サブタイトルは荒野の~で統一しようと思います。
ケーニッヒウルフHMM化はよ(ボソッ
「ぁ~あ……」
宿のベッドで大きな欠伸をする白髪の少年、ファング・ヴォールフ。ぼーっとした顔で辺りを見渡す。
「そーだった、確かジーンさんと一緒に……」
盗賊に襲われ、それを撃退。後に無事街へと到着しジーンは依頼主の所に、ファングはケーニッヒウルフを人目のつかない場所においておき、宿に泊まっていた。ボサボサになった髪を直していると
「おいおい、随分と呆けた面してんな」
「あ、ジーンさん」
扉の所に寄りかかっている、髭を蓄えた男。運び屋ジーンがじゃらじゃらとした小さな袋を持ってそこに居た。
「依頼の方はどうなったんだ?」
「無事完了、報酬もしっかり貰ったさ。少し少ないが、ほれ」
「?」
小袋を投げ渡され、口紐をほどき中身を覗く。入っていたのは金だ、彼は慌てて紐を閉め直し
「ちょっと待ってくれ、何で俺に渡すんだ」
「お前さんのお陰で物資に傷一つ無く、この街に来れたんだ。そいつは“お前さん”の報酬だよ」
ファングは首を横に振る。
「……俺はあんたに晩飯もご馳走になった、これ以上何かをしてもらうのは……」
真面目だ、ジーンはため息をつきながら頭を掻く。自分としても、彼には是非とも受け取ってほしい、だがあまり強引にというのも気が引ける。ふと、ジーンは閃く
「お前さんも旅をするなら金はあった方がいい。そいつは“貸し”だ。もし次に会ったときにまた助けてくれ、それでいいな?」
「……」
不服ではあるが、ファングはこくりと頷き頭をジーンに下げ
「ありがとう、ジーンさん……頂くよ」
「おう!」
ジーンはファングに近寄り右腕を出す。
「短かかったが、お前さんには面白いもんを見せてもらった。割りと楽しかったぞ」
「俺も、ジーンと会えて良かった」
ファングも右腕を出し、ジーンと固く握手を交わす。
「また何処かでな」
「ああ、また会おう」
※
ジーンと別れ宿を出て当初の目的である、食料補給の為に街の市場に出向いていた。この街は比較的活気があり、栄えている。直ぐ側にオアシスもあるため、この街を訪れる者は多いという。
「これで暫くは持つな」
ジーンから受け取った金で、多目に食料と水を買うことができた。ファングは意気揚々に街を歩いていく。一人の女性の前を通り掛かると
「そこの君」
「後は何を買うかな……」
「ねえ、君」
「ジーンさんのお陰で割りと余裕もてそうだし……」
「白髪の君」
「?」
何度か呼び掛けられ“白髪”という単語に反応し立ち止まる。呼び止めた相手は、黒いベールを頭にかけ、座っている銀髪の女性だ。瞳は赤く、容姿も合間って何処かミステリアスな雰囲気を放っている。
ファングは首をかしげ
「何か用?」
「君、私に占われて見ませんか?自分でも言うのもなんですけど、よく当たると評判なんですよ」
ニコリと笑う女性、ファングは微妙な表情を浮かべて手を横に振る。
「いやいいよ、興味ないし」
「そう言わずに、ね?」
「……」
数秒黙り込み、軽い溜め息と共に幾らか金を出して女性の横にある瓶に入れる。
「ありがとうございます、それでは利き手を見せてください」
「ん」
彼はしゃがみ、女性に右手をつき出す。彼女はファングの右手を両手で優しく包む。
「それと、少し頭を近づけてくれますか?」
言われるまま頭を女性に寄らせると、女性は目を閉じファングの額と自身の額を当てる。ほんのり甘い香りが鼻をくすぐり、こういったこと事に耐性がないせいか、ファングは緊張していた。
「……小さな村、荒野、白い狼のゾイド……そうですか、君は旅をしているのですね」
「ああ……よくわかるな……」
「私には見えます……君の運命は暗い、きっと困難にぶつかるでしょう」
「うぇ、困難って……」
額と手を離し、女性は微笑む。
「けど、心配しないで……君はとても温かい心を持っている。自分信じて、君には絆という心強い力があるから……」
「……そっか」
ファングは立ち上がり
「ありがとう、何かやる気が出てきたよ。駆け抜けてやろうじゃんか、困難っての」
ニカッとファングは笑い、食料の入った袋を持ち上げる。
「それじゃあね」
女性は去っていくファングの背中を見つめる。
「……君は運命を駆ける者、けど強くなければ意味はありません……少し試してみましょうか」
※
街での目的を果たし、ファングはケーニッヒウルフと共に荒野を進む。太陽が完全に沈むまで時間はある、今の内にニューヘリックシティまでの距離を稼ごうという考えだ。
「荒野の次は砂漠地帯になるな……ま、水は当面の分確保出来てるからいいか」
ウウウゥゥゥ……
何かを訴えるようにケーニッヒウルフは唸る。
「砂まみれになるのは嫌だ?今更だろ、それ……まあ砂漠だと野宿にも困るしな」
グォウ―――!
