混迷を呼ぶ者   作:飯妃旅立

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はい。


知ってのとおり、無印にBURSTを組み込んだように。


2にRAGE BURSTを組み込みます。


物語は加速します。


ミューテーション
サルベージ・ホープ


 ロミオ・レオーニ(19) 

 2073年フェンリル極致化技術開発局入隊。

 2074年、サテライト拠点の防衛任務にてMIA(作戦行動中行方不明)と認定。 

 現場には彼の使っていた神機のみが残されており、現在彼の行方を捜索中である。

 

 

 ジュリウス・ヴィスコンティ(20)

 2067年フェンリル極致化技術開発局入隊。

 2074年同局退役。元特殊部隊『ブラッド』隊長。

 出生7月16日 身長180㎝

 現在は黒蛛病集中治療棟にて治療中。

 

 

 シエル・アランソン(16)

 2074年フェンリル極致化技術開発局入隊。

 2074年同局退役。元特殊部隊『ブラッド』隊員。

 出生12月17日 身長160㎝

 現在は黒蛛病集中治療棟にて治療中。

 

 

 藤木コウタ(18)

 2071年フェンリル極東支部入隊。

 2074年同支部退役。元第一部隊隊長。

 出生6月20日 身長171㎝

 現在は黒蛛病集中治療棟にて治療中。

 

 

 エリナ・デア=フォーゲルヴァイデ(14)

 2074年フェンリル極東支部入隊。

 2074年同支部退役。元第一部隊隊員。

 出生9月19日 身長155㎝

 現在は黒蛛病集中治療棟にて治療中。

 

 

 台場カノン(22)

 2070年フェンリル極東支部入隊。

 2074年同支部退役。元第四部隊()()

 出生2月28日 身長165㎝

 現在は黒蛛病集中治療棟にて治療中。

 

 

 小川シュン(享年21)

 2066年フェンリル極東支部入隊。

 2074年、ミッション名『天使の毒牙』にてKIA(作戦行動中死亡)と認定。

 元『サテライト防衛班』班員。階級特進無し。

 

 

 カレル・シュナイダー(享年22)

 2066年フェンリル極東支部入隊。

 2074年、サテライト拠点の防衛任務中にKIA(作戦行動中死亡)と認定。

 元『サテライト防衛班』班員。階級特進無し。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 極東支部の空気は、これでもかという程に重かった。

 通信機器へのジャミングは、サテライト拠点の最も外側で戦っていた第一部隊やサテライト防衛班の過半数を黒蛛病へと至らせたのだ。

 勿論一般人にも被害は出ており、現在黒蛛病患者は山の様に膨れ上がってしまっている。

 

 

 

 

 藤木コウタがソレに罹ってしまったのが、何よりも大きかった。

 

 

 3年前。 極東支部に神薙ユウありと言われるほどとなった神機使いが率いた、伝説の部隊。 その隊員のほとんどが独立支援部隊『クレイドル』へと異動する中、藤木コウタだけが極東支部に残っていたからだ。 彼はクレイドルの隊員も兼任しているが。

 

 以前は周囲が化けも――実力者揃いであったために目立つことは無かったが、第一部隊の隊長となってからは努力に裏打ちされた実力が目に見えて出ていた。 新人の育成も上手く、タツミなどの年長者からも信頼を置かれていたのだ。

 

 だが、そのコウタが戦線を退いた。

 

 黒蛛病は接触で感染する。 万一を考えれば、部隊での戦闘は出来ない。 また、病状自体も身体を蝕むモノなので、更に戦闘は臨まれなかった。

 

 黒蛛病に罹ったのはコウタだけではない。

 エリナ・デア=フォーゲルヴァイデ。 嘗てのエリック・デア=フォーゲルヴァイデの妹である彼女も赤い雨をその身に受けてしまった。 彼女の義兄(あに)を自称するエミール・フォン・シュトラスブルクは、「苦しむ妹の手すら握ってやれないとは……兄失格だ! 誰か僕を殴ってくr」という言葉の最中に神威ヒロの渾身の右ストレートを受け、病室から追い出された。

 エリナはその様子に笑ってこそいたが、その表情に影を落としていた。

 

 

 

 

 

 被害は第一部隊だけに収まらない。

 

 

 台場カノン。 誤射姫と畏れられながら、ある種の清涼剤として防衛班の任務についていた彼女も、黒蛛病となってしまった。 (人員不足によるとはいえ)第四部隊の隊長であった彼女がいなくなるのは、防衛班にとって痛手である。

 

 

 

 サテライト防衛班も同じような――むしろ、こちらの方が酷いかもしれない。

 

 

