東方争無録:序   作:撃っち

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(準備終わったから暇なんでもう一つ追加で書くんで)初投稿です。

※まちがって暴君と呼ばれしにしてしまいました。
魚強閣下が来てしまううううう!


第07話「魔帝と呼ばれし吸血鬼」

Place:人里 団子屋

 

"ツルギ"SIDE

 

ツルギ「ふぅー緑茶のポリフェノールやカテキンが落ち着くなぁ」

 

藍「そんな言い方で緑茶を飲んでいる奴は初めて見るな…」

 

橙「"ぽりふぇのーる"と"かてきん"ってなんですか藍様?」

 

藍「緑茶に含まれている成分のことさ。健康にいい効果が色々あるんだよ」

 

橙「さすが藍様!物知りです!」

 

藍「ふふっそうだろうそうだろう」

 

団子屋で団子を食べた後に緑茶で一服していたところだった。

団子というのは初めて食べたがあれはすごくうまかった。

是非100本は食いたかったが、藍の手持ちがそれほど残っていないということで10本程度で我慢することにした。まぁ服と大量の油揚げを買ったからまぁしょうがないっちゃしょうがない。

 

ツルギ「それにしても藍と橙は随分仲がいいんだな」

 

藍「そうだな。仲良しだ」

 

橙「そうです!仲良しです!」

 

2人とも本当に仲が良さそうだ。息もぴったりだし…。

あっそういえば右腕の戦闘駆動を起動しっぱなしだ。

いつもの癖ですっかり忘れていた。

 

俺の右腕・右足には戦闘駆動と呼ばれるものが存在する。

要は戦闘時に威力を発揮するために、右腕と右足のリミッターを解除するものだ。

最高ひとつずつに8つの戦闘駆動が存在しており、さっきはそのうちの2つを起動させた。

闘牛とやらの突撃の威力はよくわからなかったが、橙が危険と言っていたのと本人…本牛?

まぁそこそこ威力は高いみたいなので、『筋力強化』と『耐久強化』で押さえつけたが…

正直『耐久強化』で十分だったな。

 

ツルギ「よっと」

 

藍「ん?どうしたツルギ」

 

ツルギ「あぁ、さっきの牛を止めるために右腕のリミッターの一部を解除してたんだ。解除しっぱなしなのをすっかり忘れていたから戻してたんだ」

 

藍「そういえばお前は義手だったな」

 

橙「え!義手だったんですか!?」

 

ツルギ「あぁそうだよ。ほれっ」

 

俺は右手の革手袋を外して二人に見せた。

機械の腕を見るのは初めてだったのか二人共真剣にみていた。

 

藍「ほぅ、ちらっとしか見ていなかったが凄く精巧に作られているのがわかるな」

 

橙「その義手の…りみったー?とかであの闘牛を止めたのです?」

 

ツルギ「そういうこと。俺の義手や義足には戦闘駆動っていうのがあってね」

 

橙「義足もあったんですか!?」

 

ツルギ「さっきから驚いてばっかりだなー橙は」

 

そう言って、右足の靴を脱いでその義足も見せた。

 

橙「はへー。すごいんですねツルギさんは」

 

ツルギ「そんなことないさ。作ったのは俺じゃないからね」

 

そう、これを作ったのは剣蔵だ。

さすがの技術力だと思った。

 

藍「それにしても…なぜ義手と義足を付けることになったんだ?お前ほどの実力者がそう簡単に右腕と右足がなくなるとは思えないのだが…」

 

ツルギ「あー、それはだな…」

 

???「ゼイン!?やはり貴様だったか!?」

 

ツルギ「!?」

 

4年前のことを思い出そうとすると、その思い出の相手の声がした。

俺は緑茶を即座に起き、戦闘体制に入る。右腕右足の戦闘駆動のリミッターを一部解除しておく。

その声がした方を向くとそこには…

 

ツルギ「……魔(・)帝(・)、(・)ヴ(・)ァ(・)ル(・)バ(・)ト(・)ー(・)ゼ(・)――――」

 

ヴァルバトーゼ「久しぶりだな、存(・)在(・)と(・)虚(・)無(・)の(・)青(・)年(・)、(・)ゼ(・)イ(・)ン(・)」 

 

4年ぶりに対峙する。まさかこの幻想郷で出くわすことになろうとはな…。

つい、いつもの"戦闘時の状態"の表情になってしまう。

 

 

ツルギ「なぜお前がここにいる」

 

ヴァルバトーゼ「それは我の台詞だ。まさか幻想郷にでも侵攻してきたのか?」

 

にらみ合いは続く。だが、こんなところで戦闘するわけにはいかない。

こんなところで戦った人里がまるごとなくなってもおかしくはなかった。

 

藍「ん?先ほどの油揚げ屋の店員ではないか?」

 

ツルギ「知り合いなのか藍!?」

 

藍「ん、あぁ先ほどな」

 

ヴァルバトーゼ「おや?あの時の美しい娘か。この青年とともにいるとは…我らは運命の赤い糸で結ばれているのやも知れぬな」

 

藍「相変わらずナンパが好きなんだな……そしてツルギ、こちらからも聞くがあの男と知り合いのようだが…」

 

ツルギ「………」

 

ヴァルバトーゼ「話しても良いのではないか?我らの仲だろう?」

 

いつ誰がお前と仲良しになったのか…。

相変わらずこの男は掴めない。

 

