混迷を呼ぶ者   作:飯妃旅立

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めちゃくちゃ疲れる程書いた! って思って文字数見てみたら全然っていう!

中盤にクッソ長いタラッタラした考察がありますが、何が言いたいのかと言えばから読み進めてくれれば大丈夫です!



追記

ウロヴォロスちゃんの弱点属性データベースと食い違ってましたが、まぁお話の中ではそういうこと、ってことにしておいてください。すみません。


Nightmare again

 あいるびーばっく……っ!

 

 生き返って(?)すぐに、直近の『声』の元に駆けつけてみたら、まさかの目の前にブラッド隊員。勿論ギルバート・マクレインはいなかったが、そんなことより驚いたことが一つ。

 

 ――女主人公……だと……!

 

 いや別にそれで何が変わるってわけでも無いんだけどね。

 

 容姿はまんまオープニングムービーの女主人公。得物はショートショットガンバックラー。

 またショートか……。

 

 ショットガンの特大火力も捨て置けない。特にブラッドレイジのアレ(・・)は……。

 

 

 とりあえず、何の準備も無しに当たるのはまずいかと思って逃げたのだが、よくよく考えれば経験を積み終えていないブラッドは倒してしまった方が良かった気がしないでもない。

 ……そういう油断をして、真壁ハルオミにやられかけたことは忘れてはいけないのだが。

 

 とりあえずブラッドの事は保留しよう。

 

 今は、目の前の問題……というか、俺自身の事について、だ。

 

 

 

 俺は一度死んだ。

 

 神薙ユウによって、葬り去られた。

 

 しかしどういうわけか――俺は生きかえった。また、アバドンとして。

 

 ここまでは、まぁいい。

 ここからが少し違う。

 

 アバドンはアバドンでも――真赤なアバドンになったのである!!

 

 

 

 

 

 ……変わっていないじゃないか、と思うなかれ、赤の鮮やかさが増しているのだ!

 

 現状、確認できる差異はこれだけだ。

 

 

 

 ……あんま変わってないですね、はい。

 

 

 

 俺自身の変化は置いて於こう。

 明確に、目に見えて変わったものが1つ。

 

 それは俺以外のアバドン――ひいてはサマエルの事についてだ。

 

 『サマエル』。それは、俺の個体名だったはず。

 個体名というのは、現状それ一匹しか確認されていないために付けられる名前なのだが、今の世界に『サマエル』は何匹かいるらしい。極東のオペレーターの声から得た情報で、現場に急行してみたら本当に俺以外のサマエルが出現していた。

 勿論神機使い達は警戒MAXだったのだが、そいつはふよふよと浮くばかりで攻撃しようとしない。

 少し見続けて分かったのは、ソイツの行動パターンがアバドンと同じということだけだ。凄まじく早い――多分俺より少し下くらい――事を除いて。

 

 恐る恐る神機使いが攻撃を入れれば、瞬時に逃げる。俺は速さになれているから目で追えるのだが、神機使いには見えなかったのだろう。「え?」なんて間抜けた声を出していた。

 相変わらずレーダーやユーバーセンスには引っかからないようで、オペレーターも対応できていない。

 『深追いはしないでください』なんて言っているのは、俺の事がトラウマにでもなっているのかもしれないな。恐怖で身を竦めてくれれば狩りやすくていいのだが。

 

 

 『サマエル』は種として極東、ひいては世界に根付いた。

 ルフス・カリギュラのような原理なのだろう。俺の意思が乗っていないのは残念だが。乗っていたら物量責めが出来たのに。

 

 

 

 

 さて、ブラッドとエミール・フォン=シュトラスブルグがいたということから、俺が死んで意識を取り戻すまでに3年の月日が経ったことがわかる。それほどの月日を経ないと俺が再生できなかったのか、はたまた別の理由かはわからないが、動き出すとしよう。

 神薙ユウ含め元第一部隊はクレイドルでなにかしら進めていたはず。

 

 そいつらが帰ってくる前に――もう負けるつもりはないが――、旧型達を屠っておこうと思う。ブラッドアーツに覚醒されると面倒だからな。

 

