東方争無録:序   作:撃っち

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(麻婆豆腐が食いたくなったので)初投稿です。


第03話「料理」

 Place:八雲家居間

 

 “八雲紫”SIDE

 

紫「とまぁ、そういうことよ」

藍「………」

 

 私は罪の全てを藍に話した。

 能力で感情の境界線を広げてしまったが為に

 彼はずっと人間と兵器の間で揺れて苦しんでいたこと全てを。

 

藍「紫様も話すのはとてもつらそうにしておりました。

私に話して下さりありがとうございます」

紫「いいのよ、それにこれは知ってもらいたかった。というのもあるしね」

藍「………嬉しいです紫様」

 

 何百年と一緒に過ごしてきた信頼関係はもはや"家族"といっても過言はないだろう。

 藍に知ってもらいたかったのは事実だ。そして、何よりも

 

紫「でも…そんな私をツルギはね?」

藍「…」

紫「ツルギは私を咎めもせず、感謝を述べてくれたわ」

藍「感謝…ですか?」

紫「えぇ」

 

 正直に言えば、恨まれてるのかもしれないと怖かったことは覚えている。

 そんな私を彼は許してくれた。それは彼にとって"許す"という行為ではなかったのかもしれない。

 まだ人間の感情を学びきれていない彼の言葉の解釈が違うだけかもしれない。

 でも、彼の笑顔はその疑心を晴らすのには十分なものだった。

 それだけで、私は救われたのかもしれない。

 

紫「許してくれたツルギに恩返しがしたい。だから彼を幻想郷に連れてきたの」

藍「………しかし、わざわざ八雲の名を与える必要があったのでしょうか?」

紫「あら?あなたにしては察しが悪いわね。人間で一番繋がりのある信頼関係、とはなんでしょう?」

藍「なるほど、家族…というわけですね」

紫「えぇ、人を殺す兵器の周りにいた冷たかった彼に、家族の暖かさを知ってほしいと思ったからよ」

藍「承知しました。紫様がそうおっしゃるなら私も拒むわけには参りません」

紫「大丈夫よ、藍」

藍「はい?」

 

 きっと、貴方もツルギを気に入るはずだから――――

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 Place:八雲家キッチン

 

 "ツルギ"SIDE

 

『藍が料理を作るから手伝ってくれないかしら?』

 

 と言われてホイホイと俺は藍さんにキッチンへと案内される。

 

ツルギ(さっきの殺意は感じないな?紫にどこまで説明されたのか…)

藍「で、ツルギはそもそも料理を作れるのか?」

ツルギ「ん?あぁ、一応本で見たことはあるぞ?」

 

 そう、書物でならそこそこに見たことはある。

 俺ら人造人間は最低限の食事のみで事足りる。

 サバイバルでの食事程度しか作ったことはないが

 作り方などは頭に入っていた。

 

藍「じゃあ、夕食ということだし各々作ってみようか」

ツルギ「了解。俺はこっちのほう使っていいのか?」

藍「あぁ、問題ない」

 

 自分の持ち場へと移動し、現在の食料がどんなものがあるかを確かめてみる。

 

ツルギ(っ!豆板醤を作れる素材があるのか…都合のいいことに豆腐やネギ、挽肉も揃っている)

 

 これは"麻婆豆腐"とやらを作れるかも知れない。

 中華料理は食べたことがあるが絶品の品々が多かった。

 その中でも麻婆豆腐は感動を覚えるレベルだったかもしれない。

 他にも青椒肉絲とか小籠包とか…。

 

藍「ど、どうした?そんな恍惚の表情で上なんか見て……」

ツルギ「!?あっいや!なんでもない。麻婆豆腐が作れるかなと思っただけだ」

藍「麻婆豆腐?」

ツルギ「知らないのか?」

藍「あぁ。名前的に豆腐が入ってそうなのはわかるが…それだけだ」

ツルギ「じゃあこの機会に知ってもらうか。

あの味を再現できるかはわからんけど藍さんのためにも頑張るか!」

藍「くすっ、あぁ私も頑張るからお前もがんばれ」

 

 そうして俺たち2人は作業にはいる。

 藍さんは味噌汁と野菜系の炒め物と…あれはなんだ?

 茶色いものにご飯を包んでいるように見えるが…

 

ゼロ『ありゃいなり寿司ってやつだな』

ツルギ(いなり?)