ツルギ「…藍、さっきの俺の右腕と右足の話も合わせて答えてやる…。あの男とは4年前、殺し合った仲であり……俺の右腕と右足を持っていった"吸血鬼"だ!」

 

藍「なんだと!?」

 

そう、俺は4年前この男…暴君ヴァルバトーゼと殺し合っている。

あれは確かツェーンがヴァルバトーゼに殺される寸前で俺が割って入っている。

仲間がやられているのをじっとして見られるような性格でもなかった…。

 

ヴァルバトーゼ「それにしても、知人の紹介で幻想郷に来てみたが、やはり面白い。ゼインと出会えるとは思ってもいなかった」

 

ツルギ「いまは…八雲剣だ。その名は捨てた」

 

ヴァルバトーゼ「おっと、失礼。じゃあツルギ。もう一度聞くが、お(・)前(・)は(・)幻(・)想(・)郷(・)に(・)何(・)を(・)し(・)に(・)き(・)た(・)?(・)」

 

事と次第によっては………そんな顔をしている。

手に妖力を集中させている感覚は4年前に味わったから経験済みで察知できた。

 

魔帝ヴァルバトーゼ……

通称ドラキュラと言われ恐れられたヴラド3世と血の関わりをもった吸血鬼…。

ヴラドを超える力を持っていると言われ、吸血鬼の中では恐れられる存在だと本人から聞いている。

実際その実力は、俺が戦ってきた中じゃ最高級のものだった。

そんな男が、俺を見据えて聞いてくる。

あの4年前のときと同じように…

 

―――――お(・)前(・)は(・)何(・)の(・)為(・)に(・)戦(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)?(・)

 

 

 

 

 

ツルギ「人間を知り、人間になるためだ…」

 

ヴァルバトーゼ「………」

 

俺の心を見通すかのような紅い目は決して離さない。

睨みつけるかのように、その"魔眼"は俺の心を不動にする。

 

ヴァルバトーゼ「くっく…はははははははははは!!」

 

が、この男はこの緊張状態の中で、緊張のない笑いを発する。

 

ヴァルバトーゼ「相変わらず面白い青年だ…。あの時よりかは成長できていたようだな」

 

ツルギ「……んで、お前はなんでここにいる。こっちの質問にはまだ答えてもらっていないぞ」

 

ヴァルバトーゼ「先ほどいっただろう?面(・)白(・)い(・)と、それだけだ。外の世界でお前と会った時もただ楽しさを味わいたかっただけだ」

 

ツルギ「ふぅ、なるほど」

 

ヴァルバトーゼ「それとも、因縁の決着をするか?いまここで殺りあってもいいのだぞ?」

 

ツルギ「それは遠慮――」

 

藍「いい加減にしろ魔帝とやら」

 

俺とヴァルバトーゼの間に歩いてくる藍。その表情はいつもの可愛さはなく

刺すような瞳でヴァルバトーゼの心臓を穿つ。

 

藍「これ以上ツルギに…家(・)族(・)にちょっかいを出すのなら私が相手をするぞ?」

 

ドスの効いた声の威圧だった。俺も庇われている身だというのに少したじろいでしまった。情けない。

だが、家族という言葉にはなんだか涙が出そうだった。

 

橙「私も!ツルギさんは恩人!手出しはさせぬ!」

 

橙も足が震えながらも勇敢に藍と一緒にヴァルバトーゼと対峙する。

すごく怖がっている感情が伝わってくる。

 

ツルギ「橙…藍…」

 

そうしてヴァルバトーゼが睨まれていると、すこし口端があがり、微笑むように見えた。

 

ヴァルバトーゼ「そうか…お前は心配してくれる家(・)族(・)を得たか」

 

ヴァルバトーゼは何か満足気な表情で黒いマントをバサリとして振り返り帰路を進む。

 

ヴァルバトーゼ「しばらく私はここにいる。また訪れるがいい我(・)が(・)友(・)ツ(・)ル(・)ギ(・)よ」

 

そう言ってヴァルバトーゼの姿はいつの間にか消えている。

ハッとして空を見るとこの時間帯じゃありえない蝙蝠が滑空していた。

 

藍「ふぅ…恐ろしい妖気を放っていると思ったが……なるほど魔帝ヴァルバトーゼか。納得だな」

 

橙「ふわぁ…足の震えが止まりませんよぉ」

 

ツルギ「ありがとう…二人共」

 

藍「礼には及ばっ…ってどうしたツルギ!?涙なんか流して、そんなにあの男がトラウマなのか!?」

 

ツルギ「えっ…」

 

本当だ。気づいたら涙が流れていた。

俺たち人造人間に感情はあっても涙までは流れないはずなんだが…。

 

ツルギ「いや、ごめん、なんでもない。大丈夫だよ」

 

恐らく俺は涙の理由を知っている。

あの魔帝ヴァルバトーゼと藍が言った言葉…

 

"家族"

 

 

 

俺たち人造人間に守るべきものはいなかった。

だが、心底この時の俺は思った。

俺が八雲家を守ろう…と。

"家族"を傷つけるもの全てから……。

 

 




ゼインの右腕と右足を奪った魔帝ヴァルバトーゼ。新キャラ登場です。
いや前話の最後にちょっと出てたけど…
この男との話もいつかする予定です。

ちなみにその実力は幻想郷でも最強クラスの実力を保有しています。
月の連中にはわんちゃん届きそうなレベルじゃないかなぁ…多分!
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