 そして、もう少し待てば、ブラッドを摘むチャンスが巡ってくる。

 今は雌伏の時だ。水面下で動かせてもらおう――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウロヴォロス。

 

 

 現状、最大のアラガミだ。その大きさもさることながら、巨体の生み出す攻撃力も最大級。長く伸びる触腕に、その図体からは考えられない跳躍を行う事が出来る細足。頭部から背面にかけて伸びる背骨周辺は硬い外皮に覆われ、たとえ破砕攻撃でもダメージを通さない。

 敵を見遣る顔部分には無数の複眼。その複眼からオラクルの光線を放つ、正真正銘の化け物である。

 

 さて、このアラガミ。発祥地は不明で攻撃属性が『雷』『神』、弱点属性が『火』『氷』『神』となっているのだが――。

 

 何故、ウロヴォロスが『火』『氷』『神』を弱点とするのか。考えた事はあるだろうか。

 

 元々、『雷』を攻撃属性とするものは、『火』『氷』を弱点にすることが多い。『神』を攻撃属性にするアラガミもまた、『神』を弱点としている。

 

 それならば、ウロヴォロスが『雷』と『神』を扱う理由は何か。

 

 『雷』を扱う他のアラガミを例に出して考えてみよう。

 真っ先に思い浮かぶのは、『雷』の権化とも言っていいヴァジュラ。攻撃方法のほとんどが雷撃で、スタンを起こすことで有名だ。

 ヴァジュラは、虎の様な体躯に俊敏な動きで神機使いを翻弄する。

 

 

 もう一つ例をあげよう。

 こちらの方がわかりやすいかもしれない。

 

 

 コクーンメイデン堕天。荷電性と呼ばれるそのタイプのコクーンメイデンは、ノルンにこう記載されている。

 通常のコクーンメイデンが落雷を受けて変異したと見られているが、詳細は不明である、と。

 

 これが正答なのだと仮定したら、どうだろう。

 コクーンメイデン堕天はアメリカ大陸西部の山岳地帯で発見された。

 ヴァジュラはユーラシア大陸南東地域。まぁ名前からしてインドだろう。

 そして、インドでは大きな体躯を持つ人食い虎が有名である。

 

 他にも、ウコンバサラの発生した南アメリカ地域にはアメリカワニという巨大生物。

 ボルグ・カムラン堕天――ボルグ・カムラン全般であるが――には大きな針。

 ハガンコンゴウもコンゴウ通常種より巨体だ。

 

 

 

 これらアラガミは、皆『雷』を扱うアラガミである。

 そして、1つの共通点を持っている。

 

 

 それは、他より高かった、ということだ

 

 避雷針の原理と一緒だ。

 コクーンメイデン堕天は山岳地帯に立っていたのだから、避雷針の役割をはたして落雷が落ちたのだろう。

 ヴァジュラは異常進化を遂げ、巨大になった人食い虎がオラクル細胞に喰われ、そこに雷が落ちた。

 ウコンバサラも巨大で、他より背が高いアメリカワニだったが故に、『雷』を扱うようになった。

 ボルグ・カムラン堕天も言うまでもないだろうが、あの針を避雷針として雷が落ちてきたのだろう。

 ハガンコンゴウも同じ。

 

 

 ウロヴォロスはどうか?

 勿論、例に漏れない。

 ウロヴォロスは上記アラガミよりも大きく、角という避雷針になりそうなものを持っている。『雷』を扱う経緯はもうわかるだろう。

 

 

 

 次に、『神』を扱う理由について考察してみる。

 

 攻撃属性に『神』を持つアラガミは以下の通りだ。

 

 

 ヤクシャ。

 ヤクシャ・ラージャ。

 テスカトリポカ。

 ディアウス・ピター。

 サリエル。

 サリエル堕天。

 アイテール。

 ハンニバル侵食種・神速種。

 スサノオ。

 ツクヨミ。

 ヴィーナス。

 そして、ウロヴォロス及びその堕天種。

 

