東方争無録:序   作:撃っち

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第17話「ゼロと破壊者の目覚め」

Place:紅魔館正門

 

"ツルギ"SIDE

 

数十分前――――――

 

 

 

咲夜のナイフを防いでから投げ技に繋げようとしたが、フェイントのナイフ捌きに対応できず左肩を裂かれる。

 

ツルギ「うぐぁ!」

 

先ほどまでの俺みたいに余裕はなく、完全に形成逆転の形をとられてしまった。

俺は能力で左肩の欠損した箇所を再生する。

白い結晶が裂いた部分を覆い、砕け散って裂かれた部分が元通りになる。

 

 

咲夜「再生能力をお持ちのようですが…さすがに分が悪いでしょう。おかえり願います」

 

ツルギ「ちっ…」

 

 

そうもいかないが…分が悪いというのは確かに事実だ。

 

ゼロ『どうするアイン。"再生"として使ってるだけじゃあの二人には勝てんぞ』

 

かなり熱い勝負をしているからかゼロが目覚めたようだ。

むしろこれまでかなり大人しかった。

 

ツルギ(どうするもなにも…引くに引けない。俺らの目的は異変の解決だ。こいつらに手こずってるわけにはいかない)

 

ゼロ『そうか…じゃあ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前の身体貸してくれよ』

 

 

 

ツルギ(なんだとっ!おい待てっ!!)

 

ツルギ「うっぐぁあああああああ!!」

 

意識が変わる痛み…脳への負荷が強くなっていく。

"1(アイン)"が"0(ゼロ)"に切り替わる瞬間はいつも慣れるものではないっ!!

 

 

咲夜「なに?」

 

美鈴「どうしたんでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"ゼロ"SIDE

 

 

ツルギ?「ふぅ……やっっっと出てこれたぜ」

 

久しぶりの感覚だ…。この感覚を味わえると自分の"存在"を実感できるというものだ。

 

美鈴「気が変わった?なんて強いエネルギー…」

 

咲夜「気が変わったって…どういうことなの美鈴」

 

 

ツルギ?「それに関しては俺様が説明するぜお前ら」

 

こいつらに近づくと構え始める。

まぁ、いきなり人が変わったようになれば警戒して当然か。

 

ゼロ「俺様の名前はゼロ。そうだな…ゼインのもう一人っていやわかるか?」

 

咲夜「もう一人?貴方は二重人格なの?」

 

ゼロ「あぁ?違う違う。俺様の存在は"0"であって"1"として確立されたものだから二重人格とはまた違う」

 

「「?」」

 

まぁわからなくても仕方ない。この理論は俺様の能力『0と1を行使する程度の能力』を理解していなければ誰にもわからんからな。

 

ゼロ「まぁ、それに関してはどうでもいいさ。それよりあんたたち強いんだろ?能力は再生程度にしか使っていないとはいえ、アインがあそこまで苦戦するなんてな。いやはや幻想郷は能天気で平和な世界だとばかり思っていたが、これなら俺様でも楽しめそうだ。だからさぁ…

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

そうして俺様はまずは美鈴へと肉薄する。

ツルギは怪我させる程度にしか戦っていなかったが…俺様はそんな甘っちょろくないんでな。

 

ツルギ『おい!殺すなよ!』

 

ゼロ(わかってらぁ!ちょっと痛い目見てもらうだけだ…ぜ!)

 

右手で殴ると同時に戦闘駆動の『ブースター噴射』を起動させる。

『ブースター噴射』は噴射の強化版みたいなもので、風ではなく火による噴射だ。

これの威力は『筋力強化』を併用すればコンクリートだって、簡単に貫通できる。

 

美鈴「あぐっ――――」

 

さすがにこれほどの力は受け流せないようだな。あれを防いだ両腕はもう使い物にならんだろう。

気を腕に集中させていたのか殴打のダメージは胴体には届かないか。

しかしもとより体力が限界だったのか、そのまま倒れてしまう。

 

咲夜「中国!貴様ァ!!」

 

ツルギ『やりすぎだ馬鹿!』

 

ゼロ(殺してねえんだからいいだろうが!俺様と戦って腕の数本程度折れたぐらいでギャーギャー騒がれたらたまらねえよ!)

