Place:人里
"ツルギ"SIDE
ツルギ「喧嘩を売る相手は選んだほうがいいのはお前たちのほうだぞ」
俺は人狼の妖怪に威圧すると、それに気圧されたのか。自慢の脚力で俺の手から抜け出す。
別に本気を出していたわけじゃないが…あれから抜けられるとはな。
確かに俺は侮っていたようだ。
人狼の男「てめぇ…何者だ?」
ツルギ「さっきお前が言っていただろうが、外来人だと」
人狼の男「ほざけよ。人間ごときが俺の蹴りを止められるわけがねえだろうが!」
人狼の妖怪は更に疾い連撃を繰り出してくる。よけられるのは全て避け、避けきれないのは手で躱す。
そして…
ツルギ(きたっ!)
大振りの蹴りは絶対に見逃さない。
人狼の妖怪の戦い方のスタイルで言えば格闘戦になれているようだった。
だが、それと同時に同じタイプとの実戦回数が少なすぎる。
大振りの攻撃があるということ自体がそれへの証明だ。
その蹴りを掴み、片足で相手のもう片方の足を蹴り崩す。
蹴り崩した相手に、更に関節技で相手の関節を外し、右手で人狼の首を押さえつける。
人狼の男「げはぁっ!?」
牛の妖怪「兄貴!てめえ俺を本気で怒らせたようだな」
ツルギ「………」
俺は人狼が気絶したのを確認し、牛を睨みつける。
牛は仲間がやられて憤怒しているようだ。
牛の妖怪「へっ、俺の角の突撃を受けた者の体はバラバラになるって言われてるんだ。お前もとっととバラバラのミンチになっちまいなあああああああああああああああ!!!」
人狼とはちがく遠くで立っていた牛が突撃してくる。なるほど、確かに凄まじいな。
橙「避けて!そいつは闘牛の類だよ!!」
牛の妖怪「ひゃははは!!もうおせえ、これほどの狭い道で俺の突撃をよけられると思ってんなら大間違いだぜえ」
牛の突撃は止まらない。むしろそのスピードをどんどん加速させていき俺めがけて突っ込んでくる。
こいつらには避けるというより驚かせる行為をしたほうがいいだろう。
悪いが俺らの世界じゃお前らより強い兵器がたくさんあったからな。正直話にならない。
だが、念のため。
右腕の戦闘駆動の一部を起動させたほうがいいだろうな。
"橙"SIDE
小鈴「えっ…?」
牛の妖怪「なにぃ!?」
橙「うそ……」
その場にいる全員……いやツルギさんを除いた全員は驚きしかなかった。
人間である彼は闘牛の突撃を回避するのではなく――――――
力に少し押されたのか地面は足が引きずった後があるけど…そんなことは気にならなかった。
ツルギ「どうした闘牛とやら、お前の力はその程度か?」
牛の妖怪「て、てめえまじでなにも…」
ツルギ「もう一度言うぞ…喧嘩を売る相手は慎重に選べ?」
牛の妖怪「くっ…ま、参りました」
そういって牛の妖怪は人狼の男を乗せて去っていく。
すごい…恐らく2人がかりじゃあ私でも勝てなかっただろう。
それは私が妖怪でもあるからだが、この男…ツルギさんは人間で容易く勝ったのだ。
ツルギ「さて、二人共大丈夫?」
小鈴「あっはい…大丈夫です!」
さっきとは打って変わって物腰が柔らかい優しいツルギさんに戻っていた。
どっちが本当のツルギさんなのだろう…?
ツルギ「橙も大丈夫?」
橙「あっうん。私は大丈夫だよ!」
ツルギ「そっか二人共無事でよかった」
小鈴「あのっ!助けてくれてありがとうございました!」
橙「私からもありがとう!」
ツルギ「こういう場合は…どういたしまして、かな。まぁ気にしないで僕が勝手にやっただけだから」
お礼を言うと照れるように頬を指でポリポリしている。さっきとは本当に別人のようだ。
さっきのツルギさんは怖かったけどこっちはなんだか可愛かった。
小鈴「つ、ツルギさん!このあと暇でしょうか!」
ツルギ「えっ…いや橙を見つけたからあとは藍と合流して服を見る用事があるから…」
小鈴「そっ、そうですか…」
橙(ありゃ?小鈴ちゃんのこの表情)
頬が紅潮していて、目も逸らしがち…。ははーん、これはもしかくしなくてもあれですね。
橙「小鈴ちゃん…一目惚れしちゃった?」
小鈴「―――――///」
小声で話しかけたらこれ以上にないわかりやすい反応をしてくれた。
さっき出会ったばっかだけどすごく可愛い正直な子だった。
ツルギ「小鈴ちゃん?大丈夫?」
小鈴「ふぁあ!?大丈夫れす!」
ツルギ「そ、そう。じゃあ落ち着いたところで改めて自己紹介するね」
少なくとも小鈴ちゃんは何も落ち着いてはいなかった。
ツルギ「俺の名前は八雲剣、さっき聞いたとおり外来人だよ。紫に連れられてきたんだ」
小鈴「げ、幻想郷の賢者にですか!?」
橙「紫様が…」
ツルギ「そっ、この前八雲の性ももらってね。だから八雲剣っていうんだ」
ツルギさんにはさきほどから驚かされてばかりだった。
紫様が連れてきた外来人となれば秘められし力があるのも納得ができた。
小鈴「わ、私は本居小鈴でっ、鈴奈庵という貸本屋をやっているのです!」
ツルギ「その年で?すごいなぁ」
