水も滴る触手精霊、始めました。   作:ジョン・ドウズ

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今回はすこーし短め。

そして少し誠がはっちゃける。

あんま良くなかったら言って下さい。今回勢いで書いたの。誰かルナティック止めて。胸が苦しくなる(厨二)。


Date.5「デェト前夜の『デート』」

  十香のデートを補佐する役目を、司令より仰せつかった日の夜。

 

「なあ、聞いてくれよお嬢ちゃん。俺、なんも悪いこたぁしてねぇんだよ。なのにさぁ?上司はしゃんとしろもっとやれ仕事出来ねえってガミガミ騒がしいし、嫁さんはもっとお金入れろ入れろって捲し立てるんだ。子供はすっかり反抗期。毎日楽しくねぇよ。ヒック」

 

「大変だなおっちゃん、元気出しなよ。ほら、飴ちゃんあげる」

 

「ハッカ飴か。いやハッカ飴しか無いのか」

 

「他のは友達に食われた」

 

「あっはっは!お嬢ちゃんも大変だな!」

 

  酔っぱらいの中年のおっちゃんがフラフラと公園に迷い込んできたので、相手してやってた。俺はスナックのママか。開くか。公園スナック『触抱聖母(アルミサエル)』。キャミソールのママがお出迎え。店主が未成年なのでお酒が出ない。常連客は小学生。どっちかっていうと児童クラブじゃねーか。

 

「ところでお嬢ちゃん、何でこんなとこいるの?」

 

「ここが俺の自宅だよおっちゃん。靴は脱いで上がってくれよな」

 

「あっはっは、お嬢ちゃんは冗談が巧いなぁ!」

 

  ………………言えない。ホントに住んでるとか言えない。おっちゃんが信じてないからいいけど。

 

「おっちゃん、そろそろ帰んないと奥さんにまた怒られるぞ。また愚痴聞いてあげるから。ね?大変なら家まで肩貸そうか?」

 

  手を貸しながら立ち上がらせ、おっちゃんと共に公園の入り口へ歩いていく。

 

「おっぱい貸して」

 

「セクハラですよシャチョサン。どんと来いやウラウラ」

 

  大丈夫?おっぱい揉む?俺に頼めばヤらせてあげよう。ただし、相手は選ぶ。

 

「男らしいな!?でも止めとくよ。話聞いてくれただけで満足だ。ありがとうよお嬢ちゃん」

 

「おう。車に気を付けてなー!車乗るならタクシーだぞ!」

 

  赤ら顔のおっちゃんが見えなくなるまで見送ったところで、俺は悠然と敷地内に戻り、ジャングルジムに登る。街灯が俺の背中を照らし、夜の闇の中にうっすらと影を作り出す。

 

  その影の色が濃くなり、不自然に延びて行く。

 

  否。それは違う。寧ろ、被さっていた他人の影が、本人の元へと帰っているのだった。

 

「随分人間にお優しいんですのね、誠さん?」

 

「あ、そこに居たんだ」

 

  滑り台の上に佇む、一人の少女。

 

  黒とオレンジで、艶やかに、妖しく、それでいて愛らしくデザインされたドレス。

 

  左右で長さの異なる、特異なツインテール。

 

  金色の左目には、時計の針。

 

  俺の同類。精霊(バケモノ)だ。

 

「アンタは誰だ。俺を知っているらしいな」

 

「わたくし、時崎狂三と申しますの。お友達になりませんこと?」

 

「即答不可。おっちゃんを摘まみ食いしようとしてたからな」

 

  あらあら、手厳しい………と笑うが、ここまで恐らく奴の想定内。俺が気付いてると知ってておっちゃんを狙った。

 

  気付いたさ。霊力がおっちゃんに迫ってたことくらい。そこに悪意があることも。そこに殺意が無いことも。だから帰らせたんだ。折角の酔いが覚めちまうだろうからな。

 

  触抱聖母の例があったから分かるが、こいつは人間を()()タイプだ。わざわざ接触してきたのも、何か裏があるだろうな。

 

