あれ、おかしいな。第三章やけに長いぞ。
コメ欄にホモが湧いてますけど俺も湧いて出たホモなんで。いや、ホモじゃないです。ちなみに私は節度あるネタの使用ならば容認派です。
ホモは紳士でなければならない(戒め)。
「ここにいやがりましたか、クソテンタクル」
実験を終えてウォータークーラーの水を怒濤の勢いでガブ飲みしていると、唐突に真那が話し掛けてきた。
隊長さんの愚痴が気になった俺は、即座に聞いてみたのだが、作戦に関わることは流石に言えない、と教えてもらえなかった。何ともモヤモヤした気を紛らすために、真那の話に乗っかる。
「お前俺にどんなあだ名付けてんだよ」
「
「ねぇお前俺のこと嫌いなの?嫌いなの?」
「弁当に入ってる緑色の芝みたいな奴よりはマシでいやがります」
おま………バランよりかマシって俺何なの!?淫獣!?オナホ!?
「せめて生物と比較してくれよぉ………」
「それは今後のクソテンタクル次第なんで。ところで今日、義姉様が兄様とデートしやがるらしいんですが知ってやがりました?」
「いや、知らんかった。覗きに行こうぜ」
「クソテンタクルも分かっていやがりますね。実は真那も非番でいやがります」
目と目で分かり合った。仲良くなれる、俺ら。
「俺、回収してくるものがあるわ」
「私ちょっと盗聴機買ってきやがります」
「ちょっとで買うもんじゃねー………が、いいぞやってまえ。場所は?」
「午前十一時に天宮駅前広場の噴水前らしいので」
「オーケイ。その十分前に忠犬パチ公前に集合で」
「合点」
互いにニヤリと笑うと、俺達は速やかにその場を後にした。
因みに俺は通路で水のボード使って滑走したせいで隊長さんに怒られた。天使使ったんじゃないから許せよ。生活指導の教師かオメーはよぉ。
◇
「何ィ!?十時から十香とデートぉ!?」
「くるみみみ」
一晩ぶりに我が家………否、公園のコンクリート山に帰ってくると、繰三がサクマドロップのハッカ味を両手で持ってちるちる舐めていた。俺は盗撮要員として繰三の力を借りるべく説得を始めたところ、開始数秒で衝撃の事実を聞いた。
何と士道先輩、十香ともデートすることになってたとか。どうなってんだこれ。飯が美味いぞ。白米を丼で用意しないと………。
「士道先輩の日程管理どうなってんだ、ガバガバじゃねーか」
「みーくるくみ。みー」
テンション上がってきた俺がゲス笑いしていると、繰三が少し悲しそうに鳴いた。
「十香がかわいそう?あそっか、お前十香と仲良くなってたからな」
「み」
うむ、やはり何とか出来ないか。俺の【
「今、何時だろ?」
「ざぁぁぁふきえる!」
俺がポツリと漏らすと、繰三が右手と左手に黒い爪楊枝みたいな何かを持ってポーズを取る。背後に等間隔に点が打たれた円が現れた。棒切れの長さが、見事に時計の長針と短針の対だ。とすると、背後の奴は文字盤か………………お前、今の正確な時刻が分かるんか。繰三が指す時間とスマホの時間は、寸分の狂いも無かった。
「凄くはないが便利だな」
「みー!」
今はまだ九時十二分。真那と連絡付ければ何とかなるか。きっと真那の中の士道先輩の評価は悪くなるだろうが。それこそ知らん。
「あっそうだ。四糸乃にも声掛けてみよう。帰りがけにパフェか何か食べさせてあげようかな」
「み!?みみ!?」
「いや、喫茶店に押し入りはしねーよ!?仕事して臨時収入が入ったんだ、パフェくらい何てことはない」
「みー!くーるーみー!!みー!!」
「分かった、分かりました、繰三にも奢るから爪楊枝みたいなのでつつくな!地味に痛い!!」
俺は繰三をひょいとつまみ上げ、ブラウスの隙間から胸元に押し込む。もぞもぞと這い上がって谷間から顔を覗かせると、胸をぷにぷにと押して遊び始めた。こら、止めなさい。止めなさいったら。止めろォ(建前)ナイスぅ(本音)。町中で発情して喘ぐぞコラ。