 

咲夜のナイフを見切って右脚の『噴射』で避け続ける。

なるほど、ナイフの扱いは相当なものだな。もしかしたらアイン以上じゃないか?

突きと切りもちゃんと場面で使い分けている。

こりゃアインも苦労するわけだな。

 

咲夜(くっ、こちらのペースが乱されている!本当に人が変わったような動き…まさか手加減されていたのかしらっ!?)

 

避け続けていた俺様はそのまま噴射の勢いを利用して蹴りつけるが、寸前で回避される。あのまま顎にあたっていたら死んでたかもな。

 

咲夜(くそっ、接近戦じゃ勝ち目がない。弾幕で倒すか?)

 

後方に大きく下がった咲夜が急に地面から跳躍し、空を飛ぶ。

 

ゼロ「おいおい、勝てないからって幻想郷住人のお家芸かよ…」

 

咲夜「勘違いするな。私が手段を選んで戦うような人間に見えるか?」

 

そりゃそうだ。あのナイフ捌き…絶対に数人は殺している経験があってもおかしくはない。

だとするならそれに対しての答えは――――

 

 

ゼロ「そりゃ…見えねーな!」

 

大量のナイフが投げつけるのを噴射で躱し、こちらに当たりそうなものを双銃で弾いていく。

と思ったら、別の箇所からも飛んでくる。

 

ゼロ「あっぶねえ」

 

余裕だが、つい掠りそうになってしまい呟いてしまった。

さっきまで俺の目の前にいた咲夜はいつの間にかに後方の空にいた。

 

ツルギ『ゼロ…恐らくだが、あの咲夜という女』

 

ゼロ(わかっているとも。みなまで言うな。()()()()だろうな)

 

アインとの戦いを少し見ていたが、急に後ろにいたりと不思議なことが多かった。

瞬間移動だと思わなかったのは落ちていたナイフがなくなっていたことからだ。

 

ゼロ「さてとお嬢さん、一つ聞きたいことがあるんだけどさぁ…」

 

咲夜「何かしら?命乞いは聞かないわよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ「あんた人殺しの経験あるだろ?」

 

咲夜「!?」

 

 

 

そうして俺は『0と1を行使する程度の能力』を使い、奴らの前から消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"咲夜"SIDE

 

 

咲夜「なっ―――――」

 

美鈴「消え…た」

 

なぜ私が人殺しをしていたのをわかったのか…それを聞けないまま

 

 

 

 

ゼロと名乗った男は姿()()()()()

 

まさか能力は再生ではない…?いや、しかし現に今この場から消失している。

 

いや待て…確かゼロと名乗った男はゼインのもう一人だと言っていた…。

ということはそれぞれ別の能力か?

 

ゼインが『再生する程度の能力』

ゼロが『瞬間移動する程度の能力』

 

複数の能力を所有しているということか――――

 

 

咲夜(しかし、一体どこへ―――――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美鈴「さ、咲夜さん!上!」

 

咲夜「!?」

 

 

 

 

上空を見ると男が右脚から風を吹かせて蹴りつける動作をする。

 

咲夜(しまった!!…能力が間に合わな!?)

 

 

 

 

 

 

その蹴りを防ぐことはできず、私は地上へと叩きつけられてしまう。

 

咲夜「かはっ!!」

 

美鈴「咲夜さん!!!」

 

口から血を噴き出し、内蔵の数箇所をやられるほどの激痛が私を襲った。

どうやら意識はまだ保てているようで、あの男の声が聞こえてくる。

 

ゼロ「まったく、空飛んでる奴は上を警戒しないからアホらしいな」

 

咲夜「な……ぜ」

 

ゼロ「あん?」

 

咲夜「瞬間移動…なのか?」

 

ゼロ「あーちぃとばかし違うが似たようなもんだ。今のは俺らの中じゃ『零次元移動』って呼んでる」

 

