水も滴る触手精霊、始めました。   作:ジョン・ドウズ

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まずはお詫びを。

今回をあげるのに、二度の修正と一度の書き直しをしました。できの悪い方を見てくださった方、申し訳ありません。

原作を大切にしようと思いすぎ、過度に原作を意識してしまいました。色無誠というイレギュラーがいる以上、展開が多少は変わるのがむしろ普通でした。

今後とも、原作にそって進めていきますが、極力自然な話運びになるように意識していきます。

ご迷惑をお掛けしました。今後とも、生暖かい目で見て頂ければと思います。


第四章-五河シスター-
Date.22「それでも好きです、司令」


  色無誠。16歳、精霊です。

 

  恋が始まると同時に終わりました。ちくせう。

 

  狂三を性的に押さえ込んでいる(繰三もいるけど)俺ですが、ちょっと泣かせろ下さい。おのれ士道先輩。今更だがハーレム主人公に怨み辛みが向けられやすい理由が分かった。やろう、ぶっころしてやる。

 

  くそう、琴里司令が美しすぎて辛い。あれ他人の女だぜ?俺も仲間に入れてくれよ(切実)というか俺に妹さんを下さい。マジで何でもしたっていい。

 

「さあ…………観念して貰おうかしら、〈リリス〉?」

 

  大斧を携え、不敵に笑う司令。おお、それこっち向いて俺にも言ってェ!目線下さい!!誰か!誰かカメラ貸して!!触手で女の子二人ほど手籠めにしながら何言ってんだ?言うな!!

 

「でったおうちかえる!!」

 

「は?」

 

  ────と思いきや、ここで予想外のことが。

 

  まさかの〈リリス〉逃走。屋上から飛び降り、脇目も振らず、ブロック塀や家屋をぶち抜きながら本当におうちかえった。遠ざかる、「かえるーーー!!」という涙声。お前ん家何処だよ。

 

「………………どうなってんの?」

 

  勿論、司令も呆気に取られている。誰だってそーなる。俺だってそーなる。

 

「司令が来る直前から帰りたがってたので、それかも知れません」

 

「え?私の出番は?」

 

「──────お疲れ様です」

 

「こっち見て言いなさい」

 

  これは酷い。

 

  まるで俺を失恋させる為だけに司令が出てきたみたいになってしまった。これはマジで酷い。

 

  よーし、仕方無い、こうなりゃヤケだ!!俺のスペシャルトークスキルで間を保たすぞ!!

 

「司令、精霊だったんですね」

 

「まあね」

 

「好きです、結婚して下さい」

 

「イヤよ」

 

「  で  す  よ  ね  !  !」

 

  今も背後で触手プレイしてる時点で知ってた。さらば我が数分の青春。なおBGMは狂三&繰三シスターズで『喘ぎ声』でした。我ながら最低の告白シーンだなぁ。

 

「え?クソテンってロリコン?うわー」

 

「ガチで引くな。知ってるから。俺もそこマズイの知ってるから」

 

「あたしじゃ満足出来ないって言うの!?」

 

「前髪カチューシャ、お前言ってて悲しくないか?爛れた関係認めてるぞ?」

 

「誠お前………お前………もう少しマシな会話運びしろよ」

 

「先輩、デートに慣れすぎ」

 

  何もみんなで傷口に塩塗り込み地区大会(天宮市愉悦部)しないで下さいよ。誰か一人くらい優しい言葉下さい。

 

  何か哀しみの向こう側へ行けそうなので、取り敢えずムラムラに変換して発散しようと思います。涙を堪えて触手の檻に向き直る。

 

  と、ここで司令のありがたい一言が。

 

 

 

 

「というかアンタ、女になりたいんじゃないの?私に百合趣味無いから」

 

 

 

 

  ………………………………………………あっ。

 

  確かに。

 

  俺、結局男なんだけどさ。今身体女だったわーーしまったーー。性転換してるから俺今男として見られてなかったんだ納得ーー。

 

  ───────いやもっと早く気付けよバカじゃねーの!?女の身体に慣れすぎィ!!

