Fate/ZERO-NINE【休載中】   作:縞瑪瑙

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 多分一番長くなったと思います。
 だらだら描写したわけじゃないんですが…それではどうぞ。


Fate/ZERO-NINE 2 interlude

 一夜が明けた。初日に続いて疲労困憊でぶっ倒れたウェイバーの世話を焼くライダーと

ウフコックの姿は、マッケンジー宅の二階の自室にあった。

 

 「あれから、ケイネス・アーチボルトはソラウ嬢の世話を受けて潜伏中か」

 

机の上に置かれた袋から、煎ったピーナッツを取り出して一つ一つ口へと運んでいく

ウフコックは、ドクターから渡された紙を呼んでいた。その一方で、ライダーは

階下から持ってきたウェイバーのための食事をベットサイドに置いていた。

 

---助かるの?

 「難しい…ドクターの見立てでは、何らかの魔術による負傷というより、魔術師の

  起源による負傷なんだとか。体中の魔術回路が滅茶苦茶に切り裂かれて、さらに

  でたらめにつながれた。エリートだった彼は通常の魔術師よりもかなり被害を

  受けやすい部類だったようだ」

 

カリカリと、ネズミ特有の前歯でピーナツを砕き咀嚼するウフコックは、ひげを力なく垂ら

して言う。

 

 「…幸い生きてはいるが、魔術回路は使い物になるかどうか怪しいし、移動すらも

  困難だ。ランサーが脱落していないのはプラスだが、あいにくとソラウ嬢は戦うことに

  不慣れだ。今後の戦略上、不安要素となるな」

 

 マスターとしての権利を持つケイネスが存命であるのは僥倖、しかし、失った物もまた

とても大きかった。負傷したケイネスの体内には礼装に使われていた水銀による汚染が広がっ

ており、ドクターができるのはそれを取り除くことのみ。もう、人間としても生活維持ができる

とは言えなかった。

 

 「彼の治療には“緊急特例法案(マルドゥック・スクランブル)”が適用しにくいことは確かだ。

  彼を治療することが、社会的な有用性を持つとは証明できない…できても、彼が

  今後スクランブル・オーナインの目的に沿っていくとはあまり考えられない」

 

 間桐雁夜については、きちんと社会的有用性についての端緒があったため、存命の治療を

禁じられた技術によって施せた。もちろんその端緒についてきちんと雁夜が納得し、

行動することができなければ、即、凍結という報復を下さなければならない。

 しかし、それくらいの覚悟は、ライダーとウフコックにも出来ていた。

 

 「我々が持ちうる戦力は、ライダー自身とランサー、さらには場合によっては

  バーサーカーの、合計三騎のサーヴァントだ。戦力に関しては申し分ない」

---けど、不確定なんでしょ。

 「もちろん…問題は、まだまだ山積みだからな」

 

 アインツベルンのホムンクルスが体内に格納していた、願望機としての小型の聖杯。

昨日の戦闘の中で、ライダーとウフコックの二人はその異常事態に気が付いた。

 無色の魔力に満ちていない、叶える願いがどんな方向へ捻じ曲げるかもわからない願望機は

危険すぎる。しかも、すでに一つ分の魔力はストックされている段階。いかに一つ分といえど

その量も質も超一級のもので、うっかり暴発すれば冬木の地は更地となる。

 

…さて、マスターにはどうやって伝えるべきかな。

 

 ウフコックは、人間らしいがネズミだ。知能を得た後、もともとはオスのネズミだったことを

根底に人間の男性の倫理観や思想を学んで、まるで人間のような思考を持つ。

 だが同時に、ネズミであったころの習性に引っ張られる。例えばウフコックは朝に弱く夜に

は活動的になる。また、嘘をつくことに慣れていない、という点もある。人間はともかく、

ほかの高等動物はわざわざ嘘をつくことなどない。ネズミもまた同様で相手の感情を言葉よりも

臭いで理解する。だからこそ、下手くそであるし、理解が追い付かないのだ。

 悩むウフコックをよそに、朝食と昼食の中間の食事を何とか食べたウェイバーは、体をほぐす

ようにマッケンジー宅の周囲を歩き回った後、服を着替え、宣言した。

 

