混迷を呼ぶ者   作:飯妃旅立

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注意。
※グロテスクな表現あり
※独自解釈、独自設定、捏造設定あり
※前半長ったらしく考察してるけど、よって、とかこれにより、ってとこだけ見れば大体わかる

※あくまで独自解釈です!!


味方は居ない。だって俺達は1つだ。

 くちゃ……クチャ……。

 

 

 アラガミ、ひいてはオラクル細胞というのは、『考えて、喰らう細胞』である。これは何度も言っている事だ。そしてそのオラクル細胞は、喰らった物を我が物にする性質があることも、わかりきっていることだろう。

 

 ここで2つ、ゲーム内の『設定』の話をしよう。

 この世界の法則(ルール)の話を。

 

 まず1つ目。アラガミを地球上から完全に滅すことが事実上不可能だ、という話。

 

 データベース等々を見てもらえば書いてあると思うのだが、一応説明をする。

アラガミはゴッドイーターにその身のコアを捕食されると、グズグズと塵のようになり地面に溶けていく。あれはアラガミの身体を構成しているオラクル細胞が雲散しているからだ。その雲散したオラクル細胞は、世界を流転し再度アラガミとして再構成される。

 ゴッドイーターの武器、神機で出来ることはオラクル細胞の結合を切断したり破壊したりすることだけで、オラクル細胞そのものを滅せるわけではない。

 

 これにより、アラガミを地球上から完全に滅すことが不可能だと言われている。

 

 一応『事実上』であり、完全に滅すだけなら手段がしっかり存在している。

 それは終末捕食である。ただし、これを行った場合人類もろとも飲み込まれるので見ないふりをしているだけだ。ヨハネス・シックザールは行おうとしていたが。

 

 

 

 次に2つ目。名付きのアラガミがどのようにして種として根付くか、である。

 1つ目の話を前提として考えてほしい。

 

 わかりやすい説明はルフス・カリギュラのデータベースの説明文だろう。

 グラスゴー支部に現れた個体が極東支部で倒され、雲散したオラクル細胞がその地に根付き、種となった。そう書かれている。

 

 これは他のアラガミにも言える事なのだろう。

 

 例えばクアドリガ。様々な兵器をその身に仕込んだアラガミだが、全く同じ兵器を喰らって全く同じオラクル細胞の変化を遂げ、それが種として根付いているというのは考えにくい。

最初の一匹が兵器を食い漁り、それが倒されてオラクル細胞が雲散、種として根付いた。

 こちらの方が説明としてはしっくりくるだろう。

 つまり、アラガミが種としてソレを確立するためのプロセスは、オラクル細胞が対象物を喰らい、それが倒されてから増える、というものなのだ。

 

 逆に言えば、倒されるまではその一匹しかいないということ。

 

 

 最後に、俺の考察の話だ。最後は、アラガミの『進化』について、である。

 

 ゲーム中、ペイラー・サカキがアラガミに対して進化という言葉を使っている事に酷く違和感を覚えていた。

 進化というのは、生物が、単純微小な原始生命から、『段階的に』、複雑多様なものへと変化して来たこと。である。

 単純微小な原始生命はオラクル細胞でいいだろう。複雑多様なアラガミがいることもいいだろう。

 

 だが、『段階的に』だけは違う。

 

 アラガミは『段階的に』変化したわけではない。

 先のクアドリガもそうだが、オラクル細胞が対象を喰らい、それを我が物にして新しい姿になったのだ。どこも段階的ではない。

 強いて言うならば、偏食傾向を強めていく事自体は段階的なのかもしれないが、1から2までの間を飛躍しすぎなのだ。

 

 よって、これは進化ではなく、変化もしくは適応だと俺は考える。

 

 

 

 さて、長々しく語った以上の点を踏まえて眼下の光景を見てみよう。

 

 天蓋は暗く、青と紫の中間のような時間。

 そこで、べちゃべちゃ、クチャクチャと水音が響いている。

 

