東方争無録:序   作:撃っち

31 / 36
日常ってなんだっけ。


第23話「言葉は残酷で、真実を奏でる」

Place:人里

 

"ツルギ"SIDE

 

 

今日で名残惜しいが紅魔館の奴らとお別れだ。

ここまでは美鈴が送ってくれた。

しかし、また宴会で…と言われて気になる。

 

ヴァルバトーゼやエリザベートも宴会でって言ってたな。

幻想郷特有のノリなのか?

 

 

藍「ツルギ!」

 

ツルギ「!?」

 

久しぶりの声だ。その声を忘れることはない。

家族の藍がそこにはいた。

 

ツルギ「あぁ、久しぶりだな。ら――――!!」

 

急に抱きつかれてしまい、びっくりしてしまう。

藍さん?胸、胸で息ができません。

 

 

藍「無事でよかった……」

 

ツルギ「………」

 

胸で何もしゃべれないが…家族に心配されるのがこの上なく嬉しかった。

そして胸の感触が…まるでマシュマロみたいな…。

 

藍「あっ///すまん。またこのパターンをしてしまったな」

 

ツルギ「あっいやこちらこそ…」

 

 

 

 

 

 

 

いい体験をさせていただきました。なんて言えるわけもない。

 

藍「じゃあとりあえず帰ろうか。ほら――――」

 

久しぶりに見るスキマに入り、出た後には懐かしの八雲家の屋敷が見えた。

 

 

ツルギ「ほんと久しぶりだな4日ぶりか?」

 

藍「そうなるな。ほら、入るぞ」

 

あっそうだ。と藍が家のドアの前で止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「おかえり、ツルギ」

 

 

 

一瞬どう答えていいものかわからなかったが…確かこういうんだっけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツルギ「ただいま、藍」

 

 

 

 

 

 

そうして家に入ると橙がいた。どうやら待ってくれていたようだ。

 

 

橙「おかえりなさいませお(・)兄(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)」

 

ツルギ「あぁ、ただいま橙………………お兄ちゃん?」

 

 

なんかおんなじ反応を最近した気がする。あれだ。咲夜に様を付けられた時とフランにお兄様と言われた時とおんなじ感覚だ。

 

 

藍「橙も家族だからお前を家族らしく呼びたいっていう話になった時に橙はツルギの妹ポジションになったんだ。あと、私はお前と二人きりのときに敬語を外しているのがバレてな。これが平常運転ということになった」

 

ツルギ「そっか。よろしくな橙。橙が妹なら…藍は姉なのか?」

 

藍「さぁ…姉ということになるのだろうが、私としてはいつもの感じで構わん」

 

ふむ。色々と俺がやっているうちに八雲家の事情は変化していったらしい。

 

 

 

 

ツルギ「そういや姉さんは?」

 

藍「紫様なら部屋でお前のことを待っている。二人きりで話したいことがあるそうだ」

 

 

内容は概ね検討がつく。異変の結果だろう。

まぁ、解決したのは俺じゃなくてあの紅白と白黒の女の子二人組なんだけどね?

 

 

ツルギ「じゃあ、藍。俺の荷物を頼めるか?」

 

藍「わかった。積もる話は後でしよう」

 

橙「また後でねーお兄ちゃん!」

 

ツルギ「おう、後でな」

 

 

 

さて、行きますかね―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫の部屋に着いたのでノックをしてもしもし。

 

紫『入っていいわよ』

 

 

 

そうして入ると紫が高そうな椅子に座ってこちらを見る。相変わらず扇子で口を隠していると何を考えているのかわからんな。

 

 

紫「おかえりツルギ。体の方は大丈夫なの?」

 

ツルギ「ただいま姉さん。あぁ、調子は問題ない。というかすまんな異変解決に関しては何も出来ていない」

 

紫「でも、貴方はそれ以上の結果を出してくれたはずよ?違う?」

 

ツルギ「…まぁな」

 

紅魔館全員が俺に感謝を述べてくれていたことを思い出す。確かにフランを救わなければ皆あんなに笑顔にはならなかっただろう。

 

 

紫「正直私もここまでやってくれるとは考えていなかったわ。貴方はツ(・)ル(・)ギ(・)として役目をこなせたようね」

 

ツルギ「どうだろうか。仮面が壊れただけなんだけどな」

 

紫「もしかしたら必然だったのかもしれないわ。状況は見ていたけれど、貴方はフランドールに対して兵器ではなく人(・)間(・)として接していたように見えるわ」

 

ツルギ「まぁ、そうかもな」

 

紫「ツルギ、こちらにいらっしゃい」

 

紫が手招きするので近寄ると席から立って俺の頭を撫でる。

 

紫「よく頑張ったわね。偉いわ」

 

まるで母のようだった。不思議だな。母親などいなかったというのに。

 

 

 

 

 

 

 

ツルギ「………やっぱり姉さんじゃなくて母さんのほうが性に合うんじゃないか?」

 

紫「何か言った?」

 

ツルギ「いや、痛い痛い痛い!アイアンクローはまじで頭に響くから!!」

 

 

 

 

紫「そういえば、貴方を博麗神社に連れて行こうと思うの」

 

ツルギ「博麗神社ってあの?」

 

紫「そう、紅白の脇を露出させてる巫女がいたでしょ?彼女が博麗神社の博麗霊夢よ」

 

 

あいつがそうだったのか。にしても脇を露出させてるっていうのはどうなんだ?巫女の服には脇を露出させる文化があるのだろうか。

パチュリーに読ませてもらった文化人類学の本にそんなことはなかったが。

 

 

 

紫「宴会も明日あるからね。その前に会わせておこうと思っててね」

 

ツルギ「宴会ってみんな言うけどなんなんだ?」

 