今度は小さく吠える。
「わかってるって、ちゃんと場所見つけて休ませてやるからさ」
その時目の前で土煙が巻き起こり、ファング達は思わず立ち止まってしまう。
「何だ!?」
『こんにちは』
スピーカーから何処かで聞いたような声が発せられる。ファングは左右真正面を確認するが、声の主が見当たらない。すると、ケーニッヒウルフから離れた位置の砂が盛り上がり、白い影が飛び出してくる。
「あれは……」
視線の先に居るのはヘビ型ゾイドだ、うねりを上げながらケーニッヒウルフに相対する。
「『ステルスバイパー』……しかも白い」
彼らの前に姿を現したのはケーニッヒウルフの装甲と負けず劣らずの純白のカラーリングにキャノピーが赤のステルスバイパー。
ステルスバイパーの動きが止まるとキャノピーが開く。乗っていたのは、先程の街で会った……
「占い師の姉ちゃんじゃん、なんの真似だよ」
「深い理由はありません、ただ……」
キャノピーを閉じ
『貴方の力を試したくなっただけです』
頭部の側面にある“40mmヘビーマシンガン”がケーニッヒウルフ目掛け撃たれる。それを横にステップすることで難なく交わす。
「撃って来やがった!仕方ない、やるぞ!ケーニッヒ!」
オオオオォォォォ―――!!
駆けるケーニッヒウルフ。女性の操るステルスバイパーの射撃は以前戦った盗賊の物よりも正確だ。下手に操作を間違えれば確実に被弾する。ファングは目と操縦捍を握る手に意識を集中させながら接近し
「うおおぉ!!」
ケーニッヒウルフは飛び上がり爪による一撃を与えようとするが、ステルスバイパーはしなやかな動きで回避しケーニッヒウルフの横を通りすぎる。
「ちっ!」
舌を打つファング。ステルスバイパーは再びケーニッヒウルフに向き直ると、装甲から白煙を吹き出しケーニッヒウルフを覆う。
「これじゃ何も見えない……!ぐあぁっ!!」
突如襲う衝撃、ステルスバイパーの尾による打撃がケーニッヒウルフの胴を捉えた。何とか攻撃を試みようとするが、煙幕によりステルスバイパーの位置を把握することができない。
「奴は一体どこに……があぁっ!!」
再び襲い来る衝撃にファングは悲痛な声を出す。地に叩き伏せられ、通信が送られてくる。
『そんなものではない筈です……君と、そのゾイドの力は……』
ステルスバイパーの尾の部分に接近戦を強化する為にカスタムされたブレードが展開し、ケーニッヒウルフにじりじりと迫る。
「クソッ、どうすれば……ケーニッヒ……」
自分の相棒の名を呟く、すると
アオオオオォォォォン―――!!!!
天を仰ぎ耳に響く遠吠えを上げ、顔を下ろすと頭部に装着されたヘッドギアが前面に可動する。モニターがステルスバイパーの姿をくっきりと映る画面へと切り替わる。
このヘッドギアは赤外線スコープとなり、周囲の環境とステルスバイパーの微弱な熱反応の差を割り出し、姿を捉えることが出来たのだ。
「奴の位置が解る……お前にこんな能力があるなんてな!」
ガアゥッ!!
ケーニッヒウルフは短く吠える。
「何をしたかは知りませんが……これはどうです!」
ブレードを展開した尾でケーニッヒウルフを切り裂こうとしたが、牙で受け止められてしまう。
「えっ!?きゃあああぁぁぁ!!」
尾をくわえられ、そのまま煙幕の外に放り投げられ地面にステルスバイパーは叩き付けられる。
「うっ……なんで私の攻撃が……!!」
頭を抑え前を見ると、目と鼻の先にケーニッヒウルフが居り、爪をコックピットに突きつけていた。
『勝負あったな、俺の勝ちだ占い師の姉ちゃん』
「……」
肩を竦める女性。
「そのようですね……君なら私の運命さえも……」
彼女は笑み、この荒野に消え入る声でそう呟いた。
ファングはまだケーニッヒウルフの性能の全てを発揮できていません。彼とケーニッヒウルフの設定を記載するかどうか考えてみます。
それとアニメでも、ステルスバイパーやヘルキャット等のステルスゾイドに皆苦戦してたイメージがありますね。