 

「【整形(マセカー)】!!司令、結婚して下さい!!」

 

  弾けろ我がボディー!!肉体再構成!!男時代を完全再現!!チャームポイントは士道先輩よりほっそい目付きだゾ!!普段通りにしてたのに女子から『睨まれた』って言われたことあるぞ!イエイ!

 

「男に戻りゃいいってもんじゃないわよ!!」

 

「にべもねぇぇえええっ!?」

 

  結論。

 

  ダメでした。

 

  尚諦めは悪い模様。

 

「うぅ……………いいもんねー…………繰三とヌチャヌチャするから」

 

「何その不穏な擬音!?」

 

  【整形】を解除して膝から崩れ落ち、両手を地面に突けて項垂れる。あれ、おかしいな。世界が滲んでるぞ。やはり性欲に逃避します。てな訳で触手の檻オープン。中の狂三&繰三とご対………面………、あれ。

 

「狂三がいない」

 

「ええ!?」

 

「何だって!?」

 

  すっかり出来上がって茹でダコのように真っ赤になり、『ひゅぅ………ひゅぅ……』と荒い呼吸をする繰三ならいる。が、狂三がいない。

 

「ふぅ、っふ………残念でしたわね!!『時食みの城』のちょっとした応用ですわ!!」

 

  見れば、校旗を掲げるポールの上に、肩で息をしつつポーズを取る狂三の姿が。どうやら自力で脱出したらしい。やられた………!!

 

「チッ、時崎姉妹丼食いそびれた………」

 

「何ですのその恐ろしい丼!?」

 

「時崎サンドウィッチでも可」

 

「女の子二段重ね!?」

 

  かなりビビりつつも、狂三は咳払いして無理矢理誤魔化す。

 

「流石に精霊三人を相手にするのは得策ではありませんので。今日はこれにてお暇させて頂きますわ」

 

  それだけ言い残し、狂三は自らの影に消えていった。

 

「あっ!!待ちやがれってんです!!くそっ!!」

 

  真那が慌てて追おうとするも、間に合わず。残ったのは、見得切って出てきたのに活躍出来なかった司令と、いたたまれない空気の俺ら。それと、校庭に落ちて伸びてる折紙先輩に、ヘヴン状態の繰三。

 

「………………ねえ。私の出番は?」

 

「─────やりましたね司令。オサレポイントが上がりましたよ」

 

「こっち見て言いなさい」

 

「拗ねてる司令も好きです」

 

「うっさい」

 

「にべもねぇ」

 

  とまあ、妙に長閑な幕引きで、狂三戦は終わりを告げた。

 

  まあ、誰も死ななくて良かったじゃない?触手が司令の出番を食ったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、私を再封印しなさい」

 

「だってよ士道先輩」

 

「みみみ」

 

「投げやり!?」

 

  〈フラクシナス〉内の特殊な拘留用の部屋で、繰三を連れた俺と士道先輩は司令に面会し………そして、予想通りの台詞を聞くことになった。尚、繰三は既に元の小さなマスコットに戻っている。

 

  何でも、精霊化した結果、破壊衝動が湧いてきて見るもの全てを破壊したくなるとか。薬で抑えないとヤバイとか危険すぎでしょ。………ん?

 

  何か、よく似た経験があったような。

 

  ────あ、前髪カチューシャだ!!

