混迷を呼ぶ者 作:飯妃旅立
「……ふん、弱い奴が戦場に出るからだ……」
屋良リョウスケ、葉書ユウジ。
アナグラにおけるデータベース。その中の
灰色の文字で表示されるその名前。灰色の示す意味は、KIA。Killed in action――戦死だ。
ミッション名『ビギニング・ステップ』にて、討伐対象外のアラガミとの交戦中に死亡。
事少なに書かれた詳細を見たソーマ・シックザールは、そう呟いた。
「な、お前そういうこというなよ! 第一に、お前もその……赤いアバドンだっけ? にやられそうだったんだろぉ? 相棒が助けてくれなきゃ危なかったってヒバリちゃんが言ってたぞ!」
その言葉に喰ってかかる青年。ソーマ・シックザールの言い方は、仲間を大切にする気質のある青年にはキツく聞こえたのだろう。
「俺やコイツの前情報が有った……にも拘らず、舐めてかかってこのザマだ……。そういう所含めてコイツらが弱かった、それだけのことだろ……」
そう吐き捨てて、ソーマ・シックザールはエントランスからエレベーターを使い、自室に戻って行った。
後に残されたのは軽薄そうな赤に近い茶髪の男子と金色に近い茶髪の男子2人のみ。
藤木コウタとコイツと称された神薙ユウだ。
「ちょ、おい! ……ったく、そういう言い方するから敵が増えるんだってのに……なぁ、そう思うわない? 相棒」
「うーん、確かにソレもあると思うんだけど……。弱い奴は戦場に出るなって、言い方を変えれば俺が守ってやる、だよね。ただ口下手なだけなんじゃないかなぁ……」
それは聊か好意的に捉え過ぎなのではないかという視線を送るコウタに、どこ吹く風なユウ。この時点ですでに視野に広さに差がついていたのかもしれない。
「ま、それよりもさ! この赤いアバドン……っての? 相棒も戦ったんだろ? どんなだったんだ?」
人が、それも仲間が2名死んでいるにも関わらずこの明るさを保ち続けているのは、未だ死と隣り合わせの職場であるということを理解しきれていない故か、はたまた暗い空気を払拭するためか。彼のムードメーカな所を考慮すれば後者であるのだが、新人という括り故に前者であることも否めなかった。
「うん……。僕もまだそこまで多くのアラガミを知っているわけじゃないけど……、見た事もないくらい早かった。普通のアバドンも結構速いけど、2倍や3倍じゃない。気付いたら移動してる、って感じ。
それに、普通のアバドンと違って攻撃してくるんだ」
あの時、確実に背後を取っていたはずだった。なのに、まるでこちらの攻撃が見えていたかのように避けられていた。その後の逃げる直前の突進も、ソーマや自分の動きがわかってるようで――。
「速くて小さくて攻撃してくるとか……俺みたいな旧型遠距離には鬼門じゃんか。それでいてアバドンってレーダーに映らないんだろ? そういうの無くすための技術部じゃないのかよ……」
「アバドン自体最近現れたアラガミだからしょうがない、とは言いたくないけどね……。必死に対応してくれることを願うしかないよ」
あの赤いアバドンは今の所一匹しか観測されていない。他で観測されているのは全て普通のアバドンだ。捕食すれば希少なコアが手に入る宝箱。そういう認識のアラガミ。
今回2人の神機使いを屠った赤いアバドンが、この認識にどういう変化を齎すのか……。
神薙ユウは言い様の無い胸騒ぎに襲われていた。
ふよふよと浮いているにも拘らず、傍から見ると凄まじく速いスピードで移動している赤い点。俺だ。
現在俺がいる場所は、オホーツク海海上。極東を離れている。
極東を離れた理由は一つ。
――若いブラッド隊員を摘むためだ。
GOD EATER 2及び、GOD EATER 2 RAGE BURSTにおける主人公とその仲間、ブラッド。1人1人が『血の力』と呼ばれる感応種みたいな力を持つ化け物。その中でも、主人公――漫画版での名前は神威ヒロ――は『喚起』という力を操り、続々と極東人を化け物にするという、所謂癌細胞だ。
出来る事ならば神威ヒロを最初に摘んでおきたいのだが、如何せん居場所がわからない。2071年に何をしていたのか描写されていないのだ。
なので俺は、描写されているブラッド隊員――ギルバート・マクレインの元に向かうことにした。
他のブラッド隊員である、パナナ……ジュリウス・ヴィスコンティとシエル・アランソン、香月ナナにロミオ・レオーニ、褐色銀髪スク水の居場所も解っているが、マグノリア=コンパス内部なので手出しができない。
ギルバート・マクレインの持つ力は『鼓吹』。何度でも発動可能な全体攻撃力上昇バフだ。とても、とても厄介である。『血の力』はどれも厄介なのだが。
2071年のこの時期のギルバート・マクレインは、フラッギングと呼ばれていない、まだ青い3年目の神機使いだ。しかも第一世代近接型。ムービーを見る限りスピアのみ。
もう少し後でルフス・カリギュラと共闘して屠るのもアリではあるのだが、どうにもアラガミ間の会話というものが成立しない。感応種じゃないとダメなのかな。
ケイト・ロウリーと真壁ハルオミというおまけがいるかもしれないが、どちらかを殺すとバーサークしかねないのでまずギルバート・マクレインを摘む必要があるだろう。
ギルバート・マクレインが居る場所は、イギリス西部グラスゴー支部。ついでに現地の神機使いも幾人か屠れたらいいな。極東人よりは弱いだろうし。
さしあたっての障害は居住区に住む一般人だと言ったな。あれも本当だがこちらの方が優先だ。
神機使い一覧は、データベースの人物です。
GE2だとギルさん第一世代でスピアなんだよな……。生粋のショート使いにはどう描写したらいいのか……