 

 特殊な物(感応種や神融種、キュウビや人工アラガミ)は除いているが、以上が『神』を扱うアラガミである。

 

 

 これらに共通する事は、その名を冠する物がすべて人間の信仰する神である(サリエルは大天使として有名であるが、地母神という面も見せている)という事。

 

 

 そして、唯一それに当てはまらないのがウロヴォロスである。

 ウロヴォロスは『自らの尾を喰らう蛇』。サタンと同列と見做されることが多く、そのサタンは堕天使だ。堕天する前はルシフェルという名の天使である。

 

 さて、ルシフェル……というかサタンは、千年もの間とある()に奈落へと閉じ込められていた。

 その奈落というのはタルタロスの事なのだが、ここでは奈落の王自身であると表現しよう。

 

 

 

 そして、その奈落の王こそが、アバドンというのである。

 

 

 アバドン=ウロヴォロスであるならば、ウロヴォロスが全てのアラガミの集約物としてのもう一つの姿であるならば、『神』を扱う理由も頷ける。

 何故なら、混沌とは――集約物とは、カオスなのだから。

 カオスは、ギリシア神話の神だ。

 

 やはり『神』を扱うアラガミは文字通り神なのだ。

 

 ウロヴォロスはその巨体故に『雷』を扱い、混沌(カオス)であるが故に『神』を扱う。

 

 

 

 

 さて、長くなってしまったが、何が言いたいのかと言えば。

 

 

 

 

 ――あれ、もしかしてアバドンも(サマエル)も攻撃属性『神』なんじゃね……?

 

 ウロヴォロスが、巨大化という変異を遂げたアバドンであるのならば。巨大化したから『雷』属性を持つのであれば、していない俺達(アバドン)は『神』だけを持つのではないだろうか。

 

 

 ちなみに何故こんな考察を始めたのか、だが。

 

 

 

 

 原因は目の前で割れているシールドにある。

 

 

 

 

 シールド『尾盾キヒ』。各種オウガテイルの高ランク素材によってつくられるシールドで、Rank11のシールドの中では比較的簡単に手に入る装甲だ。属性としては、『火』と『氷』に強く、『神』に弱い。

 

 それを展開していた神機使い――何故かアナザー仕様の小川シュンに体当たりをかました結果、妙な手応え――まるで、相手の神機が食べるのを嫌がっているような気配――を感じたのも束の間、バキッという音がして小川シュンのシールドが砕けた(・・・)

 勿論俺は止まらずにそのまま直進。目出度く極東人を一人狩る事が出来たのである。

 

 ゲームの中で、コイツはぶっちゃけ弱い。NPCとして同行させるとネチネチヴェノムと消音でそれなりに動いてくれるのだが、カレル・シュナイダー証言のもとコンゴウに苦戦するらしい。

 コンゴウに苦戦するのだ。

 あのコンゴウに苦戦するとか、有り得ないだろう。ロングブレード使ってる全神機使いに謝れ。アラガミである俺ですらそう思う。だってコンゴウ弱いし。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 さて、(くだん)の小川シュン君であるが、蹲ったまま一切動かない。しんだふりなのだろうか。俺は熊じゃないから普通にとどめを刺すのだが。

 それとも仲間がいるのか?

 

 しかし、聴覚を広げて(・・・)見ても誰もいない。

 

 オペレーターの悲痛な声も聞こえないからまだ死んでないとは――って、そゆことか。

 

 聴覚を通常に戻し、少し絞る。

 すると、ジジジジ……という、通信機械特有のノイズが。

 これは壊れてるな。

 

 なるほど、絶望に染まって動けないだけか。

 5年目……いや、あれから3年経ったのだから8年目か。8年目の偵察兵曹長君。身の丈にあった行動をしていればあるいは――いや、栓無きことか。

 

 

 

 

 サ ヨ ナ ラ。

 




ちなみにフェなんとかとドイツの蒼い縞々は、アーク計画の後極東に来て3年の内に帰って行きました。多分どっかの支部に。
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