 

「司令。それ、治せないかやってみていいっすか?」

 

「はい?」

 

「いや、俺の能力は『霊力譲渡』なんですけど、前にAST隊員に掛けられた〈リリス〉の洗脳を解いたことがあるんです。同じようにやれそうかどうかだけでも診ていいですか?」

 

「え、ええ………いいけど」

 

  司令の許可を取り、小さく柔らかな手を取る。………頬擦りとかしたいけど理性で抑える。ナイス理性、グッジョブ理性。

 

  探れ、司令を苦しめる物の根元を………。

 

  あっ、これ洗脳じゃねーや。聖結晶(セフィラ)というか、司令の霊力そのものが影響してるわ。専門外だわ。オワタ。

 

  いや。逆に、霊力が薄まればいい、のか…………?試しにやってみよう。

 

「ちょっと触手出ますよーー」

 

「待ちなさい。どうする気よ」

 

  左手の掌からぬるっと触手を出したら、司令に制止された。心なしかビビっている様子にも見えなくもない。

 

「俺の霊力を司令に譲渡しようかと」

 

「何処から?」

 

「………口から………?」 

 

「イヤよ。繰三の時みたいにやるんでしょ」

 

「そうですけど…………じゃあ何処の穴に突っ込めば…………」

 

「アウトだよ!!」

 

  士道先輩に後ろから頭を叩かれた。痛くねぇ。え?おかしいな。何か問題でも?

 

「何故穴なんだ。何故穴からやるんだ」

 

「一番効率いいんですよ。上の口がダメなら下でも─────」

 

「お前にだけは妹はやらねぇ!!」

 

「そんなぁ!?ひでぇよ義兄さん!!」

 

  士道先輩の右ストレートを右手で受け止める。接近戦は得意だぞーーギリギリーー(先輩の拳を握り締める音)。

 

「アンタ一回死ね!!」

 

 「冗談を冗談と見抜けないようでは、俺と付き合うのは難しいですよ司令」

 

「ウッザ!!ドヤ顔で言うな!!」

 

  俺は〈サッカバス〉。純愛も肉欲も大好物だ。プラトニックなのとかくそ食らえ。本気で惚れた相手とイチャコラして何が悪い。ただし士道先輩(リア充)、テメーはダメだ。……………何か先輩の顔青くなってねーか?絞めすぎたか?そろそろ放そっと。

 

  右手を押さえて痛がる士道先輩を他所に、俺は頭を掻く。仕方がない。司令が嫌がってるから止めようか。ベストがダメなら次善の策で。手を尽くして司令の役に立とう。

 

「じゃあ、効率は落ちますが肌から行きましょうか」

 

「最初からそうしなさい」

 

「出来るならそうしろよ」

 

「にべもねぇ。じゃあ、何処にやっていいですか?」

 

「………手で」

 

  司令が掌を上にして右手を差し出してきた。手の甲を掴むように下から俺の右手を添える。左手の触手の先端を司令の手に当てると、ひんやりした感触に司令の身体が僅かにビクンと震える。

 

「じゃあ、濃縮したやつ少量出すんで、塗り込んでください」

 

  司令がこくりと頷いたのを確認したので、触手に霊力を送り込む。ぶちゅうと音を立て、司令の手にゲル状の霊力の塊が分泌される。

 

  ─────瞬間、司令がそれを床に向かって捨てた。

 

「何すんですか!?」

 

「生理的に無理よ!!何これ!?ケフィア!?」

 

「いえ、ゲル状の霊力の塊です」

 

  俺は床に落ちたブツを見る。

 

「ん………ちゅ………ハッ!?な、何ですの!?」

 

  足元にいた繰三に直撃し、効果を発揮したのか人間サイズになっていた。丁度顔面にかかったらしく何かイケナイ絵面と化している。こら、鼻の頭についたやつ指で掬って食うな。確かに霊力が身体に行き渡るのかも知れないが無味だぞそれ!?何故美味そうに食う!?

 

「─────ご覧の通り効果はあります」

 

「随分な証明の仕方ね!?」

 

  司令。俺も想定外です。ほら、士道先輩も顔赤くしてないでこっち見なさい。いずれ登る大人の階段ですよーー?