小鈴「よっ…よければこんでゅよ是非!」
ツルギ「わかった。僕もこっちの書物は興味があるからね。是非見させてもらいたいな」
小鈴ちゃん。噛んでる噛んでる。
それを気にしないツルギさんもすごいと思う。
さっきから小鈴ちゃんの顔から紅潮は続いているけど…
気づいている気配はまったくなかった。
藍「ツルギ!ちぇえええええええええええええええええええん!」
そうしていると藍様の声が聞こえてくる。
ツルギさんも振り返り、そちらのほうを見ると藍様が走ってくるのが見えた。
橙「藍さまああああああああ!」
私は久しぶりの主を見れるのが嬉しくてつい抱きつきにいってしまったが
それを嫌とせず、主は迷いなく抱きつき返してくれた。
藍「大丈夫か!?妖怪に絡まれてるって噂がたってたが、怪我はないか!?」
橙「だっ大丈夫ですよ藍様!ツルギさんが助けてくれたのですよ」
藍様に体中を触られて少しくすぐったかった。
藍「そうか…ありがとうな!ツルギ!」
ツルギ「まさか橙だとは思ってなかったけどな」
またしてもツルギさんは感謝されて照れていた。
褒められ慣れてないのかな。
慧音「この人が例の外来人か」
藍様の後ろから慧音さんの声がした。この人里の寺子屋で教師をしている人だ。
なぜ慧音さんもここにいるんだろう……。
"ツルギ"SIDE
主従が揃ってほのぼのとしている光景を俺は笑ってみていた。
それにしても、やはり感謝されるという感覚は慣れないと同時に嬉しかった。
とにもかくにも助けられてよかった。
慧音「この人が例の外来人か」
藍と橙を見ていると知らない女性に声をかけられた。
この人も美人だ…。いったい幻想郷にはどれほどの美人がいるのだろうか。
にしても女性が多いな。幻想郷は女強しの世界なのだろうか。
なんとなくで思ったことだが、割とあたっているような気がしてきた。
ツルギ「あなたは?」
慧音「あぁ、失礼。私は
教師?あぁ、昔の時代の人力の教育プログラムみたいな存在をそう言ったっけ。
ツルギ「あぁ、これはご丁寧にどうも。俺は八雲剣。先ほど慧音さんが言ったとおり外来人です」
そういって慧音さんと左手で握手する。またしても人肌の温かさを感じた。
左手の握手は珍しいのか。はてなを浮かべるような顔をしていた。
まぁ、右手は義手だからバレるだろうと思ったからなんだけど。
慧音「そうか、先ほどの妖怪を圧倒するとはすごいな、少なくともこの人里じゃ警備を任されるほどの腕なんだが…」
ツルギ「あんなにガラが悪いのに警備隊なのか」
慧音「いつもはそんな奴らじゃないんだが…最近妖怪の活性化の報告が多いと聞く」
妖怪の活性化か…。何か悪い予感がするな……。
藍「さて、慧音殿。手伝い感謝する」
慧音「いや、私も一目見てみたかったからな。ツルギ君も今度うちの寺子屋に来てくれ。外の世界の話を聞いてみたいからな」
ツルギ「………そんなに面白い話はありませんよ?」
慧音「まぁまた今度にな…って小鈴じゃないか。小鈴もここにいたのか」
小鈴「あっはい。えーと」
少女説明中――――
慧音「なるほどな…。ツルギ君、小鈴を助けてくれたこと。私も感謝させてくれ。本当にありがとう」
ツルギ「いっいや、見かけたからにはっていうか…なんというか…」
慧音「まだ…あちらの世界には君のような心を持った者もいるのだな…」
ツルギ「えっ?」
慧音「いやなんでもない。じゃあ私たちはここで失礼するよ。今日は小鈴も寺子屋に来る予定だったからな」
小鈴「じ、じゃあツルギさん!また今度お会いしましょう!絶対ですよ!」
ツルギ「あ、あぁ必ず」
そう言って慧音さんと小鈴ちゃんは去っていった。
小鈴ちゃん、大丈夫かな。さっきから顔紅かったけど…風邪かな?
藍「さて、我々も動くか。服を見に行くぞツルギ。橙もついてきてくれ」
橙「わかりました藍さまー!」
ツルギ「ふぅ…やれやれ。休む暇もないな」
そうして俺たちは人里で服を見繕った後…とある団子屋で休憩をすることとなった。
Place:人里 油揚げ屋
"???"SIDE
先ほどこの里で妖力と
そういえばさっきもとても強い妖力をもった女が現れたな。
実に
路銀を稼ぐのに店長に置いてもらっているのだ。
その好意を無下にするような下賤なプライドは持ち合わせていない。
しかし先ほどの力のぶつかり合い。何かデジャブを感じる。
4年前、外の世界に行ったとき繰り広げた死闘を思い出す。
魔力や妖力どころか、霊力すらろくにもたない。力を感じなかった青年。
それと似た感覚だ。感覚としては能力を使った形跡は見られないが…
???「まさか……あの青年が」
ふっ…まさかな。
あのような青年があの世界の軛から解き放たれることはないだろう。
しかし、
面白いことが起きる予感がする。
いやはや、やはり幻想郷は見てて飽きないな。
???「いつかまた生きた状態で会いたいものぞ……ゼインよ」
ちょい一泊二日で大阪行くんで次の更新は18日になると思います。