人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、湯水のごとくネタが溢れてくる、アイゼロです。

そのせいもあって、最近一話完結を書くことにハマってて、シリーズものの進みが悪くなってしまった。もちろんシリーズも書いているから、気長に待ってくれるとうれちいな♪ォェ……。

それではご覧ください。


16話:受験と告白

ある日、俺は三柴に呼び出された。いつの間にか携帯に連絡先が入っていて怖い思いをした。実はあいつも魔法を?

 

「取り敢えず寝たら、整理がついたよ。それで、遅いけどありがとね。助けてくれて」

「別にどうってことねえよ。目の前で他人が死ぬ瞬間なんて後味悪いしな。それで?」

「うん。まぁ要はあんた魔法使いになったんだよね?それでいい?」

「まぁ、今はそんな感じで大丈夫だ。それより、ぜってえ言うなよ?言った瞬間お前の首が飛ぶからな」

「怖い事言わないでよ!それもう脅迫だからね!絶対言わないから!」

 

クレアも嘘じゃないってわかってるし、俺も嘘とは思えないからそこは信じよう。今更だが、そもそも俺が魔法使いだって誰も信じないと思うし、例え三柴がばらしたとしても変な奴と思われるだけだ。

 

「じゃ、今日も数学教えてあげる」

「お前切り替えの速さ異常過ぎる。俺でもそんな事できねえよ」

「もうすぐ受験だもの。ほら、教科書開く!」

「へいへい」

 

この数学を教えてもらう状況に何も文句はなくなった。不思議と嫌とも思わなくなった。いや、さすがに教えて時貰ってる身で嫌とかは失礼だと思うが、それとはまた違う。

 

勉強だって俺が図書室使わなきゃいい話だった、途中まで帰ると言われたら〈ディセイブ〉使えばよかった、ばれたらまずい魔法だってこいつに使った。何でかは分からない。ただ、少なくとも俺はこいつを悪い奴とは思ってない。別に好きでもねえけど。

 

正直、まだ心の底からは信頼できない。だが、信用はしていいんじゃないか。何度もそう思う度に罰ゲームかもしれないというネガティブが邪魔をする。

 

いずれ通る道だ。今が克服のチャンスかもしれない。少なくとも俺の事を悪く思わない奴なんて滅多に会えるわけじゃないんだ。

 

「なあ、三柴は俺にこんなことしてどうしたいんだ?」

「え?……前にも言ったでしょ。あんたに興味があったからって。それに、あんなこと聞いたらますます興味持ったの」

「お前結構な変わり者だったんだな」

「よく言われる。……あ、ここ間違ってる」

 

遠回りな質問をしてしまったが、本題に入ろう。

 

「なあ、俺と友達にならねえか?」

「………は?どうしたの急に?」

「いや、俺に興味を持ってるお前に興味が湧いた」

「ふ~ん、私はもう友達だと思ってたけど?」

 

三柴は首を傾げながら、そう言った。……なにそれ初耳。友達ってお互い了承しなくちゃいけないものかと思ってたんだが、違うのか?…おっと?俺の中で一つの概念が崩れようとしている。

 

「何その顔……。もしかして友達の意味を知らないの?」

「悪かったな、よくわかんなくて。地球に友達いないからしゃーないだろ」

「ああ、あの魔法の星。地球人が他の惑星の人と友達なんてとんでもないわね」

「いいだろ。あいつらは信用できるし、俺は地球人は嫌いなんだ」

「私地球人だけど…」

「お前はもう俺の秘密知っただろ。だから特別な地球人だ」

 

なんだこの厨二病みたいな会話は……。

 

「じゃあ私は地球人友達1人目?」

「いや、2人目だぞ」

「……あんた、よくわからない」

 

ガクッとうなだれる三柴に、俺は苦笑した。それに関しては俺もわかる。地球人嫌いと言ったそばから友達はいるって、矛盾してるからな。それに特別って言葉はあんまり好きじゃない。

 

「なあ、お前」

「沙耶」

「は?」

「下の名前。それで呼んで」

 

今まで名字呼びでも何も言わなかったのに、突然どうしたんだ?いや、そもそも直接三柴なんて呼んだことなかったか。一度、男女の名前呼びは交際の証だと本で読んだことあるが、そうではないらしい。実際、シズクとかリアとかも名前呼びだからな。

 

「分かった」

「(あれ?案外すんなり受け止めたわね)」

 

 

地球人2人目の友人ができてから、早2週間。いよいよ迎えた受験当日。俺は自室でキリヤとシズクを待ちながら、軽く参考書を見直している。沙耶に短期間数学を教えられたおかげで、何とか平均以上にはなった。

 

「おう、おはよう八幡」

「お待たせ、八幡」

「やっほー」

 

今回総武高に受験するキリヤとシズクがゲートから現れた。その後ろにはリアとジークもいる。ジークは基本口を開かない。

 

「皆頑張ってね!」

「頑張れ……」

「おう、まかせとけい!」

 