 場所はネモス・ディアナの前身、外部居住区ですらない集落。その共同墓地。

 夜に輝く十字架は倒れ、夜よりも黒い棺が掘り起こされている。

 その蓋はずれ、中身は無い。

 

 そんな状態の棺がいくつも散乱している中、そこだけ。

 ある一点だけ、黒ではない色に染まる部分があった。

 

 赤。朱でもない、緋でもない。紅でもない。そんな綺麗な色じゃない。

 ただ赤く、夜だというのに鮮明に、しかし黒んだ赤。

 時間が立ち、酸化したソレの名は血液。墓地故に死体の血液だ。

 

 その赤い水たまりの中心に、白い人影がある。

 

 襤褸切れと化したフェンリルの旗を身に纏う、真っ白な童女。

 

 髪は終末捕食の触手のような形をしていて、爛と輝く瞳が妖しく光る。

 口元、さらに腹の部分は水たまりと同じく赤。

 周囲に肉が散乱しているということはない。残さずに食べたのだろう。

 

 俺はその子の、未来の名を知っていた。

 

 シオ。

 ソーマ・シックザールが名づけた、子犬という意味の名を持つ少女。

 アラガミの少女だ。

 

 ペイラー・サカキは彼女を、人間と同じ進化を辿った、進化の袋小路に入ったアラガミだと称した。

 

 ――果たして本当にそうだろうか。

 

 

 先程の最後の話を思い出してほしい。

 アラガミが辿るのは、進化ではなく変化。

 シオの元となったオラクル細胞は、何を最初に食べたのか、ということ。

 

 そりゃあ、ニンゲンだろう。

 

 人間を喰らい、人間を模し、人間を補充する。

 

 それが個体名『シオ』というアラガミ。

 

 最初の一体であるが故に、種ではない。

 倒されていないが故に、増えていない。

 

 ただ、『シオ』は地球の用意した特異点という性質があった。

 同じく特異点になり得た芦原ユノやジュリウス・ヴィスコンティを思い出してほしい。その身が持つ力は特異ではなかっただろうか。

 芦原ユノ、ジュリウス・ヴィスコンティは感応種のような統制力があった。その力は歌や、血の力として現れた。

 『シオ』も例にもれず、特異なのだ。

 

 その特異さは、変化の速さという部分。

 

 人間の最たる部分とはなんだろう。

 腕を使える事? 考える事が出来る事? 繁栄力の高さ?

 どれも正解だ。そして、そのどれもを含む事柄だ。

 

 それは、『欲』。

 より良い物を、より高尚なモノを。そう求める欲こそが人間の性質。

 

 『シオ』はそれを我が物とした。

 

 作中で主人公たちと会った時は、それが既に現れていたのだろう

 

 より高尚なモノを、自分より強いモノを。

 故にそれしか食べなかった。それが彼女の偏食傾向だった。

 

 今眼下で行われている『食事』は、ただの空腹故か、未だ偏食傾向が定まっていないのか。

 

「キィ……」

 

 顔を覗き込むために体を揺らしたことで、音が漏れる。

 

 ゆっくりと。ゆったりとこちらを振り向く『シオ』。

 こちらを視認すると、その大きな目を真ん丸に見開き、真赤に濡れた口元が三日月になり――。

 

 

 

 

 こちらへ向けて大きく手を振った。

 

 

 

 

 

「キィ……」

 

「おー! おー!」

 

 

 ……半アラガミ化した雨宮リンドウにも出会えていないから、言葉を知らないのか。

 そういえばまだ蒼穹の月は見てなかった。

 

 

「キィ……」

 

「おー! うおー! おーう!」

 

「キィ……」

 

「おおー! おーおー!」

 

 

 周囲はとても凄惨な光景だというのに、この2匹……1人と1匹と言うべきだろうか? その間に流れる空気はとてもほんわかとしたものだった。

 




だって、スターゲイザーさんの言い分ならシオがもう1人2人現れてもおかしくないじゃん!

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