルギ「子供なのか?」
藍「まぁ、そうだな。お前よりかは長く生きているが、まだまだ未熟なお子様だ」
ふむ。藍の式神と聞いたからどんな方かと思えば子供なのか…。
あっちで言えば
あいつもラストナンバーだからまだ生まれて大して経ってないからなぁ。
ツルギ「じゃあ朝食食べたら人里に行くってことでいいか?」
藍「あぁ、あと人里にはたまにガラの悪い妖怪がいるからくれぐれも気をつけろ?喰われるぞ、こうぐわーっ!!て」
藍がまるで野獣のように襲いかかるかのような両手を上げて口を大きく開けたポーズがめっちゃ可愛かった。
ツルギ「ぷっ………くくく、似合わねぇなっ!あはははは!」
藍「なっ、おい馬鹿にするなよ!私だって紫様には敵わないといえどかなり上位の妖怪なんだからな!」
ツルギ「わかってるけど……うぷぷっ」
などということがあり
先ほどから人里を歩いてる時に藍にふくれっ面で睨まれている状況であるのだが
それだけではない。
この視線は恐らく奇異なものを見るような目だ。
まぁわからなくはない。俺にとっては周りの服装の方が慣れないが
それはこの人たちにも適用されているんだろう。
この人たちにとっては近未来に当たるような世界で生きてきたんだ。
こんな目で見られててもしょうがない。
先ほどから沈黙した藍と歩いてても気まずいので俺から話しかけるとしよう。
ツルギ「はぁ、ところで藍………その橙のいる場所って、いねーし!!」
後ろにいると思っていた藍は忽然と姿が消えていた。
まずい…こんな見知らぬ地で一人にされてはどうしていいかわからなくなる。
ツルギ(しょうがない、適当に散歩してればどっかで会うだろ…)
"藍"SIDE
我に覚めると、いつの間にかツルギがいなくなっていた。
全く困ったものだ。
迷子になるとは…どうやら橙だけでなくツルギも子供にカテゴライズされるかもしれない。
それにしても先ほどの油揚げ屋は素晴らしかったっっ!!
あの艶!
あのふっくら感!
あの歯ごたえ!
そして何より特筆するのは、あの値段だ!
あれだけ素晴らしい油揚げ屋がオープンされてるとは…私の鼻も鈍ったものだ。
だが、あそこの店員は何者だったのだろう。
店長はただの狐人だったが………そこで働いていた長身の渋い顔立ちだが、キリっと若いあの男はとてつもない妖力を放っていた。
聞いたところ旅人で路銀稼ぎだとかなんとか………。
あれが旅人とは…幻想郷も物騒になったものだ。
藍「さて…ツルギを探さねばな」
???「おや?藍殿ではないか?」
後ろから女性に呼ばれたので振り返ると、白に近い青の髪に帽子をかぶり上下が一体となった青い服。胸元には赤いリボンをつけた女性がいた。
私はこの女性を知っている。人里で教師をやっている………
藍「慧音殿ではないか!久方ぶりだな!」
慧音「あぁ、お久しぶりだ。藍殿が人里に来るなど随分と珍しい…ふふっ、その手提げ袋かな?」
慧音殿が私の手元を見ると同時に笑う。
大量の油揚げが入った袋を見れば確かに笑われても仕方ないかもしれない。
藍「いや、まぁこれは偶然見つけてだな。ところで慧音殿、少しお聞きしたいことがあるのだが、身長が高くて奇抜な服を来た髪が長い男を見かけなかったか?」
慧音「んー、いや心当たりはないな。知り合いか?」
藍「あぁ、実は紫様が連れてきた外来人で私たちのところに置いているんだ。先ほどまで一緒に行動していたのだが……私が油揚げ屋に目が行ってしまったせいか見失ってしまったんだ」
慧音「ほぅ、外来人とはまた珍しい。ここ最近あちらの世界の状況を考えればそうなるだろうな」
藍「慧音殿はあちらの世界の状況を知っておられたのですか!?」
慧音「あぁ、とある人から聞いたことがある。だが幻想郷の人たちには知られぬよう能力でその歴史を
…なるほど。合点がいった。幻想郷に全く伝わっていないことについては慧音殿が関わっていれば自然と納得もできるというものだ。慧音殿の能力は『歴史を食う、または隠す程度の能力』だ。
歴史の出来事をなかったことにできる…というが消滅するわけではない。あくまで"なかったことにする"だけだ。
だが、紫様の傍にいた私でさえも知ることができなかったのに……。
慧音殿は
慧音「っと、早くその探し人とやらを見つけないとな。私も寺子屋の仕事が一息ついたところだから手伝おう」
藍「感謝します。多分あっちのほうだと……」
"ツルギ"SIDE
まずい…地図のデータも何もないから、何処を歩いているのか全く検討もつかない。
周りの建物にも見覚えがないものばかりで慣れない。
そして相変わらず俺の周りには奇異な物を見るような視線が途切れるようなことはなかった。
ツルギ(はて…どうしますかね)
今後の行動に悩んでいると、何やら騒々しい声が聞こえる。
いや、この人里自体が人の声で騒々しいのだがそういう意味ではない。
"敵意"が向けられている感覚だったのだ。
???「すいません!すいません!」
人狼の男「すいませんじゃねーよ!どうしてくれんだ?シミがついちゃったじゃねーか」
???「だからこの子も謝ってるじゃん!」
牛の妖怪「うるせー!謝るだけでなんでも許されて当たり前だとでも思ってんのか!?あん!?」
その感覚に近づくと女の子2人がガラの悪い…というのだろうか。そんな奴らに絡まれていた。
ツルギ(この感覚…)
ゼロ『妖怪だな』
ゼロの声に肯定の思考を示す。
先ほどから謝っている子は飴色のような髪色のツインテール。
それを庇っている子は茶髪に緑の帽子に……
ツルギ(耳?)