「それで?どうすんのお前。俺は水飲んでりゃ死なないから、お食事(ディナー)のお誘いなら遠慮しとくぞ」

 

「中々ワイルドな生活をされてますのね」

 

「ほっとけバーロー」

 

  せやかて工藤、こんな生活辛いんや。水が美味いと思えなかったらとっくに司令に泣き付いてる。狂三に比喩的に(オブラートに包まれて)表現された途端、何か悲しくなった。鉄骨に腰を降ろし、頬杖を突いて不機嫌アピールしてみる。あ、笑いやがった。コンチクショウ。

 

「くすっ、面白いお方。わたくし、今日はお尋ねしたいことがあって参りましたのよ?」

 

「何さ」

 

「精霊の力を封印出来る人間が居ると()()()()()()()のですけれど、何かご存じありませんか?」

 

  ─────────ッ!!

 

  こいつ、俺じゃなく!

 

  士道先輩の方が狙いか!!

 

「へえ、知らないな。というかそのウワサ、誰から聞いたんだよ」

 

「さあ?()()()ですから、わたくしも偶然聞き齧った程度ですの。詳細をご存じの方がいないかと思いまして」

 

  こいつ、めんどくせぇ………………。牽制球ばっか投げ込んで来る気だな?だったらこっちも四球待ちだ。

 

「ああ、残念ですわ。ご存じ無いとは。ですが、随分と鈍くていらっしゃるのですね?()()()()()でその方と談笑されたのに」

 

  あっ。ストレートきました。急に。ストライーーク。バッターアウトー(精神的に)。

 

  分かってんじゃねーかこいつ!!

 

()()()()()、誠さん。キヒヒッ」

 

  先ほどまでの淑女然とした笑いではない。箍が外れた笑い。

 

  こいつは、一線を越えている。それが何かは明確には分からないが、()()()世界に、生きている。

 

「………………何のつもりだ」

 

「いいえ?興味を持っただけですのよ。あなたが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に」

 

「あ、そう」

 

「結果は随分と人間寄りでしたけれど」

 

「だろーね」

 

「ええ。ですが、()()()()()面白い」

 

  滑り台の縁を軽く蹴ってジャングルジムに飛び移ると、狂三は俺の隣に座る。

 

「改めてお訊きしますわ。わたくしと()()()()なりませんこと?」

 

「今の俺はさっきよりガードが固いぞ。話は聞くが、説得は厳しいと思えよ」

 

「そう仰らずに。わたくしは士道さんが欲しいんですの。今ではなく、もっと熟れてからの彼が。そうすれば、誰も悲しまなくて済みますのよ?」

 

  わざとらしく、しなだれかかるように抱き付き、耳元で甘く囁く。実に蠱惑的。こいつ、男を刺激するように、いや、俺の中身が男だと()()()()かのように振る舞いやがる。男だった時にやられてたら、すぐに堕ちてたな。今は………理性が勝る。身体が女だからだ。

 

  しかしそうすると、かなり前から俺や先輩は見られていた可能性がある。先輩のことはともかく、俺のことはかなりバレてるって感じがするな。別に隠しちゃいなかったが。

 

  だが………誰も悲しまなくて済む、か。

 

  突然だな、おい。どういうことだ?

 

「どういうことか説明してくれ」

 

「わたくしは、全ての精霊を無かったことにするつもりですの。そう、三十年前の惨劇の事実を、無くすのです。精霊という存在に乱される者も、壊される物も、全て均しく無くします」

 

「それで?何故俺なんだ?」

 

「それは───────」

 

  キヒヒッという、イカれた笑い。

 

  先程よりも、俺を抱き締める力が強くなる。

 

「────精霊の中で、()()()()()()()()()()()()()だから、ですわ」        

  

  ───────ああ。

 

  納得。

 

  確かに、食べやすいだろうな。

 

  ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

  影が急速に広がり、内から大量の手が延び、俺を拘束する。

 

  チクショウ、油断したよ。人間みたいに、同類同士仲良くしたいって気持ちが強いからな。十香に信頼されたことで、同族には警戒意識を持ちにくいもんなのかと思ってしまった。

 

  俺自身、始めから狂三を怪しんでいたんだ。なのに────()()()()()()!!