リアたちからのエールにやる気が出た俺達は高校向かうべく、光に包まれながら、外に出た。すると、そこには意外な人物がいた。

 

「おはよう、八」

 

沙耶が木に背を預けながら、そこに立っていた。

 

「何でいんだよ……」

「目的地一緒なんだから、いいじゃん」

「そうだけどよ……」

 

来るならせめて連絡してほしかった。キリヤ達は全員合格したらl改めて紹介しようする予定だったのによ……。

 

「八幡、こいつは?なんか知ってるみたいだけど」

「ああ、俺の数少ない友人だ。ついでに、俺らの事はほとんど知ってるぞ」

「え!八幡教えたの!」

「まぁ、実際こいつの前で魔法使っちまったし。ばらすようなことしねえから大丈夫だ」

 

何があったか粗方2人に説明し、俺がそう言うなら大丈夫だという事になった。お互い自己紹介しながら、受験会場に向かう。

 

「俺はキリヤだ。よろしく」

「私はシズク。よろしくね」

「三柴沙耶。沙耶って呼んでいいよ」

 

さすがはコミュ力あるもの同士、距離の縮め方がとんでもなく速い。さすがキリヤ達だ。俺にできないことを平然とやってのける。そこに痺れ(ry

 

「私宇宙人と友達になっちゃったよ八!」

「お前テンション高いな。キリヤ達にとってもお前が宇宙人だけどな」

「けど、思ってたよりも日本人みたいな顔だね」

 

それに関してはクレアに会った当初から思っていた。宇宙人と知る前は日本人だと思っていたからな。本当にどうなっているんだろうか…。いや、そもそも地球にとって宇宙人のイメージって銀色の化け物だからな。日本人似なんて思うはずなかろう。

 

 

数日後、合格発表日がやってきた。今まで生きてきた中で一番緊張している。これでキリヤ達と過ごせなかったらと思うと、もうヒキニートになる自信あるね。

 

「おいおい八幡、そんな顔すんなって。絶対受かってるから」

「お前は随分余裕あるな。日本語から勉強したのに」

「お前と学校行きたいからな」

 

あらやだイケメン過ぎる。うっかり惚れそうになった。

 

「八ってすごい信頼されてるね」

「なんつーか、まぁ全員合格してりゃ色々話してやるよ」

「それは楽しみね」

 

 

 

目的地に到着すると、既に受験した生徒が大勢集まっていた。怖い事に話声が一向に聞こえないため、最早世にも奇妙な合格発表になっている。家にいると落ち着かなかったのか。俺らもだけど。

 

「俺らも空気読んで黙ってた方がいいか?」

 

キリヤが耳元でそう聞いてきた。そうだな、ここで普通に話してたら逆に目立つし、周りの鋭い目が痛いから黙ってようか。

 

 

 

被されてた布がめくられ、合格者の番号が羅列している紙が露わになった。……………………………あ、全員ある。

 

「っしゃあ!合格だぜ八幡!」

 

キリヤが勢いよく俺と肩を組み、嬉しそうに声をあげた。

 

「ああ、やったな」

「やったよ八!皆で通える!」

「はちまーん!やったー!」

「お、おう、シズク。やったな。ちょ」

 

シズクが喜びのあまり、正面から俺を強く抱きしめてきた。結構強かったため、腰が曲がりそうになるのを抑え、何とか受け止めた。しかし、身体が良くても精神面に違うダメージが入る。シズクのような発育がよく、可愛い奴に抱きしめられて平然としていられる程、俺のメンタルは強くない。

 

「分かったから!一旦落ち着け離れてくれ」

「あ、ごめん…」

「おいやめろ、顔を赤くすんな」

「だ、だって……」

 

自分が何をしたのか理解したと同時に恥ずかしそうにモジモジとし始めた。すると、ありがたいことにその雰囲気をキリヤが勢いで変えてくれた。

 

「じゃあ、八幡の家行って祝おうぜ!沙耶、他にも友人いるから紹介してやんよ!」

「はは~、なぁるほどね。……分かった!行こう行こう!パーティだ!」

 

 

激しい盛り上がりを見せた合格祝いのパーティは終わり、今は俺とシズクで片づけをしている。クレアは酒飲んで酔っ払って寝てしまった。夜も遅いため三柴を皆で送った後、何故かキリヤとリアとジークが先に帰ってしまった。なんか頑張れって言われたんだけど、家事は慣れてるから頑張るもくそも無いんだ。だから、あのキリヤの一言がどういう意味なのかを考えながら、皿を洗っている。

 

「シズクも帰っていいんだぞ?」

「ううん、私にも手伝わせて。それに、したいからしてるの」

「そうか。まぁ、助かってるからありがたい」

 

シズクが皿を洗って、俺が拭いて食器棚に戻すという作業を繰り返している。シズクが生成した水は洗剤を使わなくても新品のようにきれいになるから、非常に便利だ。これからも皿洗いを手伝ってくれないだろうか……。

