混迷を呼ぶ者   作:飯妃旅立

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2連続で主人公がデナーイデース


飛んで、跳んで、翔んで

『以上が、私達が潜入して調べ上げた事よ……。アーク計画に乗るかどうかはあなたたちの好きにして頂戴。 

 それと……隊長、ソーマ、疑ったりしてごめんなさいね』

 

 

 

 ブチン、と一方的に通信が切れた。

 

 

 重い空気。

 

 

 いきなり神薙ユウに集まってほしいと言われて彼の部屋に来たソーマとコウタ。説明もないままターミナルに何か細工をしたと思えば、そこに映ったのは現在逃亡中であるはずの橘サクヤとアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。

 

 2人が逃亡した理由は頭の追いつかない物ばかりで。

 

 同じ部隊だというのに相談もしてくれなかった理由は随分と信用のない事で。

 

 ソーマはサクヤの謝罪を受けても動じず、いつものことだと流し。

 コウタは頭を抱え顔を隠し、それでもアーク計画に乗る事を宣言した。

 

「それで……まだあるんだろ……お前がこれだけの事(・・・・・・)で俺達を呼ぶはずがないからな……」

 

「これだけの事って……俺十二分に驚いてるんだけど……」

 

 ソーマはどこか信頼のある声色でユウに問うた。コウタは呆れを滲ませて肩をすくめる。最も、その声は震えており、先程までの話を飲み込み切れていない事が伺えた。

 

「ふふふ、流石ソーマだね。

 ……よし、準備できましたよ、博士」

 

 

 ぶつん、という音がして、ターミナルに何かが映る。

 何故だか下から見上げる形(・・・・・・・・・・・・)のサクヤとアリサの姿だった。

 

 

「あー、あー、サクヤさん達、聞こえる?」

 

『へっ!? ど、どうして!? 通信は切ったはずなのに……!』

 

『あの……私の腕輪からも聞こえているんですけど……』

 

「うん、感度は良好みたいだね」

 

 

 完全に不意打ち、と言った様子の2人。それを意にも介さず、にこやかにユウは作業を進めていく。

 

『うむ。簡易的とはいえ『携帯偏食因子投与装置』もしっかり動いているようだね。やはりリッカ君はいい仕事をする』

 

『ま、まさか腕輪に細工を……!?』

 

 

「サクヤさんとアリサが逃亡していた期間は4日。その間、どうして偏食因子が切れないと思ったのか、僕だったら不思議に思うよ」

 

 

 原案、神薙ユウ。理論構築、ペイラー・榊。制作、楠リッカ。以上三名により秘密裏に造られた、正式名称『長期任務用簡易型偏食因子投与装置』。ゴッドイーター達が身に着け、生涯外すことのできない腕輪に取り付けるこの装置の役割は、本来の腕輪の機能である『P53偏食因子投与』の手助けだ。

 ゴッドイーター達は、定期的に『偏食因子』を投与しなければ自身の神機に捕食されてしまうというリスクを全員が背負っている。『P53偏食因子』は生体用に調整された偏食因子で、神機が『食べたくない物だ』と認識させるために投与しているものなのだ。

 

 ただし、腕輪に保有できる『P53偏食因子』の量には限りがある。

 故にゴッドイーター達は己が所属する支部に必ず帰還し、偏食因子の供給を受ける必要があるのだ。

 

 今回ユウ達が開発したものは、謂わば外付けタンクの様な物。様々な機能を持つ『腕輪』の外縁部に、『P53偏食因子』のみをため込んだ保存用タンクを取り付けたのである。

 あと3年もすれば大掛かりな装置として『サバイバルミッション』となるであろう機能を先取りした形になった事は誰も知らないことだ。

 

 その上でユウとペイラー・榊は自分たちだけが周波数を拾うことのできる発信機を2人の腕輪に取り付けていた。

 

 ――2人が逃亡する事を見越していたのだ。

 

 

「ねぇソーマ……この2人、いや3人か……ちょっと怖いんだけど……」

 

「……俺に言うな……」

 

 

 アラガミよりも怖い。そう思うコウタであった。

 

 

『さて、本題に入ろうか。ユウ君』

 

「はい。じゃ、みんなこれを見てね」

 

 

 何やらターミナルを操作したかと思うと、映し出されたのはどこかの構造図。

 孤島、地下通路、海、陸地。

 左の島の上にはAegis、陸地の建物の上にはAnagraと書かれている。

 

 

『これは……まさか、エイジス島への?』

 

