混迷を呼ぶ者   作:飯妃旅立

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ごめんなさい! 1話に収まらなかったので最終話だけ分割!


世に混迷を齎す者達

「トウッ!」

 

 ヨハネスの入った――同化したアルダノーヴァの女神が地を這い、光弾をばら撒く。触れたり一定時間が経つと光柱となるソレだが、全く意に介さずに突進する物がいる。雨宮リンドウが化した、ハンニバル侵食種だ。弾ける光が足に当たりつつも、ダメージを受けている様子はなく、右手から生み出した炎剣をアルダノーヴァの女神に叩きつける。

 アルダノーヴァは男神を動かすことでソレを受け止め、同時に光弾を吐き出してハンニバル侵食種の頭を砕きにかかる。

 

「リンドウッ! 援護するわ!」

 

 

 サクヤの狙撃弾がアルダノーヴァ・女神の頭にヒットする。黄色い波紋はクリティカルだ。だが。

 

「ジャマヲオオオオオオ! スルナアァァアアアアア!」

 

 

 それを煩わしく思ったのか、ハンニバル侵食種は手を地面にたたきつける。地面に現れる薄暗くも揺らめく円。それが、すぃと滑らかに動き、サクヤの元へと向かう。影炎だ。

 対処法としては、動き続け、円が止まった所で範囲外に出ればいい。それだけだが、スナイパーでスタミナの少ないサクヤには走り続けるというのは中々に困難だった。

 

 一瞬で、追いつかれる。

 

「キャッ……!?」

 

「サクヤさん、使ってください!」

 

 アルダノーヴァの男神を捕食したアリサからの受け渡し弾。それによってサクヤはバーストし、回復量の上がったスタミナを以てギリギリで円から離脱する。

 

 立ち上る炎柱。その威力は、決して仲間に向ける物ではない。

 

「うおおお!」

 

 ハンニバル侵食種の影炎の硬直の隙を狙ってソーマが篭手にチャージクラッシュを叩きつける。こちらも手加減はせず、最初から全力だ。

 

「圧倒的な力!」

 

 上昇するアルダノーヴァ。ゴッドイーター及びハンニバル侵食種の視界がグラりと揺れ、アルダノーヴァ・女神を光の柱が包んだ。

 ハンニバル侵食種はそれを見てもなお攻撃を止めず、さらなる炎剣を取り出して跳躍、炎による推進力を以てアルダノーヴァにソレを叩きつけた。

 

 

 スーパーノヴァと空中槍突進のぶつかり合いは、多大なる余波を生んだ。

 

 

 それは地上にいるゴッドイーターたちにも届き、装甲の無いサクヤは後方へと吹っ飛ばされる。

 

「雨宮少尉! 愛する者を傷つけてまで私を殺したいか!」

 

「クラッテヤルヨオオオオオ! オマエモ、ノヴァモオオオオ!」

 

「既に言葉など解さぬというわけか……ならば全力で応じるのみだ!」

 

 攻撃は苛烈さを増す。一合一合のぶつかりあいが轟音を生み、しかしその隙間を縫うように行われる第一部隊――主にソーマ――の攻撃が、戦況を変えていく。

 

「ソーマ! 父に刃を向けるか!」

 

「ハナからクソ親父に捧げる剣なんて持ってねぇんだよ……俺は半分化け物だからな……ッ!」

 

 ソーマは、隙を見てはハンニバル侵食種に攻撃をするものの、頻度としてはアルダノーヴァへの攻撃の方が高い。アルダノーヴァが……ヨハネス・フォン・シックザールが父親であるからだろう。その始末を、自分でつける為に。

 

 攻撃力はソーマへと任せ、アリサは積極的に捕食を行う。すぐにソレをソーマやサクヤへと受け渡し、更に腕輪を確認して2人のバイタル情報を見続ける。減ったら回復、余裕があれば攻撃と言った感じだ。

 

 サクヤはスナイパーでもって的確に弱点部位を撃ち貫く。ただし、その狙いはアルダノーヴァのみ。無意識なのか意識的なのか、ハンニバル侵食種を――雨宮リンドウを攻撃する事を避けてしまっていた。

 

「圧倒的な力!」

 

「ウゥゥォオオオオオオオオアアアアアアア!」

 

 

 光と炎、斬撃と銃撃。

 1歩間違えば即、死である。

 エイジス島の反面で、神を操る愚者と神と成った人、神を喰らう者の戦いが続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 居住区・外壁。

 

 防衛班である第2部隊、第3部隊、そして第4部隊という名の名前すらあがらない神機使いや退役した者までもがそこに集結していた。その中には勿論、コウタもいる。

 

 

『1分後にアバドンの群れが到達します! 皆さん、一匹も通さないでください!』

 

 

 竹田ヒバリの声が響く。同時、遠くの地平線に、無数の黒点が見えてきた。

 