 「少し、買い物に行こう」

 

 

 

   ●

 

 

 ウェイバーは、来日後初めてチェーン展開するスーパーマーケットへと足を踏み入れた。

それまでは安全上の観点から、そして必要な道具をそろえるときの都合上ライダーかドクター

が代行していたことだった。

 しかし今はドクターはケイネスのところにおり、ライダーも魔力消費が大きかったため

本来の力を出さずセーブ状態にあり、買い物を行っている最中に攻撃されては対応が難しい

状況にあった。

 

 「うわ…なんだよコレ…」

 

 ウェイバーはかなりげんなりしつつ、使い捨てカイロの並んでいる棚を眺めた。鉄が酸化する

ときの熱を利用するタイプのそれは、大量に入っていながら非常に廉価であるのが特徴で、その

値段は魔術によって熱を生み出し体温を保つよりも、低コスト高効率であった。かつて自分の

講師だったケイネスに、魔術を時代に合わせた変革を行うことを訴えるレポートを書いた

ことがあるウェイバーすらも、これにはあきれると同時に脱力するしかない。

魔術で体温を維持するよりも圧倒的に効率が良いことが明白だった。

 

 「くそ…なんか負けた気がするな…」

 

必要と思われる分をかごに入れると続いて栄養ドリンクのコーナーへと行く。魔術品にも

もちろん体力を増強し魔力を漲らせる物が存在する。しかしそれはなかなか手に入るものでも

なく、高価で作るにも手間がかかる。一介の生徒であるウェイバーも噂などは聞いたことはあ

るが今回の戦争中にそんなものを作っている暇も材料もない。だからこそ、こうしてあるだろ

うと買いに来たのだが、その種類、量、値段。すべてが、ウェイバーの魔術師としての常識に

ケンカを売っていた。文字通り二束三文で。

 

 『緊急特例法案でも同じような効果の物品を用意できるが?』

 「…その宝具は具現化する物品の数に限界があるし、そもそも魔力を使ったら元の木阿弥

  じゃないかよ」

 

 今後のことも考えつつ、ケースごと丸ごと一つかごに入れる。左腕にまかれた腕時計に変身(ターン)

しているウフコックに言いつつも、ウェイバーは買い物を続ける。そうして十数分間の買

い物を終えたウェイバーはその足で、ある場所へと向かう。

 

 

 

 

    ●

 

 

 

 雑木林から少し奥に入ったところの平地には、まだかすかに黒く変色した鶏の血の跡がほん

のわずかにがっていた。それは大きく弧を描き、一つの円を途切れ途切れに作っており、

余程の注意を払わなければわからないものだった。

 そしてそこにシートを敷いてどかりと腰を下ろしたウェイバーは、先ほど購入した栄養ドリ

ンクを胃へと流し込み、続いて肉と野菜を大量に詰め込んだ弁当を昼食として食べ始めた。

 これは、ウェイバーが考えた魔力回復のための策だった。この場所はライダーを召喚した

一等地とまではいかないが霊地であるし、そこに魔術師の自分がいれば自然とライダーへの

魔力も増えると考えての行動だ。

 

 「…これで、少しは回復するだろ」

 

 宝具の連続使用と長時間の活動、何よりもホムンクルスの体の中を調べたことで、予想以上に

ウェイバーからの魔力を消費したライダーだった。そして、マスターである自分は彼女が

遠慮なく戦えるようにするのが当然だと考えた。

 ほどなく、弁当の容器はからになりそれをビニール袋の中に入れる。持ち込んでいた

リュックの中へビニール袋ごと押し込むと、代わりにシェラフを取り出すとその中へと身を

入れた。芋虫みたいになるがこれでいい。

 ウェイバーは、ただ上を行く雲を意味もなくカウントしていた。キャスターの脱落という

戦いがあったにもかかわらず、冬木の空は何もなかったかのように晴れ渡っていた。

当然だろう、隠匿されたサーヴァント同士の戦いは真夜中に行われているのだから、知らない

のは当然であり、魔術の絶対条件だ。

 