 

「ようこそ、わたくし達の元へ!歓迎しますわ!」

 

  狂三の手に長短二挺の銃………歩兵銃と短銃が握られる。何かを指し示すかのように、二挺の銃を構える。

 

  やる気か。俺を。

 

「さあ、さあ、さあ、さあぁあああああああああああッ!戴きますわよ、誠さん!!」

 

  引き金と共に、俺を撃ち抜かんと飛び出す、影のような銃弾。

 

「ぐっ、くそ!!」

 

  避けようにも避けられない。全身を、影から這い出る数多の手が拘束している。

 

  ただ、脳天に向けて吸い込まれるように突き進んでくる弾を、見つめることしか、出来ない─────!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  頭蓋を穿ち、銃弾は地面を抉って掻き消える。狂三は、残心するように、誠の頭に開いた丸い穴を見つめていた。

 

  例え精霊の生命力で生きていようとも、脳を貫通した以上、まともな抵抗は不能。

 

 

 

 

  だが、狂三は、誠から一瞬も目を離そうとしなかった。否、出来なかった。

 

「まさか………〈触抱聖母(アルミサエル)〉だと言うんですの!?」

 

  そう、脳天を撃ち抜かれた誠が、瞳に明確な光を灯したまま、真っ直ぐに狂三を見つめ返していたのだ。

 

「おう。これは紛れもなく〈触抱聖母〉だぜ。どうだ?出し抜いたつもりが出し抜けなかった気分は。ねぇどんな気持ち?ねぇどんな気持ち!?」

 

  悪戯の成功した子供のように笑うと、己を水へと変化させ、拘束を逃れて狂三へ襲いかかる。場の流れが、完全に誠に傾いた。

 

  狂三は分からない。いつ〈触抱聖母〉が展開されたのかが。迫る意思を持った水を撃ち抜いて四散させ、鉄骨(ジャングルジム)から飛び降りて距離を取り、心を落ち着かせる。

 

「わたくしの前で、あなたは天使を顕現させなかった。一体、いつ呼び出したんですの!?」

 

  飛び散った水が一ヶ所へと集まり、人の形を成して行く。成形が終わるとにわかに水は色付き、色無誠となる。

 

「あ、分からない?覗きするならちゃんと見ないと。じゃあ謎解きね」

 

  忌々しげに狂三が睨むも、誠は寧ろ喜んでいる。彼としてはまさに、してやったりというのがぴったりなのだろう。

 

「簡単だよ。()()()()()()A()S()T()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な─────!?」

 

  予想外だろう。誠の天使は、狂三のそれと比べて、燃費が凄まじく良いということは。

 

  狂三の刻々帝は、効果は精霊の中でも群を抜いているが、使用コストも相応に高い。

 

  対して誠は、自身の形状を変更する、()()()()()()()()()()()()()()霊力を消費する。後は霊力ではなく体力の問題。全身を水にするだけなら朝飯前。能力の長時間使用など容易いことなのだ。

 

  だからこそ、精霊になった初日に、一日中天使を展開させていられた。誠は既に、自分の燃費効率の良さには気付いていたのだ。

 

「ASTを警戒して刺しっぱにしてたんだが、俺は運がいい。天使を体内から抜いたかどうか、キッチリ確認すべきだったな。ん?刺しっぱ?抜く?卑猥にエロいな!!」

 

  最も、本人はいつも通りだったが。

 

「く………流石に旗色が悪いですわね」

 

  真に丸腰ならばとうに仕留めた。だが、本気を出せる今の誠と、()()()()では戦力に歴然の差がある。互いに全力ならば、軍配は………狂三は確信を持って自分に上がると言うだろう。