道中エロスに身悶えしつつ、俺は士道先輩の隣にある精霊マンションに入ると、足早に四糸乃の部屋へ。確か今日は、四糸乃の人間社会訓練も休みのはず。おねにーさんは妹にいたずらも教えます(反面教師)。
さて、ここで四糸乃と触れ合う時の作法がある。なおこれはおねにーさん流である。
まずはチャイム。軽快な電子音で来訪を告げましょう。この時深呼吸するのが大事。
で、インターホンのボタンを押すと同時に大きな声で名乗りましょう。
「やっほい四糸乃、おねにーさんだよーー!!」
これを、電子音が鳴り終わる前にかならずすること。チャイムは来訪を気付かせる便利アイテムであって、本当は無くても良いのです。
「まっ、誠さん…………おはよう、ございます………!!」
するとあら不思議。四糸乃が天上の笑顔で出迎えてくれます。生きてるという実感を感じつつ昇天出来そう。DIE往生、やったぜ。
違う違う。死んでたまるか。少なくとも四糸乃がお嫁に行くまでは死んでたまるか。相手は誰だ羨ましい、背骨ブチ折ってやる。
物騒な親バカ(姉兄バカ)を発動させつつ、四糸乃の頭をよしよしと撫でる。少し恥ずかしそうだが、無抵抗。満更でもないという奴か。素直な子は好きです。
『やっはーおねにーさん、四糸乃が可愛いのは分かるけど、今日はどうしたんだい?』
ちょっと四糸乃に集中し過ぎて、よしのんが拗ね気味に遮ってきた。悪い悪い。よしのんの頭(で良いのか?)も軽く撫でてやってから、本題に入る。
「今日、士道先輩が折紙先輩と十香の二人とダブルデートすることになりました!面白そうってのもあるけど、ちょっとヤバそうな臭いするから見に行かない?」
俺がガッツポーズで堂々野次馬宣言すると、四糸乃が目を丸くする。そして、よしのんと顔を見合わせた。
「えっ……で、デート………あれ………?」
『おかしいねーー、琴里ちゃんの話とズレてるねー』
ん?何で司令が出てくんの?
「どうかしたの?」
「え、っと………その………」
四糸乃がもじもじしていると、よしのんの口から衝撃の事実が。
『ボクたち、今日は精霊の攻略日って聞いてたけど?』
────────は?
え"、もしかして。
◇
時刻は九時四十分。俺は真那に集合時刻を前倒してもらい、パチ公近くの喫茶店に入った。テーブル席で待っていると、動きやすそうな私服姿の真那がやって来た。………が、メンバーに驚いていた。
「妹分です」
「よっ、よ、………よし、四糸乃、です……」
『よしのんだよーー』
「は、はぁ。そうでいやがりますか」
四糸乃&よしのんをまず紹介。真那の笑顔が引き吊っている。まあ仕方無い。四糸乃は元精霊〈ハーミット〉だからな。資料では見たことがあるんだろう。
「相棒です」
「くー!くるるるる、くーー!!」
「えっ、えぇぇぇえええ…………。」
こっちは良く知ってるだろう、君の因縁の相手だよ。元、が付くけどね。繰三も止しなさい。フシャーとかいう効果音が付きそうな感じで威嚇するんじゃない。今のお前がやっても子猫の虚勢だぞ。
「これが俺の用意した助っ人です」
「色々と説明がねーんですがそれは………」
「ざふき………みーー!?みみーー!?」
「特にこいつの説明をしやがれってんです」
真那が水平にした目で俺を睨みつつ、手に噛みつこうとした繰三を捕まえて逆に頬をつねる。見事な返り討ち。
「お前に刺された後、俺が治療した狂三の分身だよ。何故かちんまくなったけど、俺の同居人だ。もう悪さは出来ないぜ」
「………………まあ、この場は良しとしましょう。何かやらかしたら捌いても文句言うんじゃねーですよ?」
あいよと返すと、真那は繰三を解放する。悔しかったのか、テーブル備え付けのシュガースティックで真那の手をぺしぺしと叩いているが、効果は無い模様。デコピンで四糸乃の前に転がされ、よしのんに甘噛みされている。繰三や、お前小さくなってからかなりマスコットが板に付いたな。
