人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り) 作:”アイゼロ”
重要な話があるので、後書きを読んでください。
それではご覧ください。
早速常に開いている状態のゲートを活用させてもらい、地球から足を離した。今は少し歩いてウェルサクス周辺の店をうろついている。・・お、この服カッコいいな。
少し大きめの服屋を覗いていると、そこにいる女店主の人に話しかけられた。
「あら?ちょっとそこのお兄さん」
「ん?俺ですか?」
「そうそう。その服、見慣れないわね。どこで買ったのかしら。興味深いわ」
現在の俺の服装は、極普通の学校の青いジャージだ。・・・見慣れない服という事は、ここにはジャージというものが存在しないんだな。
「ああ、これはちきゅ・・・。自分で作ったオリジナルなんですよ」
あ、危なかった。危うくとんでもない暴露をしてしまいそうになった。最近気が緩んでいるから、口にも影響をしてしまっている。
「凄いわね。この年でそんな面白い服を作れるなんて。・・・うちで働かない?」
「あはは、か、考えときますね」
女店主に手を振りながら、そそくさとその場を離れた。
◆
多分2時間くらい歩いたため、疲れた俺は近くのベンチに座った。
よくよく考えたら、地球の服装だと結構目立つかもしれないな。何か服が欲しいな。クレアの場合は女物しかないし。
「あ、八幡。来てたんだな」
「おう、キリヤか」
ベンチでけだるく座っていた俺に話しかけてきたのは、前に友達になったキリヤだ。後ろにはいつもの3人、シズク、リア、ジークがいる。
「どうしたの?私たちに会いたかったの?寂しかったの?」
「違うぞリア。伊達に何年もボッチをやっていない。疲れたから休憩中だったんだ」
「そうか。・・・ところで、その服なんだ?面白い模様だな」
ん?なんだなんだ。今日はやけに服について何か言われるな。そして、面白いとは一体どこの部位を指しているのだろうか・・・。こちらからしたら、その制服の方が面白いぞ。
「学校で運動をするときに着るジャージっていうものだ。後何が面白いのか分からない」
俺がそう言った途端、4人がそれぞれ俺の前後左右を囲む形で、ジャージを触るなり、引っ張るなり、やりたい放題だった。・・うん、いや、分かるよその気持ち。未知のものは触れたいっていうその好奇心。
「ああもう!離れろ離れろ!」
「おおっと。ほんと面白いな。それ、結構目立つんじゃねぇか?」
「だから、疲れてここで休んでたんだ」
「服は買わなかったの?」
「一応金は持ってるが、買おうとは考えてなかったな。シズク、いい加減に引っ張るのはやめて」
「ええー、もう少し」
結局後の5分間も触り引っ張りが続いた。他の奴らはすぐ離してくれたが、唯一シズクだけが興味津々に続けた。
「折角だからこれを機会に何か買うってのはどうだ?」
「私、いい店知ってるよ!」
「・・・・ま、見るだけ見ておくか」
◆
というわけで、日本で言うショッピングモールのような建物にやってきました。イオンより広くて大きい。
そこでシズクやリアがよく行くという服屋に来た。やっぱり派手な物が多い。
「これなんかどうかな?」
リアが取り出してきたのは、ピカソみたいないろんな色が混ざっている、実に派手な服だった。それ、服というよりは、衣装だ。
「やだ」
当然俺は却下した。続いてシズクが持ってくる。
「これは?」
シズクが持ってきたのは、紫一色のよく見かけるローブだ。闇系統だから似合いそうな気もするが、何故かピンとこない。
う~ん、選んでくれている2人には悪いが、どれもこれがいいというものが見つからない。
「じゃあ、次行ってみようか」
シズクの案内で、また一味違った服屋を紹介された。ここにはシンプルに一色か二色しか施されていないローブや服がある。そのため値段もさっきの店よりも安い。おまけに変に飾りをつけていないため、俺好みのやつも見つかるかもしれない。
「ありがとなシズク。ここならいいのが見つかりそうだ」
「それは良かったよ。じゃ、探そうか」
「んじゃ、俺とジークも何か見ようか」
キリヤとジークも参加し、俺の試着会という名の遊びが始まってしまった。
「これ着てみろよ」
「あ、次はこれ」
「この緑色いいんじゃない!」
「」スッ
「お前らいっぺんに押し付けるな。着るから少し待て」
キリヤからは、赤色の男物の騎士の普段着とか言われている服、シズクからは青色の襟がデカいローブ、リアからは紫と緑が波を描いている日本で言うTシャツのようなもの、ジークからは黄色のローブ。何で自分の色が入った服を俺に着せてんだよ・・・。
「やっぱ、これじゃないなぁ・・・」
「八幡、意外と我儘だよ!」
「悪かったな、我儘で・・・。ん?シズク、それちょっといいか」
「え?」
シズクが俺に文句を言いながら、取り出した服に、俺は目を奪われた。
シズクの手に持っていたのは、漆塗りの真っ黒い外套。袖がやや開けており、襟の長さは耳たぶの位置まで長く、何の飾りもポケットもない、真っ黒な外套。
「それだ!これがいい!」
何故か知らないがこの黒い外套に心を奪われ、それを手に取った。
「そ、そう!よかったわね八幡!」
「ああ、これにする。ありがとなシズク」
店主に会計してもらい、早速外套を着てみた。
「おお・・・」
思わず声が漏れる。腕を動かし、体のあちこちに目を向ける。・・・すげぇカッコいい。
「へえ、似合うじゃねぇか」
「カッコいいよ!」
「いい・・・・・」
な、なんか照れ臭いな、と頭をガシガシ掻いている一方、リアはなんか納得のいっていない様子だ。
「こっちの方がいいのに・・・」
リアの手には先程薦められた紫と緑Tシャツだ。・・・・・それは、またの機会でという事で、リアには諦めてもらった。
キリヤ達と別れ、クレアの家に帰ってきた。開いてるゲートに入り、地球の異空間住宅に戻ると、既にクレアが帰ってきていた。そして、俺の容姿を見るな否や目を見開き、こちらに近づいてきた。
「おおー!いつの間に買ったの!へぇ、カッコいい!」
「あ、ああ。学校のジャージじゃ不自然だし、買ったんだ」
「そっか。私女物しか持ってなかったからね。・・・でもこれ、サイズ大きくない?」
確かに今の俺の身長じゃ、結構デカい。袖だって手の半分は入っちゃってるし、この外套自体が地面につきそうだ。
「その分長く着れるからいいじゃないか」
俺はあえて、このデカいサイズを選んだのだ。長く着たいと思ったからね。
さて、久しぶりに魔法の練習だ。取り敢えず、シャドーボールを3つとも操れるようにはならなきゃな。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
はっきり言います。ネタが尽きたため、10話から一気に時間が過ぎています。
また次回。