「了―解っとぉ。ヒバリちゃん、無事に終わったらお茶でも……」

 

 大森タツミが軽薄に、しかしどこか安心させるような声で軽口を叩く。

 

「タツミ。今は戦場だ。終わってからにしろ」

 

 憮然とした声でタツミを窘めるのはブレンダン・バーデルだ。

 

「あわわわわ、す、すごい数が来てますよー……でもこれなら誤射する心配もないかも」

 

 大口径のブラストを構え、既にオラクルリザーブをしている、口調とは裏腹にやる気満々な女性は台場カノンだ。別名固定砲台。

 

「うっひょー! レア素材が群れを為して向かってきてるぜー! なぁ、あれ全部俺達の物でいいんだよな!」

 

 子供のようにはしゃぎ、子供の様な身長の子供は小川シュンだ。

 

「当たり前だろう。そうじゃなかったら割に合わん。だが……これだけの数、どれほどの金になるやら……今から数えるのが楽しみだ」

 

 ニヤリと笑い、倒してもいない現状から金を数えるのを心待ちにしているのはカレル・シュナイダー。取らぬ狸のなんとやらである。

 

 

「あぁ……はぁっ、あぁあ……イイ、イイわぁ……。撃ち放題、ねぇ、もう撃っていいかしら……? 強いコじゃないのが残念だけれど、質よりも量という考え方も嫌いではないわ……早くしないともう撃つわよ」

 

 

 蕩けるような表情と、どこか上気させる頬を上にあげて微笑む女性。嘆きの平原……もとい、ジーナ・ディキンソンだ。言葉尻になるにつれて凄味を増した声になっていく。

 

 

『皆さん……本当に頼もしいですね……。

 今、リッカちゃんとサカキ博士が『メテオ』と呼ばれるバレットを製作中です。それを輸送機から投下するまでにあと10分必要です。それまで、なんとか持ちこたえてください!』

 

「……第一部隊として……藤木コウタとして、必ず守り抜いて見せるッ!」

 

 

 コウタはツバキより譲り受けた神機を強く握りしめる。

 自身の死は、自身だけでなく家族にまで影響を及ぼす。

 

 絶対に死ねない。

 

 思い入れは違えど、神機使いは覚悟を決めた。

 

『来ました! 射程圏内です!』

 

 タァン! と、ヒバリの声とどちらが早いかという速度でジーナのスナイパーから狙撃弾が放たれる。

 一撃で沈む(・・・・・)アバドン。

 

「あら……? ひどく、脆いのね……?」

 

 

 狙撃弾でなくとも、カレルのアサルト、カノンのブラストから放たれる一番弱い単一モジュール弾ですら簡単にアバドンを撃ち落としていく。また、接敵したタツミたち近接組の、その一振りで一瞬で屠れるほどに、脆く弱い。

 

 

 なんだ、ここまで準備してその程度か。防衛班の誰もがそう思う中、ただ2人。

 竹田ヒバリと、藤木コウタだけがソレに気付いていた。

 

 

「み、みんな! 上、上! クッ、喰らええええ!」

 

『皆さん、上空、通過されます! 射撃をお願いします!』

 

 

 普段、地上付近を、高くても2mほどをふよふよと浮いているアバドンだから、気付けなかった。

 空を覆い尽くす、その大群に。

 

「なっ……カノンちゃん! 撃ってくれ!」

 

「カレル、ジーナ! 遠距離型頼む! 地上のは全部俺達が引き受ける!」

 

 

 一匹一匹は確かに弱いが、数が異常だ。レーザーを撃っても、すぐにその穴を修復するように他のアバドンが入り込む。弾丸も同じだ。爆破や放射の届かないその高さを捌き切るには、人手が足りない。

 

 人手が足りないのは空中だけではない。遠距離型が全員空中の対処に当たったことにより、地上を走るアバドンの数がそのまま倍になる。

振り払い、薙ぎ、切裂き、しかし間に合わない。捕食する暇は無く、ただ無心にそれを捌き続ける必要がある。

 

『『メテオ』投下まであと7分! ですが……あぁっ、アラガミ装甲を……えっ!?』

 

 

 アラガミ装甲の上空を一匹、アバドンが通り抜ける。弱いとはいえアラガミだ、最悪の事態を予想した面々だったが、それは裏切られた。

 

『す、素通り……? 向かう先は……エイジス島!?』

 

 最初からアバドン達はある一点――エイジス島を目指していたのだ。

 

 

 

「何が起きてるのかわかんないけど、みんな! アラガミ装甲より上のアバドンは無視して地上を片付けるぞ! 俺達遠距離型はアラガミ装甲以下を飛ぶアバドンと遠方の奴らの処理! タツミさん達近接型は漏れた奴をお願いします! ヒバリちゃんは逐一情報をお願い! あと、外部居住区の人たちがパニックになってるだろうから伝達も!」