 「魔術師…か」

 

 ウェイバーの、聖杯戦争へのもともとの参加動機はただ一つ。時計塔の連中に自分の実力を

証明することが目的。家柄がモノを言い、成果を上げても鼻で笑われる世界。

 閉鎖的で、あまりにも非効率で、時代遅れだとウェイバーは思っていた。だからこそ

こうして参戦したのだが、現実しか見えてはこなかった。

 これまでの戦闘、おおむねライダーはうまく立ち回っている。最初の戦闘、アサシンの

脱落偽装を早くに見破り、倉庫街では実質的な勝利を得て、ランサー陣営を味方とし、

キャスター討伐にも尽力していた。当初ウェイバーが不安視していた戦闘能力や、最も不安で

あった相性の面でも非常に良好であった。自分はライダーが呼び出したドクターからも

薫陶を受け、魔術以外の科学的な思考も学びつつある。そして今日の午後には追加の令呪を

得ることで更なるリードを得ることになるはずだ。

 

 「………」

 

 だけど、とウェイバーは思う。いつ自分が脱落しても、おかしくないという恐怖があった。

 ケイネスが昨日の戦闘の中再起不能に近い負傷を負い、今後魔術師としてはおろか人間

として生活することすら危ぶまれていることを知った。嫌っていようと、ケイネスの魔術の

腕を知るウェイバーはわかるのだ。次にああなるのは自分かもしれないと。確かに、ライダー

から得ている情報ではケイネスは油断があった。しかしそれは自分を超えた技術を万全の状態

で使っていたからこその油断であり、ある意味仕方がないものだ。

 だが、自分はそうではない。暗示によってやっとこの家に潜り込み、自分の工房を構える

技術も資金もないまま、この戦いへと挑んでいる。挙句、ライダーの宝具である巨大な

飛行住居に頼り、戦闘中は魔力供給を行いつつ他のサーヴァントに見つからないように

息を潜めている体たらくだ。

 

 「あぁ…」

 

 戦争が始まる前…本格的な戦闘が始まる前までは、少なくともマスターらしく行動できた。

霊地を調べ、使い魔を町へと放ち、ライダーとの戦略を練り、準備をするまでは。

 だが、どうだろう。

 

…何にもできないな、僕は。何しに来ているんだか…

 

魔術師が争うために英霊をサーヴァントとして召喚するというシステムには、最初は運がいいと

喜んだものだ。自分が戦闘しなくともうまくいけば勝ち抜くことができるんじゃないかと。

そう考えていた。だが、実際は違う。戦闘を見ればわかるように、サーヴァントは人知を超えた

力の持ち主で、まだ三代目の魔術師である自分が介入したり、どうこう出来るような甘い

物ではなかった。

 それどころか、自分が当初役割と考えていたことまでも、サーヴァントに頼り切る状態。

 憤りが、ウェイバーにはあった。

 

 「なあ、ウフコック」

 

空を見上げたまま、金色のネズミを呼んだ。

 

 「何かな、ウェイバー」

 

肩の上あたりに、ネズミらしい体温を感じつつもずっと上を見上げているウェイバーは、

ただ問いかけた。

 

 「僕がさ、この聖杯戦争に挑んだ理由って言ったっけ?」

 「いや、聞いていないな。そうか、そういえば君は聖杯を求めているわけではない、としか

  聞いていなかったな」

 

うん、と返事をして、少し口の中で言葉を転がす。

 

 「知ってるかもしれないけどさ、ロンドンの時計塔ってのは魔術師の巣窟なんだよ。

  そこで僕は魔術を学んでた…」

 

