王狼は荒野に吠える   作:深淵騎士

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サブタイトルは荒野の~で統一しようと思います。
ケーニッヒウルフHMM化はよ(ボソッ


荒野の占い師

 

 

 

「ぁ~あ……」

 

 

宿のベッドで大きな欠伸をする白髪の少年、ファング・ヴォールフ。ぼーっとした顔で辺りを見渡す。

 

 

「そーだった、確かジーンさんと一緒に……」

 

 

盗賊に襲われ、それを撃退。後に無事街へと到着しジーンは依頼主の所に、ファングはケーニッヒウルフを人目のつかない場所においておき、宿に泊まっていた。ボサボサになった髪を直していると

 

 

「おいおい、随分と呆けた面してんな」

 

「あ、ジーンさん」

 

 

扉の所に寄りかかっている、髭を蓄えた男。運び屋ジーンがじゃらじゃらとした小さな袋を持ってそこに居た。

 

 

「依頼の方はどうなったんだ?」

 

「無事完了、報酬もしっかり貰ったさ。少し少ないが、ほれ」

 

「?」

 

 

小袋を投げ渡され、口紐をほどき中身を覗く。入っていたのは金だ、彼は慌てて紐を閉め直し

 

 

「ちょっと待ってくれ、何で俺に渡すんだ」

 

「お前さんのお陰で物資に傷一つ無く、この街に来れたんだ。そいつは“お前さん”の報酬だよ」

 

 

ファングは首を横に振る。

 

 

「……俺はあんたに晩飯もご馳走になった、これ以上何かをしてもらうのは……」

 

 

真面目だ、ジーンはため息をつきながら頭を掻く。自分としても、彼には是非とも受け取ってほしい、だがあまり強引にというのも気が引ける。ふと、ジーンは閃く

 

 

「お前さんも旅をするなら金はあった方がいい。そいつは“貸し”だ。もし次に会ったときにまた助けてくれ、それでいいな?」

 

「……」

 

 

不服ではあるが、ファングはこくりと頷き頭をジーンに下げ

 

 

「ありがとう、ジーンさん……頂くよ」

 

「おう!」

 

 

ジーンはファングに近寄り右腕を出す。

 

 

「短かかったが、お前さんには面白いもんを見せてもらった。割りと楽しかったぞ」

 

「俺も、ジーンと会えて良かった」

 

 

ファングも右腕を出し、ジーンと固く握手を交わす。

 

 

「また何処かでな」

 

「ああ、また会おう」

 

 

 

 

 

 

ジーンと別れ宿を出て当初の目的である、食料補給の為に街の市場に出向いていた。この街は比較的活気があり、栄えている。直ぐ側にオアシスもあるため、この街を訪れる者は多いという。

 

 

「これで暫くは持つな」

 

 

ジーンから受け取った金で、多目に食料と水を買うことができた。ファングは意気揚々に街を歩いていく。一人の女性の前を通り掛かると

 

 

「そこの君」

 

「後は何を買うかな……」

 

「ねえ、君」

 

「ジーンさんのお陰で割りと余裕もてそうだし……」

 

「白髪の君」

 

「?」

 

 

何度か呼び掛けられ“白髪”という単語に反応し立ち止まる。呼び止めた相手は、黒いベールを頭にかけ、座っている銀髪の女性だ。瞳は赤く、容姿も合間って何処かミステリアスな雰囲気を放っている。

 

ファングは首をかしげ

 

 

「何か用?」

 

「君、私に占われて見ませんか?自分でも言うのもなんですけど、よく当たると評判なんですよ」

 

 

ニコリと笑う女性、ファングは微妙な表情を浮かべて手を横に振る。

 

 

「いやいいよ、興味ないし」

 

「そう言わずに、ね?」

 

「……」

 

 

数秒黙り込み、軽い溜め息と共に幾らか金を出して女性の横にある瓶に入れる。

 

 

「ありがとうございます、それでは利き手を見せてください」

 

「ん」

 

 

彼はしゃがみ、女性に右手をつき出す。彼女はファングの右手を両手で優しく包む。

 

 

「それと、少し頭を近づけてくれますか?」

 

 

言われるまま頭を女性に寄らせると、女性は目を閉じファングの額と自身の額を当てる。ほんのり甘い香りが鼻をくすぐり、こういったこと事に耐性がないせいか、ファングは緊張していた。

 

 

「……小さな村、荒野、白い狼のゾイド……そうですか、君は旅をしているのですね」

 

「ああ……よくわかるな……」

 

「私には見えます……君の運命は暗い、きっと困難にぶつかるでしょう」

 

「うぇ、困難って……」

 

 

額と手を離し、女性は微笑む。

 

 

「けど、心配しないで……君はとても温かい心を持っている。自分信じて、君には絆という心強い力があるから……」

 

「……そっか」

 

 

ファングは立ち上がり

 

 

「ありがとう、何かやる気が出てきたよ。駆け抜けてやろうじゃんか、困難っての」

 

 

ニカッとファングは笑い、食料の入った袋を持ち上げる。

 

 

「それじゃあね」

 

 

女性は去っていくファングの背中を見つめる。

 

 

「……君は運命を駆ける者、けど強くなければ意味はありません……少し試してみましょうか」

 

 

 

 

 

 

街での目的を果たし、ファングはケーニッヒウルフと共に荒野を進む。太陽が完全に沈むまで時間はある、今の内にニューヘリックシティまでの距離を稼ごうという考えだ。

 

 

「荒野の次は砂漠地帯になるな……ま、水は当面の分確保出来てるからいいか」

 

 

ウウウゥゥゥ……

 

 

何かを訴えるようにケーニッヒウルフは唸る。

 

 

「砂まみれになるのは嫌だ?今更だろ、それ……まあ砂漠だと野宿にも困るしな」

 

 

グォウ―――!