美鈴「零次元……移動?」

 

ゼロ「あぁ、俺様を囲う空間の一部を"0"にして、自分の存在を"1"としてイメージするんだ。そして別座標へと転送するってのが今の『零次元移動』だ」

 

咲夜「さっきから……0やら1やら訳が…げほっげほっ」

 

美鈴「咲夜さん!」

 

口に鉄の味が広がっている。内蔵の出血が思ったよりひどそうだ。死んでいないのが奇跡だ。

 

 

 

 

ゼロ「あー、じっとしてな…」

 

咲夜「えっ……なにを?」

 

ゼロ「じっとしてろって言ってんだ。死にたくなきゃおとなしくしろ」

 

そうして男が私の腹を触ると、腹の上に白い結晶が覆っていき、砕け散る。

そうすると先ほどの激痛が一瞬で引き、また、口に鉄の味はまだ残るが出血もなくなった。

 

 

咲夜「なぜ私に再生能力を…」

 

ゼロ「うるせえ、アインが治せってうるさいんだよ。自分の()使()()()()くせに躊躇ねえんだからな」

 

そう言ってゼロは中国の両腕にも触れ、白い結晶が覆っていき、砕け散る。

 

美鈴「あったホントだ。腕の内出血が止まった…」

 

ゼロ「ふぅ」

 

咲夜「その…ありがとうな」

 

ゼロ「礼ならアインに言いな。俺様は別にお前らを助けるつもりなんて毛頭なかったんだからな」

 

アインとは先ほどの時の人格だろうか。どちらにせよ。敵とは言え借りを作ってしまったみたいだ。

 

美鈴「痛みも引いたところで、一体どんなからくりなんですか?その能力。0とか1とか言ってましたが」

 

中国も私と同じことが気になったようだ。

0やら1やらを先ほどから使っているが、能力に関係あるのだろうか。

 

 

ゼロ「ん…あぁ。『再生』も『零次元移動』も全部俺様の能力の応用さ。『0と1を行使する程度の能力』っていうんだが…なかなかに説明が難しいものでな。まぁまた今度っていうことで」

 

『0と1を行使する程度の能力』か………。

なかなかに謎が深いが、まずは紅魔館がどうなっているか確認を――――

 

 

 

 

 

 

そうしているととんでもない爆音が紅魔館から響いてくる。

しかも外のこちら側へと近づいてきている。

 

ゼロ「あ?おいおいなんだすごい力が近づいてくんぞ」

 

咲夜「もしかして…妹様!?」

 

紅魔館の庭の地面から炎が溢れ出す。

 

 

???「ウフフ…アハハハハハハ」

 

 

やっぱり…妹様だ。しかも尋常じゃないほどの狂気に飲まれているご様子。

 

私たちは門を開けて、妹様に近づく。

 

 

???「アソビマショ?コワシマショ?」

 

 

ゼロ「おいおいなんだよこいつは!?」

 

美鈴「あなたが探しているレミリア・スカーレットの妹様です。狂気に触れているため、地下で幽閉されていたのですが」

 

ゼロ「こんなふうに暴走するのはいつもなのか?」

 

咲夜「こんなに暴走したのは私も初めて見ました…」

 

 

ゼロ「ふぅん…おいアイン出番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前の『力を鎧として纏わせる程度の能力』が必要になってきそうだぜ?」

 

 

 




今回はフランが前話最後より前の話でこの話最後で繋がる感じですね。

ゼロの咲夜に対して人を殺したことがあるかの問いは美鈴がツルギに対して行ったものをオマージュしています。

さて、次回はとうとう異変終盤。

「ツルギ&ゼロVSフランドール・スカーレット」
「レミィ&パチェ&コア&霊夢&魔理沙VS魔帝ヴァルバトーゼ」
になります。

長い文章にするか2パートで分けるかにすると思います。

ゼロの言うツルギの『力を鎧として纏わせる程度の能力』とは―――


次回をお楽しみに!
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