入学の資金だけで家財が丸ごと無くなったこともあれば、より代を重ねた魔術師にバカにされた

こともある。権威主義の時計塔の暗部をわずかに覗いたこともある。封印指定という、最悪の

結末を迎えた魔術師を見たことも。長い屈辱を感じたこともあると、知らずウェイバーは

口から吐き出していた。それを、ただウフコックは聞いていた。

 

 「…なんなんだろうな。僕が最初に目指した物なんて、気が付いたら消えているし、

  僕はライダーの足を引っ張らないようにするだけで限界だ…」

 

 悔しい。あれだけロンドンを旅立つときには吹聴していた自分が、今となってはとても

愚かしく思える。現実を見ることもできず、偶々令呪が宿っただけでこの戦争へと挑んだ

自分の無力さが、あまりにも。

 

 「僕には何にもできない。魔力だって足りてないだろ?」

 

最低限の仕事しかできない自分は、一体どうなのだろうか。

 

 「……ウェイバー。参考になるかどうかはわからんが、一つ聞いてくれないか」

 

その声がしたのは、沈黙が下りてからしばらくの時間が流れてからであった。金の卵と呼ばれる

ウフコックは、身を起こしたマスターの手の上にいた。

 

 「俺の体験談になるが、まあ、聞いてほしい」

 

 

 

 

    ●

 

 

 

 「俺の生まれは、もう記憶のかなたにある。もともとは実験体であったんだ。

  そして、ネズミが持つ代謝能力を理由に俺だったネズミは選ばれて、改造された」

 「…そうだったっけ」

 

召喚の後に聞かされた、ウフコックの出自だ。

 

 「俺が開発され、それからしばらくして研究所は封鎖になった。閉鎖ではないのがミソだな。

  文字通り、研究していたものをすべて一つの殻の中へと封じ込めることで、技術の漏えいや

  悪用を防ぎ、民衆が望むことをした」

 

 民主主義は、民衆の意見を選挙や投票によって政治へと反映させるシステムで、その起源は

古代ローマの直接民主制の議会にまでさかのぼる。時代の変遷とともに、それは世界中において

現代の政治制度として広く受け入れられている。

 だが、逆に言えばの話だが、民衆が望んだことはいかに理不尽であれ実現をしなければ

ならないという、ある種の絶対王政の特性を受け継いでいた。単純なことだ。“民衆が望んだ”

と付け加えれば、いかなる暴論・暴虐でも正当化されうる。ドイツのナチスによる政治や

イタリアのムッソリーニの独裁、共産主義のソビエト連邦。それらはすべて、民衆がそれを

後押ししたことが強大化の理由だ。

 

 「俺もまた、その研究施設の中でこもっていた。あそこは文字通り“楽園”だった。

  例えるなら…そうだな、”呼吸することもしゃべることも”忘れてしまうくらいの

  快適さだ」

 「なんだよそれ」

 

信じていない匂いが発されるが、ウフコックは何も言わない。かつて自分が見てきた

あの楽園の住人達のことをしゃべったとしても信じてもらえるとはあまり考えていなかった。

 

 「だがある時、俺はその楽園から出た」

 「どうして?」

 「その必要が出てきて、俺は生きるために」

 

少し言葉を選んだウフコックは、ただ言う。

 

 「ウェイバー。ネズミというのは短命であるのは知っているだろう?君くらいの年齢なら

  俺の種族は四つか五つは世代が交代している。 しかし、普通ではありえない寿命と

  別の次元に肉体を分割格納することによる半不死に近い肉体を持っているんだ」

 「半不死?」

 「ある次元にある肉体が傷ついても、別な次元から体組織に接触することで簡単に治癒が

  可能なんだ。大量の肉体のバックアップを持っているといっていい。…それだけなら、俺は

  楽園の外には出なかった。ある事実が明らかになるまでは」

 

その事実は、至極単純だった。

 

