Place:八雲家食卓
"八雲藍"SIDE
「「「いただきます」」」
紫様を呼んで、夕食に入った。
橙がいないのが少し寂しいが
明日には帰ってくるので問題ないだろう。
紫「えーとツルギが作ったのはどれかしら?」
ツルギ「ん?あぁその麻婆豆腐と回鍋肉だよ」
紫「………作りすぎじゃないかしら」
ツルギ「そうか?まぁ食えなくても俺が食いきるから問題ない」
藍「ふふっ」
ツルギが余裕そうな表情をしているのに対し、紫様が珍しく青白い顔をしていて少し面白かった。
どうやら紫様も彼が大食漢だということを知らなかったらしい。
そして食事が終わり、緑茶で一息ついている時に例の疑問を紫さまにぶつけてみる。
藍「そう言えば紫様」
紫「なにかしら?」
藍「ツルギを家族に迎え入れるとして、立ち位置はどこになるのでしょうか」
紫「そうね~、まずうちに男はいなかったから…長男というのは決定として……」
紫様もう~んと唸りながら緑茶をすすり、
ツルギ「ということは紫が母親か?」
紫「ぶーっ!!!!」
扇子を手で仰ぎながら、口に含んだ緑茶は芸術的な"噴水"を演出していた。
さらに虹も浮かび芸術点はさらに高くなるだろう。
しかし紫様のカリスマがこうも一瞬で崩れるとは…
ツルギ侮りがたし。
ツルギ「ど、どうした?」
紫「い、いえ私としたことが…オホホ」
私は緑茶がこぼれ落ちた場所を吹いていると紫様は動揺しているような表情を浮かべていた。
紫様にとってツルギの立ち位置は弟のようなものだったのだろうか。
紫「そ、そうね!私は姉というより母親かしらね!!」
ツルギ「い、いやなんか少し半ギレ気味に言われてる気がするんだが…」
その光景を微笑ましい目で見ていると紫様に涙目で睨まれてしまう。
紫「いえ、私は貴方の姉!藍は貴方の召使いよ!」
ツルギ「えっ」
藍「えぇぇぇ!!なぜです紫様!?」
流石に予想の範囲外だ!もしかしたら笑ってみていたことへの報復かもしれない。
藍「ま、待ってください紫様!ツルギに家族というものを教えるのではないんですか!」
紫「甘いわ藍!貴方が私よりもツルギとお近づきになれる権利があると思って!?」
ツルギ「いや、どういう理由だよ」
紫「私が母親と思うほど貴方は私を"おばさん"扱いしたいのかしら…」
ツルギ「えっ…?紫みたいな美女をおばさん扱いするわけないだろう…」
紫「―――――――///」
反撃を喰らい、紫様は顔を赤くして表情が固まってしまった。
ツルギ「…おーい紫?」
紫「ふ、ふん。なら私が姉でもいいでしょう!」
ツルギ「いや、それに関しては異論はないが。藍が召使いというのは?」
紫「藍と私は家族だけれど主従関係よ?藍が貴方の姉になったら私の妹になっちゃうじゃない?」
藍「し、しかし……」
別に紫様に対して異論はないが…
ツルギを主として見るには少し距離がある。
ツルギ「いや、だが………」
紫「何か異論でも?」(ギロッ
「「いや…ないです」」
私たちはその眼光に降伏するしかなかった。
紫「じゃあツルギ!試しにお姉"ちゃん"って呼んでみて!」
ツルギ「えっちゃん付け!?姉さんじゃダメなのか?」
紫「お・ね・え・ち・ゃ・ん」
ツルギ「紫姉ちゃん……」
紫「はい!よくできました~」
紫様はご満悦な表情でツルギの頭を撫でる。
ツルギは身長が長いから座ってないと頭は撫でられなさそうだ。
まぁ今は紫様が立っているからだろうが。
ツルギ「しかし、姉ちゃんっていうのは少し違和感があるな」
紫「なんでよ~」
ツルギ「そりゃ、お前ぐらいに大人の色香を出せる奴に対しては違和感だろうよ」
紫「そ、そう///な、なら姉さん呼びでも構わないわよ!」
ツルギ「あぁ、そうさせてもらうさ」
…わかった。ツルギが何者かということが…
ツルギは"天然たらし"という称号が実に相応しいだろう。
料理の味見をしている時から思っていたが…異性に対しての扱いはわかってても
無意識じゃ全然自覚していないのだろう。
紫「ほら、藍も」
藍「えっ?」
紫「えっ、じゃない貴方も召使いとしてツルギの名を呼びなさい」
藍「はっ…はい。えっと、ツルギ…様」
ツルギ「……」
そう呼ぶとツルギ……様は固まってしまった。
紫「あら、どうしたのかしらツルギ?」
