Place:紅魔館テラス
"ヴァルバトーゼ"SIDE
吸血鬼という生き物の話をしよう。
吸血鬼は怪異の中でもかなり有名な部類だ。
知らない奴は相当の知識不足と行っても過言ではない。
我々吸血鬼は、その名のとおり吸血を根源として生きている。
不死の存在とされ、普通の人間にはないほどの再生能力などを所有しているが決して完全な不死というわけではない。多くの弱点もあるし、銀の弾丸や心臓に杭を打たれれば死んでしまう。
まぁ私にはそんなものきかないんだが…。
私も昔から人間の血を片っ端から吸い上げ、今では魔帝と恐れられるほどだ。
今の人間の中では伝説の存在として祭り上げられているだけで、知る人は多くないだろう。
今現在ではこの館の主のほうが、この幻想郷では有名だろう。
紅い霧が空を覆っていく。
さて…私の勘が当たっているなら…"奴"は必ず来るはずだ。
???「どうした?ヴァルバトーゼ卿」
私がテラスでニヤニヤしていると、この館の主…
"レミリア・スカーレット"が姿を現す。
どう見ても10歳程度の幼女だが、こう見えても500年は生きている同族だ。
まぁ私からすれば500年など言葉通りただの幼女にしか見えん。
ヴァルバトーゼ「いや、今日は4年ぶりに面白い日になると思っていたところさ。それにしても、大きくなったなレミリア」
レミリア「ふっ、卿は何も変わっていないご様子だわ。あの時は私の使い魔を飛ばしただけだから、ちゃんと話をするのはこれが久しぶりだ」
ヴァルバトーゼ「昔みたいにヴァルおにいさんでいいんだぞ?」
レミリア「ふっ、冗談をおっしゃる。貴方ほどの吸血鬼にそんな無礼なことはできますまい」
ヴァルバトーゼ「いやはやこれは手厳しい。それより喜べレミリア。今日は私にとってもお前にとっても素晴らしい日となる」
レミリア「あら?ヴァルバトーゼ卿にとってもいい日なのかしら?卿は吸血鬼の弱点が無いというのに」
レミリアは自信過剰な性格だ。昔から何も変わらない。
だが、だからこそ面白い……。
今日この紅魔館でなにが起きようとしているかを予想できないのだから。
ヴァルバトーゼ「くふっ…ははははは!!」
レミリア「随分ご機嫌のようだ、私が運命で見た面白い事とやらが起きそうなのか?」
ヴァルバトーゼ「いいや、それはもうすでに起きた。これから起きるのは…それ以上に愉快なことなのだよ我にとってはな」
レミリア「貴方にとっての愉快は暴虐の限りを尽くした吸血以外にあるとは知らなんだ。もしかして卿の人間好きとやらがこじらせたものか?」
ヴァルバトーゼ「当たらずとも遠からずだ。レミリア、もし私を死ぬ寸前まで追い詰めた人間がいると聞いたらどう思う?」
レミリア「はははっご冗談を。あなたを死に追い詰めることなど、この幻想郷のどの妖怪でも叶いますまい。そのような戯言を」
ヴァルバトーゼ「ではこれが戯言ではないと仮定したらどう考える」
レミリア「それは見てみたいですわね。非常に興味がある」
ヴァルバトーゼ「ふっ、喜べレミリア。お前のその願いはすぐにでも叶うぞ。そのための余興だ」
レミリア「ヴァルバトーゼ卿が余興とは……今日は雨でも降るのかしら」
ヴァルバトーゼ「お前の出したこの霧でそれはないだろう。まぁ楽しみにしておくといいさ。くくくく!」
私はレミリアの前から姿を消す。まるで闇夜に紛れる蝙蝠のように。
さぁ、始めるとしよう。
余興は悲劇となるか喜劇となるか……。
ヴァルバトーゼ「それはお前次第だぞ。ツルギ」
後は…
◆◆◆◆◆◆
Place:紅魔館地下
"???"SIDE
???「ふんふーん。さぁて、ここらへんに"フランドール・スカーレット"がいるとお父様から聞いていたのだけれど…」
お父様から頼まれごととは珍しくて今日は雨でも降るかもしれないが、成功させれば
妖怪の中でも確実に最強クラスを超えて、敵など存在しないであろうお父様を死ぬ寸前まで追い詰められる人間が実在するとなれば興味が沸かないはずもない。
どれほど素敵な人間なのだろう。我がお父様が吸血すらできなかった人間というのは………。
今回お父様から頼まれたことはたった一つ。
この紅魔館の地下にはレミリア・スカーレットの妹が居ると聞いた。
なぜ幽閉されていたのかは詳しく聞かされてはいないが、能力の制御がうまくできないとかなんとか…。
とても危険な能力なのかもしれないが、まぁまだ吸血鬼の子供だ。できなくてもしょうがないのだろう。
私もお父様に救われてなかったら、吸血鬼狩りで野垂れ死にしていたに違いない。
???「おっと…ここかな」
地下を歩いていると一つの部屋が見える。中からは同族の反応がする。
なるほど…とても強い魔力を感じる。
こんなに小さい子供がこれほどの魔力を持つとは世も末だね。
フラン「誰?」
おっと、恐らくビンゴでしょう。
この部屋の声の主がフランドール・スカーレットで間違いなさそうね。
私の気配を感じ取れるとはフランは優秀な子だわ。
