人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

重要な話があるので、後書きを読んでください。

それではご覧ください。




9話:黒の外套

早速常に開いている状態のゲートを活用させてもらい、地球から足を離した。今は少し歩いてウェルサクス周辺の店をうろついている。・・お、この服カッコいいな。

 

少し大きめの服屋を覗いていると、そこにいる女店主の人に話しかけられた。

 

「あら?ちょっとそこのお兄さん」

 

「ん?俺ですか?」

 

「そうそう。その服、見慣れないわね。どこで買ったのかしら。興味深いわ」

 

現在の俺の服装は、極普通の学校の青いジャージだ。・・・見慣れない服という事は、ここにはジャージというものが存在しないんだな。

 

「ああ、これはちきゅ・・・。自分で作ったオリジナルなんですよ」

 

あ、危なかった。危うくとんでもない暴露をしてしまいそうになった。最近気が緩んでいるから、口にも影響をしてしまっている。

 

「凄いわね。この年でそんな面白い服を作れるなんて。・・・うちで働かない?」

 

「あはは、か、考えときますね」

 

女店主に手を振りながら、そそくさとその場を離れた。

 

 

多分2時間くらい歩いたため、疲れた俺は近くのベンチに座った。

 

よくよく考えたら、地球の服装だと結構目立つかもしれないな。何か服が欲しいな。クレアの場合は女物しかないし。

 

「あ、八幡。来てたんだな」

 

「おう、キリヤか」

 

ベンチでけだるく座っていた俺に話しかけてきたのは、前に友達になったキリヤだ。後ろにはいつもの3人、シズク、リア、ジークがいる。

 

「どうしたの?私たちに会いたかったの?寂しかったの?」

 

「違うぞリア。伊達に何年もボッチをやっていない。疲れたから休憩中だったんだ」

 

「そうか。・・・ところで、その服なんだ?面白い模様だな」

 

ん?なんだなんだ。今日はやけに服について何か言われるな。そして、面白いとは一体どこの部位を指しているのだろうか・・・。こちらからしたら、その制服の方が面白いぞ。

 

「学校で運動をするときに着るジャージっていうものだ。後何が面白いのか分からない」

 

俺がそう言った途端、4人がそれぞれ俺の前後左右を囲む形で、ジャージを触るなり、引っ張るなり、やりたい放題だった。・・うん、いや、分かるよその気持ち。未知のものは触れたいっていうその好奇心。

 

「ああもう!離れろ離れろ!」

 

「おおっと。ほんと面白いな。それ、結構目立つんじゃねぇか?」

 

「だから、疲れてここで休んでたんだ」

 

「服は買わなかったの?」

 

「一応金は持ってるが、買おうとは考えてなかったな。シズク、いい加減に引っ張るのはやめて」

 

「ええー、もう少し」

 

結局後の5分間も触り引っ張りが続いた。他の奴らはすぐ離してくれたが、唯一シズクだけが興味津々に続けた。

 

「折角だからこれを機会に何か買うってのはどうだ?」

 

「私、いい店知ってるよ!」

 

「・・・・ま、見るだけ見ておくか」

 

 

というわけで、日本で言うショッピングモールのような建物にやってきました。イオンより広くて大きい。

 

そこでシズクやリアがよく行くという服屋に来た。やっぱり派手な物が多い。

 

「これなんかどうかな?」

 

リアが取り出してきたのは、ピカソみたいないろんな色が混ざっている、実に派手な服だった。それ、服というよりは、衣装だ。

 

「やだ」

 

当然俺は却下した。続いてシズクが持ってくる。

 

「これは?」

 

シズクが持ってきたのは、紫一色のよく見かけるローブだ。闇系統だから似合いそうな気もするが、何故かピンとこない。

 

う~ん、選んでくれている2人には悪いが、どれもこれがいいというものが見つからない。

 

「じゃあ、次行ってみようか」

 

シズクの案内で、また一味違った服屋を紹介された。ここにはシンプルに一色か二色しか施されていないローブや服がある。そのため値段もさっきの店よりも安い。おまけに変に飾りをつけていないため、俺好みのやつも見つかるかもしれない。

 

「ありがとなシズク。ここならいいのが見つかりそうだ」

 

「それは良かったよ。じゃ、探そうか」

 

「んじゃ、俺とジークも何か見ようか」

 

キリヤとジークも参加し、俺の試着会という名の遊びが始まってしまった。

 

「これ着てみろよ」

 

「あ、次はこれ」

 

「この緑色いいんじゃない!」

 

「」スッ

 

「お前らいっぺんに押し付けるな。着るから少し待て」

 

キリヤからは、赤色の男物の騎士の普段着とか言われている服、シズクからは青色の襟がデカいローブ、リアからは紫と緑が波を描いている日本で言うTシャツのようなもの、ジークからは黄色のローブ。何で自分の色が入った服を俺に着せてんだよ・・・。

 

「やっぱ、これじゃないなぁ・・・」

 

「八幡、意外と我儘だよ!」

 

「悪かったな、我儘で・・・。ん?シズク、それちょっといいか」

 

「え?」

 

シズクが俺に文句を言いながら、取り出した服に、俺は目を奪われた。

 

シズクの手に持っていたのは、漆塗りの真っ黒い外套。袖がやや開けており、襟の長さは耳たぶの位置まで長く、何の飾りもポケットもない、真っ黒な外套。

 

「それだ!これがいい!」

 

何故か知らないがこの黒い外套に心を奪われ、それを手に取った。

 

「そ、そう!よかったわね八幡!」

 

「ああ、これにする。ありがとなシズク」

 

店主に会計してもらい、早速外套を着てみた。

 

「おお・・・」

 

思わず声が漏れる。腕を動かし、体のあちこちに目を向ける。・・・すげぇカッコいい。

 

「へえ、似合うじゃねぇか」

 

「カッコいいよ!」

 

「いい・・・・・」

 

な、なんか照れ臭いな、と頭をガシガシ掻いている一方、リアはなんか納得のいっていない様子だ。

 

「こっちの方がいいのに・・・」

 

リアの手には先程薦められた紫と緑Tシャツだ。・・・・・それは、またの機会でという事で、リアには諦めてもらった。

 

 

 

 

 

キリヤ達と別れ、クレアの家に帰ってきた。開いてるゲートに入り、地球の異空間住宅に戻ると、既にクレアが帰ってきていた。そして、俺の容姿を見るな否や目を見開き、こちらに近づいてきた。

 

「おおー!いつの間に買ったの!へぇ、カッコいい!」

 

「あ、ああ。学校のジャージじゃ不自然だし、買ったんだ」

 

「そっか。私女物しか持ってなかったからね。・・・でもこれ、サイズ大きくない?」

 

確かに今の俺の身長じゃ、結構デカい。袖だって手の半分は入っちゃってるし、この外套自体が地面につきそうだ。

 

「その分長く着れるからいいじゃないか」

 

俺はあえて、このデカいサイズを選んだのだ。長く着たいと思ったからね。

 

 

さて、久しぶりに魔法の練習だ。取り敢えず、シャドーボールを3つとも操れるようにはならなきゃな。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

はっきり言います。ネタが尽きたため、10話から一気に時間が過ぎています。

また次回。

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