そう、その子の頭の上にはピクピクとするものがあった。
あの子も妖怪のたぐいだろうか。
にしても見覚えがあるような…
ゼロ『あれは猫耳だな』
ツルギ(猫?俺らの世界では絶滅危惧種のあの猫か?)
ゼロ『あぁ、お前が数年前助けた猫がいただろ?あれと同じだ』
ツルギ(なるほど。どうりで見覚えがあるわけだ。)
このまま傍観を決めておくわけにもいかない。
助けるべきだろう。
それは俺がこれまであちらの世界で多くできなかったことであり
幻想郷でやりたかったことでもあったのだ。
人狼の男「俺らを舐めてるとなぁ!!」
ツインテールの女の子「っっ」
その男が腕を振りかざすと同時に俺はその男の手を止めていた。
"猫耳の女の子"SIDE
偶然一緒にいておしゃべりしてた女の子がガラの悪い妖怪とぶつかってしまい、手に持っていた水をこぼしてしまった。
それで喧嘩をふっかけられていた最中だ。半狼の男が手を振りかざすのに対し、私は反撃の隙を伺おうとしていたのだが…
ガッ
人狼の男の手は後ろのでかい男…女?に掴まれていた。
人狼の男「あ?なんだてめえ」
ツルギ「そこらへんにしておきましょう。小さい女の子相手にみっともない」
その男は奇抜な服を着ており、髪は金に近い茶髪でロング。女なのか男なのか一瞬見分けが付かなかったが、声質から見て男だろうと感じた。
人狼の男「てめぇ、俺らが誰だかわかって喧嘩売ってんのか?」
ツルギ「別に喧嘩を売っているわけではない。
牛の妖怪「おいおい、ただの一般人が俺らに敵うと思ってんのか?なんか変な服着てやがるが、外来人か?」
ツルギ「そうだとしたら?」
人狼の男「はんっ、なら幻想郷で妖怪がどんだけ強いかをその体に刻み込んでやるよ」
そういって半狼の男と牛の妖怪は私たちから離れ、その男と対峙するような位置に立つ。
まずい、本当に外来人だというなら危険すぎる。この人は妖怪と人間の力の違いをわかっていないのだろう。
猫耳の女の子「ダメ!逃げて!ただの人間が妖怪に太刀打ちできるわけがないよ!」
ツルギ「大丈夫」
この人は自分に自信があるのか。対峙してても驚いてる様子も、ましてや物怖じしている様子はない。
ツルギ「俺に任せて。あっ君たちの名前教えてくれる?」
この感覚がどこから来ているのかは分からないが、任せても大丈夫という不思議な安心感があった。
名前を聞くその声もとても優しい。すると、後ろのツインテールの女の子が先に名乗りを挙げる。
小鈴「本居小鈴です!あの、無茶はしないでくださいね!」
ツルギ「大丈夫大丈夫!これでも腕には自信があるからね」
この状況だと私も名乗らざるを得ないだろう。
橙「橙と言います…」
ツルギ「橙?そうか君が藍の式神か」
予想外な事に、その人の口から私の主"藍様"の名前が出てきた。
橙「藍様を知っているのですか!?」
ツルギ「あぁ、実は君がいない間に八雲家に入ることになってね。今日君を迎えにいくことになってたんだけど迷子になっちゃってね。まぁそれで君を見つけられたなら万々歳かな。俺の名前は剣。よろしくね橙」
人狼の男「おい!さっきからごちゃごちゃ喋ってやがる。ぶっ殺すぞ!」
小鈴・橙「あぶない!」
人狼の男が叫びだすと同時にとてつもない速さで蹴りを直撃できるほどツルギさんに肉迫していた。
人狼の特徴は何よりその俊敏性と人間よりもはるかに優れた足の筋力だった。
そんな蹴りを普通の人間が受けたら良くて大怪我、悪くて死んでしまう。
ついそんな光景を私と小鈴ちゃんは目を閉じてしまう。
………しかし、人が吹っ飛ばされるような音は聞こえてこなかった。
そーっと目を開けると、信じられない光景が目に浮かんでいた。
人狼の蹴りは確かに当たっている。当たっているのだが……
ツルギさんはその男の蹴りを右腕で掴んでいたのだ。
橙(あんなスピードの攻撃を見切るどころか受け止めているなんて)
ツルギさんはかなりの手練だと確信を持てた。
人狼の男「っつ…」
ツルギさんが受け止めている手に力を込めると人狼は苦しい声を上げる。
ツルギ「一つだけ言っておくぞ妖怪…」
先ほどとは打って変わって、とても冷たい声だった。
まるで機械のような………。
ツルギ「喧嘩を売る相手は選んだほうがいいのは
声だけではなくその目すら何もかもを凍りつくせるような眼光だった。
会話文をキャラごとに改行しておいたのですが、多少見やすくなりましたかね?