ツルギ「い、いやなんでもないぞ!こんなに綺麗な藍さんから様付けで呼ばれたら恥ずかし…あっ!」
藍「ッッ!!」
紫「うふふ、ツルギの恥ずかしがる顔なんて滅多に見れたもんじゃないわぁ。あら、藍も満更じゃなさそうね」
藍「ゆっ紫様!」
紫「おーほっほっほ」
ツルギ「くっ……」
これほど楽しそうな紫様はいつぶりだろう。
我々に反撃できたのか。またもやご満悦な顔をされていた…。
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Place:八雲家ベランダ
"ツルギ"SIDE
紫…姉さんも藍さんも就寝したあと、俺は寝れずベランダで星を眺めていた。
綺麗な眺めだった。それは夜空だけではない。大きな自然に囲まれたこの場所全てが美しかった。
ツルギ「あっちの世界とは大違いだな…」
ゼロ『あぁ。平和すぎて欠伸が出るが、悪くはないな』
ツルギ「あぁ…」
元いた俺たちの世界は血や煙硝の匂いばかりだった。
少なくとも"俺"のいた場所は………。
藍「ツルギ…様?」
物思いに耽っていると、藍さんに声をかけられる。
ツルギ「あぁ、ごめん起こした?」
藍「いや…いえ、ただ少し寝付けなかっただけです」
ツルギ「そっか…」
それにしてもまだ慣れていないみたいだった。
そりゃそうだ。いきなり外からやってきたヨソ者。
幻想郷では外来人というんだっけか。
そんなやつの召使いというのは些か心地が良くないだろう。
ツルギ「藍さん、別に慣れないなら無理に敬語を使わなくてもいいよ?」
藍「いえ…、紫様の指示ですから……」
う~ん、と言われても実のところは俺も慣れていなかった。
さっきまでタメ口で話していたのも影響しているのだろう。
ツルギ「うぅん、じゃあ俺と2人だけの時はお互いタメで呼ぼう」
藍「し、しかし」
ツルギ「そのほうが話しやすいでしょ?"藍"、同年代の家族っていうのも世の中にはあるんだしさ」
藍「…そうだな。そうさせてもらおう"ツルギ"」
そう言うと藍もベランダに入ってくる。
藍「ツルギはここで何をしていたんだ?」
ツルギ「風景を見てた。ここは穏やかで…綺麗だなってさ」
藍「ツルギ…」
その時俺はどんな表情をしていたのか。
藍に心配されるような顔をされた気がする。
ツルギ「それと…家族って暖かいんだな。食卓で過ごした時間は心地よかった」
藍「あぁ、そうだ。私も紫様もいい時間を過ごせた…。だが、お前はまだ家族についてまだまだ知らないことが多い。これから…教えてやるさ」
ツルギ「ありがとう、藍」
人、いや家族と過ごす時間………
俺はまだこの幻想郷で少ししか過ごしてないけれど
悪くない。むしろ良い。
藍に言ったとおり心地よかった。
だが、藍に言われたとおりまだその一端しか味わっていないんだろう。
ツルギ「これだけでも幸せな感覚なのにこれ以上の幸せを…味わってもいいのかな」
藍「………馬鹿だな」
そう言うと藍が俺に抱擁をしてくる。
ツルギ「ら、藍!?」
藍「お前がこれまでどんな思いで生きてきたかは知らない。紫様に聞いたことが全てではないだろう。でもな?」
ツルギ「………」
藍「幸せになっちゃいけない存在なんて…いないんだ」
…藍に対して照れていたが、藍の心の暖かさにまた新しい心地よさがあった。
幸せになっちゃいけない存在だと俺は自分のことをそう思っていた。
でも、世辞だろうがなんだろうが
俺はその言葉で救われた気がしたのかもしれない。
ツルギ「…ありがとう藍、それと…」
藍「ん?」
ツルギ「むっ…胸が///」
そして恥ずかしさで死にそうだった。
藍「っ!!すっすまん!」
ツルギ「あっいやこちらこそ…」
藍が離れたとき少し寂しさを覚えてしまった。
それと同時に人肌の温かさも覚えたことは言うまでもなかった。
藍「じ、じゃあ私はもう寝るからな!お前もあと少ししたら寝ろよ!」
ツルギ「あっ、あぁ話に付き合ってくれてありがとう」
そういって藍は真っ赤な顔で去ってしまう。
…なんか怒らせたかな?
藍(…私も紫様のことは言えんな)
これから俺は幻想郷でどんな生活が待っているか。
藍のおかげで希望が持てた。
不安ではなく、期待で…心がいっぱいだった。
キャラ崩壊が目立ちすぎた感じが…(主に紫)