 

「………見た目だけでも何とかならない?せめて固体にして………」

 

  この上なく嫌そうだが、それでも俺が真面目に治療しようとしているからか司令は止めろとは言わない。何とかしたいが、これが〈触抱聖母(アルミサエル)〉の限界でしてなぁ………。

 

「水に普段触手操作に使う霊力の100倍を含ませたのがこのゲルなので、もっと増やせばあるいは。劇薬になる可能性もありますけど」

 

「わ、わたくし飲みませんわよ!?」

 

「繰三、ステイ」

 

  ぶっちゃけどのくらい霊力を込めていいのか分からない。【福音(ハエム・ハクドシャ)】は通常の1000倍込めているが、使う水の量も相当なので話が違う。が、やれなくはないだろう。

 

「………い、いいわ。やってやろうじゃない。お願いするわ」

 

  固形にするなら大体錠剤サイズが妥当だろう。で、どのくらい込めるか………よし、最初に固形になるとこまでやってみよう。両手を合わせて霊力を圧縮し、真珠のような光沢を持つ錠剤を造り出す。300倍かあ。どうなんだろこれ。

 

「どぞ。固形化最低値、通常の300倍です」

 

「………………。」

 

  生唾を飲んで、司令が錠剤を凝視する。意を決して俺の手からつまみ上げると口に含み、水で一気に流し込んだ。

 

  司令はまだ動かない。さて、どうなる。

 

「ど、どうだ琴里………?」

 

  固唾を飲んで見守っていた士道先輩が、無言の緊張に耐えかねて口を開く。こちらに背中を向けているので、俺達からはその表情は伺えない。

 

  先輩の声に反応し、司令が霊装の袖を翻して振り向いた。

 

「お、おっ、おにーちゃぁぁあん…………」

 

「「え"っ」」

 

  俺と先輩の驚愕の声が重なる。

 

  こちらに顔を向けた司令は、かつて見たことの無い()()()()()()()()()()()のだ。息も荒く、急激な発汗も見られる。すっかり上気した司令は、暑がっているのかそれとも誘っているのか、胸元に指をかけ、クイとずらす。どう考えても誘ってます眼福です。

 

「なんだか………あ、っ………つぅいのぉ………鎮めてよぉう……………っ」

 

「おい誠これどうすんだ!?」

 

「アーーキョウモイイペンキ」

 

「現実逃避してねぇでどうにかしろ!!」

 

  いや、だって何で媚薬出来るの?え?どうなってんの?

 

  先輩の手で俺がガクガク揺すられる間にも、艶を帯びた呼吸の司令が………いや、一人の女:五河琴里が一歩ずつ歩み寄ってくる。

 

「おにーぃちゃあん………琴里のこと好き………?好き?好きって言ってぇ………?ねぇ………おにーちゃぁあーーーん」

 

「おい、しっかりしろ琴里!!帰ってこい!!誠!!おーい!!」

 

「失恋。それは『失うも亦心』と書きます、アハハハ………」

 

「滅茶苦茶落ち込んでる!?」

 

  放っておいてください。今の俺の友達は部屋の隅と壁の染みだけなんです。染み、無いけど。

 

  この後副作用が切れるまで、士道先輩と琴里司令は一時間以上も鬼ごっこ(捕まると性的に喰われる)を繰り広げることになったが、俺は知らん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  尚、効果自体はあったようで、正気を取り戻して爆発しそうなほど顔を赤くした司令から『液状でいいから大量にくれ』と言われた。

 

  …………最初からそうすれば良かったのに。

 

 

 

 

 




書くのって大変だなぁ………。

書き直すのって、とても怖いんです。

他所で書いていたこともあったのですが、展開に詰まって、悩んで、筆を置いて。そのまま絶筆したことがあります。

今回も、怖かったです。

でも、このまま自分の好きなはずのことを恐れるなんて嫌だったので、何とかまた書き上げました。

楽しんでいただけたなら、幸いです。
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