ゼロ『あぁ、寿司の一種だ。あいつも狐の類だろうから油揚げ好きの影響じゃないか?』

ツルギ(なるほどね)

 

 手は動かしつつ、ゼロのトリビア(※普通の人なら常識の範疇)に耳を傾けながら作業を進める。

 

ツルギ「そういや…気になったんだけど」

藍「ん?どうした」

ツルギ「………その尻尾って本物?」

 

 さっきからふぁさふぁさと9本の尻尾が揺れている。

 

藍「あぁ、本物だ。玉藻の前…というものを知っているか?」

ツルギ「いや、聞いたことがない」

藍「まぁ紫様から聞いたお前の世界じゃ、知ってなくても無理はないか」

ゼロ『昔なら誰でも知っているぐらい有名な人物だったからな』

ツルギ(そこまでだったのか)

藍「まぁ妖怪の九尾というものがそれに当たる。今度人里の本屋にでもいって見てみるといい」

ツルギ「あぁ、あともう一つわからないことがあってだな…」

藍「ん?」

ツルギ「俺は一応八雲の苗字を与えられたってことは、藍さんとも家族関係ってことになるんだろ?」

藍「まぁ………そういうことになる」

ツルギ「家族構成は詳しくないんだが…俺は藍さんや紫にとって"何"に当たるんだろうか」

藍「…確かにな。まぁ後で紫様にでも決めてもらおう。あと、実はまだお前に紹介してない家族がいる」

ツルギ「紫と藍さんだけじゃないのか」

藍「あぁ、その子は私の式神でな。今は留守にしているから今度紹介しよう」

ツルギ「あぁ、頼む」

 

 

 家族構成の疑問を残しつつ、俺と藍さんは作業に戻り料理を完成させる。

 

藍「ツルギ、ちょっと味見を頼めるか?」

ツルギ「おれでよければ」

 

 そういって藍さんはいなり寿司を掴んでこちらに向けてくる。

 これは………

 

ゼロ『一昔前に流行った"はい、あーん"という恋人にする萌え芸!!これを見れる日が来ようとは!!』

ツルギ(な、なんじゃそりゃ!?)

 

 だが、それを聞くとつい顔が赤くなってしまう。

 

藍「ん?どうした?」

ツルギ「あっいや、こんなことされたことがないから照れてしまった」

藍「んなぁっ!?あ、味見してもらうだけだ!深い意味はないぞ!」

ツルギ「あ、あぁそうだよな…」

 

 と言って彼女のいなり寿司を一口で食べる。

 これは…

 

ツルギ「…絶妙な甘さと米との組み合わせがすごく美味い」

藍「そ…そうか。それはよかった」

 

 ……?俺に食べさせた後藍さんはあっちを向いてしまった。

 

藍「………口が指に…意識させるなまったく……」

ツルギ「?藍さん何か言った?」

藍「あぁ!いや!なんでも…ない」

ツルギ「???」

 

 小声だったので何も聞こえんかった。

 

 

 藍さんが作った料理:

 ご飯・味噌汁・野菜炒め・いなり寿司・枝豆

 

 俺が作った料理:

 麻婆豆腐(多量)・回鍋肉(多量)・サラダ

 

 麻婆豆腐じゃ味気ないからもう2品作ってみた。

 

藍「3人分にしては量が多すぎないか……?どうみても10人分はあるようにみえるが」

ツルギ「そう?まぁ俺が全部食い切るから問題ない」

藍「この量を食べきれる自信があるのか…」

ツルギ「まぁこれでも少々量が物足りないかもしれないが」

藍「もっと食べられるのか!?ツルギはそんな体でとんでもない大食漢みたいだな」

 

 まぁ、ちょっと遠慮なしに作りすぎてしまった気はしないでもない。

 ゼロ『相変わらずとんでもねー量食うよなお前』

 …そんなことはない。

 俺たち人造人間は最低限のエネルギーで事足りるが

 俺の食事量は結構とんでもないらしい。

 

藍「まぁ、私は紫様を呼んでくるからお前は食卓に並べといてくれ」

 

 そう言われて藍さんはキッチンを出て行く。さて、並べに行きますかね。

 

 




書いてて食いたくなってしまう。そんな衝動。
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