 小川シュンとカレル・シュナイダーの両名を、黒蛛病ではなく『死』という形で失ってしまったのだ。 表面上はなんでもないようにしているが、ジーナ・ディキンソンとブレンダン・バーデルは静かに怒りを秘めている。 どちらも、ただ落ち込むような性格はしていないが、仲間を殺されたという怒りは十二分に持ち得ているのだ。

 

 逆に、底の底まで落ち込んでいるのは大森タツミだ。

 

 元から『勝つ戦いより負けない戦い』をモットーとしている彼は、嘗ての雨宮リンドウの命令である『死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ。 運が良ければ不意をついてぶっ殺せ』に近い心情を持っている。

 つまり、どれだけの仲間の死を経験したとしても、ソレに慣れる事が無いのだ。

 

 同じ元防衛班のメンバーだったことも起因している。

 

 その重症度は、慰めようと竹田ヒバリが声をかけてきても気が付かない程で、神威ヒロに焚き付けられるまで「すまない、カレル。 俺がもっと早く着いていれば」だの、「あの時シュンについていけば……」だのを延々と呟いていた。 ちなみに焚き付け方は渾身の右アッパーカットである。 3mはとんだ。 縦に。

 

 

 

 

 最後にブラッド。

 

 まず、隊長であるジュリウス・ヴィスコンティが黒蛛病及び意識不明の重体として隊長を辞任。 すぐに神威ヒロが隊長となった。

 現在は集中治療棟にて治療中とだけ連絡が有り、その生死すらブラッド隊員にはわからない状況である。

 

 次に、ロミオ・レオーニ。

 ジュリウスの意識が戻っていない故にはっきりしたことは言えないのだが、赤い雨が止んだ後、現場には意識のないジュリウスと彼の神機、そしてロミオの神機が地面に突き刺さっていたという。

 ロミオの身体がどこにもなかったのだ。

 腕輪のビーコンも反応しなければ、気象観測班等のレーダーにも引っかからない。

 

 まるで世界に溶けてしまったかのように、その存在を無くしていた。

 

 現在、ロミオの神機は楠リッカによって解析中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……人、減っちゃったね……」

 

 ポツリとナナが呟く。

 未だに極東支部に滞在しているブラッド隊。 ブラッドの極東支部への出向命令が出たのだ。 「こんなアラガミだらけの所にいられるか! 俺はフライアに帰るぞ!(意訳)」と言って命令を出した本人であるグレゴリー・ド・グレムスロワは帰った。 ……グレム局長の事だ。

 

 ナナの言うとおり、極東支部のエントランスからは活気が消えており、慌ただしく動いているのは職員のみとなっている。

 

 香月ナナと真壁ハルオミ、神威ヒロは向かい合う形でエントランスの椅子に座っていた。

 

 

「ふぁあ……。 前からこんなもんだろー? それより、とっとと次の任務受注しようぜ」

 

「お前さんは元気だねぇ……少しはこう……感傷に浸ったりとか、は、なさそうだな」

 

 眠そうにしながらも、好戦的な笑みを浮かべて席を立とうとする神威ヒロ。 ハルオミはヒロの右肩に手を置いてソレを抑える。 

 

「アタシにそんなもん求めんなって。 それに、ジュリウスもロミオもシエルも死んだわけじゃねぇ。 悲しむ事なんかねーよ」

 

 あっけらかんと言う神威ヒロに、ハルオミもナナも救われている。 彼女がここまで突き抜けているからこそ、笑っていられるのだ。 ブラッドはまだ終わっていないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、ざわりという空気のどよめきがあった。

 

 職員の「帰ってきた……?」「帰ってきたんだ……!」「よかった!」という、先程までとは正反対の喜色を持った声が聞こえてくる。

 なんだなんだとブラッドが出撃ゲートの方を見ると、複数の人影。

 

 

 

 

 マスカレードのような仮面で右目を覆い、右腕を金色の篭手で包んだ長身――ジュリウスより高そうだ――の男。

 

 

 

 白いフードを被った、褐色の肌を持つ長身――こちらもジュリウスより高そうだ――の男。

 

 

 

 上着はちゃんと来なさい、露出狂ですかと言いたくなる程に下乳を出した――ナナも人の事は言えないのだが――赤と白を起点とした服装の女。

 

 そして。

 

 

 

 そして、いるだけで絶大なる安心感を醸し出す、金に近い茶髪の美男子。

 

 

「おいおい……第一部隊……いや、『クレイドル』じゃねぇか……」

 

 ぼやくように、ハルオミが呟いた。

 

 フェンリル極東支部独立支援部隊『クレイドル』。

 そこに所属する隊員達。

 上から、雨宮リンドウ、ソーマ・シックザール、アリサ・イリーニチナ・アミエーラ。

 

 

 

 極東にこの人ありと謳われた、神薙ユウである。

 

 

 

 

 

「ただいま、みんな」

 








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