 「肉体の肥大化。ネズミにとって宿命ともいえる事実があった」

 「肥大化?なんでそんなのが出た理由なんだよ?」

 「簡単だ…ネズミの体は、生きている期間はずっと大きくなり続ける。俺のもともとの

  骨格や筋肉、臓器だけでもおそらく元の肉体の百数十倍はあるだろうな。当然それだけ長い

  期間生きていれば、体はどんどん大きくなり、病気を抱えるリスクを抱え込むことになる」

 

大きくなった果てに待つのは、緩やかな死。自然の摂理から離れようとしたネズミの末路は、

至極あっけないものだった。

 

 「最終的には…肉体が自重で押し潰されることが死因になると予想された」

 「助からないのかよ!?」

 「無理だ」

 

きっぱりと、叫んだウェイバーの声を遮った。

 

 「言っただろう、自然の摂理だと。俺は生体ユニットとしてネズミが使われた時点で

  その宿命を負った。そして、俺はそこで理解したんだ。俺は外の世界で生きなければ 

  ならないとな」

 「?」

 「俺は人間らしい考え方を学ぶ一方で、どうして人間がこのような地球上最大の勢力を持つ

  生物となり、社会を形成したかを学んだ。そして結論は一つだ」

 

息を入れて、それを言った。

 

 「人間は価値を創造し他者の理解する能力を持つからだ、と。

  人間はいずれ死ぬ。しかしその時はいつ来るかを知らなくとも来ることは知っている。

  だからこそほかのものに価値を認めて、自分も価値を生み出そうとする。そういった観点

  から俺は自分自身の価値についてアイデンティティを形成した。自分の価値を自分で創造

  するために」

 「道具っていう意識か?」

 

 思い当たることはウェイバーにもあったのだ。なぜこのウフコックが英霊ではなくライダー

の宝具としてこの世界に現界しているかを。ウフコックのこれまでの発言から考えれば

自然と考えられることだった。

 そしてそれはウフコックの肯定するものであった。

 

 「そうだ。俺は使い手を必要とすると同時に、使い手に対して使い方を要求する…俺は

  “人間らしい考えができるネズミらしきもの”に過ぎない。そしてどう使うかは、マスター

  であるウェイバー、君の意思にかかっているんだ」

 「僕自身の意思に…?」

 「やろうと思えば、君は俺を使ってこの冬木の銀行や宝石店で強盗を行い、余生を一生遊んで

  暮らすことも出来る。一方で俺はライダーの武器として、マスターの意思を受けたもの

  として、戦うこともできる。どうするかを決定するのは俺たちではなく、ウェイバーなんだ」

 「……」

 「ウェイバーがこの聖杯戦争に挑んだのは、まさに自己証明のためだ。命がけの、無事に

  ロンドンへ帰る保証など全くない戦い。自分の限界を知りつつも、それでも戦おうとする姿

  は俺も応援したい。その結果がどうあれ、挑むことに意義があるし価値がある」

 

 単なる主従ではなく、在り方を要求し要求される、そういう関係。“緊急特例法案”の特性は

ここにあった。サーヴァントだけでなくマスターも縛る宝具はそういった意味を含んでいた。

 

 「だから、ウェイバーが俺たちの力を信頼し、少しでも何かできないかと力を尽くす時点で

  十分にマスターとしての仕事はできている。いや、ほかの陣営以上にできていると胸を

  張ってもいい。何より、無条件の信頼ほど得難いものはないからな」

 「…ふん、僕は何にもできないからだよ…」

 

変身したウフコックは、日差しよけとなってウェイバーを上半身を覆った。その変身の音で

ウェイバーの声はあまり聞こえなかったが、その感情はにおいとなってウフコックへと

届いていた。

 

 「午後には報酬の令呪が配られる。まだまだこれからだ」

 

鼻をすする音は、静かに霊地へと染み渡っていく。

 

 

 

   ●

 

 

 

 

 

時系列

 

+1:

