Place:博麗神社境内
"霊夢"SIDE
ずっと考えている。彼を救う方法を――――――――
私は他人に興味はない。だが、彼を救いたいと思う気持ちが心のどこかである。
私もお人好しの類かもしれない。でも……この心に嘘偽りはないだろう。
紫「霊夢……」
考え込んでいると後ろにはいつの間にか紫が立っていた。恐らく…ツルギの話だろう。
霊夢「紫。辛いわね」
紫「……あなたは知っていたの?」
霊夢「ついさっき聞いた話よ。ツルギも他人には他言無用だって言ってたけど、あなたは家族だものね。心配で当然よ。と言っても私も詳しくは知らない。貴方なら寿命も知っているんじゃない?そんな顔してるわ」
とても悲しい顔。まるで家族に余命を宣告されたかのような………そんな顔をしていた。
霊夢「一ヶ月も……ないのね」
紫「えぇ……」
紫から全部聞いた。誰がいったまでは聞かなかった。
紫は自分が異変に向かわせたせいで、ツルギの少ない寿命を更に削ってしまったと思い込んでいるらしい。
だが、ツルギを見ている限り、紫を責めるようなやつではないと思う。
霊夢「あなたの能力で寿命の境界を操作できないの?」
紫「無理よ…私の力は生命の概念を覆せるほどの力はないの…」
霊夢「そう………」
月を見る。とても悲しいものだ。月はこうして大きく見えるけども、近いように見えて本当はずっと遠い。
まるでツルギのよう。
???「そう、ツルギと月って似てるわよね」
霊夢「!?」
私の気配探知でも声をかけられなければ気づけないなんて…いつの間にかに私たちの前にはアルビノの白いワンピースを来た少女が立っていた。
紫「奏!!」
霊夢「なに?知り合い?」
奏「そうだよ、博麗霊夢。初めましてかな?」
私の名前を知っている…?一体なんなんだこの感じ。とてつもない魔力と神力を放っている。
奏「私の名前は杏弦奏。私が愛する幻想郷をいつも守ってくれてありがとう霊夢」
霊夢「私が愛する幻想郷?」
紫「霊夢、彼女は私と一緒に幻想郷を作った…幻想となった幻想郷の神様と言える存在よ」
霊夢「え?」
そんな存在がいるとは知らなかった。
なるほど。私の勘が言うにはあの人が教えたのだろう。
奏「紫、悲しんでいるようね」
紫「当たり前じゃない!ツルギと私はそんなに長い年月を共にしたわけじゃない!それでも……
霊夢「………」
この少女はまるで透明の水のようだ。何もかも見透している感じ。
奏「そうよね。私の知る紫は泣き虫だものね」
霊夢「あなたね…!!」
奏「でも、だからこそ私はここに来た。あの3人を呼んでちょうだい。早く…ね」
そう言われて私はなぜか逆らえない…何か魅力に突き動かされているというかそんな感じだ。
奏「紫、安心して――――――――――
彼はまだ生きてもらわなくては困るの」
"ツルギ"SIDE
急に霊夢に起こされて境内に来てと言われているのでいま服を着替えている最中だ。
ヴァルバトーゼ「…………」
エリザベート「どうしたのお父様?」
ヴァルバトーゼ「いや………とてつもない神力を感じる」
神力っていうのつまり神様の力ってやつだったか?なぜそんな力が…
しかもヴァルバトーゼが"とてつもない"と言うあたりかなりのものなのだろう。
そう言って境内に行くと…姉さんもいた。
ツルギ「紫姉さん!大丈夫なの?」
紫「えぇ、すこし藍のおかげで楽になったわ」
霊夢「それより、ん」
そういって霊夢が指さした方向には…月の光のせいかすごく神々しく見える。まさに"白"を体現しているような少女が立っていた。
ヴァルバトーゼ「こいつだ…さっきからとんでもない神力を発しているやつは……何者だ?」
奏「私の名前は杏弦奏。初めまして、ツルギ・ヴァルバトーゼ・エリザベート」
エリザベート「私たちの名前を知ってるの?」
奏「えぇ、もちろん。私はこの幻想郷の…いわゆる神様みたいなものよ。ツルギ、時間がないから単刀直入に言うけど…あなたの命は明日の零時に終わりを迎えるわ」
「「「「「!?」」」」」
なんだこいつ………なぜ俺の死期のことがわかる?神とかいうヤツだからか?