私の弟子にしてやりたい気分。でも今することはまた違う。
???「私はね――――」
さぁ、名乗るとしよう。
かつて"血の伯爵夫人"と言われた私の名前を
エリザベート「私の名前はエリザベート・バートリー。最強の吸血鬼"魔帝ヴァルバトーゼ"の弟子であり義娘」
さて、頼まれごとの時間までまだたっぷりと空白がある。
それまで――――
エリザベート「お話しない?フランちゃん」
あっ、ちなみに頼まれごとというのは
お父様が指示した時間に……この子"フランドール・スカーレット"を
暴走させることだ。
◆◆◆◆◆◆
Place:霧の湖
"ツルギ"SIDE
ツルギ(霧が深いな…)
湖に近づくと、どんどん霧が深くなっていく。
視界が全然取れないが、歩けないことはないだろう。
あっちの世界じゃ煙なぞ日常茶飯事であったしな。
ツルギ(だが、これ以上進んで更に深くなれば見えなくなるだろうな)
そう思って仮面の暗視機能をONにする。
これで多少は楽だろう。
紅魔館に住んでいる主は吸血鬼とも藍から聞いた。
となると…ヴァルバトーゼが一枚噛んでてもおかしくなさそうだが…
ツルギ(いや、メリットがないか)
ヴァルバトーゼは常に娯楽を求めて行動する男だ。
こんなことをしても奴にメリットは全く存在しない。
とすればどこかで高みの見物でもしてそうだな。
さて、今回の武装は双銃と義足にしまってあるナイフだ。
できるだけ能力は行使したくはない。
レイピアは流石に過剰武装だろう。
まぁ必要になったときは能力を使うまでだが…。
この幻想郷には弾幕ごっこと言われる決闘方法があるらしい。
だが、霊力などの力をもたない俺にはできない芸当だった。
紫や藍は空を飛ぶことができていたが、俺にはもちろんできない。
博麗の巫女も人間らしいが"空を飛べるらしい"。
俺らの日常にとってはこっちのほうが人外じみているが
俺はこの世界では別の意味で人外なのだろう。
いや妖怪でも飛べてるんだからこの表現は間違いか?
とりあえず、俺にはそれに対抗できる術が能力か双銃ぐらいだ。
この二つでどうにかなればいいのだが…。
弾幕と聞く限り、どう考えても双銃じゃ太刀打ち出来るかもわからん。
しかし―――――
ツルギ「!?」
途端に悪寒を感じ、後ろに軽く跳躍する。
すると俺が立っていた場所には…
ツルギ(氷…?)
???「あなただぁれ?」
ツルギ「!?」
人の声!?こんな霧が深い場所で人がいるとは予想外だった。
声に警戒していると真正面から、背丈が低い。全体的に青い!と言わんばかりの女の子が現れる。
その背中には見慣れない氷のようなものがある。
ツルギ(羽根…?)
この子が現れた瞬間…いや悪寒を感じてからその寒さがなくなる事はない。
恐らくこの子が放っている冷気だろう。
???「ねーねーあたいの話聞いてる?あなたはだぁれ!」
さて…どう答えたものか。この仮面を付けている内は八雲剣と名乗る気は今のところない。
ツルギ「…ゼインだ」
???「へー、なんか怪しいやつ……見たところ人間っぽいし」
ツルギ「…人に名前を聞いておいてお前は名乗らないのか?」
チルノ「へ?あぁそれもそうだね。あたいはチルノ!さいきょーの妖精だよ!」
ツルギ(妖精…?)
妖怪となにか違うのか?
チルノ「ちょうど暇だったし…遊んでよ。えーと怪しいやつ!」
ツルギ「………」
なるほど、妖精とはどうやら頭が足りない妖怪みたいだ。
いや、この見解が間違いなのなら他の妖精に失礼だろうが
少なくともコイツが
ツルギ「悪いが、お前に構ってる暇はない」
チルノ「えー、じゃあかまってくれるようにすればいいんだね」
ツルギ(!?)
チルノという妖精はその声をトリガーに青い弾丸を大量に放ってきた。
なるほど…これが弾幕というものか!
ツルギ(綺麗だな…弾幕っt――――くっ!?しまった!)
弾幕に見とれていると右腕に弾幕があたってしまいその箇所が凍りついてしまう。
ツルギ(まずいっ!)
しかもその当たり場所は悪く、大半の戦闘駆動を起動させる箇所が凍らされてしまった。
尚且つ関節にも凍りついているのか。右腕の動きがかなり悪くなった。
ツルギ(くそっ…紅魔館に着いてすらいないというのに……)
チルノ「さぁ、たのしもうよ!」
ツルギ(能力は冷気系と見て間違いないか…)
動かせる左手で双銃の片方を持つ。燃焼弾を右腕に打てば服が燃えて、紅魔館の戦闘時のアドバンテージを失ってしまう。
だが、動かせないんじゃ同じことだ。
さて……予想外だが、試練が増えてしまったな。
またもや新キャラのご登場「エリザベート・バートリー」ちゃんです。
この子の紹介は異変終了あたりですかね。
さてはて、二日酔いの影響か、頭痛は取れたものの体が痛いです。
主に上腕二等筋がいてぇーです。
わりと打ってるのがちょっと苦痛。
それでも連続投稿するかもと言った矢先!あと一話ぐらいは投稿したいです。