紫「単純にみんな理由を見つけてお酒飲みたいだけよ。博麗神社で宴会するから会っておいて損はないでしょ?」

 

 

ツルギ「まぁ、そうだが今日会いにいくのか?」

 

紫「いえ、明日の朝でいいでしょ。貴方も疲れているだろうし少し休んだら?」

 

ツルギ「そうさせてもらうよ」

 

俺は部屋を出ようとドアノブに手をかけると思い出したように紫が問う。

 

 

紫「そうそう聞き忘れたんだけどツルギ―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなた隠(・)し(・)て(・)い(・)る(・)こ(・)と(・)はないかしら?」

 

 

その言葉で足が一瞬ぐらつく。

 

さすが幻想郷の賢者と言われるほどなのか。勘の鋭さは一級品だ。

 

 

隠すものなんてたった一つしか見当たらない。

 

死期のことしかない。俺の生存限界を示す一次現象が起きたということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツルギ「別に…ないよそんなこと」

 

 

 

 

紫「………そう。ならいいわ。ゆっくり休みなさい」

 

 

 

 

 

 

 

ツルギ「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話すつもりなど毛頭なかった。

 

 

信用できないから…ということではない。

 

 

 

家族だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心配をかけたくなかった―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"紫"SIDE

 

 

 

まったく…隠すのが下手ねツルギは。

 

恐らく私にも話せないような何かがある…ような予感がしている。

 

しかしあの反応を見るに…明らかに何かを隠していた。

 

 

 

紫「私が母親…か」

 

 

 

どうしても年を考えてしまうと母親があってしまうのだろうかと考えてしまう。

 

わ、私まだ若いもん!本当なんだから!!

 

姉として名乗っていたいという変なプライドがある。

 

 

 

 

???「あら?母親もいいんじゃない?紫には母性があると思うのだけれど」

 

 

紫「!?」

 

 

 

私しかいないはずの部屋に声が響く。

とても懐かしい声色だった…。美しくもどこか幼い声。

 

声の方を向くと白のワンピースに白く短い髪が靡き、アルビノを彷彿とさせる白い肌と紅い目。

 

私は知っているこの人を……幻想になってしまった彼女を………

 

 

紫「杏弦(きょうげん)…奏(かなで)」

 

奏「幻想郷設立以来ね…紫」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷を設立したのは八雲紫。幻想郷の賢者と言われているが、正(・)確(・)に(・)は(・)違(・)う(・)

 

本当はもう一人。紫と志を共にした"祝福の妖怪"がいた。

 

その妖怪は幻想郷の者たちから愛されていた。愛されすぎたが為に彼女は神として崇められる。

 

しかし、彼女は崇められることが嫌いだった。

 

対等の関係を望むが、それが受け入れられることはない。

 

そのため彼女は自分から幻(・)想(・)郷(・)で(・)幻(・)想(・)となることを選び

 

誰からもその存在を知られず、誰からも崇められない。

 

神々が愛する幻想郷を愛す"神"となった。

 

それが杏弦奏という祝(・)福(・)の(・)神(・)であり幻(・)想(・)郷(・)の(・)神(・)様(・)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「なぜ……あなたがここに」

 

奏「もっと何かないの?久しぶりーとか、いつ見ても可愛いねーとか」

 

紫「いやそうじゃなくて!!いつの間に現界するようになったのよ!!」

 

 

彼女は私と幻想郷を設立した子だ。年は私よりも幼く見えるが、実際はかなりの年月を生きている。

『祝福する程度の能力』を持った祝福の妖怪と言われており、現在ではこの幻想郷を司る神様と言っても過言ではない。

 

 

奏「やっぱり紫と話すのは楽しいわ。貴方は私を崇めないから」

 

紫「……奏は対等の存在…友(・)達(・)の関係が好きだったからね。で、私の質問にはいつ答えてくれるのかしら?」

 

奏「"彼"が来た時からだよ。彼は面白いね。見てて飽きないというか」

 

紫「"彼"ってツルギのこと?」

 

奏「紫が名づけ親だっけ。紫ももうそんな年なのね~」

 

紫「私よりも年上でしょ奏は。それで、幻想郷の祝福を司る神様が一体どうしたというの?人に興味を持つこと自体あまりない奏が随分と珍しいじゃない」

 

 

そう、奏は人にそれほど興味を持つことはない。私と友達になったというのも志が一緒だったというからである。

フレンドリーな話し方ではあるが、結構興味ないものには手を出さない主義なのだ。

ツルギは確かに色々興味を持たれそうな出生だが………。現(・)界(・)す(・)る(・)ま(・)で(・)し(・)て(・)彼(・)女(・)は(・)ツ(・)ル(・)ギ(・)に(・)何(・)を(・)感(・)じ(・)た(・)の(・)だ(・)ろ(・)う(・)か(・)

 

 

奏「そうだね~紫には伝えておこうとおもってさ」

 

紫「伝える?」

 

奏はそう言って私の後ろに歩いていく。窓の方でもみているのかもしれない。

 

 

奏「彼…ツルギ君のことなんだけど――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こ(・)の(・)ま(・)ま(・)だ(・)と(・)一(・)ヶ(・)月(・)も(・)し(・)な(・)い(・)う(・)ち(・)に(・)死(・)ん(・)じ(・)ゃ(・)う(・)よ(・)?(・)」

 

 

 

 

 

 

 

紫「!?」

 

後ろを振り向くとそこにはもう奏の姿はなかった。

 

 

紫「嘘…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だと信じたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、私の知る杏弦奏は―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決(・)し(・)て(・)嘘(・)を(・)吐(・)く(・)よ(・)う(・)な(・)人(・)で(・)は(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。

 

 

 




悪いけど…この作品タグにはコメディなんかないんですよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。