 

 

今度は小さく吠える。

 

 

「わかってるって、ちゃんと場所見つけて休ませてやるからさ」

 

 

その時目の前で土煙が巻き起こり、ファング達は思わず立ち止まってしまう。

 

 

「何だ!?」

 

『こんにちは』

 

 

スピーカーから何処かで聞いたような声が発せられる。ファングは左右真正面を確認するが、声の主が見当たらない。すると、ケーニッヒウルフから離れた位置の砂が盛り上がり、白い影が飛び出してくる。

 

 

「あれは……」

 

 

視線の先に居るのはヘビ型ゾイドだ、うねりを上げながらケーニッヒウルフに相対する。

 

 

「『ステルスバイパー』……しかも白い」

 

 

彼らの前に姿を現したのはケーニッヒウルフの装甲と負けず劣らずの純白のカラーリングにキャノピーが赤のステルスバイパー。

 

ステルスバイパーの動きが止まるとキャノピーが開く。乗っていたのは、先程の街で会った……

 

 

「占い師の姉ちゃんじゃん、なんの真似だよ」

 

「深い理由はありません、ただ……」

 

 

キャノピーを閉じ

 

 

『貴方の力を試したくなっただけです』

 

 

頭部の側面にある“40mmヘビーマシンガン”がケーニッヒウルフ目掛け撃たれる。それを横にステップすることで難なく交わす。

 

 

「撃って来やがった!仕方ない、やるぞ!ケーニッヒ!」

 

 

オオオオォォォォ―――!!

 

 

駆けるケーニッヒウルフ。女性の操るステルスバイパーの射撃は以前戦った盗賊の物よりも正確だ。下手に操作を間違えれば確実に被弾する。ファングは目と操縦捍を握る手に意識を集中させながら接近し

 

 

「うおおぉ!!」

 

 

ケーニッヒウルフは飛び上がり爪による一撃を与えようとするが、ステルスバイパーはしなやかな動きで回避しケーニッヒウルフの横を通りすぎる。

 

 

「ちっ!」

 

 

舌を打つファング。ステルスバイパーは再びケーニッヒウルフに向き直ると、装甲から白煙を吹き出しケーニッヒウルフを覆う。

 

 

「これじゃ何も見えない……!ぐあぁっ!!」

 

 

突如襲う衝撃、ステルスバイパーの尾による打撃がケーニッヒウルフの胴を捉えた。何とか攻撃を試みようとするが、煙幕によりステルスバイパーの位置を把握することができない。

 

 

「奴は一体どこに……があぁっ!!」

 

 

再び襲い来る衝撃にファングは悲痛な声を出す。地に叩き伏せられ、通信が送られてくる。

 

 

『そんなものではない筈です……君と、そのゾイドの力は……』

 

 

ステルスバイパーの尾の部分に接近戦を強化する為にカスタムされたブレードが展開し、ケーニッヒウルフにじりじりと迫る。

 

 

「クソッ、どうすれば……ケーニッヒ……」

 

 

自分の相棒の名を呟く、すると

 

 

アオオオオォォォォン―――!!!!

 

 

 天を仰ぎ耳に響く遠吠えを上げ、顔を下ろすと頭部に装着されたヘッドギアが前面に可動する。モニターがステルスバイパーの姿をくっきりと映る画面へと切り替わる。

 

このヘッドギアは赤外線スコープとなり、周囲の環境とステルスバイパーの微弱な熱反応の差を割り出し、姿を捉えることが出来たのだ。

 

 

「奴の位置が解る……お前にこんな能力があるなんてな!」

 

 

ガアゥッ!!

 

 

ケーニッヒウルフは短く吠える。

 

 

「何をしたかは知りませんが……これはどうです!」

 

 

ブレードを展開した尾でケーニッヒウルフを切り裂こうとしたが、牙で受け止められてしまう。

 

 

 

「えっ!?きゃあああぁぁぁ!!」

 

 

尾をくわえられ、そのまま煙幕の外に放り投げられ地面にステルスバイパーは叩き付けられる。

 

 

「うっ……なんで私の攻撃が……!!」

 

 

頭を抑え前を見ると、目と鼻の先にケーニッヒウルフが居り、爪をコックピットに突きつけていた。

 

 

『勝負あったな、俺の勝ちだ占い師の姉ちゃん』

 

「……」

 

 

肩を竦める女性。

 

 

「そのようですね……君なら私の運命さえも……」

 

 

彼女は笑み、この荒野に消え入る声でそう呟いた。

 





ファングはまだケーニッヒウルフの性能の全てを発揮できていません。彼とケーニッヒウルフの設定を記載するかどうか考えてみます。

それとアニメでも、ステルスバイパーやヘルキャット等のステルスゾイドに皆苦戦してたイメージがありますね。
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