 

 次々と的確な指示をコウタが出す。その姿はとても新兵には見えず、ともすれば一部隊を預かる隊長の様だった。

 

 その指示を聞き、各々の仕事を始める神機使い達。

 カノン、カレル、ジーナ、そしてコウタ達はOアンプルを惜しげもなく使って只管に撃つ。HPを気にしなくていいので強制解放剤も併用している。

 

 タツミ、ブレンダン、シュンや他、神機使い達は漏れ出たアバドン――ショートは中段を、バスターとロングは地上のアバドンを屠っていく。誰かが斬り漏らしたものをまた別の誰かが斬り伏せ、かつてない程の連携を見せながら駆逐していく。

 上空を行くアバドンが気にならないと言えば嘘になるが、今は、今だけはこちらに集中する。

 

『残り3分です! 皆さん、あと少しですよ!』

 

 残り3分。ミッションにしても、一瞬で過ぎ去るその時間は、まるで永遠の様な密度だ。

 神機を握る腕は痺れ、しかし強い意思を以て握りしめる。

 

 普段なら使うことのない、Oアンプル、Oアンプル改、エリキシル錠を飲み続ける。

 リザーブタンクはすぐに空となり、範囲を求める放射弾が文字通り火を噴く。

 

 

 目は限界まで開かれ、決して逃すまいと瞳孔は開きっぱなしだ。

 

 

 

 

『『メテオ』、投下されます! 皆さん、下がって!』

 

 

 

 

 ヒバリの声と共に上空でアバドンの余波を受けていた輸送機から超巨大な光球が放たれた。ソレは地上へ近づくほどに更に巨大なモノとなり、その様は正に堕ちる太陽だ。

 

 

 

 

 ソレは、後退した神機使い達すらをも光に巻き込み。

 

 

 

 

 ――破壊を齎した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アァ……? ナンダァ……? ナンノヒカリ……ッ!?」

 

 

 エイジス島。

 そこでは既に、1つの決着が着いていた。

 

 地に伏せるアルダノーヴァ。

 当然の結果であろう。第一部隊だけでも倒すことができるソレを、ハンニバル侵食種という大火力が削り続けたのだ。だが、ハンニバル侵食種も無傷ではなかった。

 頭が結合崩壊を起こし、篭手も崩壊寸前だ。アルダノーヴァの、ひいてはヨハネス・フォン・シックザールの意地である。

 

 かなりのダメージを負っているハンニバル侵食種は、アナグラの方から届いた強い光に気を取られてしまう。

 

 そして、そんな隙を逃すソーマではない。

 

「ゼァァアアア!」

 

 チャージクラッシュ。篭手へと叩き込まれたソレは、確実にそれを結合崩壊へと導いた。

 

 だが、それによってハンニバル侵食種は第一部隊を……ゴッドイーターを敵として認識する。

 

「っ! リンドウさん、目を覚まし……きゃぁっ!」

 

 近くにいたアリサを尻尾によって吹っ飛ばし、爪を展開してソレに突っ込む。

 

 空中で体勢を整え、アリサはバックラーを構える。直後に当たる突進。狙ってはいないが、偶然にもジャストガードとなった。

 

「ソーマ……ノヴァが完成する前に……箱舟へ乗れ……お前だけ、でも……」

 

「うるせぇ、クソ親父。黙ってそこで見ていろ。勝つのは俺達だ」

 

 

 倒れ伏す父親に向かって吐き捨てるソーマ。すぐにハンニバル侵食種を追い、ステップ攻撃を行う。ヨハネスに出来る事は、息子の無事を祈る事だけ。

 

「リンドウ……っ! リンドウ、お願い、目を覚まして!」

 

 サクヤは撃たない。撃てない。ただ叫ぶだけで、その引き金を引く事が適わない。だが、その嘆きは()としてハンニバル侵食種に届く。

 狙いがサクヤになったのだ。

 

「え……サクヤさん、逃げて!」

 

「チィッ!!」

 

 斜め後ろ上空へ跳躍。炎剣を生み出し、サクヤへと急突進する。

 走り出したソーマやアリサは間に合わない。

 

 

 覚悟の出来ていない自分は来るべきではなかったのだ。そんな当たり前で、新兵が思うような事を胸に抱きながら、その炎剣という死が自身に迫りくるのをサクヤは呆然と見ていた。

 

 

 

 

 

 ――果たして、それは空中で何かに防がれる。

 

 

 

 

 

 時が止まる。

 本当に止まったわけではなく、そのナニカから放たれた灰の波動が、その場にいる神機使いとハンニバル侵食種に語りかけているのだ。

 

 

 

 ――感応現象。

 

 

 

 

 意識と記憶の交差(・・・・・・・・)として起きるそれは、意識或る者同士でないと成立しない。

 