 

「ねえ、八幡。沙耶とは友達なんだよね?」

「ん?あー、そうだな。それ以上でもそれ以下でもないな。ただの友人だ」

「ちなみに、その、好意とかそういうのは?」

「は?ないないないない。ぜーんぜんない」

 

好意?好きかどうかって事か。それこそないな。俺が沙耶を好きになったり、沙耶が俺を好きになるなんて未来永劫ありゃしない。シズクはこんなこと聞いてどうしたんだ?好きでも嫌いでもねえただの友人だし。それにもし俺が恋愛対象で見るなら、目の前のシズク1人だな。リアは、まぁいいとして。クレアはもう母親みたいなもんだし。

 

けど、今の俺じゃ到底恋愛はできないな。人間として大事な部分が欠けている。もう少し時間が経ってから真剣に向き合うつもりだ。そもそも俺を好きになる奴なんているかどうか分からないからな!……はぁ。

 

「実はね、八幡と一緒に高校行けるようになったら、言いたいことがあったんだ」

「…なんだ?」

「私、八幡が好きなの」

 

………………………ん?今なんて?

 

「今なんて?」

「だ、だから!八幡が好きなの!何度も言わせないで!」

 

まだ2回だけど……。じゃなくて、え?俺が好き?何で?私のどこがいいのよ!キモイなこれ。

 

「返事は?」

「あ、いや、その、だな………」

 

初めて受けた好意の押しつけに、ただ戸惑うしかなかった。俺もシズクが嫌いなわけじゃなく、寧ろ好きだ。あくまで友人的な意味ではいたけど。今まで何度か考えたことがあった。シズクのような人と付き合いたいと。だから、今の告白は嬉しい。だけど……

 

「何?お付き合いOK?やったー!」

「え、いやまだ俺は」

 

考える余地をくれることも無く、シズクは顔を赤くしながら大声で強制交際の手段に出た。

 

「八幡は私の事嫌い?」

「そんなことねえよ。寧ろシズクみたいなこと付き合いたいとは思った事」

「じゃあ決まりだね!はい、私は八幡と恋人同士になりました!」

「いや、そんな無理矢理」

 

さすがに俺も反論をしようとした矢先、クレアの部屋から大勢出てきた。

 

「やったな!シズク、八幡」

「やったよジーク、シズクが大人への階段の一歩を踏んだよ」

「………うん、感動」

「「もう、めちゃくちゃね」」

 

盛り上がりを見せる三人に対して、呆れている沙耶とクレア。俺もただ呆然とするしかなかった。ていうかなんで沙耶がいるんだよ……。さてはクレアがワープ魔法使いやがったな……。

 

「じゃあ、これからよろしくね!八幡!」

 

そう言うなり抱き着いてきたシズク。周りからは歓迎の拍手が送られ、今すぐ穴があるなら入りたい気持ちになった。

 

キリヤが一足早く拍手を止め、俺の下に寄り、肩に手を置いた。

 

「お前もなんだかんだ、シズクの事好きだったんだろ」

「………否定はしない。恋愛なんてしたことないから分からんが、気付けば目で追ってた、気がする。多分」

「ははっ、結構曖昧なんだな。けど、すっかり男になったなお前。ほら、一応返事しとけ」

 

もう本当にこいつイケメン過ぎるだろ。ほれてまうやろ。逆になんでシズクはキリヤに惚れなかったのかが知りたい。こんないい男いないぞ?

 

「シズク」

「何?」

「…………………好きだぞ」

「………へ?」

 

今にも破裂しそうなほど動いている心臓を気合で抑えようとしながら、目の前の恋人に好意を示した。自分の顔が赤くなってるとわかるほど、血が渡っている。全身が震え、今にも倒れそうだ。告白というのはここまで身体と精神に影響を及ぼすとは………。リア充は誰もがこの道を通るのか。今まで爆発しろとか言っていたけど、これは見直す必要がある。リア充、侮りがたし。

 

一方、シズクは一気に顔を真っ赤にし、リアの方へしがみついた。

 

「リア!なんか予定してたのとちょっと違うんだけど……」

「いやぁ、八幡がまさかそうくるとは予想外だったね。まぁ結果オーライだし、良かったじゃん。好きって言ってもらえて」

「そうだけど!ああ、恥ずかしい!」

「言っとくけど、一番恥ずかしいことしてたのシズクだからね」

「それは言わないでよ!そもそもほとんどリアの作戦でしょ!」

 

何やら言い争っている様子。作戦とは一体……。だが、今の俺にとって、それは何なのか考える余裕はなかった。

 

「キース!キース!」

「やめなさい沙耶ちゃん」

「いて」

 

台無しだな………。

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

はい、今回でやっと中学編が終わりです。そして、ついに高校編へ……。

俺が書く作品は、やはり八オリになるんだね。だってそれしか書く気ないもん。ダイ〇モン

また次回。

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