ヴァルバトーゼ「おい、それはどういうことだ神とやら」
奏「そのままの意味よ魔帝。彼の寿命はもうそこまで来ているの」
エリザベート「え?ど、どうしてよ?」
奏「それが寿命をすり減らす能力をつかった代償。そうよねツルギ?」
覚悟はしていたが…明日の零時とは……22時間しかないじゃないか…。
ツルギ「…あぁ。まさかそんな短いとは思っていなかった」
紫と霊夢が俺の平気そうな顔を見て、辛辣な表情をしている。
もちろん平気なわけではない。俺はまだ答えにもたどり着けていない――――――
そう人間として―――――そんな時間すら―――――与えられないというのか。
奏「ツルギ、聞かせて欲しいことがあるの―――――――――
貴方はこの先困難が待っていようとも…生きたいと願うかどうかを―――――」
答えは――――――
決まっている。………俺は――――――
ツルギ「―――――人間になるまで……俺は死ぬわけにはいかない。生きたい!この先どんな困難があっても、どれほど辛いことがあったとしても…俺の命に――――意味があるのなら………それを知るために―――――――
奏「合格ね」
ツルギ「えっ?」
奏「貴方には生きてもらうために
命の…祝福。
奏「ヴァルバトーゼ・エリザベート、あなたたちはどうする?」
エリザベート「どうするって?」
ヴァルバトーゼ「どういうことだ」
奏「ツルギはこれからどんな困難にも立ち向かって生きていかなければならない。困難には"友達"が必要でしょ?あなたたちが望むなら…この幻想郷を守る"
ヴァルバトーゼ「つまり…我らにこの幻想郷とツルギを守れと言いたいわけか?」
奏「幻想郷を守ってほしいとは言うけれどツルギを守るかどうかはあなたたち次第。見て楽しむのも良し。友達として共に歩むのもまた格別でしょうね」
ツルギ「別に…お前らは関係ないだろ?守護者とやらは俺が――――」
ヴァルバトーゼ「くくくくくくく。ふっはーっはっはっは!!面白いではないか!!ツルギと共に歩むというのも悪くはない。乗ったぞ奏とやら!!」
ツルギ「なっ、おい!ヴァルバトーゼ!!」
エリザベート「私も賛成~!!ツルギは私が守るんだから!!もっと強くなって!!いつかお父様を超えるんだから!!!」
ツルギ「エリザベートまで…お前ら――――」
奏「ツルギ?友は悪くないわよ?私と紫のようにね」
そういって奏は俺たちに向かって祈りをするように手を組む。
奏「まず、エリザベート。こちらへいらっしゃい」
エリザベートは意気揚々と奏の前に立つ。
奏「貴方からは…成長したいという強い願望を感じるわ。そんな貴方には"
エリザベート「え?稔?」
奏「いつか、貴方の思いや努力が結ばれるようにという祝福。あなたはいつか、その力でたくさんの命を助けるでしょう」
そう言うと奏から白い光が溢れ出す。そうしてエリザベートの周りにも眩い光が溢れ出す。
エリザベート「すごい…綺麗……力が…湧き出るみたい」
奏「次はヴァルバトーゼ。貴方よ」
ヴァルバトーゼ「私は神を信じていないのだが…それでも祝福は与えられるのか?」
奏「与えられるわよ。幻想郷に住む者になら誰でも…貴方は人間を見るのが好きのようね。人間臭さが大好き。でも、あなたの心は完成されているけれど悪魔としての心に過ぎない。そんな貴方には"
ヴァルバトーゼ「我が…人間の心を求めているように見えたか?」
奏「私の目からは十分に…」
ヴァルバトーゼ「ふっ!ハハハハ!貴様みたいな神様なら信じてもいいのかもしれんな!!」
確かにヴァルバトーゼは人を見るのが好きだ。人間臭い心や感情をこよなく愛している。
今のは初耳だったが…、もしかしたらヴァルバトーゼは…そんな人間の心に
本音を口に出すタイプだが、自身については何も言わない奴だったからな。
あの神様の言うことは本当なのかも知れない。
奏「そして………ツルギ」
そうして俺が呼ばれる。俺はこの少女の前に立つ。
奏「貴方は仮初の命でしかない。それは自然なものではなく生命とは呼べない。そんな貴方には"
そう言われて眩い光が放たれる。とても暖かく、俺の体の鎖が解き放たれるような気分だった。
光に包み込まれているとき…なぜか涙が流れた……。
まだ生きられるのだと
理解できただけで
嬉しかった―――――――――
奏「そして私は貴方たちに祝福するわ……守護者の祝福を―――――」
その声が聞こえて目を開くと、光は消えて、奏は笑顔でこちらを見ていた。
奏「さぁ、祝福を与えたからには貴方達にこの幻想郷の守護者として働いてもらうわよ!」
ツルギ「守るって具体的などんなことをすればいいんだ?」
奏「その時が来たらわかるわよ。とりあえず安心しなさい紫。ツルギは『命の祝福』によって新たな生命となった。寿命は今じゃ人間と同じだから安心して」
紫「うぅ~うわ~んよかったよ~~つるぎいいいいいいいい!!」
ツルギ「うわ!?姉さん!?」
姉さんは俺に抱きついて涙を流しまくっている。
ここまで心配させてしまったのか。
ツルギ「………ありがとう姉さん」
ヴァルバトーゼ「つまり我らは守護者としてのチームとなったわけだ。守護隊長はツルギでいいな」
エリザベート「さんせ~!」
ツルギ「えっ?どういうことだよ!」
ヴァルバトーゼ「この中じゃお前が一番戦っちゃいけない奴だからな。我たちはお前の親衛隊であり部下でありまた友だ」
エリザベート「そうそう!友達よ友達!試しに私のこと愛称で呼んでみてよ!」
ヴァルバトーゼ「我もヴァルでいいぞ」
ツルギ「えっ…えーと」
初めてだった。
友達と呼べる存在ができたこと。
この感情はなんだろう。
嬉しいけど…言い表せない何かが心のどこかである。
ツルギ「あぁ…これからよろしく頼む。ヴァル、エリザ」
こうしてツルギの生命は人の物となり、元・兵器は仲間を連れて幻想郷を旅することになる。
そして、いつかその守護者の3人はこう呼ばれることになる。
幻想郷を救った守護の三英雄と―――――――――――
第弐章「日常は過ごされし絆の一幕 与えられるは守護者の祝福」 完
展開がすごすぎてあれなので奏の紹介で補完させます。