 

「ん?天使出さねぇの?」

 

「ええ。もうお暇しましょうかと思いまして」

 

  恐らく素直な感想なのだろうが、見透かされたような台詞にひやりとする。この場を離脱する方法を、狂三は全力で思案していた。自分の代わりは()()()()()()()が、自分が生き残ることは損にはならない。この場における最善だ。

 

「諦め早いな。今夜は帰さないぜ(意味深)」

 

「まぁ。誠さんがいっつもお求めの、だぁぃ好きな美少女がお願いしても、駄目ですの?」

 

  ちょっとウィンクしてみる。

 

「バカ野郎!だから帰さないんだろうが!!」

 

「ですわよねぇ!!期待通りの答えに涙が出ますわ!」

 

  帰れそうになかった。

 

  この後無茶苦茶触手祭り(テンタクルフィーバー)した。

 

 

 

 

 

 

  ───翌日───

 

「誠よ!今日はシドーとのデェトに行くぞ!─────む?今日はやけにこう………つやつやしていないか?」

 

  臨界からコッソリ出た後、私は昨日の公園へとやって来た。頑張って思い出した。うむ、ちゃんと覚えていたぞ。

 

  視界の端に写ったブランコに乗りたい衝動もあったが、我慢してジャングルジムとやらの上にいた誠を呼ぶ。手元を覗き込んでいるが、やけに肌の色艶が良い。何かあったか。

 

「え?ああ、昨日十香が帰った後、ちょっと激しく遊んだだけ」

 

「一体どんな遊びをしたのだ?」

 

「これだよ。スマートフォンで写真撮って遊んだんだ」

 

  誠がこちらに四角いものを見せてくる。スマァトフォン?聞いたことがないが。ともかく面白かったのだろう、ならば後でシドーと会って皆で一緒にやればいい。

 

  しかし、今はそんなことより、重要なことがある。

 

「誠よ、デェトだ!デェトに行くことにした!シドーに会いに行くぞ!どこに居るだろうか?」

 

「あー。学校に行ってるんじゃないの?ついさっき歩いてくの見たから」

 

「ようし、ならば走って追いかけるぞ!」

 

「止めようね?二次被害が偉いことになるから止めようね?歩いて行こうね?」

 

「?」

 

  何を気にしているのだろうか。誠も変な奴だ。変態だ。

 

「とにかくだ!行くぞ誠!」

 

  まどろっこしいので、ジャングルジムをよじ登って誠を持ち上げ、来た道を戻っていく。

 

「あ、おい!離せ!離せぇぇぇぇ!」

 

「デェト、デェト!楽しみだな、デェト!」

 

「ちょ、おまぁ!?」

 

  今日という日は始まったばかり。

 

  折角のデェト。楽しもうではないか。

 

「分かったから離せ!俺を振り回すんじゃない!小学生の横断バッグみたいに!横断バッグみたいに!!止めてぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく戻りましたわねわたくし」

 

「隙を突いて逃走しましたの、わたくし」

 

「ところでわたくし?何をされたんですの?」

 

「手足を触手で拘束され、ひんやりとした触手で、そぉぉぉぉぉぉっと背筋からうなじにかけてをなぞられ続けましたの。五時間ほど。スマホで撮影されながら」

 

「(無言の背筋なぞり)」

 

「あっ、あう、ひ、ぁあ、んっ」

 

「お  の  れ  誠  さ  ん」

 

「何故今なぞったんですのぉ!?」

 

 

 




諸君。私は触手が好きだ。

諸君。私は触手が好きだ。

諸君。私は触手が大好きだ。

でもあんま生々しく描写したり貰うもん貰ったり人の手で触手栽培(意味深)するときっとR-18でやりんしゃいって話になるんだよね。



諸君。私は狂三が好きだ。

諸君。私は狂三が好きだ。

諸君。私は狂三が大好きだ。

だけどスマホで変換する時は『きょうぞう』って打った方が楽だ。

慈悲は無い。
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