 

『全く、リンドウは仕方ないなぁ……僕がいないと自分を律せないなんてさ』

 

 

 

 灰の世界の中に、陽光の様な光が漏れ出る。それはハンニバル侵食種――雨宮リンドウと橘サクヤの間の中空から生じていて、同じくそこから中性的な声が聞こえている。

 

 光が収まると、そこに現れたのは少女とも少年とも取れるヒトガタ。

 

 イエスのように体を十字に広げ、その胸を炎剣で貫かれている。

 

「オマエハ……お前、は……まさか……」

 

 雨宮リンドウの声に理性が戻る。同時にその姿がブレるように明滅し、ハンニバル侵食種と雨宮リンドウの姿が交互に見え始めた。

 

 

 

『全く……神薙ユウも無茶をするというか、無理を言うというか……。でも、確かに適役は彼女だ。僕にはまだ(しっか)りと理解できているわけじゃないけれど……』

 

 

 

 ヒトガタはサクヤを見る。

 そして、にっこりとほほ笑み――――その姿を、神機へと変えた。

 ロングブレードとシールド。ブラッドサージとイヴェイダー。

 

 

『さぁ、橘サクヤ(・・・・)。リンドウの目を、覚ましてやってほしい。

 ――――ニンゲンはそれを、愛っていうんだろう?』

 

 

 サクヤは駆け出し、その神機を手に取っていた。本来の使用者でないサクヤを、しかし神機は捕食する事は無く――サクヤのスナイパーを取り込み、融合する。

 

 

『一時だけ、お邪魔するよ。

 さぁ、橘サクヤ! 行くんだ!』

 

 

 

 言われるまでもないと、ハンニバル侵食種の首元を狙撃弾で撃ち貫く。

 

 向き出たのはハンニバル侵食種のコア。黄色(・・)の輝きを持つそれを――。

 

 

 

 サクヤは初めて扱うはずのブラッドサージで、真二つ切裂いた。

 

 

 

「うぅぅぅおおおおおおおおおお!?」

 

「リンドウ、目を覚ましなさい!!」

 

 

 

 

 灰の波動が収縮する。

 

 

 

 残ったのは、気を失った雨宮リンドウと橘サクヤ。

 雨宮リンドウはその身の大部分にアラガミ化を残し、橘サクヤの神機は不自然な分離を遂げた様に銃器部分とブレード部分が割れてしまっていた。

 

 

 

 

 

「世話かけやがる……」

 

「あとはリーダーだけですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キィ……」

 

 速い。初めて会った時もそう思ったけど、更に上がっている。

 口に咥える少女にも、後ろのノヴァの母体にも被害を与えないように動き回る。サマエルを無視して母体を撃とうとすれば、いきなり突進が来るから攻撃を中断せざるを得ない。

 白い少女が指示しているのか、こちらのリロードの際にはノヴァの母体へとその身を届けようとする。正直、圧倒的に不利だ。

 

「でもね……僕は負けず嫌いなんだ。絶対にやらせないよ」

 

 

 あと少しだ。

 あと少しで――ノヴァの母体を天井から引きはがせる。

 

 

 何も無意味に、無策に撃ち続けていたわけではない。

 

 エイジス島の天井へとへばり付いているノヴァの母体の、その触腕部分を削っているのだ。

 今はまだ、気付かれていない。

 

 これなら……いけ――ッ!?

 

 

 

 

 

「ピキィ……」

 

 

「ピキィ……」「ピキィ……」

 

「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」

 

「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」「ピキィ……」

 

 

 エイジス島の外部から……大量のアバドン!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「足りない……集めなきゃ……おいで、おいで……」

 

 神薙ユウの狙撃を避け続けている間、シオはずっとこの調子だ。

 足りない、足りないと呟いてはその身を光らせ、どこかへ語りかけている。

 

 足りないってなんのことだ? 

 

 あ、アルダノーヴァが倒された。

 うぉっ、まぶしっ!?

 

 何が……って、なんだこれ! この音……大量のアバドンがこっちに向かってる!?

 

「おいで……そして、捧げて……」

 

 足りないってまさか、ノヴァの素材がか!?

 アバドンで補給しようとしてんのか……、ってうぉぁ!? 今度はなんだ!

 

 

 この現象……感応現象? げ、それが起きるってことは……!

 

 雨宮リンドウが人間に戻ってる――――ッ!?

 

 なんで、どうして!?

 

 

「でもね、僕は負けず嫌いなんだ。絶対にやらせないよ」

 

 

 知らんがな! 何がでもねなんだよ! こっちは他の事で手一杯……ッ!

 

 

 面倒な、もういい!

 シオをノヴァの元へ届ける事を最優先にする!

 




あと2回で終わるとか散々いっておいてこれだよ!
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