・キャスター討伐令。ウフコックはアーチャー陣営の目論見を看破。

 キャスター、子供たちとともにアインツベルンの城へ侵入。ライダーとランサーが

 宝具“ハンプティ=ダンプティ”で追跡。

・ケイネスが独自にアインツベルンの城へと侵入。切嗣が迎撃する。

・セイバー、ランサー、ライダーの共闘により無事キャスターを討伐。最後の瞬間に

 キャスターは本来の英霊としての姿を取り戻し、看取られながら消滅。

・言峰綺礼、アイリスフィールと舞弥と接触、戦闘になる。ライダーが介入。

・ライダー、アイリスフィールの正体と聖杯戦争の異常事態に気が付く。

・ケイネス、起源弾により負傷。

・切嗣がライダーに対して狙撃を敢行。失敗する。

・ウフコック、ライダーの力を借りて監督役に警告。綺礼は教会からの退去を命じられ、

 令呪一角を失うことが決定。

 

+2:

・ウェイバーはライダーを召喚した霊地で魔力補充を行う。ウフコックとの語らいに

 影響を受ける。

 

 

 

 

・各陣営情勢

 

・セイバー陣営

:切嗣がケイネスを撃退し、セイバーがキャスターを討伐。

 令呪を得ることとなるが相変わらず不利な状況に変化はなし。アイリスフィールの秘密が

 ライダー陣営にばれた。切嗣は起源弾を一発使用。また“黒い銃身”もどきも一発使用。

 

・ランサー陣営

:ケイネスが負傷。ほぼ原作通りだが、ソラウの胃はキリキリ痛む状況。

 令呪が一角に手入ることになるが、戦力ダウンは否めない。ドクターがケイネスの治癒を行う。

 

・アーチャー陣営

:特になし。傍観に徹していた。聖杯問答が起こらない公算が高く影が非常に薄い。

 

・ライダー陣営

:あまり戦闘に参加こそしなかったが、聖杯の異常について気が付いた。

 宝具を二つ解禁、見事な連携を見せた。ウェイバーは魔力供給によってへとへとに。

 

・バーサーカー陣営

:一番影が薄く、名前すら出てこなかった。大丈夫だ、次は出番がある。

 

・アサシン陣営

:ほぼ原作通りだが、マスターは教会からの退去を強いられ、令呪を一角失う。

 

・キャスター陣営

:旦那がハッピーエンドを迎えて脱落。

 多分、Fate/Zero史上一番マシな最後だと思われる。

 

 

 

 

 

以下予告

 

 

 

 「いいかな?君がサクラという少女を救いたくても、それは果たして社会にとって有用な

  ことかな?」

 

力の代償は、責任と自分自身が悪となる可能性。

 

 「アイリ、済まない…僕は…ッ!」

 

正義の味方を志した、一人の魔術師の葛藤。

 

 「私はね、別に願いなんてないのよ。ただ、これまでの見方が変わっただけでも十分」

 

 「俺は、とんでもない考え違いをしていたのか…」

 

槍の騎士と、槍の騎士の仕える主人の婚約者。その向かう先は。

 

 「私は、何を求めているのか…」

 

また闘争へと身を投じることとなる、苦悩する元代行者。

 

 「教えてくれ、ライダー。僕だって魔術師としての矜持があるんだ!」

 

渦巻く謎は、掻き混ぜられていく。

 

次章 Fate/ZERO-NINE 3 攪拌

 




 GW中ですが、やっているのは大学のレポート…Wordの使い方をろくに教えずにいきなり出してくる先生の正気を疑いました。
そこも含めて自分でやれってことでしょうか?

 ところで、今回のお話はウフコックの運命というか過去話の一部となりました。
これはマルドゥック・スクランブルの原作を呼んだとき衝撃を受けたシーンだったので、ぜひこっちでもやりたいと考えていたシーンの一つです。
さて、あといくつかのシーンを書きたくてストックしてます。楽しみだなぁ。

次回は第三章。お楽しみに。

五月六日、誤字修正しました。
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