「さて………真那。いや、おはようフェルプス君」
「誰!?」
ササッと俺はその場のノリで、両手を組んでテーブルに肘を突く。某司令官座りだ。眼鏡があったらレンズが光っていただろう。
「予定より早く来てもらったのは他でもない。今回のデートに著しい問題が発覚した」
「ほほう。して、その問題とは?」
あ、ちょっと真那がノッてきた。
「トリプルブッキングデート………と言えば、最早分からぬことは無いだろう?」
………一転、真那が凍った。
慕っている兄が前代未聞系ジゴロと知った時、妹は何を思うのか。なおもう一人の妹は兄を
「そ、それは確かな筋の情報で?」
「間違いない。これは現実だ」
「に、兄様………真那が、真那が傍に居なかったから、こんなことに……………」
身を震わせ、テーブルに突っ伏す。あっ、ちょっと泣いてる。これは冗談でも『なるべくしてなった』とは言えないなぁ。事実だけど。先輩にはこれから先も彼女が増えるけど。
「真那が居なかったから………妹指数の低い妹しか居なかったから………妹成分が足りてねーんですね………愛に飢えていやがるのですね………」
「お前意外と元気じゃねーか俺の同情返せ」
「クソテンの同情なんて要らねーです」
「略すな」
急にガバッと顔を上げてぶーたれてきた。こいつ俺の扱いが今まで会った人の中で一番荒いぞ………。
「でも同情するならキャラメルマキアート奢りやがれ下さい」
「自分で買えコラ」
「わ、わた、し…は……ココアが…………」
「アイスも頼む?」
「扱いの差酷くねーですか!?」
「み………」
こうして、ろくに作戦会議が進まぬまま、十香とのデートの時間が来てしまい。俺たちは急いでお勘定して店を出た。
◇
午前十時。時は来た。
「む、あれは先日兄様と共に歩いていた………」
「十香だ。士道先輩が大好きな食いしん坊。ちょっと抜けてる所もあるが、一途かつ美貌の持ち主だ」
「いいなぁ…………」
『今度四糸乃も誘おうね』
俺達は、物陰から士道先輩と十香を見守っていた。
「あ、あっ、あの………この、服は……?」
「これが正しい探偵の衣装でいやがりますが、何か?」
「あぅあぅ………」
『よしのんも着たかったね』
なお、追跡調査のお約束だか何だか知らんが、真那が盗聴機と合わせて買ってきた探偵服を皆で着ている。お揃いの茶色のコートと帽子だ。流石に四糸乃の分は買ってなかったので、俺は霊装を変化させて対応。俺の分を着せて袖を捲ってある。それでも余裕で余る袖と、引き摺っちゃう裾が可愛い。写真撮った。
「さて、義姉様というものがありながら、他の女に現を抜かす兄様には、ちとお灸が必要です。証拠を並べてお説教しやがります!」
「さらば士道先輩、墓参りは行きます」
俺は生暖かい目で先輩の背中を見つめながら、繰三に八ミリ程の黒い円盤を渡す。真那が買ってきた盗聴機だ。
「レッツゴー繰三。士道先輩の靴に仕掛けてくれ」
「み!」
俺から受け取った盗聴機を抱えて、繰三は人混みに向かって走っていく。
「誠、君は一体何をして─────」
その時。突如現れた人影が、繰三に気付かず彼女を蹴っ飛ばした。俺達の目の前から繰三がぶっ飛び、街灯にカーンと激突して気絶する。
「繰三ィィイイーーーーーー!?!?」
「だぁーーーーーーっ!?!?」
「あぅあぅ」
『ありゃりゃ』
四者四様の反応を俺達が見せる中。
「─────ん?」
繰三を蹴った張本人………〈フラクシナス〉解析官・村雨令音は、状況が呑めていないのか、首を捻る。
俺達の探偵ごっこは、初手から頓挫し………そして終局を迎えた。
「ざ………
真那の〈フラクシナス〉との関わりが早くなるの巻。
そして四糸乃を本編に積極的に絡ませるスタイル。原作の四糸乃登場回数が物足りないんじゃ。おねにーさんは四糸乃を放っておかんぞ。