『もう一つの……通路!』

 

 

「そう、エイジス島への侵入経路だよ。もっとも昇降機を使うのに解除キーが必要だけどね」

 

 

 地下通路のある一点をタップするユウ。そこが拡大され、赤いバツ印が浮かんだ。

 

 

「無理矢理神機で解除してもいいんだけど……まぁキーを持っている人がいるならそっちに頼むべきだよね」

 

 それは解除ではなく破壊ではないのか……? 初めてソーマとコウタ、サクヤとアリサの心中が重なった瞬間だった。

 

『それで私を呼び寄せたわけか……。なにやらこそこそ動いているとは思っていたが、とんだ規格外だなお前は……』

 

「『ツバキさん!?』」

 

 

 サクヤ、アリサ、コウタの声が重なる。ターミナルの画面に新しく映し出されたウィンドウに、雨宮ツバキが映っていた。ついでにサカキのウィンドウも映し出される。サカキの後ろで「私もいるよー」と手を振っているリッカがかわいい。

 

「支部長室はどうでしたか?」

 

『……私が支部長室へ向かったことまで御見通し、と……。

 あぁ、シックザール支部長は居なかった。もぬけの殻、という奴だな』

 

 ソーマとコウタの目が見開かれる。それはつまり、既に決行の準備に入っているということではないか?

 

『ゴッドイーター諸君の切符は無いと言いたいのか……はたまた何かに焦っているのか。ヨハンの性格からして前者はないと思うけどね? 侵入を試みたアリサ君やサクヤ君はともかく、だが』

 

「俺……母さんと妹のチケット貰ってないよ……? 見捨てられたってのか……?」

 

 

 ダン! と机を叩き、頭を抱えるコウタ。母と妹を、何をしてでも守る。そう決めたのに、選択肢すら与えられないとは思っていなかったのだ。

 

 

「ふん……俺はもともと半分化け物だからな……乗る椅子はハナからない……」

 

『……ツバキさんは、いいんですか?』

 

『弟がこの地に眠っているのだ……。それを捨て置く姉はいないさ』

 

『ツバキさん……』

 

 

 各々が自身の境遇を嘆き、蔑み、嘲る中。

 やはり3人だけが、きょとんとした顔で彼らを見守っていた。

 

 

 

『随分敗戦ムードだねぇ、ユウ君。この私が策を用意していないとでも思っているのだろうか』

 

『策を考えたのはユウ君だよ。すぐ自分の手柄にしようとするのはダメですよ、博士』

 

『い、いやそんなつもりは無かったんだリッカ君!』

 

 

 随分と明るい雰囲気に顔を上げる各々。最も、ツバキだけは悪ノリをしていたような顔なのが気になったが。

 

「ツバキさんって意外とお茶目ですね」

 

『ふ、偶には息を抜く必要もあるということだ』

 

 軽い雰囲気の人が増えた。

 

 

「ツバキさんを呼んだ理由、もう忘れちゃったの? 解除キーを貰うためだってば」

 

 

 あ、と顔をあげるコウタ。そう、そもそも神薙ユウは『アーク計画』を止める手立てを彼らに話していたのだ。エイジスへの侵入経路を見せて。

 だから、『アーク計画』が決行されてしまおうが関係ないのである。

 

「それでツバキさん、解除キーは頂けるんですよね?」

 

『NOだ。

 ……と言いたいところだが、シックザール支部長が居ない今、最高権力者はサカキ博士だ。私はサカキ博士に従うさ』

 

「博士」

 

『うむ。ツバキ君、解除キーを彼らに』

 

『承知しました。

 アルファ1、腕輪に解除キーを送った。大事に使えよ?』

 

「ありがとうございます、ツバキさん」

 

 

 とんとん拍子で事が進んでいく。ほぼ茶番である。

 

 

『あぁ、それと……例の黒い羽根の件なんだが……』

 

 珍しく言い淀むサカキ。

 コイツが撃った場所に落ちていた奴か……とソーマは記憶を掘り返した。

 

「僕が言いますよ。

 サクヤさん、ツバキさん。今はまだ祝報だとは言えません。

 でも、伝えておきます」

 

 

 先程までの茶番のにこやかさとは打って変わって、冷静で真剣な声で。

 

「――リンドウさんは、生きています。アラガミとなってもなお、意識を残して」

 

 ある事実を告げた。

 




一応無印とバーストってことを加味してくだされ!

サバイバルミッソン出てきたの2からよなぁ?
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